エイズ&ソサエティ研究会議・HATプロジェクト

アクセスカウンタ

zoom RSS 世界HIV予防連合の創設会合におけるローレル・スプレイグGNP+事務局長演説

<<   作成日時 : 2017/10/13 10:37   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 0

 世界HIV予防連合の創設会合については先日、国連合同エイズ計画(UNAIDS)と国連人口基金(UNFPA)のプレスリリースの日本語仮訳で少し紹介しました。
 その創設会合に参加した世界HIV陽性者ネットワーク(GNP+)のローレル・スプレイグ事務局長の演説がGNP+の公式サイトに掲載されています。その日本語仮訳です。

世界HIV予防連合の創設会合におけるローレル・スプレイグ事務局長の力強い声明
https://www.gnpplus.net/laurel-spragues-statement-at-the-inaugural-meeting-of-the-global-hiv-prevention-coalition/
 世界HIV陽性者ネットワーク(GNP+)のローレル・スプレイグ事務局長が2017年10月10日、スイス・ジュネーブで開かれた世界HIV予防連合の創設会合で演説した。予防連合は国連合同エイズ計画(UNAIDS)と国連人口基金(UNFPA)の事務局長が共同議長となり、2020年までに新規HIV感染を75%減らすことを目指して国連加盟国、市民社会組織、国際組織などのパートナーが参加している。

 お集りの皆さん、HIV予防に関し、世界HIV陽性者ネットワークを代表して発言する機会をいただきありがとうございます。
 世界中の人びとがいま、数多くの複雑な問題に直面しています。それらの問題を少しずつでも減らしていかない限り、個人にとっても、家族にとっても、コミュニティや国にとっても、HIVのない生活の方が、HIVのある生活より負担が少ない。そのことは、私たちすべてが認めるところではないでしょうか。
 HIV予防において、HIV陽性者が担える役割は、2つの重要なメッセージを明確に伝えることです。第一は、HIV検査で陽性となったとしても、大丈夫です。二番目のメッセージは、HIVに感染している状態は生涯にわたって続き、生活はHIVに感染していない方が ― はるかに ― 楽だということです。
 HIV検査で陽性になった人たちのためには、さらに伝えるべきメッセージがあります。それはこういうことです。あなたには、質の高いHIV治療を受けること、尊厳を持って生きることを学び、そして主張することが、必要です。どのような治療を受けているときでも、具合が悪くなったとしても、社会的な偏見のためにもう隠れたくなったとしても、です。そのためのコミュニティはあります。支援を見つけることもできます。あなたが生き残るために必要なものはすべて、いま、この世界にあるのです。
 この二つのメッセージ ― あなたは大丈夫です、でもHIVには感染していない方がいいでしょう ― はしばしば、矛盾しているよう受け止められることがありますが、そうではありません。HIV予防については、人びと脅すようなメッセージが使われることがあまりにもしばしばありました。HIV陽性者はまるで悪魔であるかのように描かれるのです。こんなやり方ではうまくいくわけがありません。医学的な理由であれ、社会的な偏見のためであれ、HIV検査の結果を恐れるようになればなるほど、感染を心配する人は検査を受けようとしなくなります。安心してHIVについて語れること、HIV検査を受けること、そしてHIVに感染した状態で安心して生活できるようにすること、それらがすべて、HIVに感染しないでいることを容易にするのです。
 HIV陽性者は常に、HIV予防対策の中心にいました。キーポピュレーションが主導する私たちのコミュニティがHIV予防を創造してきたのです。予防によって私たちは ― 互いの愛に支えられ ― コミュニティの健康を守るために集まることができました。
 私たちを脆弱な状態に追い込む法律を変え、権力の乱用を戒め、そして新規感染を防ぎ、HIV陽性者が生存するために、HIV陽性者はずっと闘ってきました:住居や経済的な安定、雇用、教育の確保に努力してきたのです。そして、女性・女児、排除されがちな人びとの社会的、経済的、政治的な地位の向上に取り組んできました。ミシェルとナタリアがいま、しっかりと話をされた通りです。
 それでもなお、HIV陽性者は予防の議論の中では、失敗者として排除されることが、あまりにもしばしばあります。ここでわずかの時間でいいのですが、HIV陽性者を予防の失敗者として考えていなかったかどうか、皆さんの胸に問い直してください。そしてパートナーであり、同時に予防に関する知識が最も豊富な人として、私たちのことをもう一度、思い浮かべてください。
 新規HIV感染の多くは、自分がHIVに感染していることを知らないでいる人から感染しています。したがって、私たちはHIV陽性者がすでに果たしてきた役割を認識する必要があります。親密な関係の中で、予防とは何を意味しているのか、脆弱性の高い状態ではどうか、隠さざるを得ない場所ではどうか、そして家族の間ではどうか。私たちは知っています。それらはスローガンや横断幕とは遠く離れた場所なのです。
 実際に2011年以降、GNP+および世界各地のHIV陽性者のネットワークは「ポジティブな健康と尊厳と予防の枠組み」を推進してきました。権利を重視したHIV予防、治療、ケア、支援の包括的アプローチです。様々な権利がある中で、この枠組みでは以下の権利を強調しています:

