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zoom RSS HIVとエイズに関する政治宣言(2016年国連総会ハイレベル会合) その1

<<   作成日時 : 2016/07/04 23:45   >>

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 ニューヨークのエイズ流行終結に関する国連総会ハイレベル会合で6月8日、国連加盟193カ国によって採択された「HIVとエイズに関する2016年政治宣言」の日本語仮訳です。全文は26ページ、79パラグラフもあり、かなり長いので何回かに分けて掲載します。
 その1はパラグラフ1から30までです。総論部分と言っていいでしょう。
 英語の原文(PDF版)は国連合同エイズ計画(UNAIDS)の公式サイトに載っています。日本語仮訳は誤って訳している部分があるかもしれないので、あくまで参考としてお読みいただき、引用などをされる場合は仮訳で目星をつけたうえで、英文を参照していただくようお願いします。

    ◇

国連総会ハイレベル会合2016政治宣言 
 持続可能な開発目標(SDGs)時代のエイズ終結に向け高速対応を
http://www.hlm2016aids.unaids.org/wp-content/uploads/2016/06/2016-political-declaration-HIV-AIDS_en.pdf

総会
 本決議に添付されたHIVとエイズに関する政治宣言を採択する。

HIVとエイズに関する政治宣言:HIVとの闘いを高速対応軌道に乗せ、2030年のエイズ流行集結を目指す

1われら国家元首、政府指導者、および各国政府代表は2016年6月8日から10日まで国連に集まり、現在および将来世代への遺産として2030年までにエイズの流行を終わらせること、この目的を達成するためにHIVとエイズに対する闘いを加速させ、規模を拡大すること、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で示されている新たな機会を生かすこと、持続可能な開発目標達成のための連携性、持続性を高め、エイズ終結に向けた対策を再構築することを改めて確認する。そして、新規HIV感染を大きく減らし、HIV陽性者およびHIV感染のリスクにさらされている人、流行の影響を受けている人の生命と生活の質と尊厳を守るというゴールに向けて包括的予防、治療、ケア、支援の対策を強化することを約束する。

2 2001年のHIV/エイズに関するコミットメント宣言、2006年と11年のHIV/エイズ政治宣言、そして包括的な予防プログラム、治療、ケア、サポートへのユニバーサルアクセス実現というゴールに向け、対策の規模を緊急に拡大する必要があることを再確認する。

3 2030年までにエイズ流行を終結に導くという加盟国の決意を含む「持続可能な開発のための2030年アジェンダ」、および第3回開発資金国際会議におけるアディスアベバ行動目標を再確認する。

4 国連憲章で明記された加盟国の主権を尊重すること、そしてすべての国が約束を果たす必要があることを再確認し、この宣言が国内法や国内開発政策の優先課題、国際的な人権規約と調和の取れたものであることを誓約する。

5 世界人権宣言、市民的および政治的権利に関する国際規約、経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約、第4回世界女性会議の北京宣言および行動綱領とその検証成果、第23回国連特別総会(女性2000年会議)の成果文書、国連人口開発会議の行動計画およびその検証会議に基づく主要な成果を再確認する。また、2014年の各地域会議が採択した文書を超えて人口と開発に関する各地域特有の指針を提供するものであるということを強調しつつ地域検証会議の成果文書に留意する。子どもの権利条約、女子のあらゆる形態の差別撤廃に関する条約、2016年国連薬物問題特別総会の成果文書、女性に対する暴力撤廃宣言、障害者の権利に関する条約を再確認する。

6 ポスト2015の開発課題のために世界のエイズ対策から得られた教訓の価値を再確認した国連合同エイズ計画(UNAIDS)に関する2015年国連経済社会理事会(ECOSOC)決議、紛争下および紛争後のHIV流行の影響に関する国連安保理決議1983、第60回女性の地位委員会で採択された女性・女児とHIVとエイズに関する決議、すべての人が医学の進歩とアクセスの範囲において最も高い基準の身体的、精神的状態で過ごす権利に関する国連人権理事会決議17/14、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)と後天性免疫不全症候群(AIDS)の文脈における人権擁護に関する決議16/28と決議12/27、すべての人が最も高い基準の身体的、精神的状態で過ごす権利の文脈における治療薬へのアクセスに関する決議12/24を思い起こす。

