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zoom RSS TOP-HAT News 第37号(2011年9月)

<<   作成日時 : 2011/09/29 08:48   >>

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        第37号(2011年9月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


   ◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 鍵を握る人々

2 フォーラム「ジャーナリストが見た釜山ICAAP」のお知らせ

3 エイズ予防指針作業班が報告書

4 国際キャンペーンのテーマはGetting to Zero 世界エイズデー

     ◇◆◇◆◇◆

1 はじめに 鍵を握る人々
第10回アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP10)が8月26日から30日まで、韓国の釜山で開かれました。「Diverse Voices, United Action(多様な意見 結束した行動)」をテーマにした今回の会議は、アジア太平洋地域でいま何が課題なのかを示す有意義な議論を数多く提供する一方、治療の普及を求めるアクティビストと警察官が会場内で衝突する場面もあり、HIV陽性率が比較的低い東アジアでHIV/エイズとの闘いを進めていくことの困難さを示す場にもなっていました。韓国のすぐ隣に位置する日本にとっても、引き出すべき教訓の多い会議だったといえそうです。

会議の主催者である地元組織委員会の発表によると、参加者は65カ国2998人だったということです。ただし、TOP HAT News編集部の派遣記者からは、会場のBEXCO(釜山国際会議展示場)はやや閑散とした印象だったという報告もあがっています。開会式など特定の機会以外には地元の韓国からの参加が意外に少なかったのかもしれません。

釜山のすぐ近くの大邱市では同時期に世界陸上が開かれていて韓国国内の関心はむしろそちら向いていたという事情もあり、地元の盛り上がり度はやや残念な状態でした。今回のICAAPに関連して韓国国内のメディアが最も大きな関心を持ったのは、人気グループのJYJがUNAIDSのアジア太平洋地域担当親善大使に就任し、ICAAP10の開会式でもパフォーマンスを披露したことでしょうか。

会議初日の26日午後には、開会式に先立って組織委員会のミュンファン・チョウ会長や国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シデベ事務局長らの記者会見が行われ、UNAIDSの報告書「アジア太平洋のHIV:ゼロ達成に向けて」が発表されました。また、それに引き続いてJYJの記者会見も行われました。

当然というか、残念なことにというべきなのか、メディアの関心は圧倒的にJYJの会見に集中していましたが、UNAIDSの報告書は極めて重要な指摘を数多く行っています。中でも注目すべきなのは、アジア太平洋地域のエイズ対策について、いくつかのKey Affected Populations(KAP)に対し、十分に焦点が当てられてこなかった点を反省すべき大きな課題として強調していることです。

報告書の内容を要約して紹介したUNAIDSのプレスレリースによると、アジア太平洋地域のHIV陽性者数は2009年時点で推定490万人(450〜550万人)であり、2005年以降ほぼ横ばいで推移しています。

この10年間の対策の成果は大きく、年間の新規感染者数は《2001年に推定45万人〔41万〜51万〕だったのが、2009年には36万人〔30万人〜44万人〕と20%も減っている》ということです。また、治療の普及も進み、《延命効果が高い抗レトロウイルス治療へのアクセスは域内で2006年以降3倍に拡大し2009年には74万人》に達しています。

 確かにめざましい成果ではありますが、それでも《2009年末現在でなお、アジア太平洋地域で抗レトロウイルス治療を必要とする人の60%以上がアクセスを得られていない》という現実が一方にあります。HIV/エイズ対策資金は必要額の三分の一にとどまっており、しかも、HIV/エイズ対策分野に対する国際的な援助額は「2009年に過去十年間で初めて横ばいとなり、2010年には減少している」という厳しい状態です。

 こうした中で、報告書は感染の高いリスクにさらされ、社会的な偏見、差別を受ける機会が多い人々をキーポピュレーションと位置づけ、《キーポピュレーションをHIV感染から守るための投資は依然、不十分である》と指摘しています。

《2010年に詳細な支出報告のあった各国のデータでは、エイズ対策の支出のうち、HIV感染の高いリスクにさらされているキーポピュレーションのHIV予防に焦点をあてた支出は、南アジアで8%、東南アジアでも20%にとどまっている》

 では、そのキーポピュレーション、つまり「鍵を握る人たち」は誰なのかということになると、各国の事情によっても異なりますが、たとえば、男性と性行為をする男性(MSM)、薬物使用者、セックスワーカーとその客、移住労働者といった人たちがあげられています。若者や女性が含まれることもあります。UNAIDSの報告書だけでなく、ICAAP10のさまざまなセッションでもこうした「キーポピュレーション」が文字通り「キーワード」になって議論が進められました。たとえば、会議4日目のプレナリー(全体会議)では、ICAAPのプレナリーとしては初めてMSMをテーマにしたセッションが開かれています。

