アジア・太平洋地域の各国政府に対する市民社会声明

(解説)神戸で開かれた第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議の最終日の7月5日、閉会式で読み上げられた声明。7シスターズと呼ばれるアジア・太平洋地域の7つの地域ネットワーク組織の連合体が中心になってまとめた。


アジア・太平洋地域の各国政府に対する市民社会声明
            2005年7月5日、神戸ICAAP

 この声明は、2005年7月1日から5日まで神戸で開かれた第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議の中で、市民社会組織が参加した数種類の会合の成果である。

 会議に参加した市民社会のメンバーは各国政府によってなされたHIV/エイズに関する過去の声明を歓迎し、とりわけ以下の声明に盛り込まれた詳細な約束を高く評価している。
 ・国連エイズ特別総会コミットメント宣言
・第2回アジア太平洋HIV/エイズ閣僚会合の閣僚声明(2004年7月11日、バンコク)

 両声明に盛り込まれた約束は、私たちがこの一週間、議論をしてきた内容のエッセンスを示すものでもある。

 アジアではいま、1時間に148人以上がHIVに感染している。これは予防の必要性、とりわけ男性とセックスをする男性、薬物注射使用者、セックスワーカー、女性と少女、若者、移住人口層などバルナラブルなグループ(弱い立場の集団)の間における必要性を適切に認識できなかった結果、もたらされた計り知れない失策を示している。

 アジア・太平洋地域でARV(抗レトロウイルス治療)を受けている人の数は、過去12カ月で5万5000人から15万5000人へと3倍に増えている。そのような重要な前進を果たしたにもかかわらず、この地域でHIV感染症の病状が進行している人のうち、ARVを受けられる人の割合は非常に低く、世界平均と同じ15%程度にとどまっている。

 そのうえ、820万人もの男性、女性、子供がすでにHIVに感染しており、そのケアの必要性は今後の大きな課題である。この点について、私たちはこれまで、正しく認識することも、広く議論することすらもなかった。各国の保健システムはこうした規模の基本的なニーズを吸収できるだけの体制が整っていないのだ。

 アジア・太平洋地域には、HIV/エイズの予防、治療、ケアの提供のすべてに大きなギャップがある。このことは、私たちが重要性を強調した各国政府による約束が果たされていないことを示している。

 したがって、私たちは各国の政府および指導者に対し、予防、治療、ケアの包括的なサービスを提供するという国連エイズ特別総会のコミットメント宣言の約束を果たすために緊急の行動を取ることを要請する。私たちはまた、必要なエイズ対策プログラムの実施が可能になるよう各国が予算を確保することを求める。

 私たちはさらに、各国政府や国際的な資金提供機関、その他の機関がARVの提供という約束を果たすのを待つ間にも人々が生き延びていけるよう、各国政府その他の指導者に対し、利用可能なケアと治療の選択肢を提供するための措置を直ちに講じることを求める。その措置には以下のものが含まれる。

 ・自発的なカウンセリングと検査
 ・結核の予防と治療
 ・他の日和見感染症の予防・治療薬の提供
 ・在宅および地域ベースのケア・サービス
 ・HIV関連のスティグマの解消、とりわけ保健分野での対策
 ・薬物注射使用者へのファーマコ・セラピー
 ・伝統的な治療やケアへのアプローチ
 ・食糧提供の保障と栄養確保

 最後に私たちは今回のICAAPで、UNAIDSが提案した4つの主要な提言の中の1つを歓迎し、全面的に支持する。それは以下の提言である。

 ・私たちはこのため、各国政府に対し、HIV陽性者およびバルナラブルな人口層を含む市民社会との対等で、意味のあるパートナーシップに基づいてエイズ対策に取り組むよう要請する。

 2006年半ばには、国連エイズ特別総会のコミットメント宣言で列挙された目標に関して、各国がどこまで対応できているのかについての包括的な検証の結果が示され、各国指導者はHIV/エイズ対策の国際的な説明責任のスポットライトにさらされることになる。

 国連エイズ特別総会とUNAIDSの上記提言を支持し、各国が今年、進めている検証作業のもとで、私たちは各国政府に以下の要請を行う。
 
 コミットメント宣言の各国における実施状況について、市民社会組織およびHIV陽性者組織から文書または口頭による情報の受領書、報告書を得るための公式なメカニズムを直ちに設け、各国が2006年にまとめる進捗状況報告書に組み込んでほしい。

声明は以下の団体によるものである。
アジア・太平洋HIV陽性者ネットワーク(APN+)
アジア・太平洋エイズ・サービス組織協議会(APCASO)
アジア・太平洋セックスワーカー・ネットワーク(APNSW)
アジア・ハームリダクション・ネットワーク(AHARN)
アジア・太平洋レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー・ネットワーク(AP-Rainbow)
アジア・太平洋エイズ学会(ASAP)
エイズと人口移動に関する行動調査調整機構(CARAM-Asia)
 および
世界エイズキャンペーン、マッシブ・エフォート・キャンペーン、その他エイズ・ケア・ウォッチ・キャンペーンの250のパートナー

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