アジア・太平洋地域におけるユニバーサル・アクセスに向けた現実的解決策

(解説)ユニバーサル・アクセスは、必要な人は誰でもHIV/エイズに関する予防の情報や手段を得られ、治療やケアを受けられる状態を世界中で実現しようという大目標です。治療に関しては、2005年末までに途上国のHIV陽性者300万人が抗レトロウイルス治療を受けられるようになることを目指すWHOとUNAIDSの「3バイ5」計画がこの3年間の世界の大目標でしたが、残念ながら2005年末の計画達成は実現しませんでした。しかし、ここで落ち込んでいるわけにはいかないというわけで、2010年までにユニバーサル・アクセスの実現にできる限り近づけるというのが次の新たな目標となりつつあります。2005年12月23日に国連総会で採択された決議に基づき、各地域でその目標の実現に向けた協議が開かれることになりました。



アジア・太平洋地域におけるユニバーサル・アクセスに向けた現実的解決策

ユニバーサル・アクセスの実現を目指すアジア・太平洋地域協議
2006年2月14-16日、タイ・パタヤ
 http://www.unaids.org/en/Coordination/Initiatives/uafeature_AP_Consultation.asp

「アジア・太平洋地域におけるHIV感染の流行は、移住労働者、セックスワーカー、薬物使用者などすでに社会からはじき出されたり、犯罪者として扱われたりしているコミュニティに対し、最も破壊的な打撃をもたらしているケースがほとんどである。すべての人にこの点を認識してもらいたい」(Ashar Alo Society事務局長で、市民社会スポークス・パーソンであるMs. Habiba Akhterの開会式でのスピーチ)

実現の障害がどこにあるかを示し、国レベルで具体的な解決策を明らかにする
HIVの予防、治療、ケア、支援の規模を拡大し、2010年までに可能な限り治療のユニバーサル・アクセスに近づくことを目指す今回のアジア・太平洋地域協議には、域内各国の政府や非政府組織、宗教関係組織、HIV陽性者の団体、企業などの代表が参加した。会議の目的は各国レベルおよび地域レベルでHIVの予防、治療、ケア、支援の規模拡大を妨げているのは何かを特定し、解決策を各国レベル、および地域、世界レベルで示すことにある。会議はまた、エイズ対策をさらに推進していくためには、どんな活動が現実に効果があるのかについても検討した。

エイズ監視機関の創設
  政府、市民社会、資金拠出者、その他のエイズ関係者によってなされた約束の履行状況を見ていく地域的なエイズ監視機関を創設することが、協議の最も重要な提言となった。

価格交渉と調達のための地域的メカニズムの創設
  もうひとつの強調すべき提言は必需品の価格と入手可能性に関するものだ。ひとつの薬に対し、地域内の21カ国で21通りの価格がある。こうした現状を踏まえ、価格交渉と調達のための地域メカニズム、および各国レベルのプログラムを支援するための技術支援地域メカニズムの考え方が会議参加者の支持を得ることになった。各国代表団は地域内におけるジェネリック薬製造能力の拡大を強く求める提言を行なった。

資金ギャップの解消
  各国レベルの行動に関しては、政府と資金拠出者に対し、国内の予算確保や徴税その他の方法の工夫、感染の高いリスクにさらされている人々に対する予防サービスに関連した資金などの無償資金供与、プロジェクトからプログラムへの資金拠出の移行などの方法によって、HIV/エイズに関する資金確保を優先させ、資金の格差を解消させることを会議参加者は要請した。

偏見と差別に対する取り組み
会議参加者はまた、特定の感染リスクの高い行動について、各国が犯罪として扱わないようにすることを提言し、職場および保健医療機関、教育機関における差別の根絶を目指す時限立法の策定や政策の見直しを求めた。参加者はさらに保健、コミュニティネットワークにおいて、必要な人すべてを対象にした広範な匿名検査カウンセリング・サービスの提供を提言した。ジェンダーに関する差別と取り組むため、参加者は各国政府に対し、ジェンダーに配慮した政策とプログラムを促進するよう提言した。

参加型の方法
市民社会は協議において積極的な役割を果たし、国レベルおよび地域レベルで自らの役割を拡大するため、強力に主張を展開した。会議参加者は各国の政策およびその政策決定機構において市民社会にも平等な代表権と決定権を認めるよう提言し、市民社会の能力向上と人材確保のために国の予算を充てる必要があることを示唆した。
 UNAIDSの太平洋地域特別代表であり、フィジー議会の議長でもあるRatu Epeli Nailatikauは開会式でこう語った。
 「ほんの3年か4年前には、フィジーで自らHIV陽性者であることを認める人は誰もいなかった。いまではHIV陽性者はHIV/エイズとの闘いにおける最も大きな財産である」

 地域内の13カ国がすでにユニバーサル・アクセスの実現に向けて対策の規模拡大をはかるための国内協議を行なっている。その他の諸国も2006年3月末までには協議を計画している。各国には、市民社会とHIV陽性者が協議にきちんと参加すること、そしてその協議の成果を目標設定や計画の見直しに生かすことが求められている。

 今回の地域協議の提言全文と各国報告は、アジア・太平洋地域の地域報告としてまとめられ、2006年5-6月に開催される国連総会で検討されるユニバーサル・アクセスに向けた世界報告書作成のための資料として活用されることになるであろう。

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