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zoom RSS TOP-HAT News第41号(2012年1月)

<<   作成日時 : 2012/02/06 15:01   >>

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        第41号(2012年1月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
なお、東京都発行のメルマガ「東京都エイズ通信」にもTOP-HAT Newsのコンテンツが掲載されています。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html で。
エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに HIV感染と就労 〜課題の再検証を〜

2 企業でHIV陽性者と共に働くためのポイント

3 改正予防指針を告示 厚生労働省

4 コミュニティアクション2011、成功裏に終了

5 2011年を振り返る Plus News

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに HIV感染と就労 〜課題の再検証を〜
 新しい年がスタートしました。今年もよろしくお願いします。2012年の年明け早々、HIV/エイズ対策の重要性を改めて痛感させるニュースが伝えられました。地元の西日本新聞は1月13日夕刊で次のように報じています。

 《HIVの検査をした大学病院が、勤務先の総合病院に無断で検査結果を伝えたため、休職を強要されその結果、退職を余儀なくされたとして、福岡県内の看護師が、両病院を経営する2法人に対し、約1100万円の損害賠償を求め、県内の地裁支部に提訴したことが13日、看護師の代理人弁護士への取材で分かった。厚生労働省のガイドラインは、医療現場を含めた職場でHIV感染が就業禁止や解雇の理由にならないと規定している》

 裁判で係争中の案件ですが、訴えの通りだとすると、病院側には2つの点で問題があります。ひとつは、検査の結果が大学病院から本人の承諾なしに勤務先に伝えられていること、そして、もう一つはHIV感染を理由に休職、解雇していることです。医療現場におけるこのような事例は実は今回だけではなく、たとえば日本看護協会のウエブサイトには《HIV感染した看護職への勧奨退職報道について》として看護職を対象に次のようなお知らせが掲載されています。

 《2010年4月30日、病院勤務の看護師が「無断でHIV感染検査をされ、陽性を理由に退職勧奨を受け退職した」と訴えているとの新聞報道がありました。
同日、「職場におけるエイズ問題に関するガイドライン」(厚生労働省)が改訂され、医療機関も感染者への差別禁止の例外ではないことが改めて示されました。
 日本看護協会は、感染症法、厚生労働省ガイドライン、ICN所信表明などの趣旨を受けて、HIVに感染した看護職の人権を守るよう、呼びかけます》

 詳細は日本看護協会のサイトでご覧ください。
 http://www.nurse.or.jp/nursing/oshirase/hiv.html

 HIV感染と就労に関しては、繰り返し、粘り強く、理解を広げて行く努力が必要です。これは医療の現場のみに限るものではありません。その意味で、世界エイズデーのキャンペーンの一環として昨年12月13日に開催された平成23年度 東京都エイズ予防月間講演会「働く世代に多いHIV陽性者 〜周囲の正しい理解で働き続けられる〜」には改めて注目しておく必要がありそうです。東京都保健福祉局のサイトには実施報告が掲載されているので、お読みください。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/aids/yobo_gekkan/yobo_g_keihatsu/index.html

 プログラムの中の「HIV陽性者と共に働くためのポイント」と題した座談会では、実際にHIV陽性者の雇用に取り組んだ企業の人事担当者の貴重なお話を聞くことができました。以下に少し詳しく報告しましょう。


2 企業でHIV陽性者と共に働くためのポイント
 座談会は、HIV陽性者、企業の双方からHIV感染と就労に関する相談を受けている特定非営利活動法人ぷれいす東京の相談員、生島嗣さんが司会役を務め、アクサ生命保険人材開発部能力開発部長でチーフダイバーシティオフィサーの金子久子さん、および障害者枠でHIV陽性者を雇用している別の企業の人事担当者のお二人がHIV陽性者を採用した際の体験を話されました。

 アクサ生命はフランス発祥のグローバル企業、AXAグループの日本法人で、HIV陽性の男性を雇用しています。職場で感染することはなく、健保組合にも過大な負担はないという認識がすでにあったうえ、企業の方針としてダイバーシティ(多様性)を重視し、《すべての社員の多様な能力、革新的なアイデアをビジネスに活かし、組織全体の業績アップに結びつける》という考え方が社内に共有されているため、HIV陽性者の採用を当然と受け止める環境があることがお話からも伝わってきました。

 一緒に働く人には知っておいてほしいという陽性者本人の希望から、入社の少し前に職場の同僚となる社員には知らせたが、その段階では、年配の人は拒否反応が強く、若い人は逆に、なんでそんなにこだわるのという感じだったということです。もちろん、頭で理解することと心の反応は異なる面もあります。一緒に働くことで当初の懸念は解消され、HIV陽性者が働いていることが社会に知れたら大変なことになるといった心配に関しても、結果としては拍子抜けするほどに何もなかったということです。

 もう一社は大手企業が100%出資する特例子会社で、「HIV陽性だからという理由で受け入れられないということはない。仕事ができればいい」として3カ月の試用期間を経て、HIV陽性者を一人、採用しています。

