エイズ対策の資金  国連合同エイズ計画(UNAIDS)ファクトシート

(解説)途上国がHIV/エイズの流行と闘うために必要な資金は年間どのくらいなのか。国連合同エイズ計画(UNAIDS)がバンコクの第15回国際エイズ会議にあわせて発表した試算。2007年には年間200億ドルが必要になるとしている。


  エイズ対策の資金  国連合同エイズ計画(UNAIDS)ファクトシート

 新たな資金需要推計
・ UNAIDSが発足した1996年当時、低・中所得国におけるエイズ対策の支出は3億ドルだった。現在は資金源が増え、年間50億ドル前後が途上国のエイズ対策に使えるようになっている。15倍に拡大したことになる。これほどの増額にもかかわらず、いまなお必要な資金の半分しか確保されていない。
・ 78カ国を対象にした専門家の調査に基づく新たな推計によると、効果的なエイズ対策には世界で2005年までに120億ドル、2007年には200億ドルが必要になる。
・ 2007年の200億ドルによって、600万人以上(うちサハラ以南のアフリカで400万人以上)に抗レトロウイルス薬を提供し、2200万人のエイズ遺児を支援し、1億人の成人が自発的なHIV検査とカウンセリング(VCT)を受けられるようにし、9億人の児童生徒を対象に学校でエイズ教育を行い、学校に行かない6000万人の若者にピアカウンセリング・サービスを実施する。
・ これらの資金の43%はサハラ以南のアフリカ、28%はアジア、17%はラテンアメリカ・カリブ諸国、9%は旧ソ連・東欧、1%は中東・北アフリカで必要になる。
・ サハラ以南のアフリカでは資金の38%がHIVケアと治療、35%が予防、22%が遺児支援、5%が政策・アドボカシー・事務経費などのプログラムコストに必要になる。
・ その他の地域の内訳は異なっている。アジアでは77%が予防に必要なのに対し、ラテンアメリカでは治療に62%が必要になるとみられている。
・ 多額の資金が必要なのはHIV陽性率の高い地域大国(南アフリカ、ナイジェリア、エチオピア)、HIV陽性率は低いが大人口を抱えている国(中国、ロシア、インド)、サービスのカバー率が高い国(ブラジル)である。

 国レベルにおける手法の改善
・ UNAIDSはフューチャースグループ、米州開発銀行、世銀、アジア開発銀行と協力して2002年1月から2004年4月までの間に、資金必要額の推計に使うモデルに関し、各国チームの研修用の地域ワークショップを9回実施した。推計の見直しには78カ国から得られたデータが反映されている。その多くはエイズの流行の最前線にある国である。
  新たな推計には2001年推計にはなかった以下のファクターが考慮されている。
   ・医療用の安全な注射器
   ・医療従事者のためのユニバーサル・プリコーション(手袋、ガウン、マスク)
   ・感染事故直後の予防措置
   ・HIV検査サービスの拡大(途上国の多くで著しく欠けている)
・栄養、コミュニティレベルでのカウンセリング、薬をきちんと飲み続けるためのモニタリングなど抗レトロウイルス薬提供を支える包括的なサービス需要
   ・移住者、受刑者、HIVに感染している人を対象に含む予防サービスの拡大

 ギャップを埋める
・ エイズ資金のギャップを埋めるため、低・中所得国は予算配分を増やさなければならないが、それでも国際資金の支援は必要である(サハラ以南のアフリカ、およびアジアの一部の国では80%を支援に頼ることになる)。
・ 資金不足は単一の資金源によって埋められるものではない。エイズに脅かされている何百万人もの生命を救うつもりなら、もっと多くの資金が必要である。
・ 多数の国の政府、資金提供者、民間企業がエイズ対策資金を増やしている。2003年現在、世界エイズ・結核・マラリア対策基金は124 カ国227件のプログラムに総額21億ドルの助成を承認し、うち2億3200万ドルはすでに配分されている。その60%はエイズ対策が対象である。
・ 多国間のエイズ・プログラムを通し、世銀はサハラ以南のアフリカに10億ドル、カリブ諸国に1億5500万ドルをエイズ対策支援の助成金および無利子ローンとして承認している。
・ 2003年の初めに発表した米大統領エイズ救済緊急プログラム(PEPFER)で、米国は2008年までの5年間にエイズと闘うための資金150億ドルを提供することを約束した。米国政府は2004年、14カ国に資金提供を開始し、初年度分24億ドルを配分した。ブッシュ大統領は2005年度として28億ドルの拠出を求めている。
・ 最貧国も含め、多くの国でエイズ対策への国内支出が劇的に増えている。UNAIDSの試算では2002年の低・中所得国58カ国の政府のエイズ対策支出は9億9500万ドルで、1999年の2倍に増えている。
・ 世界で最もHIV感染者人口が多い南アフリカでは、2003-2004年予算におけるエイズ対策支出は前年度比86%増となっている。
・ ただし低所得国や中所得国で、国内支出を必要なレベルまで引き上げることは困難である。このことは、とりわけ治療プログラムにおいて、持続不可能な結果をしばしば招いている。長期的に見れば、始めては途中で止めることは、破壊的な影響をもたらす。

 債務救済
・ 世界のHIV陽性者の3分の1以上(約1400万人)は、世銀により重債務負担国に分類されている国に住んでいる。2002年には最も貧しく債務の大きい42カ国(うちサハラ以南のアフリカ34カ国)で合計2130億ドルの債務を抱えている。
・ 貧しい国の債務という重荷を軽くすることは、エイズ対策を最も必要とする国の対策を強化することにつながる。だが、現在のレベルの海外援助に加え、純粋な追加的資金が投入されなければ、債務救済も意味ある対策にはならない。

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