TOP-HAT News 第142 号(2020年6月)

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        第142 号(2020年6月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆
1 はじめに 現在進行形のパンデミック

2 AIDS文化フォーラムin横浜もバーチャル開催へ

3 調査期間延長 「HIV陽性者のためのウェブ調査」

4 「グローバル・エイズ・アップデート+(プラス)」にリニューアル

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1 はじめに 現在進行形のパンデミック
 エイズの症例が最初に報告されたのは1981年6月5日でした。
その前の年から米国西海岸のカリフォルニア州で5人の若いゲイ男性にちょっと珍しい肺炎が相次いで確認され、米疾病管理予防センター(CDC)が発行する定期刊行物MMWR(死亡疾病週報)の1981年6月5日号にその報告が掲載されたのです。
当時はまだ、エイズとは呼ばれていません。その後、ニューヨークでも若い人には珍しい皮膚がんが多く確認されるなど、一連の「なぞの奇病」にAIDS(エイズ=後天性免疫不全症候群)という名前が付いたのは翌1982年7月のことでした。
参考までにその後の経緯を紹介すると、フランスのパスツール研究所でエイズの病原ウイルスが発見されたのはさらにその翌年の1983年、感染の有無を調べる抗体検査が米国で承認されたのが85年、そしてウイルス発見者をめぐるフランスと米国との政治的争いを経て、その病原ウイルスの国際統一名称がHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に落ち着いたのは1986年5月のことでした。
新しい病気の存在を疑い、そこに共通する症状を把握して新たな流行に対応するための体制を整えていく。そして原因となるウイルスを確定し、感染の有無を確認する検査法を確立する。この間に4年の歳月を費やしています。ずいぶん長い時間がかかったような印象を受けますが、当時の医学研究の相場観からすれば、目覚ましい進展だったのではないかと思います。
それでも、流行は拡大し、パンデミックはいまも続いています。
感染した人の体内でウイルスの増殖を防ぐ抗レトロウイルス治療(ART)を受けていれば、HIVに感染していても、感染していない人と同じくらい長く生きていくことが可能になりました。また、ARTの継続により感染した人の体内のウイルス量が低く抑えられていれば、他の人に性感染するリスクもなくなることが明らかになっています。
予防も治療も大きな進歩を遂げているのです。
ただし、HIV感染を防ぐワクチンはまだ開発されていません。感染した人の体内から完全にHIVがいなくなるという意味での完治が実現した人も世界でまだ2人しか確認できていません。
MMWRの最初の報告を起点とすると、HIV/エイズの流行はこの6月で40年目に入りました。国連合同エイズ計画(UNAIDS)が毎年、公表している推計によると、HIVに感染している人の数は2018年末現在、世界で3790万人。流行が始まってからこれまでにエイズ関連の疾病で亡くなった人は3200万人です。
UNAIDSは間もなく2019年末現在の新しい推計を発表するはずですが、今は2018年末現在が最新のデータです。
その2018年の年間新規HIV感染者数は推計170万人、エイズ関連の死者は77万人。 
繰り返しになりますが、予防も治療も目覚ましい進歩を遂げています。年間の感染件数も死者数も一時期よりはかなり減ってきました。
それでも流行は続いています。終わったわけではありません。
国際社会は2030年までに「公衆衛生上の脅威としてのエイズ流行」を終結させることを共通目標にしています。ただし、各国がこれまで以上の努力で対策に取り組まない限り、目標の達成は難しい。しかも、目標達成の締め切りまであと10年となった今年(2020年)は、新型コロナウイルス感染症COVID-19がまたたく間に世界に広がりました。
つまり、世界は(そして日本も)いま、現在進行形の新興感染症のパンデミックを二つ抱えていることになります。新たなパンデミックへの対応のために、すでにあるパンデミックへの対策がおろそかになれば、減少傾向が見えてきた日本、および世界のHIV新規感染も再び増加に転じてしまいます。
どちらを選ぶとか、優先させるといった問題ではなく、どちらにもしっかり対応しなければなりません。パンデミック対策には緊急の対応と息の長い努力の両方が必要です。
UNAIDSは5月6日、COVID-19とHIV予防に関する3点の解説文書を公開しました。また、5月18日には『COVID-19の流行の中でHIVコミュニティワーカーは対策の不可欠な担い手』というプレス声明を発表しています。
どちらも、ほぼ40年に及ぶHIV/エイズ対策の経験の蓄積を生かし、COVID-19とHIV/エイズという2つのパンデミックの対策に相乗効果を生み出していこうという視点が強く打ち出されています。UNAIDSの了解を得て日本語仮訳を作成しました。API-Net(エイズ予防情報ネット)の公式サイトにPDF版が掲載されているので、バーチャル会議などで資料として活用することもできます。
・COVID-19とHIV予防に関する解説文書
 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/sheet_covid19_3pdf.html
・『COVID-19の流行の中でHIVコミュニティワーカーは対策の不可欠な担い手』
 https://api-net.jfap.or.jp/status/world/sheet_covid19_PressStatement.html


2 AIDS文化フォーラムin横浜もオンライン開催へ
 COVID-19の影響でHIV/エイズ分野のさまざまなイベントが今年はバーチャル開催になを余儀なくされています。8月7日(金)~9日(日)の第27回AIDS文化フォーラムin横浜もzoomによるオンライン開催の予定になりました。テーマは『リアルにふれる 一人ひとり大切なことを探してみよう』です。詳細は公式サイトをご覧ください。
 https://abf-yokohama.org/


3 調査期間延長 「HIV陽性者のためのウェブ調査」
 HIV陽性者を対象にしたFutures Japanの第3回ウェブ調査が調査期間を2カ月延長し、7月31日までとなりました。
 この調査は、多数のHIV陽性者が参加・協力し、自分らしい生き方と暮らしやすい社会の実現を目指すためにHIV Futures Japanプロジェクトが実施しています。第1回は2013年~2014年、第2回は2016~2017年に行われました。今回(第3回)は昨年11月27日から実施され、回答中の方も含め、すでに回答者は1200人を超えています。詳細はウェブ調査の公式サイトをご覧ください。
 https://survey.futures-japan.jp/


4 「グローバル・エイズ・アップデート+(プラス)」にリニューアル
(特活)アフリカ日本協議会(AJF)が発行していたメルマガ「「グローバル・エイズ・アップデート」が6月から月刊の「グローバル・エイズ・アップデート+(プラス)」として再出発しました。
 『HIV/AIDSのみならず、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジや新型コロナウイルス感染症(COVID-19)などパンデミック対応力強化、さらには、非感染性疾患や高齢化の問題なども含めて、国際保健のトレンド変化と世界の市民社会の声を伝える』ということです。登録は下記サイトで。
 まぐまぐ「Global AIDS Update」
 https://www.mag2.com/m/0001690047




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