7 開発の権利を含めすべての人の人権と基本的自由の促進と保護、尊重は普遍的かつ分かちがたく、相互に独立しつつ関連があるものであり、すべてのHIVとエイズに関する政策とプログラムの中に組み込まれるべきであることを再確認する。またすべての人が経済的、社会的、文化的、政治的な開発に参加し、貢献し、享受することを認められるようにするための措置をとる必要があること、すべての人がすべての人権を促進し、まもられるようにするため緊急に検討する必要があることを再確認する。

8 2030年のエイズ流行終結や医療へのユニバーサルアクセス、保健危機への対応を含む保健分野のゴールを加盟国が実現することを支援する国際協力の強化の重要性を強調する。

9 持続可能な開発のための2030アジェンダは、国際法を尊重し、国連憲章の目的および原則に先導されていることを認識する。それは世界人権宣言、国際人権条約、国連ミレニアム宣言、2005年世界サミットの成果文書に基づいている。発展の権利に関する宣言など他の文書も参考にしている。

10 HIVとエイズが地球規模の緊急事態であり、それぞれの社会および世界全体の開発と進歩、持続力を阻む最も厳しい課題の一つであること、HIV感染の拡大が貧困と不平等の原因であり結果でもあるという事実を踏まえ、世界が異例かつ包括的な対応を取る必要があることを認識する。そしてHIVとエイズに対し効果的に対応しない限り、経済、社会、環境の3つの側面における持続可能な開発のための2030アジェンダの達成は望めないことを認識する。極貧状態を含め、あらゆる形態と側面を持つ貧困の根絶は、最大の課題であり、持続可能な開発には不可欠であるからだ。また、人間の尊厳は大前提であり、持続可能な開発目標とターゲットはすべての国のすべての人、すべての社会階層で実現しなければならないこと、したがって誰も置き去りにしてはならず、広い範囲の統合性を有し、相互に密接不可分であるという新アジェンダの特性を考慮しつつ、持続可能な開発2030アジェンダ全体の乗数効果と好循環を生み出す必要があることを認識する。

11誰も置き去りにせずにエイズ対策を進め、過去10年間にわたる比類なき成果と投資が十分に生かせるよう、今後5年間の緊急な対応を求める。この5年間は、地球規模の連帯と責任の共有、政治的なリーダーシップによって対応を強化し、とくに流行の打撃が深刻な国の多くで25歳以下の人口が増加していることを考慮しつつ、流行のリバウンドを避け、大きな人的、経済的な喪失につながる薬剤耐性の増加とも闘う必要がある。迫り来る治療の危機と包括的予防、治療、ケア、支援への投資の不足に直面する中で、無作為がもたらす大きな代償を深く憂慮する。

12 健康は持続可能な開発の3つの柱(注:経済、社会、環境)すべての前提条件であり、結果であり、指標であること、持続可能な開発は新興、再興感染症を含む感染症、非感染症の有病率が高い状態では達成できないこと繰り返し指摘する。

13 貧困と劣悪な健康状態は密接な関係があること、貧困によって包括的な治療関連サービスや適切な栄養とケアのサービスへのアクセスが確保されず、通院の交通費を含む治療関連サービスのコストを負担できなければ、HIVとエイズのリスクを拡大させることを認識する。

