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zoom RSS HIVとエイズに関する政治宣言(2016年国連総会ハイレベル会合)その5

<<   作成日時 : 2016/07/08 13:13   >>

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国連総会ハイレベル会合2016政治宣言5

 宣言の最後の部分です。各論に続き、まとめに入ります。2030年のエイズ流行終結に向けたターゲットとして、2020年には若者・成人(15歳以上)のHIV新規感染を現在より75%減らすことなどを、数値として明示したうえで約束しています。そのための各地域別の目標も人数で示されています。
スローガンとしての「終結」に繰り返し言及していると、ついつい「何をもって終結とするか」という基本部分がだんだんとあいまいになってしまいそうですが、あくまで「公衆衛生上の脅威としての」流行の終結です。新規感染がゼロになる→HIVに感染している人がいなくなるということではありません。
参考までに人数で示しておくと、2020年の新規感染が50万人以下、そして2030年の新規感染が20万人以下、この状態が実現できれば「公衆衛生上のエイズ流行は終結したとみなしましょう」ということになっているようです。
第一関門である2020年ターゲットは実現できるのか、できないのか、いまはまだ分かりません。無理じゃないのと思う一方で、いまから「できっこないよ」などと言いたくはないとも思います。その成否を確認し、さらに2030年を目指してどうすべきかを検討する次のハイレベル会合は「第75回国連総会会期より遅くならない」時期に開くということです。
第75回総会の会期は確か、2020年9月から2021年9月はじめまででしたね。2020年以前に開いてもまだ途中経過だし、具体的には2021年6月開催ということでしょうか。
ああ、ようやく仮訳が終わった。もって回った表現だらけの文書とおさらばできるのかと思えば、それだけでも嬉しいような気もしてきます。
おっと、仮訳地獄からはおさらばはできても、この宣言からおさらばするわけにはいきませんね。一応、日本政府も採択に加わって決めた約束です。しっかり活用しましょう。頼まれもしないのに辛気くさい仮訳作業を続けてきたのもそのためでした。
一度に読み通すのは大変であり、苦痛でもあると思うので、折に触れて適当に拾い読みしながら参考にしていただければ幸いです。

      ◇

HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人、その他エイズ対策の関係者の参加を支援する

64(a) アドボカシーに対する投資の拡大と持続を呼びかける。HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人、女性、両親の役割と責任も含めた子供、若者とりわけ若い女性と少女、地元指導者、コミュニティベースの組織、先住民コミュニティには、アドボカシーの主導的役割を呼びかけ、より一般的な市民社会には、アドボカシー、コミュニティおよび政治の参加、コミュニティのモニタリング、世論喚起のコミュニケーション、迅速検査と診断へのアクセスを拡大させるアウトリーチプログラム、法改正や政策改革による人権プログラム、スティグマの解消など社会条件の整備に世界規模のエイズ対策資金の少なくとも6%をあてることを求めて動くよう呼びかける。

64(b) 地方、地域、各国、世界レベルでのエイズの流行との闘いにおけるHIV陽性者を含む若者とりわけ女性の積極的な参加とリーダーシップを奨励し、支援することを約束する。若者たちがコミュニティや家庭、学校、大学、レクリエーションセンター、職場などでHIVに取り組むための手段を開発するこれらの新たな指導者を支援することに同意する。

64(c) 各国を支援する民間投資の戦略的関与を支持し、奨励する。民間部門にはさらに、高速対応のためのサービス提供やサプライチェーンの強化、職場における活動、保健用品のソーシャルマーケティング、行動変容などの支援を行うことを支持し、奨励する。

