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zoom RSS HIVとエイズに関する政治宣言(2016年国連総会ハイレベル会合)その4

<<   作成日時 : 2016/07/07 21:19   >>

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国連総会ハイレベル会合2016政治宣言4

 パラ61(a)〜(o)はジェンダーと女性に関する項目。62(a)〜(j)はサービスを利用しやすくする工夫、63(a)〜(g)は法律や政策、慣行の検証に関する約束です。
 各論部分の構造をざっくり説明しておくと、SDGsの17目標のうち5目標と5つのパラ(かなり長い)とが以下のような対応関係になっています。
 ・パラ60検査と治療へのアクセスに関する約束(その3で紹介)とSDGs3(すべての人に健康と福祉を)
 ・パラ61ジェンダーと女性に関する項目とSDGs5(ジェンダー平等を実現しよう)
 ・パラ62のサービス利用はSDGs10(人や国の不平等をなくそう)
 ・パラ63の法律や政策、慣行の検証はSDGs16(平和と公正をすべての人に)
 ・パラ64のHIV陽性者ら関係者の参加促進(その5で紹介)はSDGs17(パートナーシップで目標を達成しよう)

   ◇

ジェンダーの平等を達成し、女性・女児すべての力になる柔軟なエイズ対策の追求

61(a) 不平等な社会経済的地位が女性のHIV感染予防とエイズの影響緩和を妨げていることを認識し、ジェンダーの平等、すべての女性・女児の地位向上と貧困解消の間の相互関係を認め、女性の人権と基本的自由の尊重、擁護を貧困解消のための政策やプログラムの中心にすえる必要があることを再確認する。

61(b) この点に関連して、国連人口開発会議の行動計画、第4回世界女性会議の北京宣言および行動綱領とその検証成果文書に見合ったかたちでは、すべての女性の人権および性と生殖に関する健康と権利が尊重も擁護もされていないこと、現実的な範囲で最も高い基準の身体的、精神的な健康を保つためのアクセスが不十分であること、流行の影響がとりわけ女性・女児の間で悪化し、脆弱性が増して現在および将来の世代の生存が危うくなっていることを強調する。

61(c) ジェンダーの不平等およびジェンダーに基づく迫害や暴力をなくすこと、女性・10代の少女が自らをHIV感染のリスクからまもる能力を高めることを誓約する。これは主に保健医療ケアとサービス、とりわけ性と生殖の健康に関するサービス、包括的な情報と教育への十分なアクセスの提供によってなされる。HIV感染から自らをまもる能力を高めるため、女性が性と生殖に関する健康、強制や差別、暴力からの自由など自らのセクシャリティに関する問題について自由に責任をもって決定する権利を確実に行使できるようにすること、女性の地位向上と経済的な自立をはかるためにすべての必要な手段をとることを誓約する。この点に関し、ジェンダーの平等の実現には男性と少年の役割が重要なことを繰り返し指摘する。

61 (d) すべての女性・女児の人権、教育、性と生殖に関する健康を含む保健の権利を尊重、擁護するため、多様な生活環境のすべてにおいてジェンダーの平等と女性・女児の地位向上をはかることを約束する。そこにはジェンダー平等を目指すアプローチに投資し、すべてのレベルでのジェンダー主流化をはかること、エイズ対策における女性のリーダーシップを支援すること、男性と男児が関与することも含まれる。ジェンダーの平等と肯定的なジェンダー規範が効果的なHIV対策を促進することを認識する。

