UNAIDS/WHO「HIV/AIDS最新情報2005年版」について

 (解説)国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)が毎年世界エイズデーの前に発表している「HIV/AIDS最新情報2005年版」が11月22日に世界同時発表されました。日本では厚生労働省で、アフリカ日本協議会(AJF)、AIDS&Society研究会議(JASA)が記者会見を行い、NGOとしての見解を発表しました。ここではAJF/JASA共同仮訳のUNAIDS/WHOプレスリリースを紹介します。 
 (報告書日本語版はエイズ予防財団のサイト
  http://api-net.jfap.or.jp/siryou/worldnow/2005/2005.htm  で見ることができます)

UNAIDS/WHOプレスリリース(AJF/JASA共同仮訳)

ジュネーブ発 2005年11月21日

HIV感染率はいくつかの国で下がっているが
世界の感染者数は増え続けている

UNAIDS/WHOの新しい報告によれば、エイズの流行を押しとどめ押し返すには、
HIV感染予防と治療の一層の強化が求められる


ジュネーブ発 2005年11月21日:成人のHIV感染率がいくつかの国で下がったこと、そのために重要なのは感染を予防する行動変容 - コンドームを使用する、初めての性的経験を遅らせる、セックス・パートナーを減らすなど- であることが、新たに明らかにされた。しかしながら新しい国連報告は、HIV感染は全般的に増加傾向にあり、流行を押さえるには、さらにHIV感染予防の一層の強化が必要であることを示している。

ケニア、ジンバブエとカリブ海沿岸のいくつかの国では、ここ何年かHIV陽性率の低下が見られる。ケニアでの成人の陽性率は、90年代後半の10%を頂点に、2003年には7%に下がり、ジンバブエの妊婦の陽性率は、2003年の26%から2004年には21%になった。ブルキナファソ都市部の若い妊婦の陽性率も、2001年の約4%から2003年には2%以下になった。

この最新の調査結果は、国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)が毎年刊行している「エイズ最新情報」の2005年版に示されている。予防に焦点をあてたこの合同報告書は、12月1日の世界エイズ・デーにさき立ち、本日発表された。

カリブ海沿岸のいくつかの国(バハマ、バルバドス、バミューダ、ドミニコ共和国、ハイチ)で見られる新たな事態は、慎重さが必要だが明るい見通しをもたせる。妊婦の陽性率は明らかに下がり、セックス・ワーカーのコンドーム使用に増加が見られ、自発的な抗体検査とカウンセリングが広がっている。

いくつかの国で陽性率が下がっているにもかかわらず、カリブ海沿岸を除く全地域で感染者数は増え続けている。2005年には500万人が新たに感染し、世界の陽性者総数は、2003年の推定3,750万人から、過去最高の推定4,030万人に達した。エイズ関連疾患で2005年には310万人が死亡し、それには50万人以上の子供も含まれている。

報告書によれば、HIV感染が急増しているのは東欧と中央アジア(2003年からの2年間に25%増160万人)と東アジアである。それでももっとも深刻なのは、サハラ以南のアフリカ諸国であることに変わりはなく、世界の新規感染の64%(300万人以上)が集中している。

「いくつかの国で得られた成果、持続的なHIV感染予防プログラムが感染を抑える鍵だという事実は、私たちに勇気を与えてくれます。しかしエイズの広がりが、これを抑えようとする全世界と各国の努力を上回っているのが現実です。」UNAIDSのピーター・ピオット(Peter Piot)事務総長はこう語り、さらに次のように指摘した。「HIV感染予防プログラムの規模と射程を早急に拡大することが緊急に必要なのは明らかです。小規模で短期のプロジェクトを、長期の包括的な戦略にしなくてはならなりません。」

HIV治療のインパクト

この報告書では、過去2年間にHIV治療へのアクセスが飛躍的に向上したことについてふれている。低所得国・中所得国の100万人以上の人々が、抗レトロウイルス治療により、以前よりも長く生存し、よい生活を送ることができるようになっている。また、HIV治療へのアクセスの拡大のおかげで、推定25万~35万人の死亡が回避されている。

 2005年の報告書では、今後期待される予防と治療の統合によるインパクトの拡大について触れ、HIV/AIDSに包括的に対応するには、予防・治療・ケアをだれもが利用できる(ユニバーサル・アクセス)という究極的な目標に向けて、治療と予防の努力を同時に拡大することが必要である、と強調している。

