「約束を果たす国 日本」はどこへ

(解説) 経済協力開発機構(OECD)の開発援助委員会(DAC)が2007年の加盟国の援助実績を発表しました。日本は2005年まで、政府開発援助の援助額で米国に次ぐ2位を維持してきましたが、2006年に3位に後退し、2007年には5位になりました。国際貢献の分野で「日本は金を出すだけ」などと批判されたのも今は昔。こうなると「資金貢献ですら影が薄い」ということになってしまいます。さすがに政府も危機感を持っており、福田首相もODA増額の意向を示していますが、どうなるのか。《「約束を果たす国 日本」はどこへ》は、途上国の開発や援助に取り組んできた国内のNGOが今回の事態を深刻に受け止め、共同で発表したプレスレリースです。


「約束を果たす国 日本」はどこへ
~OECD DAC援助実績数値発表を受けてNGO共同声明~

 2008年4月4日: 本日、経済協力開発機構の開発援助委員会(OECD DAC)は東京で記者会見を行い、加盟国の2007年の援助実績に関する暫定数値を発表しました。

 2007年のDAC加盟国の援助総額は1037億ドルであり、2006年より8.4%も減少しています(注1) 。中でも日本の落ち込みは激しく、前年比で30.1%も減っています。これにより、2006年に2位から3位に落ちた日本は、2007年には一気に5位まで転落しました。

 G8からロシアを除いたG7主要先進国の援助総額は過去2年間、イラクとナイジェリア向けの債務免除によって水増しされてきましたが、その影響がほぼ消えたことにより、実質的な援助の減少傾向が明らかになりつつあります。債務免除額を除いたG7の2007年の援助総額は628億ドルで、昨年よりも1.1%減少しています。G7は、2005年のグレンイーグルズ・サミットにおいて、援助を5年間で500億ドル増額するという約束をしましたが、その約束は一向に果たされていません。

 2008年G8サミットNGOフォーラム貧困・開発ユニット、Me Tooキャンペーン、教育協力NGOネットワーク(JNNE)は三者連名で、G8北海道洞爺湖サミットで議長を務める日本政府に対して、公約の実現に向けた緊急の対策を求めます。

 2008年G8サミットNGOフォーラム貧困・開発ユニット(注2)のリーダー 石井澄江(いしい すみえ:(財)ジョイセフ常任理事・事務局長)  「大変残念な結果です。国民一人当たりの援助支出額をとってみても、日本はDAC加盟国22カ国中、下から数えて3番目です。多くの途上国政府は、教育や保健など、貧困対策に重要な分野への国内支出を大幅に増やすことで、自助努力を強化しています。途上国自身がこういった努力を見せているときに、日本などの先進諸国が背を向けてしまっていいのでしょうか」

 Me Tooキャンペーン(注3)のスポークスパーソン、山田太雲(やまだ たくも:(特活)オック
スファム・ジャパン アドボカシー・マネージャー)  「毎日3万人以上が、予防や治療が可能な病気で命を落としています。福田総理大臣は、洞爺湖サミットでアフリカなど途上国の保健医療危機に対する国際的な行動計画を策定する方針を表明していますが、貧困対策の資金源の大部分を担う立場にあるG8自身が援助額を約束通り増やさないことには、これを信頼して自助努力に取り組む途上国は報われず、いかなる行動計画も机上の空論に終わりかねません。議長国である日本自身が援助を大幅に減らし続けていては、サミットの成功はおぼつかないと言わざるを得ません」

 教育協力NGOネットワーク(JNNE)(注4)事務局長 三宅隆史(みやけ たかふみ: (社)シャンティ国際ボランティア会 事務局次長兼企画・調査室長)  「日本の援助は、国民総所得(GNI)の0.17%に過ぎず、0.7%を目指す国連目標(注5)の達成に向けたタイムテーブルも公表されていません。確かに国内の経済状況は芳しくありませんが、日本の援助の経済や予算に占める割合は極めて小さいもので、援助を多少増やしても、国内経済に負の影響を与えるとは思えません。その一方で、援助を増やせば、現在小学校に通えない7200万人の子どもたちの就学機会の拡大に大きく貢献できるのです」

 サミットまで、残すところあと13週間しかありません。「約束を果たす国 日本」に向けて、福田総理の決断が求められます。


(注)
1.2007年の援助総額は1036億5500万ドル。これは2006年ドルに換算すると956億500万ドルであり、当時の援助額1044億2100万ドルより88億ドル減少したことになる。
2.北海道洞爺湖サミットが地球規模課題の解決に寄与するものとなるよう活動すべく、国内のNGO約120団体が集った「2008年G8サミットNGOフォーラム」。その中で、貧困と開発の分野で政策提言活動や現地支援活動などを行っているNGOが構成するのが、「貧困・開発ユニット」。構成団体数は69。「政府開発援助(ODA)」「保健医療」「基礎教育・児童労働」「貿易・投資」「革新的資金創出メカニズム」「ジェンダー」「気候変動と貧困問題」の問題について、提言活動を行っている。
3.北海道洞爺湖サミットにおいて、国際保健課題に対する実質的な解決策に向けた日本のリーダーシップを求め行われる、国内NGOによる共同キャンペーン。主催団体は、アフリカ日本協議会、オックスファム・ジャパン、ジョイセフ、ワールド・ビジョン・ジャパン(すべて、NGOフォーラム加盟団体)。http://metoo2008.jp
4.2001年に設立され、教育協力分野で活動するNGO、28団体による連合体。
http://www.jnne.org
5.1970年の国連総会で採択され、2002年のモントレー国際開発資金会議でも確認。しかし、この約束を果たしているのは、デンマーク、オランダ、ルクセンブルグ、スウェーデン、そしてノルウェーのみ。

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