61 (e) HIV陽性者をケアするための家庭内の無償の労働負担が極端に女性・女児にかかっていることを含め、社会規範の問題と取り組むことを約束する。

61 (f) 15-24歳の少女・若い女性の新規HIV感染を2020年までに年間10万人に減らすことを約束する。

61 (g) この流行が女性と10代の少女に与えている破壊的な影響に対処するため、とりわけサハラ以南のアフリカで緊急の行動をとることを約束する。

61(h) 女性、女児に対するすべての形態の暴力と差別をなくすことを約束する。ジェンダーに基づく暴力、性的な暴力、家庭内暴力、親密なパートナーからの暴力に対しては、とりわけ女性・女児・男児への搾取、人身売買、女性を狙った殺人、迫害、あらゆる状況におけるレイプなどの性的暴力をなくすこと、女性、女児を不平等な地位に置く差別的な法律や有害な社会規範をなくすことが必要である。また、紛争下や紛争後、その他の人道上の危機を含め、子供に対する有害な行為、早すぎる結婚、結婚の強要、妊娠の強要、不妊手術の強要、とりわけHIV陽性の女性に対する不妊手術の強要、妊娠中絶の強要、女性性器切除などをなくす必要がある。こうしたことは女性・女児の生涯にわたり、健康と生活に深刻な長期的打撃を与え、HIV感染に対する脆弱性を高めることになるからだ。

61 (i) 女性・女児に対する暴力を犯罪とする法律の採択、検証、実施を急ぐことを約束する。また、公共の場か私生活の場かを問わず、すべての女性・女児に対するすべてのかたちの暴力および有害行為をなくすために包括的かつ多分野にわたり、ジェンダーの平等を目指した予防、保護、防護、訴追手段とサービスの実施を急ぐことを約束する。

61 (j)保健サービスを利用しやすくすることで、身体的健康、精神的健康、性と生殖に関する健康、女性・女児に対する暴力を含めすべての保健問題に対応する。そうしたサービスはトラウマにも対応し、手頃な価格で安全かつ効果のある良質な医療と一次支援、負傷の治療、心理社会的支援および精神保健支援、緊急避妊法、法律で認められている国なら安全な中絶法、HIV感染の曝露後感染予防(PEP)、性感染症治療、医療専門家への研修、暴力被害の対象となる女性への適切な対応と治療、適切な研修を受けた専門家による法的な検証などが含まれる。

61 (k) 女性・女児に対するあらゆるかたちの暴力と差別に関する認識を高め、予防し、処罰することを直接の目的とした政策と規範、手段をすべての国が策定、強化することを約束する。また、性的暴力の予防および性的な虐待を受けた子供や10代の若者に対する包括的なケアを目的とした政策の展開を約束する。

61(l) 性と生殖に関する良質で利用可能な包括的ヘルスケアおよびHIVサービス、情報、女性主導の予防策を含む製品へのユニバーサルアクセスの確保を約束する。女性主導の予防策には女性用コンドーム、曝露前および曝露後予防服薬、緊急避妊薬その他のかたちの現代的避妊法などがある。年齢や結婚の有無に関わりなく選択できることが大切だ。人権の基準に適合したサービスを確保し、保健医療の場におけるすべての形態の暴力、差別、強制の排除と禁止が確実に行われるようすることを約束する。

61(m) 質の高い情報と教育、助言、社会保障、社会サービスを提供することで10代の少女と若い女性のHIV感染のリスクを減らすことを約束する。これらの方法がHIV感染のリスクを減らすことはエビデンスとして示されている。女児が中等教育、高等教育へと進めるようにすること、学校に通うことを妨げる原因を解消すること、そして教育を受けた女性がまともな仕事に就けるようにするための心理的支援と職業訓練を受けられるようにする。

61(n) 紛争中や紛争後の地域でHIV陽性の女性、HIVの感染リスクにさらされている女性、HIVから影響を受けている女性に対し、各国が援助を継続できるよう保健システムおよび市民社会ネットワークの能力開発、強化をはかる努力を奨励し、それを助ける国連機関、国際金融機関、その他の関係者への支援を約束する。

61(o) ジェンダーの平等を実現する戦略が同時に、男性にとっても受診を遅らせたり、HIV検査や治療のカバー率を低下させたり、HIVによる死亡率を高めたりする有害なジェンダー規範を変え、より良い保健環境をもたらしてパートナーへのHIV感染を減らせるようにすることを約束する。


質の高いHIVサービス、用品、予防へのアクセスを確保し、普及をはかるとともに、多様なアプローチでHIVとエイズの流行に対する闘いを強化する

62(a) エイズ対策の高速対応は、適切かつ良質で、エビデンスに基づくHIV情報、教育、サービスが、スティグマや差別を受けることなく、プライバシーや個人情報を守り、インフォームド・コンセントを受ける権利を尊重されるかたちで、利用できる権利をすべての人に保障し、促進することによってのみ実現可能なことを認識する。そして、HIVのコンビネーション予防プログラムと治療、ケア、支援が、すべての国内、域内、そして国際的HIV対策の基礎であることを再確認する。

