米食品医薬品局、子供たちに優しいHIV治療薬を承認 ((UNITAID)


(解説) 米食品医薬品局(FDA)が子供向けの抗レトロウイルス薬を承認したというニュースについては、このブログでもUNICEFとUNAIDSの2015年6月5日付歓迎プレス声明を日本語仮訳で紹介しました。
 http://asajp.at.webry.info/201506/article_2.html

 このニュースは日本ではあまり話題になりませんが、国際的な反響は大きいようです。エイズ・結核・マラリアの治療へのアクセス拡大を目指す国際的資金メカニズム、UNITAIDも6月3日にプレスリリースを発表しています。UNICEFとUNAIDSの声明では、これまでの薬と比べ、どう飲みやすくなっているのかよく分からなかったのですが、UNITAIDはこう説明しています。

『これまで、この配合剤のシロップはアルコール分40%を含むとてもまずいもので、しかも冷蔵保存が必要でした。今のところHIVと共に生きる子供たちの4分の1しか治療を受けていないという肯定しがたい現状は、子供たち用の製剤がなかったことにも関係しています』

 なるほど、これは乳幼児にはきついですね。リリースはUNITAIDやDNDi(顧みられない病気のための新薬開発イニシアティブ)などが進める小児HIV治療イニシアティブ(PHTI)についても紹介しています。UNITAID Japanの了解を得て、送っていただいた日本語のプレスリリースを掲載します。

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FDA-アメリカ食品医薬品局、子供たちに優しいHIV治療薬を承認 (UNITAID Information No.28から)

【ジュネーブ、2015年6月3日】アメリカ食品医薬品局(FDA)は先週、インドのジェネリック医薬品製薬会社シプラ(Cipla)が開発したロピナビル/リトナビル(LPV/r)経口小錠剤に暫定承認を与えました。今後は幼児や年少の子供たちに優しい薬でHIV治療をすることができます。

 米グローバル・エイズ・コーディネーターのマネージング・ディレクター、兼グローバル・ヘルス・ディプロマシー特別代表を務めるデボラー・L・バークス大使は「FDAがロピナビル/リトナビル経口錠剤の製剤を暫定承認したことで、3歳以下の子供たちのWHO推奨抗レトロウイルス薬による治療が大きく前進しました。小児HIV/エイズ医療の改善を進めるPEPFAR(米国大統領緊急エイズ救援計画)のイニシアティブ等が目指しているゴールも近づきます」と期待を語りました。

 これまで、この配合剤のシロップはアルコール分40%を含むとてもまずいもので、しかも冷蔵保存が必要でした。今のところHIVと共に生きる子供たちの4分の1しか治療を受けていないという肯定しがたい現状は、子供たち用の製剤がなかったことにも関係しています。

 ユニットエイド事務局長レリオ・マルモラは「ユニットエイドとパートナーらで組織されるPHTI(the Paediatric HIV Treatment Initiative-小児HIV治療イニシアティブ)は、今回の経口小錠剤の承認を歓迎します。この承認は世界のHIVと共に生きる320万人の子供たちの治療格差解消へのステップとなります」とし、ユニットエイドが財政支援を行ってきたHIV小児製剤開発の重要性を改めて確認しました。

 LPV/r配合剤へのアクセスに関連して今後起こるであろう知的財産権諸問題については、2014年12月に医薬品特許プール(MPP)がLPV/rの特許をもつアッヴィ社(AbbVie)と結んだライセンス契約が効力を発揮します。MPP事務局長グレッグ・ペリーは「HIVと共に生きる子供たちの99%が暮らす低中所得の国々のため、このライセンスは絶対に必要です」と語り、その意義を強調しています。

 子供たちのためにより良いHIV医薬品を開発するプログラムの一環として、DNDi(the Drugs for Neglected Diseases initiative-顧みられない病気のための新薬開発イニシアティブ)は、シプラ社と共に、サブサハラ・アフリカの国々で今後大々的な導入調査を実施し、新しい錠剤の使用状況を確認します。2013年、ユニットエイドはこの分野での活動資金としてDNDiに助成金を拠出しています。

 FDA承認に続くステップとして、ユニットエイドの財政支援のもと、DNDiとシプラはWHOが推奨する他の主要抗レトロウイルス薬(zidovudine/lamivudine and abacavir/lamivudine)および二つのLPV/rの4-in-1多剤混合薬を開発することを目指しています。まずい味を隠した薬ができれば、今回の新小錠剤よりさらに服用しやすく、HIVに感染している小さな子供たちの治療が大きく前進するはずです。

 2006年にはHIV治療を受けている子供たちはわずか7万人でした。その後は各国政府とも協力しながらユニットエイドとのパートナーシップで76万人以上の子供たちに抗レトロウイルス薬での治療を受けさせることができました」と感慨深げに語るのはクリントン・ヘルス・アクセス・イニシアティブ(CHAI)のシニア・クリニカル・オフィサーを務めるナンディタ・スガンディ氏。「しかしまだ治療を受けられないたくさんの子供たちが残っています。私たちの努力はHIVと共に生きる子供たちがひとりも放置されていないことを確かめるまで続けなければなりません」。

*小児HIV治療イニシアティブ(PHTI)は2014年、ユニットエイド、CHAI、DNDi、MPPが共に設立したものです。目的は3年以内に、主要抗レトロウイルス小児薬の開発を加速することにあります。

【About UNITAID】
 UNITAIDはHIV/エイズ、マラリア、結核との闘いに継続的資金提供をすることを目的とし、2006年、ブラジル、チリ、フランス、ノルウェー、イギリスの各政府により発足した世界保健衛生イニシアティブです。UNITAIDの財源の約70%は、少額を航空券に課税する航空券連帯税からもたらされています。UNITAIDはパートナーである実施機関を通じて、途上国の人々のために確かな品質の薬や診断器具購入に資金を投入し、その市場支配力を活用して供給拡大、より優れた製品の開発促進、配給時間の短縮、そして価格引き下げを実現します。
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