 WHOのイー・ジョンウク(Lee Jong-Wook)事務局長は、「成果を挙げるには、HIV治療と予防を別々に行うのではなく、関連づけて拡大していかなくてはならないことは明らかです」と述べた。「治療が可能になるということは、HIV予防の情報提供や自発的なカウンセリング・検査を実施していく上で、政府にとっての強力なサポートになるし、人々がこうしたサービスを利用しようとする動機付けを強めることにもなります。効果的な予防によって、ケアを受けなくてはならなくなる人の数を減らすことができ、治療へのアクセスを持続的で達成可能なものにすることもできます」。

将来のHIV予防対策の強化に向けた課題

 新しい情報によると、ラテンアメリカ、東欧、そしてとくにアジアにおいては、注射による薬物使用とセックスワークの複合により、HIVの拡大が助長されている。その一方で、この複合に関する予防プログラムはほとんど実施されていない。この報告書では、若年層に対してはウガンダとタンザニアで、セックスワーカーと顧客に対してはタイとインドで、注射薬物使用者に対してはスペインとブラジルで、それぞれ行われた対策を例に挙げて、多様な状況に対して持続的で集中的なプログラムを実施することが、いかにHIV発生率の減少に貢献したかを示している。

 この報告書では、HIV予防策が実施されなければ、HIV陽性の女性が出産する子供の35%がHIVに感染してしまうと述べている。先進国では、母子感染はほとんど根絶され、その他の地域でも母子感染予防に関するサービスの利用率は増大しているが、サハラ以南アフリカ地域のほとんどでは、母子感染予防が未だに実現していない。この受け入れがたい状況を減らすために、母子感染予防サービスの拡大が早急に実現されなければならない。

 HIVとセイファー・セックス(安全な性行為)に関する知識レベルは、感染率が高い国、拡大している国を含め、多くの国々においていまだに低い現状にある。カメルーン、コートジボアール、ケニア、ナイジェリア、セネガル、ウガンダなど、サハラ以の24の国においては、15-24歳の若い女性の3分の2は、HIV感染に関する包括的な知識を持っていなかった。フィリピンで2003年に行われた主要な調査によれば、90%以上の住民が、HIV陽性の人と一緒に食事をするとHIVに感染すると考えていた。

 最後に、ラテンアメリカ、カリブ海沿岸、中東・北アフリカという複数の地域のいくつかの国では、HIVに関する動向調査(サーベイランス)の体制が弱いために、予防のための努力が妨げられている。調査がなされていないので、男性とセックスをする男性、セックスワーカー、注射薬物使用者など、感染リスクにもっともさらされている人々が、HIV予防や治療に関する戦略に含まれず、予防と治療を利用できないといった問題につながっている。


「エイズ感染症に関する年次最新情報」は、地球規模のエイズ感染症の最新の状況について報告している。2005年版では、当該感染症の動向と人数統計に関する最新の推測データが提供されているほか、当該感染症の動向変化の新しい傾向を明示し、また、HIV予防について一つのセクションとして特別に取り上げている。

Note to editors: The UNAIDS/WHO report is being launched in 19 cities worldwide on 21 November 2005. The main launch is being held in New Delhi, India.
編集者への注記:UNAIDS/WHOによる本件報告書は、2005年11月21日に、世界の19の都市で発表されている。主要な発表は、インドのニューデリーにおいて行われている。

より詳細な情報は以下へ問い合わせ下さい。

国連合同エイズ計画 報道事務所
Dominique de Santis, UNAIDS, Paris, (+41 79) 254 6803 (mobile)
Sophie Barton-Knott, UNAIDS, Geneva, (+41 22) 791 1697
Beth Magne-Watts, UNAIDS, Geneva, (+41 22) 791 5074
Jonathan Rich, UNAIDS, New York, (+ 1 212) 532 0255

世界保健機関
Klomjit Chandrapanya, WHO, Geneva, (+41 22) 791 5589.
WHO North American HIV/AIDS Media Line, (+1 212) 584 5031

報告書の完全版はUNAIDSのウェブサイトにて手に入ります。 http://www.unaids.org





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