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zoom RSS UNAIDS「エイズ流行30年:各国はいま岐路に立っている」

<<   作成日時 : 2011/06/05 19:10   >>

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(解説) エイズの流行30周年を前に国連合同エイズ計画(UNAIDS)が最新推計を含む報告書「エイズ流行30年:各国はいま岐路に立っている」を発表しました。そのプレスレリースの日本語仮訳です。世界のHIV陽性者数3400万人、エイズによる累積の死者数3000万人。その数字の巨大さは改めて地球規模のパンデミックの深刻さを伝えるものです。治療の普及は進んでいますが、それでも現在、治療を受けることができているのは、治療が緊急に必要な人の3分の1程度にとどまっています。この10年間、世界のエイズ対策資金は増加してきましたが、2010年は減少に転じています。リーマンショック以降の世界経済の停滞が影響していること、エイズ対策はそれないに成果を上げているのだから、資金を他の分野に回したいといった気分(言いがかりにも等しい気分)が広がっていることなどが、その背景としては考えられます。成果が出なければ、資金が無駄に使われていると批判され、成果を強調すれば、資金拠出意欲が減退する。そうした悩ましい状況の中での報告書です。言っていることはここ数年、ほとんど変わっていないのですが、「予防としての治療」といった考え方が過度に強調され、限定された状況下での効果に対する期待が、あたかも一般化できるような誤解を招きかねない懸念もあります。米国のCDCも国連機関であるUNAIDSも、その意味ではメッセージのトーンがよく似ていますね。



地球規模のエイズ対策の成果継続 
治療を受ける人の数は記録を更新し、新規HIV感染が25%近く減少
世界のエイズの流行が30周年を迎える中で、UNAIDSが最新推計 
世界のHIV陽性者数3400万人(3090–3690万人)
1981年6月5日の最初の症例報告以降、死者は約3000万人(2500万–3300万人)
http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/pressreleaseandstatementarchive/2011/june/20110603praids30/

【ニューヨーク/ジュネーブ 2011年6月3日】 国連合同エイズ計画(UNAIDS)が本日、発表した新たな報告書「エイズ流行30年:各国はいま岐路に立っている」によると、2010年末時点で、世界の中低所得国のHIV陽性者約660万人が抗レトロウイルス治療を受けている。これは2001年当時と比較すると、ほぼ22倍の増加である。

2010年には年間で過去最高の140万人が救命治療を開始した。報告書によると、2010年末時点で少なくとも42万人の子供が抗レトロ ウイルス治療を受けている。27万5000人だった2008年当時と比べると50%以上も増えている。

「治療へアクセスは今後10年のエイズ対策に変換をもたらすでしょう。私たちはアクセス拡大の促進と新たな治療の選択肢の開発に投資する必要があります」とUNAIDSのミシェル・シデベ事務局長は語る。「抗レトロウイルス治療はかつてない変革の力です。治療は死を防ぐだけでなく、多数の女性、男性、子供たちのHIV感染も予防できるのです」

シデベ事務局長の発言は、最近のHPTN52臨床試験の結果を受けたものだ。この研究では、HIVに感染している人が有効な抗レトロウイルス治療をきちんと続ければ、感染していない性パートナーへの感染リスクを96%減らすことができることが確認されている。

「各国は、新規HIV感染とエイズによる死亡を止めるために科学が提供しうるものを最大限に活用すべきです」と国連のアーシャ-ローズ・ミギロ副事務総長はいう。「われわれはエイズ対策の転換点にいます。HIVの予防、治療、ケア、支援へのユニバーサルアクセスを2015 年には現実のものとしなければならない」


HIV予防対策は成果をあげている

報告書によると、2009年の新規HIV感染は2001年と比べると世界全体で約25%減少している。インドでは50%以上、南アフリカでも35%以上、減っている。この2つの国はそれぞれの地域で最も大きなHIV陽性者人口を抱えている国である。