62(b) 包括的でエビデンスに基づくアプローチを実行するためにあらゆる手段を動員し、差別のないHIV予防対策を倍増させることを約束する。社会の関心を高める啓発キャンペーンや対象を絞ったHIV教育もそうしたアプローチに含まれる。

62(c) 科学的に正しく、対象年齢に即した包括的教育の規模拡大を文化状況に適したかたちで加速させることを約束する。10代の少年少女を対象に学校内および学校外で発達段階にあわせ、性と生殖に関する健康とHIV予防、ジェンダーの平等と女性の地位向上、人権、思春期における身体と心理、男女間の力関係などの情報が教育内容には含まれる。自尊心を高め、情報を得て自ら判断し、コミュニケーション能力とリスクを減らすスキルを身につけ、相手を尊重する関係を生み出していくことで若者が自らHIV感染を防げるようにするために、若者自身とその親、保護者、ケア提供者、教育者、保健医療従事者らが協力する必要がある。

62(d) HIV感染率が高い地域では、それぞれの条件に適した組み合わせの予防対策が十分に行き渡るようにすることを約束する。その組み合わせには伝統的メディアおよびソーシャルメディアによるアウトリーチ、ピア主導のメカニズム、男性用・女性用コンドーム普及プログラム、自発的な男性割礼手術、適切な医療支援プログラムや注射器プログラムなど公衆衛生上の悪影響および薬物乱用の社会的悪影響を最小限にするための効果的手段、HIV感染の高いリスクにさらされている人のための曝露前予防投与、抗レトロウイルス治療、その他とりわけ若者、中でも若い女性や女児に焦点をあてたHIV感染予防関連策が含まれる。また、国際パートナーの資金や技術支援が適切なかたちで行われることを推奨する。

62(e) すべての女性、10代の少女、移住者およびキーポピュレーションに向けてそれぞれの条件に合わせた包括的な予防サービスの開発とアクセス確保を進める。

62(f) HIV感染率が高い加盟国に対し、感染のリスクにさらされている人の90%にコンビネーション予防サービスが届くようにすること、高いリスクにさらされている300万人が曝露前予防投与(PrEP)を受けられるようにすること、2020年までにHIV感染率が高い地域で新たに2500万人の若い男性が割礼手術を受けられるようにすること、低・中所得国で200億個のコンドームが使えるようにすることを実現するためにすべての適切な対応をとるよう勧める。

62(g) 予防のための適切な財源確保し、世界全体ではエイズ予算の25%以上を予防対策に向けること、それぞれの国の流行の特徴を踏まえ、新規感染の地理的分布や社会的ネットワーク、HIV感染のより高いリスクにさらされている集団に対応したエビデンスに基づく予防手段の採用を約束する。そのためには費用対効果を最大限に高められる予防策に資金を投入する必要がある。それぞれの地方の状況を踏まえ、最も高いリスクにさらされている人びとに特別の注意を払うことを約束する。

62(h) 加盟国がHIV対策の策定段階から障害者のニーズに配慮し、権利を保障できるようにすること、障害者がHIV予防、治療、ケア、支援のプログラム、および性と生殖に関する保健サービスと情報を利用できるようにすることを約束する。

62(i) 2020年までにHIV陽性者およびHIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人の75%がHIVに配慮した社会保障を受けられるよう、加盟国が社会保障、児童保護システムの強化をはかることを奨励する。そこには現金給付、住宅確保への平等なアクセス、子供の支援プログラム、とりわけ孤児、路上の子供たち、少女、HIV陽性およびHIV感染のリスクにさらされたり、HIVに影響を受けていたりする10代の若者への支援プログラム、家族やケア提供者への支援プログラムが含まれる。そのためには子供の能力を最大限に伸ばすための支援、とりわけ早期能力開発サービス、トラウマ支援や心理的支援、教育への平等な機会の提供が必要だ。10代に移行したら安全で差別のない教育環境、住民登録などで若者の助けになる法的なシステムが必要になる。