64(d) 改善され、手頃な価格のポイントオブケア診断(患者の目の前で行う診断)や予防用品へのアクセスを実現させるため、包括的な研究開発への投資拡大を強く求める。予防および治療ワクチン、女性主導の予防用品、効果的で手ごろな価格の医療技術や医療製品、簡素で効果の高い子供用、若者用、成人用の治療薬の処方、第2、第3選択薬の組み合わせ、結核の新たな治療・診断薬、ウイルス量モニター機材、マイクロビサイド、機能的治癒などの研究開発が含まれる。また、持続可能なワクチン調達システム、平等な提供システムの開発を追求していくことも重要だ。この点では、研究開発のコストが直接、製品価格につながるようなかたちではない新たなインセンティブも探していくことも奨励する。

64(e) 革新的な創薬において民間部門が研究開発で担う重要な役割を認め、適切なところではオルタナティブファイナンスメカニズムを新たな治療薬や既存薬の新たな用法の研究開発を進めるために活用することを奨励する。また、研究開発のコストが保健医療製品の価格とは切り離せるようにする方策をさぐっていく。

64(f) 科学技術研究のイノベーションの成果を十分に生かし、貿易その他の商業政策が人権尊重と開発の大きな枠組みのもとで公衆衛生の目的を支えられるようにすることを目指す。

64 (g) 流行と対策は変化しており、各国の自立的な制度と能力の強化、援助の効率性確保と資金に見合った成果を実現するための質の高い技術支援の拡大を必要としていることを認める。また、地元生産の医薬品を含めHIV関連の製品へのアクセスを長期にわたって持続的に確保するには、ノウハウの共有や地元生産力の強化などで相互の合意に基づく自発的な技術移転が必要なことを認識する。

64 (h) 治療薬や関連医療技術が手頃な価格で入手できるようにする技術移転協定を支持することを約束する。この点に関しては、技術ニーズと現実とのギャップを把握するためSDGsの技術移転促進メカニズムの一つとなっている科学、技術、イノベーションなど多様な関係者によるフォーラムの活用を奨励する。

64 (i) 国内および国際的な資金および技術支援を通して、人的資本の実質を伴う開発、国内および国際的な研究基盤、臨床検査能力の強化、サーベイランスシステムの改善とデータの収集、処理、普及、基礎および臨床研究者、社会科学研究者、テクニシャンに対する研修などを支援し奨励する。HIVの影響を最も強く受けた国、受けつつある国、流行の急拡大のリスクにさらされている国にはとくに配慮する。


より効果の高いエイズ対策の実現には地域のリーダーシップと制度を生かすことが不可欠である

65: すべての地域で、地域機関、準地域機関、HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVの影響を受けている人、関連国連機関、民間部門、その他関係者が協力して、2020年までに以下のターゲットを達成することを奨励する。そのターゲットは2030年のエイズ流行終結のための高速対応アプローチのモデルとなっているものであり、この観点から各地域で十分な資金が使えるようにするための世界的連帯の強化と責任の共有を呼びかける。

65(a) 年間の若者と成人(15歳以上)の新規HIV感染者数を75%減らすことを目指す。アジア太平洋地域では8万8000人、東ヨーロッパ・中央アジアでは4万4000人、東部・南部アフリカでは21万人、ラテンアメリカ・カリブ諸国では4万人、中東・北アフリカでは6200人、西部・中央アフリカでは6万7000人、西欧・中欧・北米では5万3000人に減らす。

65(b) 年間の子供と少年少女(15歳未満)の新規HIV感染者数を95%減らすことを目指す。アジア太平洋地域では1900人、東ヨーロッパ・中央アジアでは100人以下、東部・南部アフリカでは9400人、ラテンアメリカ・カリブ諸国では500人以下、中東・北アフリカでは200人未満、西部・中央アフリカでは6000人、西欧・中欧・北米では200人以下に減らす。

65(c) 治療を受けている若者と成人(15歳以上)の数を2020年までに少なくとも81%増やす。アジア太平洋地域では410万人、東ヨーロッパ・中央アジアでは140万人、東部・南部アフリカでは1410万人、ラテンアメリカ・カリブ諸国では160万人、中東・北アフリカでは21万人、西部・中央アフリカでは450万人、西欧・中欧・北米では200万人に増やす。治療へのアクセスが男女平等になるようにする。

