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<<   作成日時 : 2007/04/28 18:10   >>

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《プレスリリース》2007年4月26日

アボット社へ「タイ王国における抗HIV薬についての要望書」をNGOが提出

 タイ政府がKaletra等への強制実施権を発動したことに対抗してAbbott社がタイでの新薬の登録申請を取り消したことはすでにご存知のことと思います。本日4月26日は、Abbott社の株主総会の前日ということもあり、世界各地でさまざまな運動が行われています。

 日本でも、HIVにかかわる6つの団体が連名で要望書を作成しました。本日午前10時に、長谷川博史(JaNP+代表)、沢田貴志・李祥任(シェア)の3人でアボットジャパン社を訪問し斎藤聡総務部長にこれを手渡しましたのでご報告します。(添付の要望書をご覧下さい)

 要望書は、世界中のHIV陽性者が等しく治療にアクセスできることを望む立場から、Abbott社に対して、1)アルビアなどタイで登録を保留している医薬品を速やかに登録すること、2)カレトラ/アルビアを、開発途上国を含めた全ての必要とする人々に入手可能な価格に設定しなおすべく最大限努力することを求めたものです。

 長谷川JaNP+代表からの趣旨説明のあと、タイの農村部のHIV陽性者の置かれている深刻な状況を伝え、全ての抗HIV薬を必要とする人々に治療の機会が保障されることをめざし、適切な対応をするように求めました。また、HIVへの取り組む姿勢としてHIV陽性者を始めとする市民社会との連携が途上国でも日本でも重要であることを伝えました。

 アボットジャパン社側からは、同社のこの件に対する見解や、これまで行っている社会貢献についての説明とともに、1)要望を本社に確実に伝えること、2)国内外でのHIVをめぐる社会貢献にさらに力を入れるとの回答を得ました。

2007年4月26日

日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス

特定非営利活動法人 エイズ・アンド・ソサエティ研究会議

特定非営利活動法人 CHARM (Center for Health and Rights of Migrants)

特定非営利活動法人 アフリカ日本協議会 感染症研究会

特定非営利活動法人 ぷれいす東京

特定非営利活動法人 シェア=国際保健協力市民の会(SHARE)




《プレスリリースについての解説》 2007/04/26

アボット社へ「タイ王国における抗HIV薬についての要望書」をNGOが提出

◎タイにおけるエイズ治療の現状

 HIV陽性者が50万人以上いるタイでは、これまでに9万人近くのHIV陽性者が抗HIV薬によるエイズ治療を開始してきました。治療を要する国民の大多数が貧しい農民であるタイでは、抗HIV薬を国産化し無料で提供することで治療薬を継続出来る環境を作り出しています。そのため、公的保健サービスの上では、国産のGPO/Vir (d4T, 3TC, NVPの合剤で低価格)を第一選択肢として治療を提供してきています。

 しかし、NVPの副作用の頻発、抗結核剤との併用上の問題、耐性などもあり既に5,000人以上の人々がこのGPO/Virを服薬することが困難になっているといわれています。副作用時や耐性化している場合等のNVPの代替としてはEfavirenz(EFV)などがありますが、第2第3選択薬剤は非常に限られています。比較的流通しているEFVについても輸入に頼っているうえに、高価であるため公立病院は十分な在庫を持ち合わせていないばかりか、時には供給システムの影響で、地方の病院では在庫不足という問題をしばしば起していました。

 こうした事情もあり、EFV並びに先進国では第一選択肢としての使用が普及しているカレトラ(LPV/RTVのソフトカプセル)を国内生産、並びに他国から安価なgeneric薬を輸入することで安定した供給を図ることがタイでは急務とされてきました。これまでのHIV陽性者団体やAIDS NGO等の強い要求を受け、昨年11月以降、タイ公衆衛生省はこうしたエイズ治療薬を含めた必須医薬品を国家の公衆衛生上の危機と位置づけて、強制実施権の発動に動きました。

◎国民の健康をまもるための強制実施権と治療普及をもとめる国際世論

 強制実施権は世界貿易機関(WTO)の「知的所有権の貿易関連の側面に関する協定」(TRIPS協定)にも記載され、また2001年の「TRIPS協定と公衆衛生に関する閣僚宣言」(ドーハ宣言)でも確認された合法的な措置ですが、これまで開発途上国政府側が発動することは、先進国への配慮から殆どありませんでした。

