2011国連エイズ特別総会ハイレベル会合へのロードマップ


(解説)  6月の国連エイズ特別総会ハイレベル会合に向けて、世界HIV陽性者ネットワーク(GNP+)と世界エイズキャンペーン(WAC)が作成したロードマップについては先日、紹介させていただきました。GNP+のサイトに掲載されているそのロードマップ文書のPDF版のうち、最初の《要点》と《概要》の部分の日本語仮訳です。
 日本陽性者ネットワークJaNP+の関係者が翻訳したものを参考にさせてただき、背景説明的な記述も加えつつ、かなり意訳に近いかたちで加筆修正を行っていますので、仮訳の文責(というのもちょっと変な感じがしますが、まあとにかく)は、HATプロジェクト翻訳チーム(単数)にあります。


HIV予防、治療、ケア、支援のユニバーサルアクセス
責任と人権: 2011年以降のHIV対策の再生に向けて

2011 ロードマップ(UNAIDSによる2011ロードマップ<2011年2月>を基に作成)
http://www.gnpplus.net/images/stories/conferences/conferences/GNP_WAC_HLM_Roadmap.pdf


《要点》
・ 国連エイズ特別総会2011 ハイレベル会合(HLM)は、各国がHIV/エイズ対策を国際安全保障課題として再確認する重要な節目の会合である。
・ この会合は 、ユニバーサルアクセスの達成には何が必要なのかをとらえなおす機会となる。
・ HIV陽性者やHIV感染の流行に影響を受け、感染リスクにさらされやすい人々こそが、こうした動きを世界に伝える重要な役割を担っている。
・ 2001HLMと2006HLMは非常に大きな成果をあげてきた。
・ 2011HLMも同様の貢献を約束する会合にしなければならない。
・ 事前の交渉プロセスを包括的に把握する。
・ 政府や国、市民社会組織の方針に影響をもたらす機会となる。


《概要》
このロードマップは、HIV陽性者、およびそれを取り巻く幅広い市民社会の人々が、国連エイズ特別総会(UNGASS)ハイレベル会合(2011年6月8日ー11日)と同会合の準備手続きに関し、実態として影響力を行使できるかたちで参加し、意見を反映させることを目指して作成されたものであり、その目標を実現するにはどこから始めたらいいのかということを中心にまとめている。このロードマップにもとづき、市民社会は2011HLMの開催にさきがけて、国レベル、地域レベル、世界レベルで準備を進めていってほしい。

HIV陽性者またはHIV感染の影響を受けている人々は、次のような方法を通して2011HLMでまとめられる「成果の宣言」に影響力を行使することができる。

・ 先行する宣言や約束の実現された点 実現されなかった点を調べる。
・ 上記の実現された点、されなかった点をもとに市民社会としての新たな声明を発表する。
・ HIVに関する取り組みを2、3年ごとに検証する仕組みに参加する。
・ HIV予防、治療、ケア、サポートへのユニバーサルアクセス(資金調達面を含む)達成という約束を再確認するための道筋を示す。
・ すべてのHIV陽性者、およびHIV感染の流行に影響を受けている人々の人権を守るという明確な目標をその中に盛り込む。

国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、現時点で有効性の高い「成果の宣言」を作成するには以下のような内容を含む必要があると考えられる。
・ 2015年までにHIV予防、治療、ケア、支援のユニバーサルアクセスを達成することを国際社会が約束する。
・ これまでの宣言の中の達成された点や大きな進歩が見られた点を確認し、それを新たな足がかりとする。一方で、いまなお未解決の問題や課題を分析し、HIVの新規感染、およびHIV感染に関連するスティグマや差別、AIDSによる死亡をなくすことを目指して、画期的な成果が期待できる結果志向のロードマップ(工程表)を提示する。

・ 各国が自ら対策に取り組むことを支援し、開発分野の新たな環境における新興経済国の政治的な役割の重要性を強調しつつ 課題解決に主導的な役割を担う市民社会の力を強化する。同時に「流行を知り、対策に臨め(それぞれの国や社会が自らの流行の特性を踏まえて対策に取り組む)」との方法論に基づき、成果評価システムを充実させる。こうした方策を通し、それぞれの役割分担を明確化する。
・ 革新的な対策コスト削減策を工夫し、実行するよう加盟国、市民社会、民間セクター(企業)に働きかける。新規感染者を大幅に減少させること、治療を簡素化すること、保健医療技術を予防に応用することなどが含まれる。
・ エイズ対策とミレニアム開発目標の課題を達成するため、HIV/エイズ対策とその他の保健、開発関連課題との連携を最大限に強化する
・ HIVの垂直感染(母子感染)は防げること、それが女性の健康や母子保健に大きな利益をもたらすことを知らせ、垂直感染をなくすことを目指す。
・ HIV陽性者やHIV感染の影響を受けている人々、とりわけ女性や若者が、実際に発言力を確保できるかたちで関与し、各国の国内レベルでも国際レベルでも、HIV/エイズ対策をもっと幅広い人が参加できる仕組みに変えていく必要がある。その努力を通して、自分が属する地域で自分たちならではの解決策を見出していけるように、問題解決の方法を民主的なものにし、それぞれの地域の知識を生かし、コミュニティのシステムや行動を持続的に強化していくことができる。

