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zoom RSS 『エイズ流行終結に向けたコミュニティ支援とサービスへの投資』

<<   作成日時 : 2016/04/10 23:59   >>

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(解説) ニューヨークの国連本部で開かれた『HIVに関する市民社会との非公式公聴会』(4月6日)に先立ち、国連合同エイズ計画(UNAIDS)のは『Invest in Advocacy(アドボカシーへの投資)』『Stronger Together(力を合わせて取り組もう)』という2つの報告書を公表しました。その報告書を紹介したUNAIDS公式サイトのFeature Story(特集記事)の日本語仮訳です。UNAIDSはその中でエイズ対策の現状をこう説明しています。

 《HIV対策を効果的に進めるには、コミュニティの役割が重要になる。このことは広く認識されているのに、肝腎のコミュニティ組織は厳しい財政難にさらされており、閉鎖を余儀なくされているところも多い》

 厳しいですね。日本でもエイズ関係のNGO・NPOの多くがその厳しさを日々、リアルに感じているところですが、流行が深刻な国では一段と打撃が大きいのではないかと推察します。国際調査では次のような結果が出ているそうです。

 《最近のUNAIDSの調査に回答した組織の40%は、2013年以降、資金が減っていると答えている。3分の2は今後も横ばいか、あるいは減少で推移するだろうと予想している。資金減はコミュニティサービスの低下をもたらすことになる。資金が減少したと回答している組織の89%が、その結果、サービスの規模を縮小せざるを得なかったと答えているのだ》

 ということなので、あえて月並みな表現を使えば、このままでは2030年のエイズ流行終結も、その前提となる2020年まで高速対応アプローチも「絵の描いた餅」であります。月並みな表現がこれほどぴったり当てはまる状況というのも珍しいと皮肉のひとつも言いたくなりますが、皮肉を言っている場合ではありません。

 《低・中所得国は2020年までにコミュニティ活動のための投資を3倍に拡大し、HIVに影響を受けているコミュニティで活動する組織を助け、エイズ対策の野心的目標を実現するための資金を投資金全体の3%にまで引き上げる必要がある。アドボカシーや政治的な対応、法律や政策の改革、人権尊重、広報、スティグマの解消といった社会政策資金も2020年には支出全体の6%に拡大すべきである》

 必要があるし、すべきでもあることが、なかなか実現しない。これは世界中が繰り返し経験してきたことではありますが、なおその中で苦境を切り開いてきたのがエイズ対策の歴史でもあります。ここで息切れはしたくないということで、6月8〜10日の「エイズ終結に関する国連総会ハイレベル会合」に向けた準備プロセスが進められています。まずは日本語仮訳をお読みください。

    ◇

エイズ流行終結に向けたコミュニティ支援とサービスへの投資
 2016.4.4 UNAIDS フィーチャーストーリー
http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2016/april/20160404_community_advocacy

 エイズの流行が始まって以来、市民社会はHIV対策の最前線に立ち続けてきた。治療とHIVサービスへのアクセスを求め、人権尊重を重視してコミュニティ主導のHIVサービスを支えてきたのだ。

 今日でも市民社会は、HIVサービスをコミュニティ、とりわけキーポピュレーションのコミュニティに円滑に提供するためにより重要な役割を担っており、エイズ流行の終結には不可欠な存在であることが広く認識されるようになっている。

 大きな打撃を受けている人びとに対し、生死を分けるHIVサービスを届けること、治療や重要な保健サービスが継続して受けられるようにすることなど、様々な課題の解決にコミュニティの活動が重要なことははっきりしている。市民社会の関与はまた、新たな資金獲得を助け、HIVプログラムを改善し、人権課題に取り組むうえでも極めて重要である。

 HIV対策を効果的に進めるには、コミュニティの役割が重要になる。このことは広く認識されているのに、肝腎のコミュニティ組織は厳しい財政難にさらされており、閉鎖を余儀なくされているところも多い。

 最近のUNAIDSの調査に回答した組織の40%は、2013年以降、資金が減っていると答えている。3分の2は今後も横ばいか、あるいは減少で推移するだろうと予想している。資金減はコミュニティサービスの低下をもたらすことになる。資金が減少したと回答している組織の89%が、その結果、サービスの規模を縮小せざるを得なかったと答えているのだ。

 市民社会およびコミュニティを中心にしたサービスへの投資を増やすことは、高速対応アプローチを進めるうえで極めて重要である。2020年には低・中所得国の投資全体の7.2%はキーポピュレーションへのアウトリーチに振り向けていく必要がある。コミュニティベースで抗レトロウイルス治療を提供していくために必要な資金も、投資全体の3.8%を占めることになる推計されている。

 低・中所得国は2020年までにコミュニティ活動のための投資を3倍に拡大し、HIVに影響を受けているコミュニティで活動する組織を助け、エイズ対策の野心的目標を実現するための資金を投資金全体の3%にまで引き上げる必要がある。アドボカシーや政治的な対応、法律や政策の改革、人権尊重、広報、スティグマの解消といった社会政策資金も2020年には支出全体の6%に拡大すべきである。

