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zoom RSS TOP-HAT News第96号(2016年8月)

<<   作成日時 : 2016/09/21 13:10   >>

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TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)
        第96号(2016年8月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html で。
エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 「依存」の意味を考える

2 『レッドリボン大作戦』

3 HIV陽性者対象に日本エイズ学会参加スカラシップ

4 『人権をまもり、スティグマを解消する』

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに 「依存」の意味を考える
『つながる、ひろがる、わかちあう』をテーマにした第23回AIDS文化フォーラムin横浜が8月5日(金)から7日(日)まで、横浜駅西口に近い「かながわ県民センター」で開かれました。
http://www.yokohamaymca.org/AIDS/

同じ神奈川県内にある障害者施設『津久井やまゆり園』では7月26日未明、刃物を持った元職員が入所者を次々に刺し、19人が死亡する事件が起きています。
今年のフォーラムはその10日後に開会式を迎えました。主催者代表のあいさつは事件に言及し「つながらない、孤立的な人が増えているのではないか」と述べています。また、HIV/エイズ対策についてマスメディアなどが取り上げる際に「エイズ撲滅」といった表現がいまなお、紋切り型のように繰り返されることへの危惧も表明されました。
フォーラムのテーマは、津久井やまゆり園の事件が発生する何か月も前に公表されています。したがって、事件と直接のつながりがあるわけではありませんが、他者の排除を前提にしたような不寛容が社会に広がりつつあり、それだからこそ逆に「つながること」「わかちあうこと」がテーマに選ばれたのではないでしょうか。HIV/エイズの流行を保健や医療の側面だけでなく、「文化」フォーラムとして取り上げることの同時代的な意味が、今年は一段と大きく感じられました。
開会式に続くトークセッションは、東京大学先端科学技術研究センター准教授の熊谷晋一郎さん、ドント・ウォーリー副代表の谷山廣さんのお二人がゲストでした。司会はフォーラム運営委員で医師の岩室紳也さんです。
熊谷さんは脳性まひ障害の当事者であり、小児科医であり、東京大学では「当事者研究」に取り組んでいます。「困ったことを抱えている当事者が自分で考え、研究してみようという意欲を持ち、専門家はそのお手伝いをする」というかたちの研究だということです。
谷山さんはHIV陽性のゲイ男性であり、アルコールや薬物の依存症当事者であり、「今日一日、今日だけ、アルコールを飲まない、薬をやらない」という闘いの日々を積み重ねるとともに、他の性的少数者や依存症当事者の支援活動を続けています。
 セッション冒頭で、熊谷さんの著書の次のような言葉が、岩室さんから紹介されました。
「自立は、依存先を増やすこと」
「希望は、絶望をわかちあうこと」
熊谷さんは若い頃、半ば家出をするようにして一人暮らしをはじめたそうです。障害を抱え、家族に支えられて生活する中で、親が死んだら自分も死んでしまうというような閉塞状況をどうすれば打開できるのか。障害を持つ人と社会との関係については、1980年代に「障害を抱えているのは社会なのだから、その社会の仕組みをなおせばいい」という新たな考え方が生まれています。
熊谷さんの一人暮らしは、たくさんの人に支えられて、社会がどのくらいやさしいのか、どれほど多くのやさしい人がいるのかを体験するプロセスでもありました。「自立は、依存先を増やすこと、希望は、絶望をわかちあうこと」という認識はそうした体験を通して得られたようです。
谷山さんは体験を語ることの重要性を指摘しました。聞き手が限定された「安全な場所」で話すことも、もっと対象を広げて話すこともあります。当然、自らの過去や現状を明らかにする「カミングアウト」が必要な局面も出てきます。
当事者が体験を語ることは、その当事者が抱える困難を社会が把握し、課題の所在を認識する契機になります。同様の困難を抱える人には、自分が孤立しているわけではなく、同じような経験を共有する人がいることを知る機会でもあります。
また、話をする当事者にとっては、自らを相対化し、困難を具体的に整理することで心理的な負担を軽減する機会にもなります。カミングアウトの意味は小さくありません。
ただし、どんな機会にどのようなかたちでカミングアウトするのかは慎重かつ周到に判断する必要があり、その判断はあくまで本人の意思に基づくものでなければならない。この点も常に理解しておく必要があります。
依存症については、克服すべきものとして語られることが多いのですが、お二人の指摘は少し異なっていました。要約すれば、困難を抱える人にとってその依存こそが最後の逃げ場になっていることもしばしばあるという趣旨です。
熊谷さんは、自立や自己コントロールといった近代社会存立の前提となる約束が行き詰まったときに、そこから降りていく場所として依存症に一定の評価を与える考え方を示しています。そして薬物依存からの回復プログラムについては、そこからさらにもう一度、社会に戻るプロセスを探る努力がなされていると肯定的に評価しています。
「なけなしの依存先を奪ってどうする」という指摘もありました。説得力があります。
国際的なエイズ対策の文脈では、薬物使用者へのダメ絶対型の厳罰化政策と安全な注射針の提供やオピオイド代替治療などのハームリダクション(被害軽減)政策のどちらを選択するかが長年にわたって議論されてきました。
6月にニューヨークで開かれたエイズ終結に関する国連総会ハイレベル会合では、ハームリダクション政策の重要性が強調されています。ただし、日本も含め、各国のエイズ対策関係者の中には、理屈としてハームリダクション政策の必要性は理解できるが、いまひとつしっくり来ないと感じる人も少なくありません。そうした違和感を解消し、ハームリダクションへの理解を深めるうえでも、今年のエイズ文化フォーラムin横浜における議論は、重要なヒントを提供しているようでした。