報告書は流行の第3期10年について、HIV予防の影響と理解を広める努力により、人々がより安全な性行動を採用し始めるようになったとしている。ただし、いまなお大きなギャップは存在する。HIVの感染予防に関する情報は、若い男性の方が若い女性より得やすい。最近の人口統計学的健康調査によると、コンドームはHIV感染の予防に有効であることを推定74%の若い男性が知っているのに対し、若い女性では推定49%だった。

妊娠、出産、母乳保育時に抗レトロウイルス薬による母子感染予防治療を受けるHIV陽性の妊産婦が増え、子供の新規HIV感染の予防がここ数年、大きな進歩を遂げている。2009年の子供の新規HIV感染者数は、2001年より26%減っている。

世界の約115の低中所得国で、HIV陽性の妊産婦に対し、世界保健機関(WHO)が推奨する最適な治療が提供されている。一方で31カ国ではいまなお、最適とは言えない治療法がHIV感染予防プログラムに採用されている。UNAIDSはこうした国に対し、治療ガイドラインを改訂して、WHOが推奨する治療法に移行するよう求めている。


エイズの流行は終わっていない。多くの課題が残されたままだ

UNAIDSの最新の推計では、世界のHIV陽性者数は2010年末時点で3400万人(3090万 – 3690万人)であり、30年前にエイズ症例の最初の公式報告がなされて以来、エイズで死亡した人の数は約3000万人(2500万 – 3300万人)に達している。

抗レトロウイルス治療のアクセスの拡大にもかかわらず、大きな治療ギャップがいまも残っている。2010 年末段階で、治療が必要なのにアクセスがない人が900万人もいるのだ。子供の治療へのアクセスは成人よりも低い。治療が必要な子供のうち2009年に抗レトロウイルス治療を受けていたのは28%に過ぎなかった。その時点での全年齢層でのカバー率は36%である。

世界の新規HIV感染は減少しているものの、感染数は大きい。1日平均で約7000人が感染しているのだ。世界全体での減少傾向だけを見ていると、地域的な差異を見逃すこともある。報告書によると、サハラ以南のアフリカや南アジア・東南アジアでは世界の平均以上に新規感染が減っているが、ラテンアメリカ・カリブ諸国の減少率は25%未満と緩やかである。東欧、中東・北アフリカ地域では逆に増加している。

実質的にすべての国で、男性とセックスをする男性、薬物注射使用者、セックスワーカーとその客、トランスジェンダーの人々など、HIV感染の高いリスクにさらされやすい集団では、他の人口層よりHIV陽性率が高い。懲罰的・差別的な法律や偏見と差別により、感染の高いリスクにさらされている集団へのHIV予防と治療のアクセスは一般的に低い。2011年4月現在、79カ国・地域で、合意に基づく同性間の性関係が犯罪とされている。116カ国・地域では何らかのかたちのセックスワークが犯罪となっている。32カ国が薬物関連犯罪を死刑にできる法律がある。

報告書によると、ジェンダーの不平等が効果的なHIV対策を妨げる大きな障壁として残っている。HIV感染は、生殖年齢の女性の最大の死亡原因であり、世界の新規HIV感染の26%は15-24歳の若い女性の感染で占められている。


エイズ対策資金は減少している

報告書によると、低中所得国のHIV対策への投資は2001年から2009年までの間に10倍に増え、年間16億ドルから159億ドルに上昇した。しかし、2010年はHIV対策への国際資金が減少している。低所得国の多くは外部資金に依存したままであり、56カ国の HIV対策の少なくとも70%が国際的な資金でまかなわれている。

「エイズ対策が人々に届き、成果が出てきたまさにその時期に、国際的な投資が減少していることは非常に心配です」とシデベ事務局長は懸念を表明する。「いま投資しなければ、将来、何倍にもして支払わなければならなくなります」

UNAIDSとパートナーによる2011年投資フレームワークは、2015年までに少なくとも220億ドルが必要だとしている。その必要額に比べると、現状で利用可能な額は60億ドル以上不足している。必要な額の投資が、各国の流行状況に基づく一連の優先プログラムに直接、使われれば投資効果は最も大きくなる。その投資の見返りとして、2020年までに1200万人の新規感染を防ぎ、740万人のエイズによる死亡を回避することが期待できる。年間の新規感染数は2009年に約250万人だったのが、2015年には約100万人に減るだろう。


