TOP-HAT News 第125号(2019年1月)


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
メルマガ:TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)
        第125号(2019年 1月)
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html で。
エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに いまこそ持続と充実を

2 多言語情報サイトH.POT 開設

3 『Global Topics(グローバル・トピックス)』創刊 

4 『滞日外国人のHIV治療アクセスの変化と課題』 

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに いまこそ持続と充実を
 遅ればせながら明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
 2019年は変化の年ですね。平成が終わり、5月から新しい元号がスタートします。秋にはラグビーW杯が日本で開催され、東京は2020年のオリンピック・パラリンピックに向けた準備が急ピッチで進みます。
 HIV/エイズ分野はどうなるのでしょうか。厚生労働省エイズ動向委員会が昨年8月にまとめた2017年集計の確定値では、新規HIV感染者・エイズ患者の年間報告数が1400件を下回りました。11年ぶりのことです。2018年に入ってからも東京都の報告数は年末まで減少傾向が続きました。あくまで報告ベースの数字なので、実際の感染がいま減っているのかどうか、それは分かりません。しかし、期待は持てます。2019年も報告件数が減少することを目指しつつ、実際の感染発生も減っているのだとしたら何がその要因になっているのか、データの詳細な分析が必要になります。
 国際的に見ると、治療の普及が予防にもたらす効果(予防としての治療=T as P)は、新規感染推計を見る限り、期待されるほどの効果を上げていません。今年は隔年で開かれる世界レベルのエイズ会議(国際エイズ会議)の間の年なので、医科学研究に焦点を当てた第10回国際エイズ学会HIV科学会議(IAS2019)が7月21日から4日間、メキシコシティーで予定されています。国際会議よりは小規模になりますが、最近は医科学研究の専門家だけでなく、HIV/エイズに関連する社会分野のアクティビストの参加も増えています。科学と社会的な実践との間の垣根が取れてきた証拠であり、このこと自体が40年近いHIV/エイズ対策の蓄積がもたらした大きな成果というべきでしょう。
 また、日本を含むアジアのHIV/エイズ対策に関しては、9月18日から21日まで、オーストラリアのパースで第13回アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP2019)が開かれます。日本にとってはIAS会議よりこちらの方が重要かもしれません。
 地球人口のほぼ6割を占めるアジアは、国によって流行の程度が大きく異なり、フィリピンのように日本の近隣で急速に感染の拡大が報告されているところもあります。
これまで何とか感染の拡大を抑えられてきた日本も、その成果に安心していると流行への社会的な関心が低下し、現在の対策の持続すら困難になってしまいかねません。2020年のオリンピック・パラリンピックを控えた東京では、国際的な人の交流もこれまで以上に密になってくることを考えると、現状に満足してしまうことが感染リスクの拡大につながる恐れもあります。HIV/エイズは流行が静かに進行していくタイプの感染症であることへの目配りも大切です。
 治療研究の成果とその普及、HIVに感染している人、感染の高いリスクに曝されている人への支援、HIV感染や性に関わる差別と偏見の解消など「いま何が必要なのか、やるべきことはもうわかっている」ということはHIV/エイズ分野の国際会議でこれまで繰り返し指摘されてきました。問題はそれを実行できるかどうかです。そして、自己満足に陥ることを警戒しつつもあえて指摘しておけば、東京は必要な選択肢を比較的うまく実践できてきた数少ない国際都市のひとつでもあります。
 ただし、それはあくまで中間的な成果であり、流行はいまなお続いています。「エイズはもういいだろう」と考える社会的、あるいは政策的な油断こそが、HIV/エイズの流行の最大の拡大要因であることはいま、世界が共有する認識となっています。成果の継続と対策の充実をはかり、2020年という節目の年を迎えることができるかどうか。そのカギを握っているのが今年1年であることは、年の初めに改めて確認しておく必要がありそうです。



2 多言語情報サイトH.POT 開設
 『H.POT ~HIV multilingual info Japan~』は《日本にいる、日本語を母語としないゲイ・バイセクシュアル男性のために、HIV/AIDSの基本情報をそれぞれの言語でまとめたウェブサイト》です。中国語(簡体字、繁体字)、韓国・朝鮮語、タイ語、フィリピン語(タガログ語)、ベトナム語、ネパール語、スペイン語、ポルトガル語、英語、日本語の11言語に対応しています。こちらでご覧ください。
 http://www.hiv-map.net/h.pot/
《HIVマップの制作チームと、沢田貴志さん(シェア=国際保健協力市民の会/港町診療所)、滞日外国人支援をされている団体・個人、海外の研究者・医療者、NOT ALONE CAFEのチーム、厚労省のエイズ対策政策研究事業「外国人に対するHIV検査と医療サービスへのアクセス向上に関する研究」などとのコラボレーション》による成果でもあります。



3 『Global Topics(グローバル・トピックス)』創刊 
 世界の三大感染症であるエイズ、結核、マラリアについて国際的な動向や課題を簡潔にまとめた「Global Topics(グローバル・トピックス)」(季刊)がグローバルファンド日本委員会(FGFJ)から発行されています。創刊号は《結核の最新動向》。第2号は昨年12月1日の世界エイズデー30周年に合わせ《世界のエイズ対策資金の動向》が紹介されています。FGFJのサイトでPDF版をダウンロードできます。
 http://fgfj.jcie.or.jp/topics/2018-12-01_global-topics-vol-2



4 『滞日外国人のHIV治療アクセスの変化と課題』
 日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(JaNP+)が公式サイトで、日本に住む外国人のHIV診療を特集しています。報告者はシェア=国際保健協力市民の会副代表で、横浜の港町診療所の所長でもある沢田貴志医師です。
 https://www.janpplus.jp/
 1990年代から滞日外国人のHIV診療を続けてきた沢田さんによると、2000年以降、治療アクセスの改善が進む一方、現在でもなお、外国人が検査や治療を受けるうえで言語が大きな障壁になっています。また、技能実習生や日本語学校などで学ぶ留学生の生活基盤は脆弱なことも大きな課題で、沢田さんは『効果的なエイズ対策は、HIV陽性者の人権をしっかり守ることを抜きには実現しません。日本で生活する外国人が、安心して検査を受けられ治療の相談ができる環境を整備していくことが急務』と指摘しています。
 

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック