地球規模のエイズ対策 : 資金をどう生かすか

(解説)国連合同エイズ計画(UNAIDS)と英仏米3カ国政府は2005年3月9日、ロンドンで「資金をどう生かすか」と題する高級レベル会合を共同開催した。会合には先進国、途上国のエイズ対策を担当する閣僚、大使および国際機関、NGO、HIV陽性者組織の代表らが参加した。途上国のHIV/エイズ対策を進めるためには、必要な資金の確保、および確保された資金の有効な活用が重要な課題となる。会合は「三つの統一」原則に基づき、その解決策をさぐることを目指して開催された。7月のG8サミット、9月のミレニアム開発サミット、2005年末がゴールとなる3バイ5構想などをにらんだ国際社会の動きの一つとして注目される。

原文は
http://www.unaids.org/en/about+unaids/what+is+unaids/unaids+at+country+level/the+three+ones.asp
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地球規模のエイズ対策 : 資金をどう生かすか
        三つの統一の活用

 2005年3月9日の高級レベル会合声明

 ロンドンで開かれた2005年3月9日の会合では、資金拠出国、途上国政府、市民社会、国連機関、その他の多国間機関、国際機関が各国のエイズ対策への支援を強化していくための新たな合意がなされた。

 私たちは以下の三つの主要領域について話し合った。
・2005年―2007年のエイズ対策資金確保のための財政の枠組み
 ・各国のエイズ戦略に対する支援のあり方を改善するための「三つの統一」原則(注1)の次なるステップ
 ・多国間機関と国際的な資金拠出者の間の調整機能の改善

 3月初旬にパリで開かれた「第2回高級レベル・フォーラム:開発の効率性、調和、提携、成果の拡大に向けて」では、地球規模のエイズの流行に対処するために、幅広い目標を持つ様々な分野の関係者が調和を取りつつ活動していくことの必要性が強調された。今回の議論はその成果を引き継ぐものである。

 この20年で地球規模のエイズとの闘いは大きく前進している。多数の人が全力を傾けて対策に取り組んできた。だが、そうした努力にもかかわらず、エイズの流行は世界の進歩と安定に対するかつてない脅威となっている。とりわけ懸念されるのは女性、少女に対する影響が極端なまでに大きいことである。

 エイズの流行により最も大きな打撃を受けている国の多くは、自力で必要な対策を整えることができない。とりわけ大きな課題は、国のエイズ対策を担うために必要な分野(保健、農業、教育、工業など)における人材の不足、もしくは保持の問題である。対策は最も深刻な打撃を受けている国々の能力を高めることに重点を置く必要がある。また、特定の人口層において急激に流行が広がっている国で、予防、治療、ケアの包括的な対策がきちんと実施できるようにすることにも力を入れる必要がある。

 「資金をどう生かすのか」をテーマにした会合で、私たちは2005年における重要な節目というべき国際的な動きに注目した。それには以下のようなものが含まれている。
 Ⅰ.国際開発協会が2月に示したおやゆびサインの補充項目
 Ⅱ.6月のHIV/エイズに関するコミットメント宣言評価の国連総会高級レベル会合
 Ⅲ.6月の開発資金に関する高級レベル対話
 Ⅳ.9月のミレニアム開発サミット
 Ⅴ.3月と9月の世界エイズ・結核・マラリア対策基金の自発的補充メカニズム
 Ⅵ.「3バイ5」の国際目標

 会合はミレニアム開発目標と国連エイズ特別総会コミットメント宣言の達成に向けて努力することを再確認した。


「三つの統一」
 会合は世界規模、国家規模、地域規模のエイズ対策において「三つの統一原則」が各国および関連機関による適切な対策の推進に役立つことを認識したうえで、原則を支持し、促進させることを再確認した。会合は「三つの統一」の策定と適用が、資金拠出者、多国間および国レベルのパートナー間の協議の積み重ねによる対策の推進を意図していることを確認した。

 会合はすべての分野の代表者(政府、市民社会、社会的に弱い立場の集団、民間企業を含む)からなる全国的な調整機関の必要性を強調し、地域の実情に即した解決策を取り入れる柔軟性を認めつつ、「三つの統一」原則の完全実施を確実にするための政府の主導的役割を指摘している。また、数カ国で「三つの統一」の実現に向けて協力していく方針であることも示している(注2)。

 会合は世界各国、各地方レベルのエイズ対策で示されてきた市民社会と民間企業のリーダーシップの重要性を認めている。そして、包括的で効果の高い対策の実現には市民社会に対する適切な資金が必要であり、企画、調整、方針決定、実施、モニタリングのすべてにおいて市民社会の代表が対等な立場を保障されたかたちで参加することの重要性を強調している。会合はまた、全国レベルにおける「三つの統一」の実現に向けて、市民社会と民間企業の完全参加を保障するようガイドラインを策定すべきであるという意見に同意する。そのガイドラインには、調整機関が市民社会の完全参加を保障することを確認する文言とそのための運営手続きが含まれていなければならない。

