第108回AIDS & Society研究会議フォーラム報告

第108回AIDS & Society研究会議フォーラム
「コミュニティアクション2011(Community Action on AIDS 2011)報告」

 AIDS & Society研究会議の第108回フォーラムは2012年1月18日(水)午後6時半から8時まで、「コミュニティアクション2011報告」をテーマに東京・四谷三丁目の「ねぎし内科診療所」で行われた。あいにくの寒波で出席者は13人と少なかったが、フォーラムでは長谷川博史実行委員長が冒頭あいさつで、コミュニティフォーラム2011の意義やキャンペーン実施に至る経緯について説明した後、宮田一雄実行委員が実施結果を報告。さらに参加者全員による質疑と意見交換が行われ、2011年の世界エイズデーを中心に実施されたコミュニティ主導キャンペーンとしてのコミュニティアクション2011の評価、ならびに2012年以降のキャンペーン展開戦略をめぐる議論が熱くかわされた。以下に概要を報告する。


1 冒頭あいさつ コミュティアクションについて
コミュニティアクション2011実行委員長 長谷川博史
 コミュニティアクションは2006年に第20回日本エイズ学会学術集会・総会が東京で開かれた際、学会テーマのLiving Togetherに呼応して実施されたCommunity Action for AIDS ‘06が最初のキャンペーンだった。世界エイズデーの前後にテーマを共有した様々なイベントがあり、その中心にエイズ学会がある。そうしたかたちのキャンペーンを考えたのがきっかけだ。グッドプラクティスを互いに知ることで、コミュニティの活動が連鎖的に動くことへの期待もあった。

具体的には、Webサイトの構築、公式ガイドブックの製作を行い、エイズデー前後のイベントなどの情報を紹介するとともに、Living Together宣言を発表し、その宣言への賛同を呼びかけた。

 2010年度には、コミュニティアクションは行われていないが、世界エイズデー啓発キャンペーンのテーマ策定プロセスをコミュニティ参加型で進めるという新たな動きが生まれた。2011年度も同様のテーマ策定のプロセスを進め、そこから「エイズとわたし」をテーマの核にするというコンセプトが打ち出された。さらに、テーマ策定プロセスと同時に、キャンペーンとして具体的なアクションを起こす方策もさぐり、2006年の経験を踏まえてコミュニティアクションを復活させた。Webサイトは残し、今年、来年と継続するための枠組みを固めるに至っている。


2 コミュニティアクション2011実施報告 実行委員 宮田一雄

コミュニティアクション2011は「エイズとわたし」という統一したコンセプトのもとで、厚労省や地方自治体の世界エイズデー啓発キャンペーンと協調しつつ、同時並行的に進められたコミュニティ主導のキャンペーンである。具体的には、「エイズとわたし つながるコミュニティ」をテーマに展開し、公式サイトを10月1日に開設した。
http://www.ca-aids.jp/

公式サイトは原則として土日と祝日以外は毎日更新を心がけ、サイトを訪れた人が毎回、何か新しい情報を入手できる状態を目標にした。目標はほぼ実現できたと思う。新着情報の更新は12月28日で終了したが、サイト自体は継続して公開している。また、ツィッターによる情報発信も適宜続けている。実施概要は以下の通りである。

【実施期間】
2011年11月15日(火)~12月31日(土)
【実施内容】
 1. 共通課題による全国的なエイズイベント開催の促進
2. 全国のエイズイベントの情報集約と広報支援
   ★10月1日(土)  公式サイト開設
   ★12月28日(水)  新着情報更新終了
【実施体制】
コミュニティアクション2011実行委員会:
長谷川博史(委員長、JaNP+)
荒木順子(コミュニティセンターakta)
宮田一雄(エイズ予防財団、エイズ&ソサエティ研究会議)
中村正(エイズ予防財団)

事務局: 公益財団法人エイズ予防財団

呼びかけ人:
日本HIV陽性者ネットワーク・ジャンププラス(代表:長谷川博史)
コミュニティセンターakta(代表:荒木順子)
MASH大阪(代表:鬼塚哲郎)
エイズ&ソサエティ研究会議(代表:根岸昌功)
アフリカ日本協議会国際保健部門(ディレクター:稲場雅紀)
エイズ予防財団(理事長:木村哲)

