グローバルパートナーシップによる貧困削減と世界的成長の推進

(解説) 3月26-27日にベルリンで開催されたG8開発大臣会合の議長サマリー。6月6日から8日までドイツのハイリゲンダムで開かれる今年のG8サミットに向け、主要議題の一つである開発政策について途上国からの代表も交え、議論が進められました。来年は日本がサミット議長国になるだけに、保健分野も含めた開発政策に関する議論の動向はきちんと把握して起きたいところです。オルタモンドの翻訳チームの皆さんによる日本語訳を掲載します。


G8開発大臣会合(2007年3月 ベルリン)議長総括

グローバルパートナーシップによる貧困削減と世界的成長の推進
(翻訳;オルタモンド翻訳チーム)

 2007年3月26、27両日、G8の歴史上初めて、G8各国の開発政策担当相がブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカ、OECD、アフリカ連合(AU)、アフリカ開発銀行(ADB)、東アフリカ共同体(EAC)、西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)、政府間開発機構(IGAD)、南部アフリカ開発共同体(SADC)の代表らと共に、ドイツG8議長国期間中のアジェンダの一つである開発政策の主要課題について話し合うためベルリンで会合した。これにより私達は、グローバルな私達の将来のために取り組むべき課題の解決策を見つけるために、G8が世界中のパートナーらと共に努力しているのだという、明確なメッセージを発信することとなった。
 会議における主要な論点は、ミレニアム開発目標の達成と持続可能な成長にG8がどのような形で貢献できるか、ということであった。このため、私達は具体的には「アフリカへの投資」「保健」「気候」「ジェンダーと女性のエンパワーメント」「グローバルパートナーシップ」「平和と安全保障」「地域経済協力」「ODAの増額と質の改善」という議題について、詳細に渡って議論した。

 アフリカへの投資: ミレニアム開発目標の達成には、経済活動が可能な環境、および広範囲な基盤を持つ民間セクター主導の成長を促進する環境をつくることが必要である。アフリカには過去2、3年間5%以上の安定した経済成長を遂げている国が多くある。この経済成長の理由の一部として、勇気ある改革とガバナンスの改善が挙げられる。ドイツのG8議長国期間中には、これらの建設的な開発を強化し持続可能な開発に寄与したいと考えている。目標の1つは、アフリカへの持続的な投資を増加していくことである。G8パートナーとアフリカのパートナーもこの目標を共有している。この目標を達成するための具体的な計画の一部として、特にアフリカの零細企業や中小企業にも利益となるよう設計された金融セクターにおける政策がある。これらの政策の結果、雇用と収入が生み出される。このプロセスでは特に、女性の支援および女性の経済活動への平等な参画を推進する。ドイツは既に、G8パートナーらに対してこのような政策を提案している。また、ハイリゲンダムのG8サミットに向けて具体的なイニシアチブを作り上げる予定である。私達はまた、貿易のための援助に関して既に行ったコミットメントを、G8が約束どおり実行することの重要性を議論した。

 保健: HIV/AIDS、マラリアおよび結核は、毎年悲惨な数の死亡者を出している病気である。だからこそ、私達はこの会議でこれらの病気克服に取り組むための最も効率的な方法を話し合ったのである。この中で私達は、2015年までにこれらの病気の拡大を止め後退させるという、ミレニアム宣言の中で行われたコミットメントを再確認した。私達は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)を引き続き全面的に支援することに合意した。私達は、現在進行中の増資ラウンドに対して十分な追加的資金を提供することにより、この合意内容を実行するつもりである。私達はまた、UNITAIDが収めた最初の成功にも注目した。さらに私達は、HIV/AIDS克服の闘いにおける女性と少女の特殊な状況に、より一層留意する必要があることを明確にした。これは私達のパートナー各国による保健プログラム、全ての援助供与者による二国間の活動、世界基金やその他の多国籍機関による活動について言えることである。これについては戦略的に新たな方向付けを行う必要がある。私達は、HIV/AIDSその他の命にかかわる病気に関連する広範囲な問題に持続的に取り組む方法を詳細に検討した。さらに、貧困層、不利な条件に置かれた人々、女性や子どもなどの特に被害を受けやすい層を含めた全ての人々が、確実に適切な医療を受けられるようにするには、私達はどうすればよいかを詳細に検討した。私達は、パリで2007年3月15、16両日に開催された国際会議「途上国における医療保障:病気と貧困の悪循環を断つために」に言及し、医療制度を確立、強化し、社会的保護の選択肢拡大を推し進めることに合意した。
 G8開発担当相は、HIV/AIDSの予防、治療および介護の状況を、2010年までにできる限り普遍的アクセスに近づけるというコミットメントを再確認した。しかし、医薬品の中には多くの国にとって手が出せない価格に設定されたものもある。このため、TRIPS協定(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)の柔軟性を最大限に利用することも含め、これらの医薬品の価格を下げるためにさらなる努力が必要である。

 気候: 私達は、最近発表された研究結果(気候変動に関する政府間パネルによる報告書である、スターン報告書(Stern Report))を認識した上で、気候変動の影響について話し合い、途上国が気候変動のもたらす影響によって特に大きな打撃を受けることを重要視するという点で合意した。今後暴風雨、洪水、干ばつ、森林火災の数が大幅に増え、途上国の人々の生活を脅かすことになる。私達はG8として、気候変動に対する適応策を主流に組み込むためにこれら適応策を私達の開発プログラム全てに取り入れ、気候変動に適応するための新たな方法の開発と革新的な資金源の検討に取り組む必要性について議論した。私達はまた、途上国における森林破壊を原因とする温室効果ガス排出を削減するために、森林保護を特に重視する必要があることに合意した。