地球規模課題としてのエイズに対する世界の指導者の見解

報告書は、南アフリカ共和国のジェイコブ・ズマ大統領、米国のビル・クリントン元大統領、ブラジルのルイス・イナシオルーラ・ダシルバ前大統領、マリのアマドゥ・トゥマニ・トゥーレ大統領、アフリカ連合委員会のジャン・ピン委員長ら地球規模のエイズ対策における15人の指導者のコメントを掲載している。そのコメントは、エイズ資金調達、南南協力、青少年のリーダーシップ、女性や大きな影響を受けている人々の地位向上、注射薬物使用、人権、差別と偏見、システム統合など広い範囲にまたがっている。


若者がHIV予防革命を主導

「エイズ流行30年:各国はいま岐路に立っている」には南アフリカのロベンアイランドで最近、開かれたイベントに関する記事も掲載されている。このイベントでは、UNAIDSのHIV予防に関するハイレベル委員会の共同議長であるデズモンド・ツツ大主教が「リーダーシップのボタン」を若い世代の指導者へと引き継いでいる。

報告書によると、最も重要なHIV予防対策の成功例のうちのいくつかは、若者主導で得られた成果である。エイズの流行の影響が大きい多数の国で、若者たちはより安全な性行動をとる傾向があらわれていることをデータは示している。



Global AIDS response continues to show results as a record number of people access treatment and rates of new HIV infections fall by nearly 25%
As the world marks 30 years of AIDS, UNAIDS estimates 34 million [30.9 million–36.9 million] people are living with HIV and nearly 30 million [25 million–33 million] people have died of AIDS-related causes since the first case of AIDS was reported on 5 June 1981

NEW YORK/GENEVA, 3 June 2011—About 6.6 million people were receiving antiretroviral therapy in low- and middle-income countries at the end of 2010, a nearly 22-fold increase since 2001, according to a new report AIDS at 30: Nations at the crossroads, released today by the Joint United Nations Programme on HIV/AIDS (UNAIDS).

A record 1.4 million people started lifesaving treatment in 2010—more than any year before. According to the report, at least 420 000 children were receiving antiretroviral therapy at the end of 2010, a more than 50% increase since 2008, when 275 000 children were on treatment.

“Access to treatment will transform the AIDS response in the next decade. We must invest in accelerating access and finding new treatment options,” said Michel Sidibé, UNAIDS Executive Director. “Antiretroviral therapy is a bigger game-changer than ever before—it not only stops people from dying, but also prevents transmission of HIV to women, men and children.”

His statement follows the recent HPTN052 trial results which found that if a person living with HIV adheres to an effective antiretroviral regimen, the risk of transmitting the virus to his or her uninfected sexual partner can be reduced by 96%.

“Countries must use the best of what science can offer to stop new HIV infections and AIDS-related deaths,” said UN Deputy Secretary-General Asha-Rose Migiro. “We are at a turning point in the AIDS response. The goal towards achieving universal access to HIV prevention, treatment, care and support must become a reality by 2015.”

HIV prevention efforts showing results

According to the report, the global rate of new HIV infections declined by nearly 25% between 2001 and 2009. In India, the rate of new HIV infections fell by more than 50% and in South Africa by more than 35%; both countries have the largest number of people living with HIV on their continents.

The report found that in the third decade of the epidemic, people were starting to adopt safer sexual behaviors, reflecting the impact of HIV prevention and awareness efforts. However, there are still important gaps. Young men are more likely to be informed about HIV prevention than young women. Recent Demographic Health Surveys found that an estimated 74% of young men know that condoms are effective in preventing HIV infection, compared to just 49% of young women.

In recent years, there has been significant progress in preventing new HIV infections among children as increasing numbers of pregnant women living with HIV have gained access to antiretroviral prophylaxis during pregnancy, delivery and breastfeeding. The number of children newly infected with HIV in 2009 was 26% lower than in 2001.