14 世界保健機関(WHO)は2015年に発表したガイドラインで、CD4値にかかわらずすべてのHIV陽性者に抗レトロウイルス治療を直ちに開始するよう勧告を行っている。ことも含め、人を中心にした質の高い保健サービスを提供できるよう人びとの保健ニーズ全体に対応したより広がりのある組織的アプローチを目指していくことの重要性を引き続き強調する。最も高い基準の身体的、精神的状態で過ごす権利を保障し、第4回世界女性会議の北京宣言および行動綱領とその検証成果にあるように性と生殖に関する健康と権利へのユニバーサルアクセスを実現し、社会的に弱い立場に置かれている人びとのユニバーサル・ヘルス・カバレッジと社会保障を確保し、コミュニティシステムも含めたそれぞれの地方、国内、国際的な保健と社会保障システムを強化し、非感染症とHIV/エイズに統合的に取り組み、そしてエボラやジカ熱の流行、あるいは未知の感染症の流行といった緊急事態に備えるという意味で、この点は重要である。 

15 HIV予防、治療、ケア、支援のサービスが持続できるよう情報提供と教育を国の保健システムに統合し、相乗効果を生みだしていく必要があること、結核などの重感染症や共存症、薬物依存と精神疾患、および性感染症や性と生殖に関する保健サービスを統合するかたちで提供する必要があることを強調する。ウイルス性肝炎や子宮頸がん、ヒトパピローマウイルス感染などその他の性感染症の予防、スクリーニング、治療サービスもその中に含まれる。また、女性・女児がこうした重感染症や共存症にかかりやすいことに留意しつつ、性的暴力やジェンダーに基づく暴力に対応するためのサービスの必要性も強調する。

16 HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人の生涯にわたるニーズに対応するには、すべての地域で貧困と飢餓をなくし、食糧安全保障と栄養状態を改善し、無償で差別のない初・中等教育へのアクセスを確保し、健康と福祉をまもり、子供を含むすべての人がHIVに配慮した社会保障を受け、各国間および国内の不平等を解消し、ジェンダーの平等を実現してすべての女性・女児の立場の向上をはかり、まともな仕事と経済力を確保し、健康な都市環境と住宅の安定供給、すべての人に公正で包摂的な社会を実現する必要があることを認識する。

17 多様な流行があることを認識して予防対策を進め、UNAIDSの90-90-90治療目標を2020年までに達成して2030年にエイズ流行を終結に導くには、エイズ対策の一層の効率化をはかり、エビデンスに焦点を当て、それぞれの地理的条件と高いリスクにさらされている人びとの状況を考慮し、最大の効果が上がるように工夫したサービスモデルとプログラムを提供する必要がある。この点に関しては、紛争時や紛争後の人道危機を含め、各国それぞれの現実にあわせた効果的対策の遂行を支援するための国連の一貫した対応が必要なことに留意する。

18 アフリカ地域、とりわけサハラ以南のアフリカが依然、流行の最も深刻な影響を受けていることに改めて深い憂慮を示す。この流行がもたらす破壊的な影響、とりわけ女性・10代の少女に対する影響を食い止めるには、緊急かつ前例のない行動が必要である。アフリカ各国政府、地域機関がHIVとエイズ対策の規模拡大のための新たな約束を行ったことを認める。

19 HIVとエイズの影響は世界のすべての地域に広がり、サハラ以南のアフリカを除けばカリブ地域が引き続き最もHIV陽性率の高い地域であること、一方で東ヨーロッパ・中央アジアでは新規HIV感染者が増加していることに深い憂慮を表明する。また、新規HIV感染者の90%が35カ国に集中していることに留意する。

20 HIVとエイズについて野心的なターゲットを設定し、戦略を策定、実行している地域的な努力を歓迎し、奨励する。そして、アラブ・エイズ戦略(2014-20)、エイズ・結核・マラリアに関するアフリカ連合ロードマップ(2012-15、20年まで延長)、HIV/エイズに関する南アジア地域協力連合のHIV/エイズ地域戦略(2013-17)、HIV新規感染ゼロ・差別ゼロ・エイズ関連死ゼロを目指す東南アジア諸国連合(ASEAN)コミットメント宣言、HIVとエイズに関するカリブ地域戦略枠組2014-18、欧州連合(EU)および近隣諸国におけるHIV/エイズ行動計画2014-16、太平洋地域の性的健康と福祉アジェンダ2015-2019、およびその他の関連戦略に留意する。

