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zoom RSS TOP-HAT News第44号(2012年4月)

<<   作成日時 : 2012/04/27 22:49   >>

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TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)
        第44号(2012年4月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html で。
エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに カップルへのHIV検査とカウンセリングの手引き

2  世界エイズデー国内啓発キャンペーンのテーマ策定に向けて

3 世銀新総裁にジム・ヨン・キム氏

4 『UNAIDS世界エイズデーレポート2011年版』

5 『山本正さんを偲ぶ』

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに カップルへのHIV検査とカウンセリングの手引き
世界保健機関(WHO)がカップルを対象にした新たなHIV検査とカウンセリングの手引き(CHTC)を発表しました。その中でとくに焦点があてられているのが、serodiscordant(どちらかがHIV陽性の)カップルの感染予防対策です。Serodiscordantは日本ではなじみが薄い用語ですね。一方がHIVに感染し、他方が感染していないカップルを指します。

昨年5月に米国立衛生研究所(NIH)が発表した大規模研究で、抗レトロウイルス治療(ART)がこうしたカップル間のHIV感染のリスクを大きく低減できることが報告され、HIV/エイズ分野の医学研究者の間では以来、予防の切り札はこれだといわんばかりの議論も盛り上がっています。新しい手引きもこの点に焦点があてられているようですね。WHOサイトに掲載された短い説明と国連エイズ合同計画(UNAIDS)の歓迎声明(プレスステートメント)の日本語仮訳をHATプロジェクトのブログに掲載したので、ご興味のある方はご覧ください。

《一方がHIVに感染し、他方が感染していないカップルへの抗レトロウイルス治療による治療と予防を含むカップルへのHIV検査とカウンセリングの手引き》
 http://asajp.at.webry.info/201204/article_5.html

《『予防の選択肢を増やした新たなガイドラインを歓迎』 UNAIDS》
http://asajp.at.webry.info/201204/article_6.html

 WHOサイトの短い説明には、次のように書かれています。

《CHTCはカップルに対して検査の機会を提供し、カウンセラーや保健従事者によるサポートが提供できる環境のもとでお互いにその結果を示せるようにするものだ。その段階で、予防、治療、支援の選択肢を議論し、それぞれのパートナーの状態に応じてお互いがどう対応するかを決められるようにしている》

 つまり、パートナーが互いの感染の有無を知ることにも、知った後にこれからどうするかを決定するうえでも、自らの意思で判断することが重要であるとの前提に立ち、そうした判断を可能にする支援の必要性が強調されています。検査を安心して受けることができ、結果として感染が判明したとしても、ああ検査を受けてよかったなと後になって思えるような環境でなければ、この厳しい感染症のパンデミックには対応できませんよということですね。

UMAIDSの歓迎声明は、タイトルにも示されているように『予防の選択肢が増えたこと』を評価しています。

《「この新たなガイドラインが普及すれば、何百万もの男女にとって、HIVの新規感染をなくすための選択肢がひとつ追加されることになる。それを大いに期待している」とシデベ氏はいう。「この新たな進歩は、カップルの間でHIV予防を話し合い、希望を持つことができるようになる新たな時代の始まりである」》

 予防対策は包括的でなければならず、治療の進歩は重要な要素ではあっても、治療だけでエイズの流行に対応できるというわけではありません。この点について念を押したうえでの「歓迎」とお見受けしました。もう少し、その歓迎ぶりを紹介しておきましょう。

《UNAIDSは、HIV検査とカウンセリングが常に個人の情報を守り、治療の開始は自発的意思に基づくものであり、義務づけられたり、強制的なものであったりしてはならないと勧告している。カップルには、男性用、女性用コンドームの使用や割礼手術を含めHIV予防のすべてのオプションが可能な限り保証されなければならない》

UNAIDSの推計では、HIVに感染していて、抗レトロウイルス治療がいますぐ必要な人は世界全体で約1400万人であり、2011年末現在その必要な治療を実際に受けることができている人はそのうちの660万人です。つまり、いま治療を始めなければ1年か2年のうちに亡くなってしまうだろうという人の半数以上は、実際に治療を受けてはいません。21世紀に入ってからの10年間、国際社会が並々ならぬ決意で途上国の抗レトロウイルス治療の普及に取り組み、そのための資金もなんとか工面し、HIV/エイズの流行にまつわる差別や偏見とも闘い、やっとの思いで達成した劇的な成果をもってしてもなお、この状態です。

 HIV/エイズの流行がいかに厳しいパンデミックであるかを示す数字といわざるを得ません。それなのに最近は日本国内のみならず、世界中のあちらこちらで、エイズ対策はもうそれなりに成果をあげたのだから、もっと他のところにお金を回したらどうだといった議論が交わされています。その中で、検査や治療の普及をどのように考えればいいのか。UNAIDSの声明はこう指摘しています。

