ヴァンガーディスト誌がHIV陽性者の血液を混ぜたインクで雑誌を印刷

(解説) オーストリアに本社を置く男性誌Vangardist Magazine(ヴァンガーディスト)が3人のHIV陽性者から提供された血液をインクに混ぜて最新号『#HIVHEROES』を発行したことはニュースでも伝えられているので、すでにご存じの方もいるのではないかと思います。その雑誌のキャンペーンを担当したサーチアンドサーチ・スイス社の公式サイトに掲載されている4月28日付けプレスリリースの日本語仮訳です。ヴァンガード誌の発行人とサーチアンドサーチ・スイス社の役員がそれぞれ、雑誌発行の目的、キャンペーンの狙いなどを説明しています。ざくっとまとめると以下のようなことでしょうか。
 《HIV感染に対する関心が薄れ、ニュースになることも減少している中で、その無関心と社会的な偏見が検査の普及を妨げている。そうした状況を打破するためにHIV陽性者の血液を混ぜた雑誌を発行し、それを手にしてもHIVには感染しないということを伝えようとした》

参考までにAFPの日本語サイトの5月6日付けのニュースも紹介しておきましょう。
《オーストリア誌、HIV陽性血液入りインクで刊行 「無害」アピール》
 http://www.afpbb.com/articles/-/3047466
ヴァンガーディスト誌は通常、電子版のみの発行だが、今回は特別に紙版を発行したということです。

    ◇

ヴァンガーディスト誌がHIV陽性の血液を混ぜたインクで雑誌を印刷
    2015年4月28日
http://saatchi.com/en-us/news/vangardist-magazine-confronts-hiv-head-on-with-blood-infused-ink/

 サーチアンドサーチ・スイス(注:広告代理店)とヴァンガーディスト誌はHIV+の血液を混ぜたインクで3000部の雑誌を印刷し、発行する新たなキャンペーンを公表した。

 サーチアンドサーチ・スイスがドイツの主要な男性誌ヴァンガーディストで展開するこのキャンペーンでは、HIVを取り巻く偏見をなくすために同誌が体験型アプローチを読者に呼びかけている。

 ヴァンガーディスト誌が本社を置くオーストリアのウィーンでは毎年、世界最大のHIV関連イベントの一つ「ライフ・ボール」が開催されており、キャンペーンはその時期にあわせて進められる。同誌春季号3000部はすべて、3人のHIV陽性者から採取した血液を混ぜたインクで印刷されている。

 ハーバード大学とインスブルック大学がまとめたガイドラインに従い、最も厳重な管理の下で製作しているため、印刷された雑誌を具体的に手にしても感染のリスクはなく、100%安全なのだが、それでもすでにこの雑誌の発行は相当な議論を巻き起こしている。

 30年以上にわたってキャンペーンとアクティビズムと研究が続けられてきたにもかかわらず、HIVはいまなお、世界で6番目に大きな死亡原因となっている。多くの人にとってHIVというウイルスは「昔のニュース」と見なされ、世界のキーコミュニティや関連組織が何とかニュースの対象になるように努力してようやく年に1回か2回、話題になる程度である。

 NGOも各国政府もともに、この病気を取り巻く社会的な偏見が効果的な対策を阻み、ウイルスの根絶という究極の目標を妨げる主要因の一つであるとの認識は共有していることから、ヴァンガーディスト誌は議論を再燃させる必要があると確信している。

 この雑誌が注目されていること、および今回のキャンペーンの背景について、ユリアン・ウィール発行人兼CEOはこう語っている。
 『ヴァンガーディスト編集部は読者に関係のある話題を幅広く扱っています。ライフスタイル・マガジンには、いまの社会をかたちづくっているテーマを取り上げる責任があると思うからです。2013年に確認された新規HIV感染数は10年前より80%も増えています。そして、その50%はかなり遅くなって感染していることが判明しています。HIV感染に対する社会的な偏見が検査を受けることを妨げているからです。こうしたことは、雑誌に記事を載せるだけでなく、より広範なコミュニケーションの観点からとらえていきたいと私たちは考えました』