 先進国製薬企業の特許にまもられ高価な抗HIV薬は、最近まで途上国にとって手の届かないものでした。しかし、治療が得られなければ予防も成功しないという現実を認識する中で、途上国にも抗HIV薬をという要求は、21世紀を迎えて強い国際世論となってきています。2001年の国連エイズ特別総会の開催、02年の日本も大きく貢献した世界エイズ・結核・マラリア対策基金の設立、世界保健機関(WHO)と国連合同エイズ計画(UNAIDS)による「途上国の300万人に2005年末までに治療を」キャンペーン(3 by 5)と、国際世論は目に見える形をとるようになり、そして05年の「世界サミット成果文書」には「2010年まで治療への普遍的アクセス」という言葉が盛り込まれ、それは06年の国連「エイズ政治宣言」でも再確認されました。

 開発途上国に治療が少しずつ普及していくとともに、エイズの耐性ウイルスの拡大を防ぐためにも、エイズ治療薬の第2、第3選択薬を提供していく努力が必要とされています。国際世論は知的所有権を尊重しつつ、合法的に途上国の人びとの健康権がまもられることを、強く求めています。

◎タイ政府とアボット社の動向

 タイ政府の政策は、国際法上許容される行為ですが、開発元の米製薬企業アボット社が特許の侵害と抗議し、タイで登録予定だった新薬の登録とり下げという対抗手段に出ました。これは薬剤を必要としている病人の命を人質に利益を守ろうとする行為であるとして、世界中のHIV陽性者団体や多数のNGOが抗議を続けてきました。

 こうした圧力を受け、アボット社は、4月10日にカレトラ/アルビア(LPV/RTVの錠剤)の価格を低〜中所得諸国のためにさらに下げる発表をしました。しかし、アボット社がいまだにタイにおいてアルビアを含む7つの新製品の出願を保留していることに対して、世界中の市民団体が抗議を続けています。HIV陽性者団体やエイズに取り組む多数のNGOは、4月27日にアボット本社のあるアメリカで開かれるアボット総会会場周辺で、抗議のデモを行います。それに先がけ、アボット支社のある各国でも4月26日にグローバルアクションを起こすことが予定されており、日本でエイズに取り組むNGOの代表者らも、アボットへの要望文書を用意し4月26日にアボットの日本本社へ提出しました。



《アボット社への要望書》

アボット ジャパン 株式会社
代表取締役会長兼社長 池田 勲夫 様

タイ王国における御社抗HIV薬についての要望書

私たち、HIV/AIDSに関わる日本のNGOは、国内のみならず抗HIV治療・日和見感染症治療を必要としている世界のHIV陽性者が等しく治療にアクセスできることを望んでいます。その立場からカレトラ/アルビアの価格をさらに下げるという御社グループの決定を歓迎いたします。しかし、御社がいまだにタイにおいてアルビアを含む7つの新製品の出願を保留されていることに対しては懸念を表明いたします。タイ政府のカレトラへの強制執行権の実施に対してとられたこの措置は、主権国家として国民の健康と福祉を守るタイ政府の権利を尊重しないものと解されます。

御社の社訓には「命への約束(a promise for life)」が掲げられています。タイ政府に対して御社がとられた行動は、明らかにこれに反するものと思われます。御社がこれまで多くの薬を開発され、それにより、多くの人々の尊い命が救われたことを私たちも認識しております。しかし今回のことで、御社に対するこの信頼が損なわれかねないことは否めません。

私たち日本のNGOは、御社が以下の行動をとられることを要望します。

アルビアなど現在、御社がタイで登録を保留にしている医薬品を速やかに登録すること。また、カレトラ/アルビアを、開発途上国を含めた全ての必要とする人々に入手可能な価格に設定しなおすべく最大限の努力をし、その計画を早急に公表すること。

以上は、御社の経営状態に脅威となることのない妥当な要求と考えております。そればかりか、御社の行動は全ての関係者から感謝の意をもって迎えられることになることは間違いないと確信いたしております。

2007年4月26日

日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス

特定非営利活動法人 エイズ・アンド・ソサエティ研究会議

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