 HIV予防は、すべての人に身体保全の権利と自律尊重の保障を求めています。とりわけあなたと異なっているかもしれない人たちや少女など若い人たちに対してはそれが必要です。
 HIV陽性者が本当に予防への関与を果たすには何が必要でしょうか。

1) HIVに感染していることで人を非難しない。私たちはその人を取り巻く状態、もしくは法律が問題であると考えるよりもむしろ、その人が悪いと考えがちです。しかし、HIVに関連する問題の幅は広く、他の保健や福祉の課題と同様、HIVについても感染のより大きなリスクを抱える人がいることの社会、経済的な要因に広く目を向ける必要があります。
2) 健康の権利の主要な要素である予防の権利については、それを保障する国の能力が経済的な理由で制限されていないかどうか検証する必要があります。
3) 予防のための資金をコミュニティにまかせる。コミュニティこそが大きな影響力を持ち、職務遂行に最も適した立場にありながら、これまで資金が適切に配分されることは決してありませんでした。

 経済的な障壁について語るときには、三つの大きな課題を取り上げる必要があります。
1) 治療薬を購入可能な価格にする。治療にお金がかかり、予防資金が枯渇するような不公正な知的所有権体制に対峙する動きを国は支援する必要があります。
2) 監禁・投獄のコスト。セックスワーカーや薬物使用者、LGBTの人たち、HIV陽性者らを犯罪者として扱うことを止め、様々な立場の女性のすべてに司法への真のアクセスを保障しなければなりません。そうすれば、資金を監獄から医療へと移せるだけでなく、恐怖による脅しでコミュニティを救うことを強いられるかわりに、私たちはあなたのパートナーとなることができるのです。
3) HIV予防に対する経済的な安定の効果。現状で機能しているHIV予防活動は継続しましょう:コンドーム、薬物使用者のためのハームリダクション、心理社会的な支援、経済的な支援などです。何が機能するのか、私たちは知っています:ハウジング、教育、雇用、価値を押し付けない保健医療、経済的安定などです。これらはすべて各国政府がSDGsで行った約束に反映されています。

 実態の伴ったジェンダーの平等が実現する世界、最富裕層と最貧困層のギャップを解消し、すべての人に適切な収入と医療が保障される世界を想像してください。そこではもうHIVが広がることはできません。
 それぞれのコミュニティや国がHIVの予防を望むなら、すべての人をケアし、支援する文化を広げられるような社会規範を生み出す必要があります。合意する必要はありません。しかし、厳しい試練に取り巻かれ、私たちすべてが暮らしているこの世界で生き延びるには、人としての尊厳と能力への支援が必要です。
 世界HIV予防連合は、HIVに感染していない人がHIVに感染している人よりも価値があるだとか、大事にされていい人たちだといったことを述べているわけでは決してありません。HIV陽性者の治療やケアのための資金を他に移そうなどということを意図しているわけでもありません。そうではなく私たちすべてに関わり、私たちすべてが生きる価値があるということを認識するために、世界HIV予防連合が今日、ここで発足しました。それは、HIV陽性者が健康を維持し、心がくじけるような偏見と差別を受けずに生きられるような社会を目指して活動すること、そしてHIV陽性ではないすべての人が、引き続きHIV陰性でいられるように活動することを意味しています。どこに住み、どんなコミュニティで生活しているかに関わりなく・・・そして、政治的にはどのように排除されていようとも、不必要な人など誰一人いないのです。
 HIV予防のこうした活動を主導されたUNAIDSとUNFPAおよび共同議長には、お礼を申し上げたい。そしてGNP+は、HIV陽性者を代表して、世界HIV予防連合の創設に加わることをここに再確認します。



Laurel Sprague’s powerful statement at the inaugural meeting of the Global HIV Prevention Coalition
Remarks delivered by Laurel Sprague, Executive Director of the Global Network of People Living with HIV (GNP+) on October 10, 2017 at the inaugural meeting of the Global HIV Prevention Coalition in Geneva, Switzerland. The coalition is chaired by the Executive Directors of UNAIDS and UNFPA and brings together United Nations Member States, civil society, international organizations and other partners as part of efforts to reduce new HIV infections by 75% by 2020.

