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zoom RSS 医療機関におけるHIVの検査とカウンセリングに関する新たな手引き(guidance)

<<   作成日時 : 2007/06/07 00:37   >>

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(解説)WHOとUNAIDSがHIV検査のための新たなガイドラインを発表しました。そのプレスレリースです。これまで、HIV検査については、VCT(自発的な検査とカウンセリング)が世界的な原則でした。つまり、検査を受ける本人が自発的な意思に基づいて、自らの判断で検査やカウンセリングを受ける。本人が断れないようなかたちで誰かに強く勧められたり、みんなで一斉に検査を受けたりといったかたちで、本人の意に沿わない検査が実施されることがないようにという考え方に基づくものでした。考え方はその通りなのですが、世界の各国の共通の悩みとして、それでは本当に検査を受けてほしい人がなかなか検査を受けにいかないということがあります。このため、医療機関でさまざまな病気の治療のために訪れる人には医師が積極的に検査を進めましょうという要請が年々、強まってきました。医師と患者の関係を考えると、どうしてもこれは、実質的な強制検査にならざるを得ないという反対論も強くあります。そこでWHOとUNAIDSが検討を重ねて打ち出したのが今回の手引きです。治療の機会の提供という観点からも、医療機関で医師が積極的に検査を勧めるという趨勢(すうせい)は認めざるを得ないし、今後はそれを推進していく必要もあるという立場に立った上で、やる以上はこれだけのことは少なくとも守ってね、というボトムラインを示した感じがします。日本ではどのようなかたちで影響が出てくるのでしょうか。



 医療機関におけるHIVの検査とカウンセリングに関する新たな手引き(guidance)を発表/WHOとUNAIDS プレスレリース

【ロンドン2007年5月30日】 世界保健機関(WHO)と国連合同エイズ計画(UNAIDS)は本日、HIV治療、ケア、支援、予防のめのサービスへの需要が大幅に拡大していることに対応するため、医療機関における十分に情報が提供された(informed)、自発的な(voluntary)HIV検査とカウンセリングの新たな手引きを発表した。(医療機関において保健医療提供者から進められる検査やカウンセリングに関するものである)。

 中・低所得国に住むHIV陽性者のうち80%の人は現在、自らの感染を知らないでいる。サハラ以南のアフリカで行われた最近の調査では、HIV検査を受け、その結果を聞いている人は、平均して男性の12%、女性の10%にとどまっている。

 HIVの感染を早期に発見すれば、長く生きていくことを可能にする治療とケアの恩恵を受けられるし、他の人へのHIV感染を防ぐための情報と手段を得ることもできる。そのためにはHIVの検査とカウンセリングに対するアクセスの拡大が不可欠である。

 「HIV検査とカウンセリングの拡大は公衆衛生と人権の両面において不可欠である」とWHOのHIV/エイズ部長、ケビン・ド・クック博士は言う。「新たな手引きにより、各国がサービスのアクセスを改善し、同時に個人の人権を守ることのできる現実的な方法を採用することが可能になり、医療施設におけるHIV検査サービスの供給能力が増すことを私たちは期待している。医療施設におけるHIV検査とカウンセリングの大幅な拡大がなければ、HIV予防、治療、ケアの普遍的アクセスはいつまでたっても崇高な目標にとどまったままである」


アクセス拡大には追加的なアプローチが必要

 最近までHIV検査とカウンセリングの提供の基本的モデルは、クライアント(利用者)主導だった。このモデルは、自発的検査とカウンセリング(VCT)という呼び方でも知られている。このモデルのもとでは、個人が医療機関やコミュニティベースの施設で、積極的にHIV検査を受けることを求めなければ検査は受けられなかった。しかし、利用者主導のHIV検査とカウンセリングに対しては、サービスのカバー率が低いことや偏見・差別に対する恐れ、そして多くの人々が(高い陽性率を示している地域ですら)、自分にはHIV感染のリスクはないと認識していることなどから、あまり理解が広がらない状態が続いてきた。

最近、判明した事実(エビデンス)によると、エイズの流行が深刻な地域でさえ、医療機関においてHIV感染の有無を知ることができたはずの機会をも逃すことが多かった。したがって、利用者主導のHIV検査とカウンセリングへのアクセスを拡大することがいまなお必要とされる一方で、HIV検査とカウンセリングのカバー対象を増やし、究極的にHIV予防、治療、ケア、支援の普遍的アクセスを実現するためには、他のアプローチも必要となっている。

 新たなWHO/UNAIDSの手引きにより、提供者主導の検査とカウンセリングがHIV検査に対する理解を広げ、HIV陽性者のための保健医療サービスへのアクセスを改善し、HIV予防のための新たな機会を生み出すであろう。提供者主導のHIV検査とカウンセリングは、もっぱら医療機関にやってきた患者に対してHIV検査を勧めるので、保健医療提供者が関与することになる。こうした状況のもとでは、いったん検査前の情報が提供されたら、患者が拒否しない限り、HIV検査は通常の行為として実施されることになる。

 提供者主導のHIV検査とカウンセリングは、ボツワナ、ケニア、マラウイ、ウガンダ、ザンビアなど数カ国の低・中所得国では、すでに広い範囲の医療機関で実施されている。また、カナダの一部とタイ、英国、米国では、妊婦を対象に行われている。