 会合は国レベルにおいて、前例のない、断固とした行動が特に以下の分野において十分にコーディネートされたかたちで実行されることを求め、その実現を自らも約束する。

 ・「三つの統一」が有効に機能するよう個々の活動を見直す。それにはとりわけ以下のことが重要である。
   -適切な法的根拠に基づき、多分野にまたがる一つの調整機関を創設することに合意し、その機能を尊重、拡充していく。この調整機関は国が設け、すべての関係者を代表するものでなければならず、国および適切なパートナーによる支援が必要である。
   -異なる調整、資金メカニズム間の関係を明確にし、役割分担のための調整機関はひとつにしぼる。
   -ひとつの国に設ける調整機関はひとつであり、活動を全体として充実させていくために調和と調整のための手段を関係者が協力して見出していく。
 ・支援国は2005年末、またはその後の最も早い機会に資金の裏づけのあるエイズ対策行動計画を作るように努める。
 ・統一されたモニタリングと評価のシステムは全国レベル、地方レベルのサーベイランスとデータ収集の簡素化、統一化に役立つことを認識し、UNAIDS(注3) は2005年末またはその後の最も早い時期に、主要な関係者が承認する多部門にまたがった指標により、各国の統一されたモニタリングと評価のシステムが実施可能になるよう技術的な支援を行う。
 ・効果的なエイズ対策の実現を妨げる労働力不足の壁を乗り越えるため、政策と活動内容を見直し、各国の実情にあわせて保健分野における中長期の労働力確保戦略に協力していく。


財政的な枠組み
 エイズの流行は複雑な課題であり、しかも拡大を続けている。このため、地球規模の対策も同じようにダイナミックで事態の変化に柔軟に対応できるものでなければならない。エイズ対策の費用見積もりは常にモニタリングを行い、定期的な見直しが必要なことを会合は認識している。各国が資金の流れと使途を監視する能力を高め、資金拠出者間の調整が進むにつれ、資金の流れを追跡していく方法もそれに合わせたものにしていかなければならない。会合はエイズ対策の財政的な枠組の中での分析が「走りながら考える」という手法をとることを認める。また、UNAIDが毎年、資金需要と資金の流れについて最新の情報を明らかにする方針であることも明記しておく。

 資金提供者からのこれまでの寄付と今後の拠出予定を踏まえ、3年分の資金不足を極力、埋めていくには、積極的な資金集めを進めることが必要である。UNAIDSの最新の試算では、その額は少なく見積って80億ドル(2005年13億ドル、2006年23億ドル、2007年46億ドルの追加資金が必要)(注4)である。それは以下のような努力を通して得られることになるであろう。
 ・低所得国の指導者からの国内予算による貢献の継続、および可能な場合には拡大
 ・中所得国の指導者による国内予算からのエイズ対策への貢献の拡大
 ・国際的な資金拠出者による拠出約束の履行、および世界基金の資金補充メカニズムやその他の途上国支援の会議をうまく機能させることによる追加的資金の増額

 会合は最新の予測に基づくUNAIDSの呼びかけを重視している。それによると、2008年までの世界全体の遠大かつ包括的な対策の実現には毎年200億ドルが必要である。

 UNAIDSが手助けをし、各国政府、市民社会、民間企業、専門技術を持つパートナーによる作業部会を編成することに会合は合意した。この作業部会では適切な仮説と方法論を採用し、さらに保健分野に関連する人的、組織的な資源の開発を実現させるために何が必要かを考慮しつつ、基本的な作業を続け、60日以内に資金需要見通しに関する専門的な裏付けのある説明を提供する。


多国間機関と国際ドナーとの間の調整機能の改善
 二国間のドナーと多国間機関の両方において手続きが多様かつ複雑であることが、業務処理を増大させるだけでなく、各国の効果的なエイズ対策の実現を妨げる弊害をもたらす場合があることを会合は認識している。また、エイズ対策の効果的な「三つの統一」アプローチをより広範な国の開発戦略(たとえば貧困削減戦略)に取り込む必要があることも認識している。それは援助全体の効率を高めることにもなるだろう。

 援助の有効性に関するパリ宣言の枠組の中で、私たちは以下のことを約束する。

 ・エイズ政策の手続きと実践を2005年末までに点検する。その点検は資金拠出者が多様であることで生じる管理および技術面での負担を軽減するために、各国のエイズ対策分野の支援の合理化、簡素化、さらなる調整と調和をはかる観点から行う。投資による資金の拡大には何が有効かをエビデンスに基づいて判断する必要がある。
 ・グローバル・タスクチームの編成に合意する。このチームはすべての利害関係者を代表できるようにし、UNAIDSの助けを受けて、6月に開かれるコミットメント宣言の評価に関する国連総会高級レベル会合に間に合わせるよう80日以内に以下の点に関して提言をまとめる。
   -調整および調和に向けた努力の現状
-世界のエイズ対策の重複やギャップを解消するための調整に向けた選択肢(とりわけ多国間機関において)
  -各国の対策の効果を高め、管理運営および技術面での負担を軽減するという観点から、多国間機関のエイズに関する手続きと活動を合理化、簡素化し、調和をはかっていくための方法
 ・提言は関連する多国間機関に提示して支持を得るとともに、世界基金の補充や他のエイズ資金確保の機会を活用することに合意する。

 地球規模のエイズの流行との闘いは、エイズ対策計画の拡大が必要となる新たな段階に入っていることから、会合はエイズ政策の策定および実現に向けてさらなる努力を続けていくことを約束した。2005年に行った約束は、力をあわせてエイズの流行に影響を及ぼし、人々の生命を救うために重要なものである。


(注1)2004年4月の高級会合で合意。「三つの統一」は、「すべてのパートナーの活動をコーディネートするための基盤となる合意された一つのHIV/エイズ対策の枠組み」「広範な分野に権限が及ぶ一つはの全国的なエイズ対策コーディネート機関」「合意に基づく国レベルのモニタリングと評価のシステム」
(注2)2005年3月9日の高級会合「資金をどう生かすか」三つの原則の活用のバックグラウンド文書
(注3)UNAIDSは国連のHIV/エイズ対策を合同で形成する10のコスポンサーと事務局で構成。
(注4)エイズに対する世界の対応:「資金をどう生かすか」バックグラウンド文書、低中所得国におけるエイズ対策の拡大には資金が必要、2005年3月9日


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