21 HIV陽性者、HIV感染の高いリスクにさらされている人たち、HIVに影響を受けている人たちの実体を伴う参加がより効果的なエイズ対策の実現を助けることを強調する。HIV陽性者やHIVの影響を強く受けている人、HIV感染の高いリスクにさらされている人がすべての人権を保障され、いかなる偏見やスティグマ、差別も受けることなく平等に市民的、政治的、社会的、経済的、文化的生活を続けられるようにしなければならないことを強調する。

22 世界エイズ・結核・マラリア対策基金を含む地域、国際資金機関が各国および各地域の市民社会も含めたエイズ対策の資金を確保するうえで果たす大きな役割を推奨する。米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)などの2国間投資も含め、長期の資金見通しを可能にしていることを推奨する。また、ドナーの支援は歓迎するものの、2030年のエイズ流行終結に向けて成果をあげるための前倒し投資に必要な資金額には不足していることにも留意する。

23 革新的な資金確保策に基づき、質の高い抗レトロウイルス薬の価格を引き下げ、入手可能性を高める革新的医療技術・医薬品購入国際ファシリティ、ユニットエイドの活動を推奨する。また、ユニットエイドによる医薬品特許プールの活動が、エイズ対策をより広い国際保健課題に統合していくことの重要性を反映し、C型肝炎、結核に対応する自発的な協力関係の促進にも広がることを歓迎する。

24 国連事務総長による新たな女性・子供・若者の保健に関する世界戦略に留意する。この戦略は、母親や若者、新生児および5歳以下の子供の死を減らすことを緊急課題として受け止め、世界が一段と対応を強化していくためのものだ。

25各国議会が自国の政治的、法的な障壁を打破し、効果的なHIVとエイズ政策を実現するための法的環境を生み出そうとしていることを支援する列国議会同盟(IPU)の活動を評価し、留意する。

26 国連事務総長報告書『エイズ流行終結のための高速対応』およびUNAIDS2016-2021戦略とそのゴールおよびターゲット、WHO2016-2021HIV保健分野戦略に留意する。

27 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の共同スポンサーによるHIV関連戦略を評価しつつ留意し、事務局および共同スポンサーが果たしているエイズ政策、戦略的情報提供と活動の調整、合同プログラムを通じた各国への支援などの貢献を推奨する。

28 国連開発計画(UNDP)とUNAIDSが共催したHIVと法律に関する世界委員会の提言、およびUNAIDS・ランセット委員会『エイズに打ち勝ち、国際保健の前進を』がエイズ流行終結に向けて示した成果に留意する。

29予防、治療、ケア、支援のサービスがすべてのHIV陽性者に届くようにし、プライマリーヘルスケアを初めとする保健システムを強化するうえで、各国の国内および地方レベルでのHIVとエイズ対策に果たしたHIV陽性者主導の組織を含むコミュニティ組織の役割を認識する。

30 HIVとエイズへの対応のすべての面で示されている政府、関連国連機関、地域機関のリーダーシップと関与を歓迎する。同様にHIV陽性者、HIV感染の高いリスクにさらされている人たち、影響を受けている人たち、政治やコミュニティの指導者、国会議員、コミュニティ、家族、宗教関係機関、科学者、保健医療専門家、ドナー、慈善団体、職場、民間企業、メディア、女性団体やコミュニティベースの組織を含む市民社会、フェミニストグループ、若者主導の組織、国の人権機関と人権擁護者のリーダーシップと関与も歓迎する。そして、MDG6のエイズに関する目標の達成、2011年のHIVとエイズに関する政治宣言の約束の実現を認める。関係者には、信頼性が高く、資金見積りが正確で、エビデンスに基づき、インクルーシブかつ持続可能で、ジェンダーに配慮した包括的な国のHIV/エイズ戦略計画をできるだけ早期に策定し、透明性と説明責任と効率性を確保し、きちんと資金を担保して遂行できるようにすることを求める。

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