震災復興と世界の感染症対策の両立を 2011年度第1次補正予算に関する声明


(解説) 2011年度当初予算で認められていた世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)への拠出金159億円が、4月22日に閣議決定した第1次補正予算案で全額カットされ、補正予算の財源の一部に回ることになりました。この決定に対し、アフリカ日本協議会が再考を求める声明案を作成し、AIDS & Society研究会議に対しても賛同の要請がありました。声明の趣旨に賛同し、発表はアフリカ日本協議会とAIDS & Society研究会議の連名で行われましたので、以下に声明要旨並びに全文を紹介します。


2011年度第1次補正予算に関する声明

震災復興と世界の感染症対策の両立を
=世界エイズ・結核・マラリア対策基金への拠出見送りの再考を求めます=
(特活)アフリカ日本協議会
(特活)エイズ&ソサエティ研究会議

<要旨>

政府は、4月22 日に閣議決定した第1次補正予算案において、本年度当初予算で認められていた世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)への拠出金159億円を全額カットし、補正予算の財源の一部とすることを決めました。 私たちは、震災復興のための補正予算の迅速な策定について政府に敬意を表する一方、以下の理由から、その再考を求めます。

1. エイズ・結核・マラリアの三大感染症は、世界で年間500万人以上の命を奪い続けている「静かな津波」です。国際社会は、三大感染症との闘いに資金を供給する「世界基金」を継続して支援し続ける必要があります。未曾有の災害を受けた我が国が世界基金への支援を継続すれば、我が国への世界の信頼は揺るぎないものとなり、将来にわたる我が国の財産となります。

2. 世界基金は発足以来これまで650万人の命を救い、最も効率的な国際機関として評価されています。我が国は、世界基金の創設を提唱し、その後も世界第3位の拠出国として、世界基金に貢献し、世界の感染症との闘いをリードしてきました。最貧国を含む世界140以上の国々からの温かい支援は、こうした我が国の貢献への「恩返し」です。「思いやり」と「恩返し」の絆を結び続ける上で、世界基金への支援は不可欠です。

     ◇
    
3月11日に我が国を襲った東日本大震災は、我が国近代史上稀に見る巨大な災害を引き起こし、1ヶ月たった今でもその傷跡は癒えていません。私たちは、震災で亡くなった方々に深い哀悼の意を表すると共に、被災した方々に心からのお見舞いを申し上げます。

震災から1ヶ月以上たった4月22日、政府は震災復興のための4兆円規模の第1次補正予算を閣議決定しました。政府は、この財源を捻出するために、本年度当初予算のいくつかの費目を減額しましたが、その中に、本年度の政府開発援助(ODA)、とくに、世界のエイズ、結核・マラリア対策に活用するための「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(世界基金)への拠出金159億円全額が含まれていました。政府は、本年度当初予算からの世界基金への拠出を全額カットしたのです。私たちは、世界のエイズ・結核・マラリア対策に取り組んできた立場から、世界基金への拠出の全額転用について、これを再考することを求めるものです。

エイズ・結核・マラリアの三大感染症は、世界で年間500 万人以上の命を奪う「静かな津波」です。世界基金は、人類の三大感染症との闘いにおいて最も有効に機能している機関の一つです。世界基金は2002年に設立されてからこれまで、650万人におよぶ人々の命を、エイズ・結核・マラリアの三大感染症の脅威から救ってきました。また、世界基金は2000年の沖縄サミットでその創設が決定されたことから、我が国が世界基金の「生みの親」と言われています。三大感染症の猛威は未だ深刻であり、国際社会は、継続して世界基金を支援する必要があります。我が国が未曾有の災害に直面しながらも世界基金への支援を継続したとすれば、世界の我が国への信頼は揺るぎないものとなり、将来にわたって我が国にとっての財産となることでしょう。

一方、私たちは、この震災に対して、貧しさや紛争のただなかにある国々を含め、世界の140以上の国々から緊急援助隊の派遣、物資や資金の提供を受けています。世界で最も多くのHIV陽性者を抱える南アフリカ共和国は、日本に緊急援助隊を派遣しました。エイズやマラリアとの闘いのただなかにあるサハラ以南アフリカ諸国からも、数億円にのぼる寄付が寄せられています。「自国の発展や貧困削減にODAで貢献してくれた日本に、ぜひとも恩返しをしたい」というのが、これらの国々の思いです。

被災地で活動しているNGO などには、今回の地震で被災した方々から、「遠いハイチやアフリカで災害に苦しんでいる人々の思いに、初めて共感できた」という声が寄せられています。国境を越えた「思いやり」や「恩返し」の絆を大切にすることは、復興への早道ではないでしょうか。私たちは、震災で未曾有の経験をしている現在だからこそ、こうした絆を断ち切るのではなく、震災救援・復興と世界の貧困の解消、感染症との闘いとを両立させていくことが必要ではないかと考えています。

菅直人総理を始め、政府の皆様には、どうか世界基金への拠出の全額カットを再考し、国境を越える助け合いの絆を結び続けて頂ければ幸いです。

2011年4月25日

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