2 『レッドリボン大作戦』
 AIDS文化フォーラムin横浜に触発されて京都でもAIDS文化フォーラムがスタートしたのは2011年のことでした。今年は第6回AIDS文化フォーラムin京都が10月1日(土)、2日(日)の2日間、京都市上京区の同志社大学新町キャンパス尋真館で開かれます。
 今年のテーマは『レッドリボン大作戦』です。詳細は公式サイトでご覧下さい。
  http://hiv-kyoto.com/


3 HIV陽性者対象に日本エイズ学会参加スカラシップ
 第30回日本エイズ学会学術集会・総会は11月24日(木)〜26日(土)の3日間、鹿児島市山下町の「かごしま県民交流センター」で開催されます。この学会に参加するHIV陽性者を対象に一般社団法人HIV陽性者支援協会がスカラシップ(学会参加費等補助)の希望者を募集しています。
『日本エイズ学会では、HIV陽性者にとって切実な問題である医療はもちろん、HIVに関する様々な取り組みや最新事例を知ることができます。また、様々な専門家の考えを聞き、意見交換ができる機会でもあります。しかし、多くのHIV陽性者にとって学会という場は経済的、地理的、心理的に参加しにくいのではないかと思います。そこで、少しでも学会への参加機会を拡大するために、HIV陽性者当事者団体・支援団体が共同で学会参加を支援するスカラシップを実施致します』
  (一般社団法人HIV陽性者支援協会の公式サイトから)
 応募方法などは下記サイトでご覧下さい。募集の締切りは9月30日(金)必着です。
 http://hiv-ppaa.jp/entry


4 『人権をまもり、スティグマを解消する』
 南アフリカのダーバンで開かれた第21回国際エイズ会議(7月18〜22日)で、南アフリカ最高裁(憲法裁判所)のエドウィン・キャメロン判事がジョナサン・マン記念講演を行いました。その表題です。キャメロン判事は、南アフリカの上級公務員としては初めて自らのHIV感染を公表した人物であり、故ネルソン・マンデラ大統領からは「南アフリカのニューヒーローの一人」と称えられました。
 講演の日本語仮訳はエイズ&ソサエティ研究会議HATプロジェクトのブログに2回に分けて掲載されています。
・エドウィン・キャメロン『人権をまもり、スティグマを解消する』 ジョナサン・マン記念講演その1
   http://asajp.at.webry.info/201608/article_1.html
・エドウィン・キャメロン『人権をまもり、スティグマを解消する』 ジョナサン・マン記念講演その2
  http://asajp.at.webry.info/201608/article_2.html
 ジョナサン・マン博士は1980、90年代に世界的なエイズ対策の牽引役を果たした米国の医学者で、1998年にニューヨーク発の航空機の墜落事故で亡くなっています。人権を基本にすえた対策を重視した研究者として知られ、隔年開催の国際エイズ会議ではマン博士を記念する記念講演が毎回、行われています。

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