About 115 low- and middle-income countries are providing optimal treatment regimens for pregnant women living with HIV as recommended by the World Health Organization (WHO). There are 31 countries that still use sub-optimal regimens in many of their HIV prevention programmes. UNAIDS urges all countries using sub-optimal regimens to revise their treatment guidelines and make the transition to optimal WHO recommended regimens.

AIDS is not over—significant challenges remain

According to the latest estimates from UNAIDS, 34 million [30.9 million–36.9 million] people were living with HIV at the end of 2010 and nearly 30 million [25 million–33 million] have died from AIDS-related causes since AIDS was first reported 30 years ago.

Despite expanded access to antiretroviral therapy, a major treatment gap remains. At the end of 2010, 9 million people who were eligible for treatment did not have access. Treatment access for children is lower than for adults—only 28% of eligible children were receiving antiretroviral therapy in 2009, compared to 36% coverage for people of all ages.

While the rate of new HIV infections has declined globally, the total number of HIV infections remains high, at about 7000 per day. The global reduction in the rate of new HIV infections hides regional variations. According to the report, above-average declines in new HIV infections were recorded in sub-Saharan Africa and in South-East Asia, while Latin America and the Caribbean experienced more modest reductions of less than 25%. There has been an increase in the rate of new HIV infections in Eastern Europe and in the Middle East and North Africa.

In virtually all countries, HIV prevalence among populations at increased risk of HIV infection—men who have sex with men, people who inject drugs, sex workers and their clients, and transgender people—is higher than among other populations. Access to HIV prevention and treatment for populations at higher risk of infection is generally lower due to punitive and discriminatory laws, and stigma and discrimination. As of April 2011, 79 countries, territories and areas criminalize consensual same-sex relations; 116 countries, territories and areas criminalize some aspect of sex work; and 32 countries have laws that allow for the death penalty for drug-related offences.

According to the report, gender inequalities remain a major barrier to effective HIV responses. HIV is the leading cause of death among women of reproductive age, and more than a quarter (26%) of all new global HIV infections are among young women aged 15-24.


AIDS resources declining

According to the report, investments in the HIV response in low- and middle-income countries rose nearly 10-fold between 2001 and 2009, from US$ 1.6 billion to US$ 15.9 billion. However, in 2010, international resources for HIV declined. Many low-income countries remain heavily dependant on external financing. In 56 countries, international donors account for at least 70% of HIV resources.

“I am worried that international investments are falling at a time when the AIDS response is delivering results for people,” said Mr Sidibé. “If we do not invest now, we will have to pay several times more in the future.”

A 2011 investment framework proposed by UNAIDS and partners found that an investment of at least US$ 22 billion is needed by the year 2015, US$ 6 billion more than is available today. When these investments are directed towards a set of priority programmes that are based on a country’s epidemic type, the impact is greatest. It is estimated that the return on such an investment would be 12 million new HIV infections averted and 7.4 million AIDS-related deaths averted by the year 2020. The number of new infections would decline from about 2.5 million in 2009 to about 1 million in 2015.


Perspectives on AIDS from leaders around the world

The report features commentaries from 15 leaders in the global AIDS response, including South Africa’s President Jacob Zuma, former United States President Bill Clinton, former President of Brasil Luiz Inácio Lula da Silva, the President of Mali, Amadou Toumani Touré, and Jean Ping, Chairperson of the African Union Commission. The commentaries cover a range of areas, such as AIDS funding, South-South cooperation, youth leadership, the empowerment of women, key affected populations, injecting drug use, human rights, stigma and discrimination and systems integration.


Young people leading the HIV prevention revolution

AIDS at 30: Nations at the crossroads also includes an article on a recent event held on Robben Island, South Africa, where Archbishop Desmond Tutu, Co-chair of the UNAIDS High Level Commission on HIV Prevention, passed the baton of leadership in the AIDS response to a new generation of young leaders.

According to the report, some of the most important HIV prevention successes have been led by young people. Data indicate that young people in many heavily affected countries are increasingly adopting safer sexual behaviours.


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