 「私たちがこの病気の流行を克服するには、HIVの治療と予防の対策を大急ぎで拡大することが極めて重要である。HIV検査の拡大はそれを現実のものにするための基盤である」とUNAIDSのモニタリング・評価部長、ポール・ド・レイ博士はいう。「同時に、そしてHIV検査とカウンセリングのすべての事例で、同意(consent)、秘密保持(confidentiality)、カウンセリング(counselling)の3つのCが尊重されなければならない」と彼は付け加えた。


手引きは異なるタイプの流行と保健医療施設に対応

 新しいWHO/UNAIDSの手引きは、世界中の保健医療提供者に対し、HIV感染症の症状の可能性がうかがわれるすべての患者にHIV検査とカウンセリングを勧めるべきだと助言している。

 さらに、流行の状況にあわせた対応についても、手引きが作られている。HIVの流行が社会全体に広がっている場合(generalized epidemic、注1)では、HIV検査とカウンセリングは、HIV感染症の症状が認められるかどうかにかかわらず、そして訪れた理由に関係なく、医療施設を訪れたすべての患者に勧奨されなければならない。局限流行期(concentrated epidemic、注2)および低流行期(low−level、注3)の国では、疫学的および社会的な状況によって異なるが、特定の医療施設(例えば産科、結核、セクシュアル・ヘルス、それにHIV感染の高いリスクにさらされている人口層を対象にした保健医療サービスなど)において、HIV検査とカウンセリングをすべての患者に勧めることを考えるべきである。手引きはまた、子供および若者に対するHIV検査とカウンセリングについても特別な配慮を行なっている。

 WHOとUNAIDSは、資金およびその他の制限が手引きに従った対策を実行するうえで障害になっていることは認識している。したがって、実施に際し、異なる保健医療施設間における優先順位をいかにつけるかについてもアドバイスを提供している。

 新たな手引きはこれまでのWHOとUNAIDSの方針の延長線上に組み立て、各国からのより詳細な政策方針および実施の際のアドバイスを求める声が強くなっていることに対応したものである。これらの勧告は入手可能な事実(エビデンス)を検証し、組織および個人からよせられた150通を超える意見書を含む専門家および実務者との広汎な協議プロセスを経て策定された。

その他の主な勧告

 医療機関における提供者主導のHIV検査とカウンセリングのためのその他の主なWHO/UNAIDS勧告には以下のものがある。

・ すべてのHIVテストは自発的で、秘密が保持され、患者の同意のもとに実施されなければならない。
・ 患者は検査を拒否する権利がある。意思に反し、知らないうちに、適切な情報がないままHIV検査を受けるようなことがあってはならない。また、検査結果を聞かされないようなかたちで検査を受けるべきではない。
・ 検査前の情報提供および検査後のカウンセリングはHIV検査プロセスに含まれるものである。
・ 患者は、HIV感染を知ったり、明らかにしたりすることで想定される差別や暴力などネガティブな結果を避けるための支援を受けられるようになっていなければならない。
・ 検査は適切なHIV予防、治療、ケア、支援のサービスとリンクされていなければならない。
・ 医療施設におけるHIV検査に関する決定はつねに患者個人にとって最も利益のあるものとして判断されなければならない。
・ 提供者主導のHIV検査とカウンセリングは強制的なHIV検査を認めるものではないし、認めるものとして解釈されるべきものでもない。
・ 提供者主導のHIV検査とカウンセリングの実施は、何が有効に機能し、何が不可欠であるかは国によってそれぞれ異なることを認識し、市民社会グループを含む主な利害共有者と協議しながら進めなければならない。
・ 提供者主導のHIV検査とカウンセリングの実施に際しては、患者対し最大限の利益をもたらし、被害は最小化させるような社会的、政策的、法的枠組みを確保することに同等の努力がなされなければならない。
・ 提供者主導のHIV検査とカウンセリングの実施および拡大の状況をモニターし、評価するためのシステムが同時に開発、実施されなければならない。

 HIV予防、治療、ケア、支援の普遍的アクセスに向けて各国が取り組む中で、提供者主導のHIV検査とカウンセリングの新たな手引きは、公共、民間の両方の医療機関に対し、新たな提供者主導のHIV検査とカウンセリングの手法を取り入れ、改善を加えていくための重要な機会を提供する。WHO/UNAIDSはパートナー機関とともに、各国がHIV検査とカウンセリングのサービス全般にわたってアクセスを拡大することに対し、また、その他にもHIV/エイズ対策のために保健医療部門が必要とするものに対して、支援を続けるであろう。

注1) HIVが社会全般に広がっている状態。妊婦のHIV陽性率がつねに1%を超えている状態が目安となる。
注2) HIVが特定の人口層で急速に拡大しているが、社会全般に広がっているところまでは至っていない状態。HIV陽性率が継続的に5%を超えている人口層が少なくともひとつは確認されているが、都市部における妊婦の陽性率は1%を下回っている。
注3) いかなる人口層においてもHIVは深刻な広がりを見せていない状態。どのような人口層においてもHIV陽性率が継続的に5%を超えることはない。

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