世界エイズキャンペーン2005、およびその先

(解説)2005年と2006年の世界エイズキャンペーンのテーマは、国連エイズ特別総会で採択されたコミットメント宣言の実施状況に焦点をあてています。2005年の前半に出された文書なのでちょっと古いのですが、そろそろ世界エイズデーに関連した啓発行事が登場してきます。この機会に世界の動向も把握しておいてください。
原文はUNAIDSのウエブサイトhttp://www.unaids.org/en/events/campaigns/world+aids+campaign.asp
のRelated documents欄
「 Stop AIDS. Keep the Promise. World AIDS Campaign 2005 and Beyond」
13/7/2005 をご覧ください。


世界エイズキャンペーン2005、およびその先
 「ストップ・エイズ。約束を果たそう」の概要と背景

目次
・はじめに
・世界エイズキャンペーンについて
・キャンペーンのテーマ
  ・なぜ「ストップ・エイズ。約束を果たそう」なのか
・キャンペーン戦略
  ・キャンペーンのゴール
  ・戦略目標
  ・参加者
  ・2005年―2006年の主な機会
  ・キャンペーン素材
  ・ウエブ
  ・ミレニアム開発目標(MDGs)キャンペーンとの連携
  ・世界エイズキャンペーンのロゴ
・国連エイズ特別総会コミットメント宣言の主要テーマについて(略)
・キャンペーンの成功に向けたモニター(略)

はじめに
  この文書は世界エイズキャンペーンと、その2005年からのテーマ「ストップ・エイズ。約束を果たそう」について説明した戦略ノートである。国連スタッフをはじめすべての参加者にキャンペーンの全体像を示すことを目指している。テーマ決定に至る経過とキャンペーンの枠組みについても示した。さらに、世界エイズキャンペーンが国連によるキャンペーンから移行し、国連合同エイズ計画(UNAIDS)との緊密なパートナーシップに基づく市民社会のキャンペーンへと発展していった経緯も説明している。
  戦略概要である本文書に加え、2005年7月上旬には世界エイズキャンペーンのウエブサイト www.worldaidscampaign.org に補足資料を掲載する予定である。

世界エイズキャンペーンについて
  12月1日の世界エイズデーは世界保健機関(WHO)が1988年に制定を発表して以来、世界で最も有名な記念日として急速に普及し、現在では毎年、世界中で行事が行われている。

  UNAIDSは1997年、HIV/エイズに関するキャンペーンは年間を通して行う必要があるとして世界エイズキャンペーンを発足させた。

 1997-2004年は国連機関、政府、HIV/エイズ対策に携わる市民社会組織との緩やかな協力のもとにUNAIDSが世界エイズキャンペーンのまとめ役を担ってきた。たとえば2002―03年は「ライブ・アンド・レット・ライブ(生きる、救う)」のスローガンでHIV/エイズに関連する偏見と差別に焦点をあてている。

  世界エイズキャンペーンは国際社会がHIV/エイズを重要な課題として認識していくうえでは大きな影響を及ぼしてきたが、世界規模のキャンペーンとしての性格、および国連機関との強い結びつきが逆に妨げになり、国内、地方レベルでは潜在力を発揮しきれないこともあった。

  その中で2004年はキャンペーンの大きな移行期だった。「女性、少女、HIVとエイズ」がテーマだったこともあってキャンペーンは市民社会の役割を重視し、UNAIDSからNGOへ、国連から市民社会へと運営主体が移っていった。
 
  キャンペーンにおける市民社会の役割を強化するため、各国NGOの代表による世界運営委員会が設立された。現在の委員はブラジル、オランダ、ロシア、南アフリカ、タンザニア、米国からの代表である。UNAIDS事務局や世界エイズ・結核・マラリア対策基金、ICASO、GNP+/ICWといった主要な組織の代表、労働運動その他の参加者の代表も加わっている。

  キャンペーンはオランダのアムステルダムに小さな国際事務局を置き、活動のコーディネートにあたっている。事務局は各地のニーズや文化と密接に関係するアドボカシー活動に焦点をあて、キャンペーンの国際的なネットワーク作りを呼びかけている。

  世界各国が国連エイズ特別総会のコミットメント宣言でHIV/エイズキャンペーンに主体となって取り組むことを約束していることから、世界エイズキャンペーンは「ストップ・エイズ。約束を果たそう」の総合テーマのもとで各国の活動を一つの大きなキャンペーンへと結び付けていくことを目指している。

  コミットメント宣言は2001年6月、エイズとの闘いの目標を定め、国連エイズ特別総会の全参加国の賛成で採択された。国連機関と各国政府は宣言で示された約束の実行に向けて協力し、市民社会は強化された世界エイズキャンペーンを通じてキャンペーン、アドボカシー活動を推進しようとしている。