65(d) HIV陽性の子供(15歳未満)の少なくとも81%は2020年に治療を受けられるようにする。アジア太平洋地域で9万5000人、東部・南部アフリカでは69万人、中東・北アフリカでは8000人、西部・中央アフリカでは34万人、東ヨーロッパ・中央アジアでは7600人、ラテンアメリカ・カリブ諸国では1万7000人、西欧・中欧・北米では1300人に達するようにする。治療のアクセスは少年少女の間で平等になるようにする。

66地球規模のHIVとエイズ対策に関連する手段と約束を実行するために、なかでもこの宣言に含まれている手段を約束、および準地域、地域内、地域間の協力や調整の遂行を進めていくために、各国、各地域の情報、研究、エビデンス、成功事例、経験を交換することを奨励し、支援する。また、地域内、地域間の政治的、経済的制度が持つユニークなリーダーシップをそのために生かすことを奨励し、支援する。

67 経済社会理事会が各地域委員会に対し、それぞれの権限と資金の範囲内で、各国のHIVとの闘いの進捗状況の包括的検証を定期的に行うよう求めていることを引き続き奨励する。この点では、アフリカ連合のピア検証メカニズムが貴重なモデルになる。可能なところでは、ピアによる視点を基本にしたエイズ対策の検証を定期的に実施することを考えるよう奨励する。この作業には保健省、保健以外の省、都市および各地元の指導者の参加を促し、市民社会組織とりわけHIV陽性者、女性、若者のグループがとのグループとともに実際に意味のあるかたちで参加できるようにしなければならない。

68 アフリカ大陸は数多くの課題に直面していることを考慮し、アフリカ疾病管理予防センター設立のプロセスに継続的な支援を要請する。このセンターは危機の効果的な予防、把握、対応に向けたアフリカ諸国の努力を助け、大陸全域のコミュニティが必要な防御能力を備えることになる。

69 品質が保障され、しかも手頃な価格で入手可能な治療薬、たとえばジェネリック薬や診断薬、信頼性の高い発生測定ツール、医学的予防製品その他の製品の開発、製造、販売が可能になるよう法律、政策、規制などで権限を与え、地域、準地域、全国および各地方の能力強化をはかることを約束する。南北協力や南南協力、三角協力などを通して地域のマーケットを開発することを奨励する。そして、途上国におけるHIV予防、治療、ケア、支援プログラムおよび結核、性と生殖に関する健康、母子保健、マラリアのプログラムを改善するため、地元生産力の拡大、共同調達や正確な予測と遅滞のない資格審査などにより、すべての地域が自立したかたちで治療薬を供給できるようになることの必要性を強調する。


管理能力やモニタリング・説明責任能力の向上が人びとに利益をもたらす

70宣言の約束遂行に向けて各国の分野横断的な高速対応計画を支援する効果的でエビデンスに基づき、運用監視と相互の説明責任を果たせるメカニズムを約束する。HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人、その他の関連する市民社会や民間部門の関係者が積極的に参加できる透明かつインクルーシブなメカニズムとなる。

71良質で信頼のできるデータを遅滞なく活用できるようにする努力を加速する。その中には、収入や性別、感染経路、年齢(10-14歳および49歳以上を含む)、人種、民族、移住状態、障害、結婚の有無、地域分布、その他それぞれの国に関連する特徴などのさまざまな内訳ごとの発生率や有病率が含まれる。また、集団や地域規模の推計や資金の配分、サービスへのアクセスなどを改善し、データのギャップを解消できるようデータの活用、分析、評価のための各国の能力強化をはかる。また、そのために個人情報保護と専門家倫理に関する十分な配慮を行ったうえで効果的な政策に関する情報を提供し、後発開発途上国、内陸の途上国、島嶼国を含む途上国の能力強化への支援を拡大する。さらに各国の統計部門の能力強化をはかるために、技術、資金支援を含めた国際協力を進める。