 サーチアンドサーチ・スイスのエグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター、ジェイソン・ロミコ氏はこう説明する。
 『これは本当に「不可能なことはない」というストーリーです。長い間、出したいと思っていました。ウィーンのライフ・ボールを中心にした重要な運動の関心を高めるために力を貸してほしいとヴァンガーディスト誌から相談があったときに、勇敢なクライアントに出会ったと思いました。このユニークなプロジェクトでは、雑誌のすべての文章、写真、ページをHIV陽性者から提供された血液で印刷し、メディアを偏見そのものの源に変えることで直接的な反応を引き出したいと思ったのです。この本を手にすることで、読者は直接、タブーを破ることになります』


 この雑誌は本日、4月28日から購読者に送られ、来週にはニューススタンドで販売されるとともに、オンラインでも読めるようになる。また、Facebookも本日、開設される: www.facebook.com.hivheros : このFacebookがHIV関連で最も多く見られ、リンクされるFacebookになることを目指し、HIVに感染していることで社会的偏見を受ける理由はなにもないことを世界に伝えたい。

 このキャンペーンは、世界中の人が#HIVHEROES オンラインによって、HIVについて語ることで、HIVヒーローになれるということを示そうとしている。

 キャンペーンを社会的に支援することに加え、さらに積極的に関与することを望む人は、キャンペーンの後半、HIV関連の運動や組織への資金確保のために雑誌が増刷された時に行われるオークションにも参加することができる。



Vangardist Magazine confronts HIV+ 'head-on' with blood-infused ink
28 Apr 2015
http://saatchi.com/en-us/news/vangardist-magazine-confronts-hiv-head-on-with-blood-infused-ink/

Saatchi & Saatchi Switzerland and Vangardist Magazine unveil new campaign printing 3,000 copies of issue with ink infused with HIV+ blood.

In a new campaign from Saatchi & Saatchi Switzerland for Vangardist, a leading German men’s monthly, the magazine invites its readers to take a hands-on approach to end the social stigma surrounding HIV.

To coincide with one of the biggest HIV events in the world - Life Ball - which takes place every year in Vangardist’s home town of Vienna, all 3,000 copies of its Spring issue are printed with ink infused with HIV+ blood donated by three individuals living with the HIV virus.

Whilst the magazine has been produced according to the most stringent controls and using processes developed according to guidelines established by Harvard and Innsbruck University, ensuring that the handling of a physical copy of the magazines carries no risk of infection, and is 100% safe; the debate and discussion around the magazine and the issue it highlights has already been significant.

Despite 30 years of campaigning, activism and research, HIV remains the 6th biggest cause of death in the world. Yet for many people the virus is seen as ‘old news’, with discussion and debate relegated to just one or two days a year when key communities and organisations around the world force the issue back onto the news agenda.

With NGO’s and Governments alike all acknowledging that the social stigma surrounding the disease remains one of the key factors preventing effective management, and ultimately the eradication of the virus, Vangardist believes it is essential that conversations around this topic are reignited.

Commenting on the attention being generated around the magazine, and the rationale behind the campaign, Julian Wiehl, Publisher and CEO of Vangardist said: “The editorial team at Vangardist is committed to dealing with a wide variety of topics affecting our readers. We believe that as a lifestyle magazine it is our responsibility to address the issues shaping society today. With 80% more confirmed cases of HIV being recorded in 2013 than 10 years previously, and an estimated 50% of HIV cases being detected late due to lack of testing caused by social stigma associated with the virus. This felt like a very relevant issue for us to focus on not just editorially but also from a broader communications stand point.”


Jason Romeyko, Executive Creative Director of Saatchi & Saatchi Switzerland explained: “This is truly a ‘Nothing Is Impossible’ story - one we have been passionate about for a long time. When Vangardist approached us to help them raise awareness of this important cause around Life Ball in Vienna, we knew we had met a brave client. With this unique project, we want to create a response in a heartbeat by transforming the media into the very root of the stigma itself - by printing every word, line, picture and page of the magazine with blood from HIV+ people. By holding the issue, readers are immediately breaking the taboo.“

The magazine is available to subscribers from today, 28th April, and will be on newsstands and online from next week. The Facebook page also launches today: www.facebook.com/hivheroes; and aims to be one of the most widely visited and ‘liked’ HIV related pages on Facebook, demonstrating to the world a community of people for whom the HIV virus carries no social stigma exists.

This campaign aims to show that a community of people around the world willing to publicly show their support and become #HIVHEROES online, even just by talking about HIV, people can become HIV Heroes.

In addition to lending their support socially to the campaign, individuals interested in getting even more involved, will be able to participate in an online auction later in the campaign when further copies of the magazine will be sold in an effort to raise

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