【成果】
 ・イベント情報     
   全国各地で実施されるイベントの情報を掲載          64件
 ・Features
   コミュニティアクション2011期間中のHIV/エイズ関連ニュース 26件
・わたしのエイズ宣言
さまざまな立場の人が自分にとってエイズの流行とは何かを投稿 18件
・賛同者(個人) 24人                       
・賛同団体   22団体
・ツィッターによる情報紹介
   info@ca-aids.jpによるツイート及び実行委員によるリツイート 多数
・チラシの作成配布(エイズ予防財団) 2万枚
全国138自治体、380拠点病院、NPO64団体に送付
   イベント会場などでの配布

【背景】エイズ予防財団の視点から
・財団法人エイズ予防財団は2009年11月、名古屋で開かれた第23回日本エイズ学会学術・総会で「エイズ予防財団はどう変わるのか」というセッション(公開討論会)を開催。公益法人化に向けて、これまでの厚生労働省の外郭団体的性格とは異なるエイズ予防財団の新たな可能性を検討した。その会合の議論から行政とNGOの連携協力推進の受け皿としての機能を担うことへの期待が高いことが把握された。
・《行政とNGOの連携協力推進の受け皿》としての機能を啓発の面から追求するため、2010年には世界エイズデー啓発キャンペーンのテーマ策定プロセスを模索し、フォーラム、ワーキングループを開催。そこで得られた議論をもとにテーマ候補案を厚労省に提出して、採用された。
・2011年4月、公益財団法人エイズ予防財団発足。具体的なキャンペーンの実施を視野におきつつ、コミュニティ主導のテーマ策定プロセスに取り組み、世界エイズデー啓発キャンペーンのテーマについてはエイズ予防財団から厚労省に提案した複数のテーマ案の中から『エイズとわたし~支えることと 防ぐこと~』が採用された。
 ・低予算で実施可能なコミュニティ主導キャンペーンとしてコミュニティアクション2011を企画、実施した。コミュニティアクション2011のテーマは『エイズとわたし つながるコミュニティ』とした。厚労省主唱のキャンペーンとはメッセージの主要部分を共有しつつ、一方で異なる視点として『つながるコミュニティ」を取り入れた。

【コミュニティアクション2012に向けたいくつかの論点】
・実施期間をどう設定するか。
・テーマ策定のプロセスを早めに開始できないか。
・紙のメディアをどう考えるか。
・キャンペーン継続のための財源をどのように確保していくか。


3 ディスカッション(意見の一部を紹介する)

・エイズ予防指針の改正でも「NGOと行政の連携推進」が強調されている。コミュニティアクションは連携推進の先行例になり得るのではないか。
・NGOと行政の連携推進については、必要だが、NGOと行政との住み分けが明確に示されていない面もある。具体的にどう連携していけるのか、行政が担うべき機能は何か、方向性が依然見えない。
・NGO側にも連携の準備ができていない。NGO同士がどうつながっていくのか。互いの活動に関心を示さず自己完結している傾向がある。限られた資金と人材の中で過重な負荷がかかり、横のつながりを持つための余力がないという事情もあり、深刻な問題ではないか。 
・コミュニティアクションは自立性を保つことも大切である。
・コミュニティアクションでは、企業の参加も重要である。キャンペーンの実施という意味で、つながる相手としての参加の拡大を今後も求めていきたい。
・(企業の啓発担当者から)弊社はHIV/エイズ啓発活動を10年以上続けているので、継続していくことの大切さは浸透している。コミュニティアクションについても社内の会議で報告している。一方で昨年は別の企業とのコンタクトが少なく、啓発活動が少しおとなしくなっていたのかなと感じた。
・紙のメディアの可能性として、事前にイベント情報を集めたカタログを作成するという案は、工程的に困難。10月上旬に締め切りを設定してもイベント情報が十分、集められない。
・むしろ、毎年のコミュニティアクション終了時に、雑誌形式の報告書を作成するといった発想の方が、紙のメディアの記録性、確認性と行った機能を生かせるのではないか。
・コミュニティアクション実施報告とあわせ、その年のHIV/エイズ対策がどうだったのかが把握できるようなかたちの編集も可能ではないか。
・非常に魅力的なアイデアであるが、費用や編集スタッフの問題も含め、実現可能性を探っていく必要がある。
・ウエブサイトの報告では動画の活用なども考えられるのではないか。
・長谷川さんの最初の報告にあったように、2012年はもう一度、日本エイズ学会学術集会・総会との連動を考えてもいいのではないか。

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