  UNAIDSはこの間、市民社会の応援を受け、キャンペーンを支えてきた。世界エイズキャンペーンにおけるUNAIDSの役割は以下の通りである。
・UNAIDSはアドボカシー活動の普及を助け、キャンペーンの連携を広げるなど引き続き推進者として活動する。
 ・UNAIDSはキャンペーンの素材提供およびテーマの策定を助ける。
 ・UNAIDSは主に各国レベルで世界エイズキャンペーンとその参加者に技術的な援助、戦略に関する情報を提供する。
 ・UNAIDSは市民社会と国連機関、加盟国の協力拡大を推進する。
 ・UNAIDSは、とくに世界レベルでキャンペーンの協力関係作りの仲立ちを行う。
  2005年のUNAIDS事務局の世界エイズキャンペーン担当者はCheryl Bauerle コンタクトは bauerlec@unaids.org 。

キャンペーンのテーマ
なぜ「ストップ・エイズ。約束を果たそう」なのか
  「ストップ・エイズ。約束を果たそう」は2003年の協議でテーマの候補になった。そのときは、「エイズとの闘いに個人が責任を持とう」「アカウンタビリティ」など他にもいくつか候補があり、最終的に「女性とエイズ」がテーマに選ばれている。新たに発足した世界運営委員会は今回、コミットメント宣言とその後の政治的な約束の履行を求めることを視野に「ストップ・エイズ。約束を果たそう」を変身した世界エイズキャンペーンのスローガンに選んだ。

  各国元首、政府代表がコミットメント宣言に合意したことは、エイズ対策の歴史の大きな転換点だった。宣言は、HIV/エイズの流行がもたらした影響に対し、各国指導者が危機における指導力を発揮し、事態を正視して行動する必要があることをメッセージとして示している。エイズとの闘いは、世界中で多数の国が以前から約束しているが、地球規模の行動が必要な地球規模の危機としてエイズを捉えたのは初めてだった。

  コミットメント宣言は、予防キャンペーン、偏見の解消、保健基盤の確立、必要な資金の供給、治療とケアの確保、HIV陽性者の尊重など、各国が実行すべき約束を列挙している。約束の多くに締め切りが示され、宣言は政府、非政府の両方においてエイズの流行と闘うための行動、支援、資金を確保する重要な手段となっている。

  エイズと闘うために、コミットメント宣言は各国政府、国連システムをはじめ、企業、労働者、宗教団体、メディア、そして特に重要なHIV陽性者など社会のすべてのセクターの間のパートナーシップの重要性を繰り返し指摘している。世界エイズキャンペーンはこの点を重視し、国連エイズ特別総会コミットメント宣言および、宣言の完全実施のためになされたその後の約束について、国際社会が説明責任を果たすことを求めている。エイズと闘うためのこれら歴史的な約束は、政治指導者だけでなく、私たちすべてを対象にしたものである。すべての人がHIV/エイズとの闘いで果たすべき役割を担っている。あなたもまた、この約束に触発され、約束を果たすために世界エイズキャンペーンを支援することを私たちは望んでいる。コフィ・アナン国連事務総長はエイズ特別総会で「私たちすべてがエイズは私たちの問題であることを認識する必要がある。私たちすべてがエイズとの闘いを優先課題としなければならない」と語っている。

キャンペーン戦略
 キャンペーンのゴール
  世界エイズキャンペーンのゴールは、効果的かつ持続的なエイズ対策がとれるようにすることである。各国および国際レベルで活動するパートナーを助けることで、キャンペーンはエイズ対策の協力の輪を広げていく。そのためにはコミットメント宣言をはじめとするこれまでの約束に社会が関心を持つことが大切である。キャンペーンは各国政府が約束の履行についてきちんと説明責任を果たすように促すことも目指している。

 戦略目標
  ・政府および政策決定者に対し、HIV/エイズとの闘いに関する合意が実現できているか確認する。
  ・地方での活動を地球規模の成果に結び付け、効果的なエイズキャンペーンを推進するための協力関係を強化する。
  ・HIV/エイズとの闘いに必要な資金を確保する。
  ・HIV/エイズ対策における市民社会の役割を広げ、強化する。

 キャンペーンの参加者
  UNAIDSは世界エイズキャンペーンの主導的な役割を果たすパートナーである。キャンペーンの普及は以下の広範な参加者に助けられている。
  ・各国の市民社会が主導するキャンペーン
  ・国連機関と各国政府
  ・エイズ活動家と支援者
  ・各国のエイズプログラム、NGO、サービス組織
  ・世界エイズキャンペーン連合、世界児童支援運動などエイズ対策を支える世界規模のパートナー
  ・一般社会
  ・HIV陽性者、陽性者組織
  ・有名人、有力者
  ・労働者、雇用者
  ・宗教関連団体
  ・保健医療従事者
  ・教師と生徒
  ・メディア
  ・世界エイズ・結核・マラリア対策基金