・ 「新規感染ゼロ、差別ゼロ、AIDSによる死亡ゼロ」の実現というビジョンを国際社会として約束する。

      ◇
このビジョンは有効性の高い「成果の宣言」をまとめるために考案されたものであり、HIV/エイズ対策の有効性を妨げるような論争を引き起こすことを意図するものではない。

差別を克服し、新規感染を減らし、近い将来におけるエイズ関連の死亡を回避することができるよう、エビデンス(根拠)に基づいた手段や方法、目標を盛り込んでいくための働きかけを行うことが市民社会の役割である。
      ◇

HLM(ハイレベル会合)は、各国がHIVに関する取り組みを国際安全保障課題として再認識し、ユニバーサルアクセス達成という目標に再び行動の焦点を定めるうえで重要な節目となる会合である。HIV陽性者、およびHIV感染の流行に大きな影響を受けている人々、感染のリスクにさらされやすい人々は、 この点を広く世界に知らせるうえで重要な役割を担っている。2011年4月8日には、こうした認識にもとづいて、市民社会グループと民間企業を対象とした非公式の公聴会が開かれる。市民社会グループにとって、公聴会はHLMの準備プロセスに主張を反映させていく機会となる。HIV陽性者やHIV感染の流行に影響を受けている人々にとっては、自分たちの現状を明確に伝え、ユニバーサルアクセスを達成し、人権を確保していくうえで、何が障害になり、何が生かせるのかという考え方を共有する重要な機会でもある。

6月のHLMは、加盟国間で進められてきた折衝を集約し、その内容をまとめた「成果の宣言」ではHIV/エイズ対策に関する新たな約束や今後の対応策が示される。HIV陽性者と市民社会にとって、コミットメント宣言を採択した2001年の国連エイズ特別総会と、政治宣言をまとめた2006年の国連エイズ対策レビュー総会は重要な節目となった。これらの会議は政府に説明責任を認識させ、モニタリングや約束の履行を促すうえで有効な支援ツールの役割を果たしただけではなく、資金提供国が保健課題の政策的優先順位を高めることにより、かつてない規模での資金拠出を促す大きな影響力を持つことにもなった。

2001年6月のコミットメント宣言は、2000年9月の国連ミレニアム総会を受けて開かれた国連エイズ特別総会で採択されている。また、2006年の政治宣言は、先進諸国が2010年までにユニバーサルアクセスの達成を目指すことを約束した2005年のグレンイーグルスG8サミットを引き継ぐタイミングで、翌年にまとめられた。2011HLMはこれまでと異なり、直前の大きな会議でHIVや保健に関する重要なコミットメントが得られているわけではない。”Getting to Zero”戦略はHIV対策の維持、強化をはかるUNAIDSの提案であり、同時に市民社会も実現のための責任を負っている。HIV陽性者、およびHIV感染の影響を受けている人々は、HIV/エイズ対策が国際的な開発の課題から抜け落ちてしまわないよう、この機会を活かさなければならない。HIV対策の再活性化には、政治的な意思だけでなく、資金的な約束も必要だ。

2001年と2006年のHLMは非常に大きな成果を得ることができた。今回の会合では、加盟国はHIVに関する今後の検証の機会について、ミレニアム開発目標(MDGs)世界サミットに統合するべきだとの提案を行うかもしれない。こうした動きに対しては、広範な国際保健分野の課題の中にあってもHIVと人権の問題は現状よりさらに高い優先順位を保持すべき課題であることを確認しておくことが大切だ。HIV陽性者やHIVの感染に影響を受けている人々が参加することは、当事者が非常に苦労して手に入れた権利であり、検証のプロセスがどのようなかたちになるとしても、明確に受け継いでいかなければならない。

   ◇
参加の方法  Some ways to engage

・ 誰が政府代表団に入るのかをみきわめよう。
・ 政府代表団の中にHIV陽性者が必ず入るよう働きかけよう。
・ 国の現状報告の中に HIV陽性者とHIV感染の影響を受けている人々の意見が重要優先項目として反映されることを確認しよう。

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