 もちろん、HIV陽性者本人の同意を得たうえでの参加が前提になりますが、HIVエイズに関連する社会的な偏見や差別の存在がいまなお指摘され、実際に医療機関における解雇事例などもあることを考えると、こうしたかたちで企業が積極的に座談会などに出席し、経験を伝える機会を持つことは非常に重要です。金子さんはHIV陽性者とともに働くことを通じて生まれた変化について「モンスターは消え、どこにでもいる同僚であり、仲間であるようになります。もっと社員を信じていい」と話しています。一緒に仕事をし、具体的に助けたり、助けられたりといった業務遂行上の体験が積み重ねられていくことで、不安は解消されていったようです。

 ビジネスにとって重要なのは、多様な人材を確保し、その能力を生かすことであり、それが競争力の確保にもつながります。その意味で、HIV感染の有無が人材の確保や活用に影響することは企業にとっての大きな損失であり、結果として競争力の低下を招くことにもなります。座談会に出席された二人の採用担当者は、ともにこの点を強調していました。また、企業側がHIV陽性者の雇用に対し、あらかじめ抱いていたいくつかの懸念に関しても、実際に雇用してみると、実は案ずるよりは産むが易しという感じで解消されていったということです。

 こうした《グッドプラクティス》事例が少しずつでも増えていき、情報として企業の間で共有されることが、HIV/エイズにまつわる社会的な偏見と差別の解消に大きな力となる。そのことが説得力を持って伝わってくる座談会でした。 


3 改正予防指針を告示 厚生労働省
 感染症法に基づくエイズ予防指針(後天性免疫不全症候群に関する特定予防指針)が改正され、1月19日付で厚生労働省告示と新旧対照表が厚労省の公式サイトに掲載されています。《法令等データベースサービス 登録準備中の新着法令》の「健康局」をクリックして「平成24年1月19日掲載」をご覧ください。
 http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/new/hourei/new.html

 エイズ予防指針は、わが国のエイズ対策の基本を示すもので、感染症法の施行から半年後の1989年10月に最初の告示があり、その後も流行状況の変化に対応するため5年をめどに内容の見直しが行われることになっています。今回の改正は、2006年の指針改正に続き2回目で、前文と以下の9章で構成されています。

 第1 原因の究明
 第2 発生の予防及びまん延の防止
 第3 普及啓発及び教育
 第4 検査・相談体制の充実
 第5 医療の提供
 第6 研究開発の推進
 第7 国際的な連携
 第8 人権の尊重
 第9 施策の評価及び関係機関との新たな連携


4 コミュニティアクション2011、成功裏に終了
 「エイズとわたし 〜つながるコミュニティ〜」をテーマにした世界エイズデー啓発キャンペーン「コミュニティアクション2011」が終了し、1月18日夜、東京・四谷三丁目のねぎし内科クリニックで開かれたAIDS & Society研究会議の第108回フォーラムで実施報告がありました。

 コミュニティ主導のキャンペーンを目指した今回のキャンペーンは、世界エイズデーの前後に全国各地で開かれるHIV/エイズ関連のイベントの情報を収集し、公式サイトに掲載することで、多くの人が情報を共有できるようにすることを目指しました。実施期間は11月15日〜12月31日でしたが、公式サイトは10月1日から開設。実施期間内だけでなくその前後の情報も掲載しています。

 この結果、イベント情報は64件、実施期間中の内外のHIV/エイズ関連ニュースを報告したFeaturesが26件、自分にとってエイズとは何かを投稿してもらう「エイズと私」欄には18件が掲載されています。情報の更新は年末でいったん休止になりましたが、公式サイトの公開は続けており、どなたでも見られるようになっています。
 http://www.ca-aids.jp/


5 2011年を振り返る Plus News
 アフリカを中心に世界のHIV/エイズ関係のニュースと解説記事を配信している国際情報サイト《Plus News》が2011年に起きた10項目の大きな出来事を特集しています。
 http://www.plusnews.org/report.aspx?ReportID=94562

 日本語による簡単な紹介は、こちらのブログに掲載されているので、参考までに紹介しておきましょう。
 《Plus Newsが選んだ2011 十大項目 エイズと社会ウエブ版61》
 http://miyatak.iza.ne.jp/blog/entry/2569472/

 10項目は以下の通りです。
 ・エイズの流行が30年を迎えた
 ・予防としてのARV(抗レトロウイルス治療)
 ・エイズ資金不足
 ・予防研究の残念な結果
 ・失言政治家
 ・アフリカで反同性愛法を求める動き続く
 ・ジェネリックの抗レトロウイルス薬(ARV)の危機
 ・避妊薬とHIV感染リスク
 ・医薬品特許プール
 ・新たなHIV対策の目標

 Plus Newsは、国連人道問題調整事務所(OCHA)の事業として運営される報道部門IRIN(Integrated Regional Information Networks、統合地域情報ネットワーク)が開設。国連機関の事業ではあるものの、IRINは独立の組織としての位置づけを重視しているということです。

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