Excellencies and honourable ministers, UN family, NGO partners, and dear community partners and fellow people living with HIV, thank you for the opportunity to speak to you today about HIV prevention on behalf of GNP+ and people living with HIV.
Without diminishing too much the multiple complexities that people face in the world, I believe we all can acknowledge that life without HIV is less challenging for people, families, communities, and countries than life with HIV.
An important role that people living with HIV play in HIV prevention is that we can say two important messages very clearly. The first is that if you test positive for HIV, you will be okay. The second message is that HIV is for life and life is easier – much easier – without HIV.
For those who test positive, there is a further message. It is this: You will need to learn about and INSIST on good HIV treatment and a life with dignity, no matter how people treat you, how sick you feel, or how much social prejudices make you want to hide – but you can find a community and support. Everything that you need to survive exists in this world.
These two messages – you will be okay but it is better without HIV – are too often seen as contradictory, but they are not. Too often HIV prevention messages are designed to scare people about HIV and they do so by demonizing those who have HIV. This doesn’t work. The more that people fear the outcome of an HIV test, whether for medical reasons or because of social prejudice, the easier it is to push it from their minds. Let’s work together make it safe to talk about HIV, test for HIV, and have HIV, all of which makes it safer and easier to not have HIV.
People living with HIV have always been central to HIV prevention efforts. Our communities – lead by key populations – created HIV prevention. Prevention brought us together to organize around health for our communities – based on the love we have for each other.
People with HIV continue to lead the work to change the laws and abuses that leave us vulnerable and to promote the good things that both prevent new infections and keep people with HIV alive: housing, economic stability, jobs, education – and the collective social, economic, and political empowerment of girls and women and marginalized groups – which Michel and Natalia just spoke of eloquently.
Yet too often people living with HIV are excluded from prevention conversations as prevention failures. I would like to challenge anyone who has thought of people with HIV as failures of prevention to take a moment and re-imagine us — as your partners, as people with the most prevention knowledge.
The majority of new HIV infections come from people who do not know their HIV status, so we need to recognize the tremendous role already being played by people living with HIV. We know what prevention means in intimate spaces, vulnerable spaces, spaces where we need to hide, as well as in family spaces – spaces far beyond slogans and banners.

In fact, since 2011, GNP+ and PLHIV networks worldwide have promoted the Positive Health, Dignity, and Prevention Framework which provides a comprehensive rights-based approach to HIV prevention, treatment, care and support. Among other rights, this framework affirms that:

HIV prevention demands that we commit to the right to bodily integrity and respect for autonomy for all people – and especially for those you might see as different or other than you, or simply as young as in the case for girls.
From people living with HIV, what do we need to do to really commit to prevention?
1) Stop blaming individuals for having HIV. Too often we presume that people are bad rather than that the context in which they live is bad or that the laws are bad. HIV is a collective concern that needs to be addressed collectively and with attention to the social and economic forces that put some people at much greater risk for HIV, as well as other struggles for health and wellbeing.
2) Examine economic priorities that limit States’ ability to ensure the right to prevention, as a key component of the right to health.
3) Put funding for prevention in the hands of communities, who have a huge impact and who are best positioned to do the work but are never resourced properly.

When we talk about economic barriers, we need to address three key issues:
 
1) Affordability of medicines. States need to be supported to stand against the unjust intellectual property regimes that make treatment so costly that prevention funding is strangled.
2) Costs of incarceration. We must end criminalization of sex workers, people who use drugs, LGBT people, and PLHIV, and guarantee real access to justice to women in all of our diversity. Not only can the resources be diverted from jails to health care, this allows us to be partners with you, rather than being forced to do our work to save our communities in fear, in the shadows.
3) Effectiveness of economic stability for HIV prevention. Commit to maintain existing prevention activities that work: condoms, harm reduction for people who use drugs, psychosocial support, economic support. We know what works: housing, education, employment, non-judgmental health care, economic stability. They are all reflected in the commitments governments have made in the SDGs.

I invite you to imagine a world of meaningful gender equality, in which we’ve closed the gap between the richest and poorest, and ensured an adequate income and health care for all – this is a world where HIV can no longer thrive.

If we want to prevent HIV prevention in our communities and countries, than we need to say that what matters is that we create social norms that promote a culture of care and support for all. We don’t have to agree. But we do need to support people’s dignity and ability to survive this often hard world that we are all together in.

The Global HIV Prevention Coalition is in no way a statement that people without HIV have more value or deserve more attention and support than people with HIV. This Coalition is not intended to divert resources from treatment and care for people living with HIV. Instead, this Coalition is here to recognize that we all matter, we all are worth saving. That means doing the hard work to ensure that people living with HIV are able to stay healthy, alive, and free from soul-crushing prejudice and discrimination AND the hard work to make sure that everyone who is not HIV-positive has the support and resources they need to remain HIV negative, no matter their place or community…no matter how politically marginalized, none of us is dispensable.
Let me conclude by thanking UNAIDS and UNFPA and co-chairs for leading this work on HIV prevention and reaffirming that GNP+, representing people living with HIV, is committed to the global HIV prevention coalition being established.

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
TOP-HAT News 第111号(2017年11月)
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ メルマガ:TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)         第111号(2017年11月) ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆ ...続きを見る
エイズ&ソサエティ研究会議・HATプロジ...
2017/12/05 19:42

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
世界HIV予防連合の創設会合におけるローレル・スプレイグGNP+事務局長演説 エイズ&ソサエティ研究会議・HATプロジェクト/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる