TOP-HAT News 第131号(2019年7月)


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        第131号(2019年7月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 日本エイズ学会が『就業差別の廃絶』を求め声明

2 「POSITIVE TALK 2019」スピーカー募集 

3 第26回AIDS文化フォーラムin横浜

4 冊子『UNAIDSによる技術支援』日本語版を発行

◇◆◇◆◇◆

1. はじめに 日本エイズ学会が『就業差別の廃絶』を求め声明
 HIV感染を理由にした解雇など職場における差別的な取り扱いに対し、日本エイズ学会が6月24日、廃絶を求める声明を発表しました。学会公式サイトには松下修三理事長名の『HIV 感染を理由とした就業差別の廃絶に向けた声明』全文が掲載されています。こちらでご覧ください。
 https://jaids.jp/
 声明はHIVについて『医療機関を含め日常の職場生活において感染することはありません』と明記しています。ここで注意しておかなければならないのは、治療が進歩した結果、最近になってこうした認識が生まれたわけではないということです。
もちろん治療の進歩は重要です。最近の研究では抗レトロウイルス治療の継続により、HIVに感染している人から他の人への性感染のリスクがゼロになることも報告されています。HIV検査と治療の普及を促し、HIVに感染した人が安定した社会生活を続けていくうえで、そうした成果は大いに強調する必要があります。
ただし、「医療機関を含め日常の職場生活」では、治療の有無にかかわらずHIV感染のリスクは極めて低く、解雇や不採用、職場における拒絶などの理由にはなりません。このことは、有効な治療法が確立される以前からずっと指摘され、差別や偏見をなくすための職場での対応もなされてきました。
また、1995年には厚労省の前身の労働省から『職場におけるエイズ問題に関するガイドライン』が発表され、この中でも職場における HIV 感染者への差別は明確に禁止しています。抗レトロウイルス治療の劇的な延命効果が発表される前のことです。
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/05/s0527-3b.html
ガイドラインは厚労省に変わった後の2010年に一度、改正されましたが、この認識は改正前も後も変わっていません。むしろ医療機関も例外ではありませんよということを念押しするための改正でした。
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb6133&dataType=1&pageNo=1
そもそもHIVの感染を理由にした就労上の差別的な取り扱いが不当なことは、ガイドライン作成以前から国際的な了解事項でした。それでも、HIV/エイズにまつわる社会的な恐怖や不安が強かったために、理屈に合わない不当な事例がしばしば見られ、「これではいかん」ということでガイドラインが出されるに至った経緯があります。
日本だけではありません。世界各地で就労にかかわる不当な事例はしばしば報告されてきたし、いまも報告されています。通達やキャンペーンなどで一時的には理解が広がっても、しばらくすると忘れてしまうといったこともよくあります。
したがって、注意喚起は、機会をとらえ、様々なかたちで、繰り返し行うことが大切になります。
今回の声明発表は、HIV陽性者に対する内定取り消し訴訟の法廷で、被告となった医療機関側に上記のような理解を大きく欠いた主張がみられることが直接のきっかけになったようです。ただし、声明は個別の裁判について取り上げるのではなく、より広い社会的な動向を念頭に置いて、次のように指摘しています。
『HIV 感染症に対する治療の進歩と社会的な理解が進む状況の中、現在においても HIV 感染者に対して採用時や就業時における差別が発生しており、差別を受けた当事者、関係者から切実な意見があがっております』
一方、自治体では以前から地道な努力が続けられています。たとえば東京都は『職場とHIV/エイズ ハンドブック』を発行し、毎年、世界エイズデー(12月1日)の前後の時期には、企業やNPO法人と協力してHIV陽性者の就労をテーマにした講演会を開くなど、職場における理解を広げるための啓発に力を入れてきました。
http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/koho/kansen.files/work_and_hiv_handbook_employee.pdf
こうした地道な努力を持続的に蓄積していくことの大切さも、この機会に改めて認識しておく必要があります。


2 「POSITIVE TALK 2019」スピーカー募集
 第33回日本エイズ学会学術集会・総会は11月27日(水)から29日(木)まで、熊本市の熊本城ホールで開催されます。初日の27日には、午後3時20分から5時20分まで、プログラムの一つとしてポジティブトーク2019が予定されており、スピーカーとして登壇するHIV陽性者を公式サイトで募集しています。
 http://www.c-linkage.co.jp/aids33/positive.html
 『HIV陽性者としての経験や思いを直接語っていただくことで、学会に参加される方々に新たな気づきを促す場にしたいと考えています』
 ポジティブトークは2017年の第31回学会(東京)で初めて開催され、第32回学会(大阪)に続いて、今回が3回目となります。
 プログラムの概要や応募方法は上記サイトでご覧ください。


3 第26回AIDS文化フォーラムin横浜
 夏の恒例イベントとなった第26回AIDS文化フォーラムin横浜が8月2日(金)~4日(日)の3日間、JR横浜駅西口に近い、かながわ県民センター(横浜市神奈川区鶴屋町2-24-2)で開かれます。
 1994年の夏に横浜で第10回国際エイズ会議が開催された際に最初のフォーラムが開かれ、以後も毎年、継続してきました。
今年のテーマは『<話す>と<リアル>に!!』です。詳細は公式サイトをご覧ください。
https://abf-yokohama.org/


4 冊子『UNAIDSによる技術支援』日本語版を発行
国連合同エイズ計画(UNAIDS)が今年1月に発行した冊子『UNAIDSによる技術支援 アジア太平洋地域におけるグローバルファンドの助成を最大限に生かす 2017‐2018』の日本語版を公益財団法人エイズ予防財団が作成しました。コミュニティアクションのサイトでPDF版をダウンロードできます。
http://www.ca-aids.jp/features/231_unaids.html
世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)の資金助成によりアジア太平洋地域で実施されている各国のHIV/エイズ対策プログラムに対し、UNAIDSが技術面で行っている支援をまとめたものです。
『グローバルファンドからみれば、UNAIDSはHIV対策について当事国政府と話しあい、政治の扉を開き、様々な分野の活動の相乗効果を生み出す包摂性を高めていくための重要な相談相手となっています』
インド、インドネシア、ベトナムにおけるケーススタディ(事例研究)も含め、資金メカニズムであるグローバルファンドと対策の実施国、そして国連機関としてのUNAIDSという三者の関係が分かりやすく説明されています。英語版はこちらでご覧ください。
https://www.unaids.org/en/resources/documents/2019/unaids-technical-support-gf-grants-asia-pacific-2017-8

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