 最初に少し触れたように、会議2日目の27日には抗議行動のアクティビストと会場のBEXCO(釜山国際会議展示場)の警備員や警察官との衝突があり、会議参加者3人が一時、拘束されるという事態が発生しています。偶発的な「事件」だったように感じられるのですが、会議の後半部では、そうした「事件」が二度と起きないようにしてほしいというアクティビストグループからの度重なる抗議があり、組織委員会やアジア太平洋エイズ学会(ASAP)、国連合同エイズ計画(UNAIDS)などがひとつひとつ丁寧に対応していたのが印象的でした。これもまた、エイズの流行に影響を受けてきた人たち(KAP)こそが、HIV/エイズ対策の鍵を握る人たちでもあるという認識があったからではないかと思います。

UNAIDSの報告書については、HATプロジェクトのブログにプレスレリースの日本語仮訳が掲載されています。
 http://asajp.at.webry.info/201108/article_7.html


2 フォーラム「ジャーナリストが見た釜山ICAAP」のお知らせ
 AIDS & Society 研究会議の第107回フォーラム「ジャーナリストが見た釜山ICAAP」が10月6日午後6時半から東京・四谷三丁目の「ねぎし内科診療所」で開かれます。8月26日から30日まで、韓国・釜山で開かれた第10回アジア太平洋地域エイズ国際会議を現地で取材したジャーナリストの報告です。また、ほかにもさまざまな立場で会議に参加した方からコメントをいただき、会議の成果と教訓を今後のわが国のエイズ対策にどう生かしてくのかを話し合います。詳細はHATプロジェクトのブログでご覧ください。
 https://bblog.sso.biglobe.ne.jp/ap/tool/editcheck.do


3 エイズ予防指針作業班が報告書
感染症法に基づくエイズ予防指針の見直し作業を進めていた厚生科学審議会のエイズ予防指針作業班が報告書をまとめました。厚生労働省のウエブサイトにPDF版がアップされています。
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001oxfb.html

エイズ予防指針は感染症法にもとづく厚生労働大臣告示で、わが国のエイズ対策の基本となっています。1989年10月に最初の告示があり、その後も流行状況の変化に対応するため5年をめどに内容の見直しが行われることになっています。今回の見直し作業は、2006年の指針改正に続き2回目となります。エイズ予防指針作業班は研究者やHIV陽性者団体、エイズ対策のNPO/NGO関係者、行政のエイズ対策担当者らで編成され、今年1月から9月まで計9回の会合を経て、指針改正の考え方を報告書にまとめました。

 報告書によると、今回は「検査・相談体制の充実」「個別施策層に対する検査の目標設定の必要性を明記」「地域における総合的な医療提供体制の充実」「NGO等との連携の重要性を明記」の4点が見直しの要点となっています。この結果、新指針案は現行の8章構成から新たに「検査・相談体制の充実」を加え、以下の9章の構成になります。
第1 原因の究明
第2 発生の予防及びまん延の防止
第3 普及啓発及び教育
第4 検査・相談体制の充実
第5 医療の提供
第6 研究開発の推進
第7 国際的な連携
第8 人権の尊重
第9 施策の評価及び関係機関との新たな連携

 また、個別施策層については、前文で「感染の可能性が疫学的に懸念されながらも、感染に関する正しい知識の入手が困難であったり、偏見や差別が存在している社会的背景等から、適切な保健医療サービスを受けていないと考えられるために施策の実施において特別な配慮を必要とする人々をいう」と定義されており、「青少年」「外国人」「男性と性行為をする男性」「性風俗産業の従事者及び利用者」に加え、「薬物乱用者」が追加されました。

 報告書に基づく改正指針案は厚生科学審議会などの必要な手続きとパブリックコメントの募集などの手続きを経て答申され、早ければ年内に新指針の大臣告示が出される見通しです。これまでのエイズ対策の方針を大きく変更するものではなく、より現実に対応できるよう調整がはかられるかたちの改正案といえるでしょう。ただし、5年前の改正時にも同様の指摘がなされていたように、「指針そのものは現時点で必要と考えられる対策について、網羅的に目配りがきいたものになっているが、実施体制が整っていない」という課題は依然、解消されていません。「NGO等」と行政の連携の強化が明記されているのもそのためであり、行政機関だけでなく、「NGO等」にとっても今後5年間、指針を実際の対策にどう生かしていくのか、真価が問われることになります。 


4 国際キャンペーンのテーマはGetting to Zero 世界エイズデー
 今年の世界エイズデーの国際的なキャンペーンのテーマについて、世界エイズキャンペーン(WAC)が9月5日、「ゼロ達成に向けて−エイズ関連の死亡をゼロに」に決定したと発表しました。国連合同エイズ計画(UNAIDS)が2015年までのビジョンとして打ち出している「HIV新規感染ゼロ」「差別ゼロ」「エイズ関連の死亡ゼロ」の3つのゼロ目標のうち、死亡ゼロに焦点があてられています。途上国におけるHIV治療の普及にも大きくかかわる目標だからでしょうね。

ただし、WACは各地の事情により他のゼロを選んでも構わないとしています。また、各国のテーマに関しては、それぞれの課題に対応して策定することも認められています。日本の場合、厚労省が主唱する今年の世界エイズデーキャンペーンのテーマは「エイズとわたし 〜支えることと 防ぐこと〜」に決定しています。

WACの発表文の日本語仮訳はHATプロジェクトのブログに掲載されています。
 http://asajp.at.webry.info/201109/article_2.html

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