フリッカ・チア・イスカンダール 開会式演説

(解説)インドネシアの23歳の女性であるフリッカ・チア・イスカンダールさんは7月1日夕、神戸ポートピアホールで開かれた第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議の開会式で、会議の共催団体である7シスターズ(HIV/エイズの流行と闘うアジアの7つのネットワーク組織の連合体)を代表してスピーチを行った。壇上に上がった7シスターズの各ネットワークの代表35人のそのまた代表としてマイクの前に立ったフリッカはスピーチの中で自らHIV陽性者であることを明らかにし、「私たちが差別や偏見を避けていて、どうして差別や偏見と闘うことができるのでしょうか」と、その理由を語っている。


第7回アジア・太平洋地域エイズ国際会議 開会式スピーチ
   フリッカ・チア・イスカンダール

 過去20年間、私たちはHIV/エイズと闘い、偏見や差別、死そのものと闘ってきました。そして、生き続けようと努力してきました。

 たくさんの変化が起きましたが、それでもなお、何百万人もの私たちの兄弟、姉妹、そして母と子の生命に対しては何も変化を起こすことができず、私たちの友人や同僚や私たち自身の生活も変化していません。

 アクティビストは人間としての権利と尊厳を守るために闘い続けてきました。それなのに私は先週、HIVに感染しているという理由で、歯科医から診療を拒否されました。

 私と一緒にいま、この場所に立っているはずだった友人は一カ月前に単車の事故で足を骨折しました。彼もまた、手術の数時間前にHIV感染を明らかにしたため、整形外科医から手術を拒否されました。

 私たちはHIV感染を明らかにするたびに、人間としてではなく、病気として扱われるのです。

 理由はどうあれ、新聞に私の写真が掲載されたら、帰国したときに何が起こるのか心配です。これからの人生を人間として扱われずに過ごさなければならないかもしれません。
 私はここに立って、HIVに感染していることを明らかにし、偏見や差別にさらされるようになることをおそれています。それでも私はここに立っています。
なぜなのでしょうか。
私は人間として闘いたいと思うからです。
 もしも・・・、もしも私たちが偏見や差別を避けて通ろうとするなら、それでどうやって偏見や差別と闘うことができるのでしょうか。

 HIV陽性者のほとんどが、複合した差別にさらされています。HIVだけではなく、セックスワーカーやMSM、IDU、移住労働者、その他のバルナラブルな人口層として受ける差別にも直面しているのです。

 そして、私はいま、あなたたちの前に立っています。HIV感染のニューフェース、若い女性として。

 差別と偏見は現実に存在しています。私たちは自らの血液の中のウイルスだけでなく、人々の心の中のウイルスまでも、おそれなければならないほどの現実なのです。

 政策を変える努力、とりわけHIV/エイズの分野において紙の上に書かれた約束は、HIV陽性者を本当に守る行動に結びついているわけではないといったことがしばしばあります。
 たとえば、私たちは治療へのアクセスを求めてキャンペーンを続けてきましたが、いまなお、アクセスが完全にできている状態ではありません。
 
 保健分野だけでなく、財政部門や資金拠出者、社会福祉部門、政府、国連、二国間や多国間組織、公共および民間部門、メディア、市民社会組織などを広く巻き込んだ行動が必要です。

 そこにはコミュニティも参加できるようにすべきです。私たちは失敗するために存在しているわけではないのですから。私たちを対等のパートナーとして扱い、尊重し合い、互いの意見を聞きましょう。

 協調関係を打ちたて、重複がないように調整をはかり、「必要な人々のために資金を活用しよう」というスローガンを単なるスローガンに終わらせず、実現させましょう。

 この会議は希望です。私たちの、現在とそして未来のための、希望です。

 これまでにも、会議があるたびにHIV陽性者が顔を明らかにしてきました。
 でも、私は知っています。その誰もが、過去においても、現在においても、慈悲を請うために立ち上がったわけではありません。未来においてもそうでしょう。
 私たちは、よりよき解決策に向けて私たち自身が貢献を果たすべく自らを励まし、ここに立っています。
 私たちは、橋として、ここに立っています。
 私たちは、自らの役割を変えるために、ここに立っています。
 私たちは、あなたの友人として、ここに立っています。

 私はまた、ICAAPの共催団体である7シスターのネットワークを代表して、ここに立っています。7シスターのネットワークは、APN+、AHRN、APNSW、ASAP(アジア太平洋エイズ学会)、AP-Rainbow(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスセクシュアルのための組織)、CARAM-Asia(移住労働者とともに活動)、APCASO(アジア太平洋エイズ・サービス組織協議会)で構成されています。

 7シスターのネットワークは数年前、クアラルンプールで設立されました。
 私たちは、力をあわせれば私たちの声が力強いものになることを知っているので、一緒に活動することを決めました。
 どの組織も単独では、そうした力は発揮できません。

 共催団体として、私たちはコミュニティの人々の会議への参加を促し、会議の中でコミュニティの存在を明確に示し、それが私たちの努力の成果の指標となるよう最善を尽くします。

 この会議は私たちにとって、はっきりと意見を表明する大切な機会です。
 私たちが学ぶことができるよう、地方レベル、国レベルで重要な課題と果たすべき役割を示す機会です。
 互いに学び、知識と経験を共有する機会です。

 何よりも、第7回ICAAPを主催し、私たちに機会を提供してくれた日本の組織委員会に感謝の意を表します。

 7シスターのネットワークとして、皆さんをこの第7回ICAAPに歓迎します。
 すべての方にとってこの会議が有意義なものであることを願います。
 そして、地球人口の3分の2が住むアジア・太平洋地域を、私たちの誰もが安全に暮らせる地にしていきましょう。

 どうもありがとうございました。

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