 ジェンダー: 私達はG8として、持続的な貧困削減は、女性と男性が同じ権利と義務(教育を含め)を持つことによってのみ実現するという見解を確認した。このため私達は、女性の権利を強化し、女性の機会均等を確保できるようにするための二国間開発協力を引き続き行うことを確認した。同時に私達は、女性の経済的エンパワーメントのための手段として私達が適切と考える、世界銀行のジェンダー行動計画を引き続き支援する。

 グローバルパートナーシップ: ドイツ議長国期間中のG8のアジェンダでは、世界的な問題に関する先進工業国と振興経済国のより緊密な協力が重要な課題となっている。グローバル化した世界では、貧困との闘いおよびミレニアム開発目標の達成は、民間セクターも含め、G8、新興経済国、途上国の共通の責任として捉える必要がある。現在私達が直面している課題を解決するには、グローバルパートナーシップが必要なのである。
 私達、G8開発担当相およびブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの代表は、開発問題について対話を継続し、三角協力(*)などの形で協力を展開していくことに合意した。
G8の開発担当相は、援助の透明性と開発協力の効率を高めるために、パリ宣言(*)の原則に沿って共に活動するよう新興援助供与者に促したい。私達はまた、採取資源からの収入が貧困との闘いに一層使用されるべきことに合意した。また、採取産業透明性イニシアチブ(Extractive Industries Transparency Initiative EITI、*)が原料セクターにおける支払いフローの透明性を高める一つの方法であることに合意した。この点に関してG8・新興経済国間の対話を促進させるために、2007年にドイツは原料セクターの透明性に関する世界会議を主催する。

*訳注: パリ宣言: 国連ミレニアム開発目標をはじめとする国際社会共通の開発目標を達成するためには援助の質・量ともに向上することが不可欠であり、その中で、援助の質を高めて援助効果を向上するために必要な措置について、ドナーとパートナー国(被援助国)双方の約束事項とまとめたもの。
(引用元:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/kaigi/asia_rf2006_gh.html

*訳注: 採取産業透明性イニシアティブ: 2002年イギリスのブレア首相の提唱で発足。政府、産業界、市民団体が参加し、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、中央アジアの資源産出国のうち22カ国が承認している。石油、ガス、鉱業資源が豊かな国が膨大な利益を得ても、ガバナンスが確立していなければ収益が一部エリートに集中し、かえって貧困や紛争を助長する。このような、いわゆる「資源の呪い(resource curse)」を打破するには資源の開発収益の流れを透明にすることが必要であり、これをEITIは目指す。(引用元:http://www.janjan.jp/world/0612/0611305608/1.php

*訳注:途上国が持っている優れた実践経験と能力を基に、先進国の資金的・技術的支援を得て、開発課題に取り組む、南南協力の一形態。引用元:http://gc.sfc.keio.ac.jp/class/2003_14635/slides/10/3.html

 紛争予防: 私達は、アフリカ各機関の代表と共に、長期的な平和構築と武力紛争の予防に関わる問題について話し合った。アフリカ連合とアフリカの地域機関は、アフリカ内部の武力紛争を解決し平和を確保するために、アフリカ的な解決策を採用できるような体制を既に構築し始めている。共同セッションの中で私達は、G8がアフリカにおける平和維持のための努力に対する資金調達の確保を含め、引き続きこれらの活動を支持する必要があることに合意した。しかし、私達は長期的には軍事的解決策だけでは平和の確保には不十分であることをも再確認した。むしろ、安全保障が一般的となるような、政治的、経済的、社会的条件を整える必要がある。私達は、これらの条件にはグッドガバナンス(良い統治)、経済面、社会面、安全保障面での地域協力の強化、資源の違法な搾取の予防が含まれることに合意した。

 地域経済協力: アフリカの各機関の代表と議論する中で、私達は地域経済協力が開発の鍵となり得るという点で合意した。つまり、購買力が低く市場が断片化している状況では、国境を越えた経済活動が新市場の開拓を可能にし、これによりアフリカ経済の拡大が可能になるのである。このため私達は、国境を越えた基盤整備をさらに促進することに合意した。また、地域経済協力を担うアフリカの各機関の能力強化を支持し、地域社会や市民社会の重要な役割に配慮することによって、これらの機関に対して一層の支持を提供することに合意した。
ODAの増額と質の改善:議論の中で私達は、ミレニアム開発目標を達成するにはいくつかの条件を整える必要があることを話し合った。つまり、私達のパートナー国は、開発を可能とする体制の台頭をサポートするという自らの役割を果たさなければならない。ドーハ開発ラウンドでは開発推進志向の結論に達する必要がある。先進国は、パリ宣言の原則に従って開発協力を効率化し、またODA増額の公約を守らなければならない。このためドイツも、ODAを段階的に増額するというEU合意の枠組み内で行った公約を実行する必要がある。つまり、2010年までにODAの割合を0.51%に、2015年までに0.7%に増額しなければならない。さらに、G8は2010年までにアフリカへの資金供与を倍増させるというコミットメントを順守しなければならない。これら全てが確実に機能して初めて、長期的な持続可能な開発への進展が可能となるのである。

 私達は、ブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカ、OECD、AU、ADB、EAC、ECOWAS、IGAD、SADCの代表に対して、私達の会議に参加し、各自の具体的な見解を提供して議論の質を高めていただいたことに感謝したい。私達はこの会議で述べられた意見を取り上げ、今後のG8およびTICAD(アフリカ開発会議)プロセスに活かしたいと考える。またそれによって、ハイリゲンダムG8サミットで確実に実質的な結果を出せるようにしたいと考えている。

            (翻訳;オルタモンド翻訳チーム)




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