 2005-06年の主なキャンペーンの機会
  以下は「ストップ・エイズ。約束を果たそう」のテーマを訴える主な機会である。
  ・2005年6月2日、国連。コミットメント宣言の検証(閣僚レベル)
  ・2005年7月1日-5日、神戸。第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議
  ・2005年7月6日-8日、英国。主要国首脳会議
  ・2005年9月14日-16日、国連。ミレニアム開発計画サミット(世界サミット)
  ・2005年12月1日、世界エイズデー  
・2005年12月4日-9日、アブジャ。第14回アフリカ国際エイズSTI会議(ICASA)
  ・2006年7月、モスクワ。主要国首脳会議
  ・2006年8月、トロント。第16回国際エイズ会議
・2006年9月、国連。コミットメント宣言評価のための国連特別総会 
  ・2006年12月1日、世界エイズデー

 素材
  キャンペーン活動の方向性と視覚素材を提供するため、キャンペーンの素材とひな型は2005年に世界エイズキャンペーンとUNAIDSが協力して用意する。各国が使いやすいように可能なら印刷物や電子フォーマットで提供する。世界エイズキャンペーン素材には以下のものが含まれる。
  ・5枚のポスター。1枚は各国政府が国連エイズ特別総会の約束を果たすことを奨励する内容。4枚はセットで、個人に対し、エイズの流行の趨勢を変える努力を呼びかける。ポスターはキャンペーン担当者が世界エイズデーに向けて使用できるよう6月に送り出す。英語、フランス語、ロシア語、スペイン語版がある。CD-ROMも用意する。
  ・ファクトシートとキーメッセージ
  ・議論のポイント
  ・世界エイズデーの記事を書くためのコミットメント宣言に関するジャーナリスト向け資料
  ・PSAs(新聞、雑誌とテレビ)
  ・ウエブ用のバナーと素材
  ・2005年カレンダー
  このほかに3つの素材を初めて用意する。
  1.関連追加情報、キャンペーン成功例からの教訓と共通の課題、メディアとの協力など実例を含む行動の呼びかけのための資料
  2.国のキャンペーン計画作成時に参考となる参照先ガイド
  3.キャンペーンの目的を詳しく説明し、目的を達成するための世界エイズキャンペーン国際事務局による戦略資料
  素材は出来次第、キャンペーンのウエブで公開する。

 ウエブ:エイズキャンペーンの重要な搬送車
  すべてのキャンペーン素材を電子情報として掲示する世界エイズキャンペーン全体のウエブサイト( www.worldaidscampaign.org )を準備中で、7月上旬の使用開始を予定している。キャンペーンとコミットメント宣言のさまざまな課題を議論するeフォーラムもある。世界のエイズ関連ニュースを集めたエイズ・ニュース・ネットワークへの支援も行う。UNAIDSは世界エイズキャンペーンを支援し、自らのサイトにキャンペーン促進のためのセクションを設ける。

  UNAIDSは国連エイズ特別総会のコミットメント宣言の重要性を理解してもらうためのウエブサイトづくりを支援する。モニタリングと評価、アドボカシーの呼びかけ、宣言に盛り込まれた課題に関連する情報など、コミットメント宣言をめぐる国連の活動に焦点をあてる。

 MDGキャンペーンとのリンク
  ミレニアム開発目標の検証と貧困対策の行動の呼びかけ
   ミレニアム開発目標は貧困を削減し、人々の生活を向上させるために2000年9月の国連ミレニアムサミットで世界の指導者が合意した野心的な目標である。各目標に対し、1990年を基準にして2015年に達成すべき一つまたは複数個のターゲットを設け、HIV/エイズは目標6で取り上げている。
   6.HIV/エイズ、マラリアその他の疾病と闘う
     2015年に向けたターゲット:HIV/エイズの拡大、マラリアその他の疾病の発生を抑え、減少に転じる。
   2005年9月のMDGsの検証は「GCAP-貧困対策の世界的呼びかけ」と銘打ったNGOのユニークな同盟関係の確立を促す。GCAPには、2005年を貧困対策の重要な機会と考える慈善団体、キャンペーン、労働組合、宗教団体、有名人ら約100の組織が参加している。

   キャンペーンは7月の主要国首脳会議を不公正貿易、債務免除、社会・保健システムの開発が必要な国に対する援助などの課題に資金拠出国が取り組む重要な機会と捉えている。

   世界エイズキャンペーンはGCAPの提唱者と協力し、HIV/エイズの課題と取り組むために欠かせない目標としてMDGsの実施状況を注視している。同時に、「エイズは類例のない課題」であり、多くの国で緊急な対応が必要なことを強調してもきた。MDGsの多くを達成するには、エイズ対策に取り組む必要がある。

世界エイズキャンペーンのロゴ
  ロゴは昨年、作られた。使用希望者はeメール info@worldaidscampaign.org で許可を得てください。

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