62(j) 保健医療の場でのスティグマや差別を含め、HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人、自由を奪われている人、先住民、子供、若者、女性、その他の弱い立場の人びとに対する包括的なHIV診断、予防、治療、ケア、支援のユニバーサルアクセス確保を妨げる障壁を排除することを約束する。 


サービス利用を可能にし、HIV関連のスティグマと差別をなくす法律や政策、慣行の普及をはかる

63(a) 誰もが人権と基本的自由を享受できることが、予防、治療、ケア、支援を含む世界のエイズ対策を支えていることを再確認する。HIV陽性者、HIV陽性と思われる人、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人に対するスティグマと差別の解消が世界的なHIVの流行と闘う極めて重要な要素であることも認識する。

63(b) 国際的、国内的かつ地方、コミュニティレベルでHIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人に対する犯罪と暴力を防ぎ、犠牲者にしないようインクルーシブな社会を作っていく対策を強化すること、そうした対策を全体の司法政策および世界的なエイズ高速対応ターゲットと持続可能な開発目標達成の鍵を握るHIV政策とプログラムに統合していくことを約束する。障壁を生み出したり、スティグマや差別を強化したりするような法律は必要に応じ、検証し改正する。その対象には承諾年齢に関する法規制、HIV感染の非開示やHIV曝露、感染に関連した法律、10代の若者のサービス利用を制限する政策やガイドライン、渡航規制、妊娠女性への強制検査などが含まれる。効果的かつ公平なHIV予防、治療、ケア、HIV陽性者への支援プログラムの提供に対する悪影響を取り除くためだ。ただし、妊娠女性にはHIV検査を受けることがそれでもなお推奨される。

63(c) それぞれの国の状況に応じた特別な法的、社会的、政策的枠組によりHIVに関連したスティグマや差別、暴力をなくす努力を約束する。ケア提供者や職場、教育、その他HIVに脆弱であったり、HIVの影響を受けたりしている人に特段の配慮を必要とする立場の人たちとの連携もそうした対応に含まれる。HIV予防、治療、ケア、支援へのアクセスを広げて行くこと、教育、保健医療、雇用、社会サービスへの差別のないアクセスを広げて行くこと、HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVの影響を受けている人に遺産相続や個人情報保護の権利を含む法的保護を提供すること、すべての人権と基本的自由を守ることを約束する。

63(d) 国際労働機関(ILO)の関連協定や『HIV/エイズと働く世界2010』(No.200)などの勧告で示されたガイダンスを考慮しつつ、労働者とその家族、扶養者、職場、経済に対する流行の影響を軽減する必要があることを強調する。雇用者、労働組合、従業員、ボランティアにはスティグマと差別をなくし、人権を尊重、擁護し、HIV予防、治療、ケア、支援を利用しやすくすることを求める。

63(e) HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人が自らの権利について知り、人権侵害を司法機関に訴えることができるような人権を尊重した国家エイズ戦略を約束する。法執行機関の職員、議会、裁判官がそうした配慮を可能にするための戦略とプログラムが必要になる。医療従事者には差別禁止と個人情報保護、インフォームド・コンセントに関する研修を行う。国の人権啓発キャンペーンを支援し、HIV予防、治療、ケア、支援に関する法的な環境をモニターする。

63(f) 子供、若者、とりわけHIV陽性の子供、若者やHIV感染のリスクにさらされていたり、HIVに影響を受けていたりする子供、若者が直面しているスティグマや差別を解消するよう、すべての人権と基本的な自由を享受できる法律と政策の普及を約束する。

63(g) 移動労働者や移住人口層の人たち、難民、危機に見舞われている人たちのHIVに対する脆弱性や特別な健康ニーズに対応することを加盟国に奨励する。スティグマと差別と暴力を減らし、HIV陽性者に対する入国規制や強制送還をなくす観点から関連政策を見直すこと、HIV予防、治療、ケア、支援へのアクセスを確保することも奨励する。

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