72 国連合同エイズ計画(UNAIDS)に対しては、それぞれの使命の範囲の中で、ジェンダーの平等や女性の地位向上、人権の促進などを通じて加盟国がエイズの流行の拡大を促す社会的、経済的、政治的、構造的要因に継続して取り組むことを引き続き支援するよう求める。そうした要因に対応することで、貧困と不平等の解消、包括的な社会保障の確保、児童保護、食糧安全保障、安定した住居の確保と質の高い教育や経済的な機会へのアクセス、ジェンダーの平等の実現、健全な都市環境と公正でインクルーシブな社会の実現など、複合的な開発課題の成果が期待できるからだ。また、国際保健のゴールを達成するために不可欠な分野横断的な努力に寄与し、誰も置き去りにしないという目標全体の実現に加盟国および関連機関が全力で取り組み、人道危機を含むあらゆる状況下でアジェンダ2030を前に進めていくことにもなる。

73 エイズの組織をより広い保健課題の解決に活用し、誰も取り残されることのないかたちで持続可能な開発への努力を進めるよう国際社会に呼びかける。

74 国連を2030アジェンダの成果があげられる組織にする。そのためには、分野横断的にさまざまな関係者が参加する開発手法と人権尊重を基本にした国連合同エイズ計画(UNAIDS)のユニークなアプローチを強化、拡大していく必要がある。経済社会理事会(ECOSOC)決議E/RES/2015/2にあるように、適切で、戦略的な結束と調整力を高め、結果志向で、管理運営がインクルーシブであり、各国の状況と政策の優先順位に基づきながらそれぞれの国に成果をもたらすものとして、国連システムが有効例となるようにすることの必要性を再確認する。

75 各国、各地域間で、地球規模のHIVとエイズへの対応に関連した手段や約束、とりわけこの宣言に盛り込まれた約束を実行するために情報、研究、エビデンス、経験を交換することを奨励し、支援する。南北協力、南南協力、三角協力の強化、準地域、および地域内、地域間の協力と調整を促進する。この点では、経済社会理事会の各地域委員会がそれぞれの権限と資金の範囲で、各国のHIV対策進捗状況に関する定期的かつ包括的な検証報告の実施を支援しており、経済社会理事会がそうした支援の継続を各委員会に求めることを引き続き奨励する。


フォローアップ:前進を加速する

76 毎年のエイズ対策進捗状況を検証する際には、国連合同エイズ計画の助けを得て、国連総会への年次報告書の中で、本宣言に盛り込まれた約束の実現状況を報告するよう国連事務総長に要請する。また、各国がエイズ対策の年次報告書を提出することが可能になるよう、UNAIDSには継続して各国を支援することを要請する。

77 ハイレベル政治フォーラムで持続可能な開発のための2030アジェンダを検証する機会には、フォローアップと検証のプロセスの中でエイズ対策の進捗状況を評価できるようにするため、UNAIDSの助けを得つつエイズ対策の進捗状況を報告に含めることを国連事務総長に要請する。

78 国連合同エイズ計画(UNAIDS)のリーダーシップのもとで、エイズ対策の高速対応を強化するために関連する国連機関の協力強化を国連事務総長に要請する。責任をもって取り組む仕組みの強化やあらゆる関係の参加の促進などを含め、この宣言の成果が加盟国に伝わるよう各機関それぞれの使命と能力と資金に即したかたちで支援を行うことを合同計画には要請する。

79 宣言の約束の実施状況を検証するため、HIVとエイズに関するハイレベル会合;2030年のエイズ流行終結に向けて本宣言でなされた約束、および社会、経済、政治的側面からのその対策はどうすれば持続可能な開発のための2030アジェンダおよび国際保健目標の実現に最も適した貢献を果たすことができるのか、の開催を決定する。HIVとエイズに関する次期ハイレベル会合の開催時期は第75回国連総会会期より遅くならないことを決定する。



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