TOP-HAT News 第144 号(2020年8月)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
   TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)
        第144 号(2020年8月)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html で。
エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに ツインパンデミック時代のキーワード

2 第34回日本エイズ学会学術集会・総会もWeb開催に

3 AAA(アクト・アゲインスト・エイズ)が活動に終止符

4 『パンデミック・パラドックス』

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに ツインパンデミック時代のキーワード
 12月1日の世界エイズデーを中心にした2020年世界エイズデー国内啓発キャンペーンのテーマが決まりました。
 『知ってる!? HIVとエイズの違い』
 キャンペーンは厚生労働省と公益財団法人エイズ予防財団が主唱し、12月1日の前後1カ月ぐらいを中心に全国で様々な啓発活動が展開されます。各自治体やHIV/エイズ分野のNPOの活動にテーマを反映させてもらおうと考えれば、夏までにはテーマを決めておかなければなりません。
 ということで、今年は7月22日(水)に厚労省がテーマを発表し、API-Net(エイズ予防情報ネット)にその趣旨が掲載されています。
 https://api-net.jfap.or.jp/edification/aids/camp2020.html
 テーマの策定に至る過程では、春からエイズ予防財団やHIV/エイズ関係のNPOのメンバーらが中心になって、今年はどんなメッセージを伝える必要があるのか、伝えたいのか、検討を重ねてきました。そのうえで2つの候補案を厚労省に提案し、『知ってる!?・・・』が採用されています。
エイズ予防財団と国内のNPO3団体が協力して運営するHIV/エイズ総合情報サイト『コミュニティアクション』にもテーマ紹介のページがあります。こちらもご覧ください。
 http://www.ca-aids.jp/theme/
 なぜ今年は『知ってる!?・・・』なのか。新型コロナウイルス感染症COVID-19のパンデミックが、HIV/エイズの啓発キャンペーンにも色濃く反映されています。
 『そのCOVID-19対策の中でも「正確な情報と知識」の重要性が改めて認識されています。知らないことが不安を増幅させ、不正確な知識や誤った情報が広がる。そのことが有効な対策の成立を困難にします。社会的な差別や偏見によって病気そのものを上回る被害を生み出すことにもなります』
 同じようなことは、HIV/エイズ対策の中でも繰り返し経験してきました。もちろん、COVID-19とHIV/エイズとでは、感染経路も発症に至る経緯や病状も、流行の拡大を防ぐための手法も異なります。それでも感染症のパンデミックという重大な事態に社会が対応するとき(あるいは対応しそこなうとき)には、不思議なくらいによく似た現象を経験します。そこから引き出され、蓄積された教訓は次のパンデミックにも生かせるのではないか。仮定の話ではなく、いまそのことを世界中が、そして日本の社会も、リアルタイムで経験しています。
 『HIVはエイズの原因となるウイルスであり、エイズはそのウイルスによって免疫の力が低下することで引き起こされる様々な症状(症候群)です』
 いまだからこそ、この当たり前のことから、もう一度、丁寧に伝えていこうよ。そんな議論から生まれたのが今年のテーマです。実は16年前の平成16年のテーマは『“HIV”と“エイズ”の違い、知っていますか?』でした。よく似ています。でも、まねしたわけではありません。ほぼ同じテーマですが、16年の間に治療は大きく進歩しました。
もちろん、知識がすべてを解決するわけではありませんが、正確な知識が前提として伝わらなければ、感染症の流行がもたらす恐怖や不安、そこから生まれる偏見と差別を克服することもできなくなってしまいます。16年前とは、メッセージに込められた内実も自ずと異なってくると指摘したうえで、コミュニティアクションは次のように述べています。
『HIV/エイズとCOVID-19というツインパンデミックの時代のキーワードとしても、改めて「知識」に焦点をあてる必要があります』


2 第34回日本エイズ学会学術集会・総会もWeb開催に
 11月27日(金)〜29日(日)に予定されている第34回日本エイズ学会学術集会・総会がWEB開催になりました。
 今年は千葉市美浜区の幕張メッセが会場の予定でしたが、COVID-19の流行を考慮し、開催方法の変更を決めたということです。
 詳細は公式サイトでご覧ください。
 https://www.aidsjapan2020.org/


3 AAA(アクト・アゲインスト・エイズ)が活動に終止符
 音楽業界を中心に1993年からエイズ啓発活動に取り組んできたAAA(Act Against AIDS/アクト・アゲインスト・エイズ)が7月20日、活動を終了しました。公式サイトに『Act Against AIDS活動終了につきまして』というお礼の文章が掲載されています。
 https://www.actagainstaids.com/
『もちろんエイズは依然としてこの世に存在し、日本でも新たな感染者が報告されています。しかしながら、私たちの活動がエイズについて考えたり、友人や家族、パートナーと会話するきっかけ作りとなる、と同時に日本における社会貢献活動の活性化にも、わずかながらでも寄与できたのではと考えています』
AAAは創設以来27年にわたり、12月1日の世界エイズデーを中心に全国でコンサートを開催し、音楽の力で多くの人を励ましてきました。また、HIV/エイズに対する理解を広げるためのポスターや冊子などの資材も独自に作成し、中学校や高校に提供しています。
その貢献は『わずかながら』どころか、極めて大きかったと言うべきでしょう。活動の終了は残念ではありますが、むしろこちらから「長い間、ありがとうございました」と感謝の言葉を贈りたいと思います。


4 『パンデミック・パラドックス』
米国の安全保障分野の民間シンクタンク、国際戦略問題研究所(CSIS)のグローバルヘルス政策センター(GHPC)がHIV/エイズ対策の課題を取り上げた5回シリーズのドキュメンタリーフィルム『パンデミック・パラドックス』の公開を開始しました。英語版ですが、第1回『I am worried』をYOU TUBEのCSISチャンネルで見ることができます。
https://www.youtube.com/watch?time_continue=6&v=UOTic9GqyZk&feature=emb_title
 第1回は、米アーカンソー州、南アフリカのクワズール・ナタール州、ウクライナのオデッサ市からの報告と世界の著名なHIV研究者のコメントで構成されています。
 タイトルの「パンデミック・パラドックス」とは、世界がHIV/エイズ対策に力を入れ、なんとか拡大を抑えてきたものの、まだ道半ばのその成果に満足してしまい、現状は逆に流行の再燃を招きつつあるという懸念です。
成功が再燃を促すという逆説(パラドックス)は、米国立アレルギー感染症研究所のアンソニー・ファウチ所長、国連合同エイズ計画(UNAIDS)元事務局長のピーター・ピオット博士、グローバルファンド前事務局長のマーク・ダイブル博士らそうそうたる専門家たちが揃って指摘し、現状に強い危機感を表明しています。インタビューはCOVID-19というもう一つのパンデミックが登場する前に収録されたということですが、第1回の最後にプロデューサーのスティーブン・モリソン氏が登場し、新たなパンデミックによってその危機は一段と深刻化しつつあると語っています。

"TOP-HAT News 第144 号(2020年8月)" へのコメントを書く

お名前
メールアドレス
ホームページアドレス
コメント