 UNAIDSは2つの新たな報告書を公表し、コミュニティ活動への投資の重要性を強調している。『アドボカシーへの投資』では、コミュニティベースでの政策擁護活動の重要性を説明し、HIV対策をより公平なかたちで進めていくための投資拡大が必要なことを指摘している。また、アドボカシーを「国際公共財」と位置づけた『エイズを克服し国際保健を促進するためのUNAIDS-ランセット委員会』の報告書を引用し、その重要性に見合った支援が必要だとしている。

 『力を合わせて取り組もう』によると、コミュニティベースのサービスには必要な対象に質の高いサービスを届ける能力がある。この報告書は実際の成果に基づいてそのことを詳述している。世界保健機関(WHO)や他の機関が発表している手引き書を引用し、HIVおよび他の保健関連サービスの提供拡大を進めるにはコミュニティのより積極的な参加が必要なことを訴えているのだ(*)。

 コミュニティ主導のサービスを支えていくには、国際機関や開発パートナー、各国政府、民間基金、その他の様々なパートナーが協力し、HIVサービスの継続および規模拡大をはかるためにコミュニティのアドボカシーやサービスへの投資を拡大していかなければならない。

 コミュニティ対応の重要性は、ニューヨークで4月6日に開催される市民社会公聴会で取り上げられる課題によってさらに明確になるだろう。この公聴会は、6月8〜10日にニューヨークの国連本部で開かれる『エイズ終結のための国連総会ハイレベル会合』に向けた準備の一環となる。世界中から参加する市民社会の代表が、さらなる資金確保の必要性、誰も置き去りにしないようにする手段、統合効果、技術革新、政府間の協力、民間部門とコミュニティといったエイズ対策の課題について加盟国に説明する予定だ。

* 新報告書は、コミュニティの対策の成功例についてより詳細に報告している最近の刊行物『コミュニティ・デリバー』『コミュニティベースのARTデリバー』に基づいている。



Investing in community advocacy and services to end the AIDS epidemic

04 April 2016

Since the start of the AIDS epidemic civil society has been at the forefront of the response to HIV―demanding access to treatment and HIV services, calling for the respect of human rights and supporting community-led HIV services.

Today the role of civil society remains more relevant than ever as the success of community efforts in providing HIV services, particularly to key populations, is becoming more widely recognized as essential to ending the AIDS epidemic.

Community efforts have proven critical in overcoming many of the major challenges in the AIDS response, including reaching people most affected by HIV with life-changing HIV services, providing support for adherence to treatment and other essential health services. Civil society engagement has also been critical in advocating for new resources, improving HIV programming, and moving progress forwards on human rights issues.

Despite the wide recognition of the important role communities play in responding effectively to HIV, community organizations are facing severe financial challenges and many are closing their doors.

A total of 40% of organizations responding to a recent UNAIDS survey reported that their funding had decreased since 2013. Two thirds expected flat or reduced funding in the future. The decline in funding is resulting in a decline in community services―89% of those who reported a decrease in funding also reported they had to scale down their services as a result.

Greater investment in civil society and community-based service delivery is critical to the Fast-Track approach. Outreach to key populations in low- and middle-income countries should grow to about 7.2% of total investments by 2020, and the estimated resource needs for community-based delivery of antiretroviral therapy should grow to about 3.8% of total investment.

By 2020, investment in community mobilization should increase three-fold to 3% of total resources in low- and middle-income countries to help civil society represent the interests of communities affected by HIV, and to drive ambition, financing and equity in the AIDS response. Social enablers―including advocacy, political mobilization, law and policy reform, human rights, public communications and stigma reduction―should reach 6% of total expenditure by 2020.

UNAIDS has issued two new reports highlighting the importance of investing in community action. Invest in Advocacy details important contributions by community based advocates and points to the need to increase investment to drive an accelerated and more equitable response to HIV. It also notes that a report from the UNAIDS-Lancet Commission on Ending the AIDS Epidemic described advocacy as a “global public good” deserving of support commensurate with its importance.

Stronger Together provides details of the evidence base for community-provided services achieving scale, delivering quality services, and producing results. The report notes guidance from the World Health Organization and others calling for increased engagement of communities to provide a range of HIV and other health-related services.*

In order for community-led services to continue it is essential that international organizations, development partners, governments, private funders and other partners increase investment in community advocacy and services in order to continue and scale up HIV services.

The crucial role of community responses will be among the issues highlighted at the Civil Society Hearing taking place on 6 April in New York. The Hearing is part of the lead up to the United Nations High Level Meeting on Ending AIDS which will take place from 8 to 10 June at the UN headquarters in New York. At the hearing, civil society representatives from around the world will speak to UN Member States about major issues in the AIDS response, including the need for increased financing, leaving no one behind, integration, innovation, and partnering between governments, the private sector and communities.

* The new reports build on other recent publications, Communities deliver and Community-based ART delivery which include more details on the success of community responses.

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