 《資金が限られ、適切に確保できていな状況の中で、抗レトロウイルス治療の提供に際しては自らの健康のために治療を受ける人が常に優先されるべきであるとガイドラインは勧告している》

 ART for Prevention (予防のための抗レトロウイルス治療)といった考え方も、この点を抜きにして語ることはできません。治療の進歩が、予防のためのさまざまな努力を支えるのではなく、妨げるようなかたちになるとしたら本末転倒というべきでしょう。わが国のエイズ対策に関しても、こうした議論をきちんとおさえながら、困難な現実を直視して検査の普及や早期の治療開始といった課題に取り組む必要がありそうです。



2 世界エイズデー国内啓発キャンペーンのテーマ策定に向けて
 2012年世界エイズデーを中心にした国内啓発キャンペーンの策定プロセスの一環として、特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議と公益財団法人エイズ予防財団が5月に東京と大阪でフォーラムを開催します。

第109回エイズ&ソサエティ研究会議フォーラム
『ここから始まる〜2012年エイズキャンペーンのテーマ策定に向けて』
【Part1. Tokyo】
日時  5月9日(水)午後6時半〜8時
場所  ねぎし内科診療所多目的室
      東京都新宿区四谷三丁目9 光明堂ビル5階
【Part2. Osaka】
日時  5月18日(金)午後6時半〜8時
場所  大阪検査相談・啓発・支援センター「chotCASTなんば」オープンスペース
   大阪市浪速区難波中1-6-8 イチエイ総合ビル3階
 詳細はHATプロジェクトのブログでご覧ください。
 http://asajp.at.webry.info/201204/article_2.html

 また、エイズ予防情報ネット(API-Net)では、キャンペーンテーマについて、インターネットによる意見募集を行っています。締め切りは5月20日です。詳細はAPI-Netの《2012年度(平成24年度)「世界エイズデー」キャンペーンテーマについて》をご覧ください。
 http://api-net.jfap.or.jp/lot/2012camp_theme.html



3 世銀新総裁にジム・ヨン・キム氏
 世界銀行の新総裁に米ダートマス大学学長のジム・ヨン・キム博士が選ばれました。米国による世銀トップポストの独占が続くこと、キム氏は経済の専門家ではないことなどに批判がある一方、WHOのHIV/エイズ部長時代に3バイ5計画を推進するなど公衆衛生分野で高い実績をあげてきたことを評価し、キム氏の手腕に期待する声も高まっています。国連合同エイズ計画(UNAIDS)は、世銀の新時代を切り開く人選として、いち早く歓迎声明を発表しています。HATプロジェクトのブログに声明の日本語仮訳が掲載されています。
 http://asajp.at.webry.info/201204/article_3.html



4 『UNAIDS世界エイズデーレポート2011年版』
 世界のHIV/エイズの流行の現状と対策をまとめた報告書『UNAIDS世界エイズデーレポート2011年版』が発行されました。国連合同エイズ計画(UNAIDS)が昨年11月25日に発表した『UNAIDS WORLD AIDS DAY REPORT 2011』を公益財団法人エイズ予防財団が国内のHIV/エイズ分野のNGO関係者の協力を得て日本語に全訳したものです。エイズ予防情報ネット(API-Net)からpdf版をダウンロードできます。
 http://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#report2011

 報告書で明らかにされたUNAIDSの最新推計によると、世界のHIV陽性者数は2010年末現在3400万人で2001年より17%増加しています。一方で年間の新規感染者数は270万人で1997年当時より21%減、エイズによる年間の死亡者数は180万人で2005年当時の21%減となっています。新規感染や死者数は減少傾向にあるとはいえ、依然として厳しいパンデミックであることは変わりません。報告書は《抗HIV治療の普及が世界のエイズの状況に多大な影響を与えていることや、現在の経済危機や国際的資源の先細りを受け、エイズ対策やプログラムの効果を増大させるための賢明な投資が極めて重要であること》を強調しています。



5 『山本正さんを偲ぶ』
 世界エイズ・結核・マラリア基金(世界基金)の活動を応援する世界基金支援日本委員会のディレクターとして国際的なHIV/エイズ対策にも貢献された公益財団法人日本国際交流センター理事長、山本正さんが4月15日に亡くなりました。76歳でした。HIV/エイズ分野の取材を続けてきたジャーナリストが山本さんの貢献を振り返った追悼文です。
 http://miyatak.iza.ne.jp/blog/entry/2657868/

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