TOP-HAT News第123号(2018年11月)

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        第123号(2018年11月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発マガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに  世界エイズデー30周年に寄せて

2 世界エイズデー国内啓発キャンペーンで特設ページ

3 2020年7月で活動を終了へ Act Against AIDS

4 『結核とHIV』 日本語版を作成

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1 はじめに 世界エイズデー30周年に寄せて
 12月1日が世界エイズデーとなったのは1988年のことでした。
その前年の87年秋から世界保健機関(WHO)のエイズ特別対策本部(SPA)でエイズ啓発のための記念日創設が検討され、翌88年1月にロンドンで開かれたエイズ対策世界保健大臣会議で正式に決定しています。
参考までに付け加えておくと、SPAは88年にエイズ世界対策本部(GPA)に名称を変更し、さらにその活動は1995年から国連合同エイズ計画(UNAIDS)に引き継がれています。
 世界エイズデーはどうして12月1日なのでしょうか。調べてみると、日付自体にあまり深い意味はなかったようです。最初に症例が報告された日というわけではなく、HIV/エイズ関連の画期的な発見があった日でも、衝撃的な事件があった日でもありません。
強いて理由を探せば、12月にしないと準備が間に合わなかったということでしょうか。1月に制定が決まったとはいえ、国際的な周知には時間がかかる。できれば年の後半にしたい。1988年は米国の大統領選挙の年でもあったので、選挙投票日(11月の最初の月曜日の次の火曜日)の前や直後は避けたい。そう考えると、12月かなあ、でも年の瀬も押し迫ってくると、これもまた、まずいしなあ・・・と消去法で候補をしぼっていき12月1日になりました、ということだったのではないでしょうか。
どちらかというと、あまり注目はされていなかった印象ですね。でも、様々な行事の端境期に設定されたことで、次第にキャンペーンとしての注目度が高まり、世界エイズデーは保健分野で最も有名な国際記念日となりました。
1988年は国際エイズ学会(IAS)が発足した年でもあります。
1985年にアトランタで開かれた第1回国際エイズ会議の参加者は2000人でした。医科学分野の専門家による比較的、小規模な学会だったといっていいでしょう。
しかし、流行は拡大を続け、国際エイズ会議の規模も拡大していきました。88年の第4回ストックホルム会議は参加者7500人、94年の第10回横浜会議は1万人を超えています。
米国のレーガン政権がHIV/エイズ対策に真剣に取り組まないことに怒りを表すアクティビストたちがACT UPを結成し、ニューヨークを中心に様々な抗議行動を展開するようになったのも1988年からでした。
エイズの最初の症例が米国で報告された1981年からはすでに7年が経過していましたが、延命のための有効な治療法はまだ確立されておらず、エイズの病原ウイルスであるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染した人たちが、一定の期間を経て衰弱し、次々に亡くなっていく時期でもありました。
その現実に対する怒りと悲しみを抱え、世界規模で広がる新興感染症の流行にどう対応したらいいのかを考え、切迫感をもって行動に移す。世界の保健分野の担当大臣が集まって会議を開き、エイズ研究分野の国際的な専門家組織が生まれ、アクティビストが奇襲ともいうべき抗議行動を展開し、そして12月1日が啓発のための記念日になる。それが1988年でした。
世界エイズデーは今年、創設30周年の節目を迎えます。国連合同エイズ計画(UNAIDS)は『Know your status』(感染の有無を知ろう)』を2018年のキャンペーンテーマに掲げました。厚労省と公益財団法人エイズ予防財団が主唱する国内啓発キャンペーンのテーマは『『UPDATE! エイズ治療のこと HIV検査のこと』です。
また、世界エイズデーを中心とする東京都のエイズ予防月間(11月16日~12月15日)のテーマは『みんなで描こうステキなミライ』です。
第1回世界エイズデーの1988年当時と比べると、HIV/エイズをめぐる状況は大きく変わっています。治療の進歩によりHIVに感染している人たちが感染していない人と同じくらい長く生きていくことが期待できるようになりました。治療を続け体の中のウイルスの量を低く抑えることができれば、HIV陽性者から他の人に性行為でHIVが感染するリスクは実質的にゼロになることも明らかになっています。治療の進歩は予防対策にも大きな成果をもたらすことが期待されているのです。
知識にも、行動にもUPDATEが求められています。
しかし、HIV感染の流行はそれでも続いている。その現実を直視する必要もあります。世界的にみても、国内でも、HIVの新規感染は期待されていたほどには減っていません。どうしてなのか。30周年の節目となる今年の世界エイズデーは、もう一度、そのことを考える機会でもあります。



2 世界エイズデー国内啓発キャンペーンで特設ページ
 エイズ情報ネット(API-Net)に平成30年度世界エイズデーキャンペーンの特設ページが開設されました。トップページのバナーをクリックしてください。
 http://api-net.jfap.or.jp/
 東京都のエイズ予防月間については、東京都保健福祉局の公式サイトでご覧ください。『東京都予防月間とは』というページでリーフレットもダウンロードできます。
 http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/kansen/aids/yobo_gekkan/index.html



3 2020年7月で活動を終了へ Act Against AIDS
音楽業界を中心に1993年からエイズ啓発活動を続けてきたAct Against AIDS(AAA)が公式サイトに『これからの啓発活動についてのお知らせ ~【AAA 90-90-90 by 2020】』という告知記事を掲載しました。2020年7月末で活動を終了するということです
 https://www.actagainstaids.com/
毎年12月1日の世界エイズデーの前後に全国各地で開催される「AAAコンサート」を通じ、エイズについて知ったという方も少なくないでしょう。四半世紀を超える長い期間にわたり、充実した啓発活動を続けてこられたことに深く感謝したいと思います。



4 『結核とHIV』 日本語版を作成
 国連合同エイズ計画(UNAIDS)の冊子『結核とHIV』の日本語PDF版がエイズ予防情報ネット(API-Net)にアップされました。
 http://api-net.jfap.or.jp/status/world.html#a20181012
 世界全体でみると、2017年の結核による死者は年間160万人で、このうちの30万人はHIV陽性者です。今年9月26日にはニューヨークで国連総会結核ハイレベル会合が開かれ、2030年の結核終結を目指す政治宣言が採択されました。その宣言の中でも、結核対策とHIV/エイズ対策を統合して進めていくことの重要性が強調されています。
 日本では戦後間もない時期のような蔓延状況は克服されていますが、2017年の罹患率は人口10万あたり13.3で、世界保健機関(WHO)の分類では依然、「低蔓延国」(人口10万あたり10.0以下)には達していません。2020年までに低蔓延国となることを目標に対策が進められています。


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