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zoom RSS HIVとエイズに関する政治宣言(2016年国連総会ハイレベル会合) その2

<<   作成日時 : 2016/07/06 15:18   >>

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国連総会ハイレベル会合2016政治宣言2

 パラ31から58までです。《2011-16:かつてない成果を生かし、置き去りにされた人たちの存在を認める》(パラ31〜54)では、前回のハイレベル会合が開催された2011年6月から現在までの成果と課題を振り返っています。
《2016-2021:世界のリーダーシップ:HIVとエイズへの高速対応に結束》(パラ55〜58)は今年から5年間で何をなすべきかの各論に関する導入部。今回の宣言は今年1月にスタートした15年間の『持続可能な開発目標(SDGs)』との関係を重視し、SDGs体制の中での位置づけを強く意識した内容になっています。
パラグラフは全部で79あり、そのうちの58までというと、全体の7割以上を占めている印象になりそうですが、実際にはここまでで全体の3割ちょっと。パラ59以降に具体的な約束が盛り込まれていきます。たとえばパラ59は資金をめぐる約束ですが、これがなんとパラ59(a)から59(p)まで16段落に分かれています。以後のパラグラフも同じような調子。あれも入れろ、これも入れろ、そして一方ではこれは外せ・・・と様々な力学が働いた結果でしょうね。それぞれに重要ではあるのでしょうが、訳す方は泣くよ。


    ◇

2011-16:かつてない成果を生かし、置き去りにされた人たちの存在を認める

31 エイズ対策は常に変革を続け、地球規模の目覚ましい連帯と責任の共有を示し、分野横断的であり、かつ人びとに役立つことを中心に据えた革新的アプローチを国際保健に持ち込み、前例のないレベルで包括的な研究開発を促進してきたことを認識する。

32 ミレニアム開発目標(MDGs)の目標6で、HIVとエイズに関するターゲットが達成されたことを歓迎する。また、ミレニアム開発目標(MDGs)全体で大きな成果があったものの、MDGsおよび2011年政治宣言のすべてが達成されたわけではなく、持続可能な開発2030アジェンダで示された2030年のエイズ流行終結を実現するには緊急の対応が必要なことを認識する。

33 HIVの流行は依然、世界中の国とコミュニティと家族に大きな苦痛をもたらす最も深刻な保健、開発、人権、社会課題であることに深い憂慮とともに留意する。流行の開始以来、HIVに感染した人は推計7600万人に達し、3400万人がエイズで死亡している。エイズは世界全体で見ても、出産可能年齢の少女・女性(15-49歳)の最も大きな死亡原因となっている。そして約1400万人の子供がエイズのために親を失っている。毎日6000人が新規にHIVに感染しており、そのほとんどは開発途上国に住む人たちだ。3690万人のHIV陽性者のうち1900万人以上が自らの感染を知らないでいるということも、警告とともに留意する。

34 2015年までに1500万人のHIV陽性者に抗レトロウイルス治療のアクセスを確保するという目覚ましい拡大の成果を歓迎する。しかし、新たなガイドラインですべてのHIV陽性者は直ちに抗レトロウイルス治療を開始すべき対象となったのに、HIV陽性者の半数以上は自らの感染を知らず、2200万人がいまも治療を受けられずにいることに重大な懸念を表明する。また、治療を受けている人のかなり多くが、良好な健康状態の維持を妨げる社会的、構造的な障壁に直面していることにも重大な懸念を表明する。たとえば、ケアの質が低いこと、経済的な制約、スティグマと差別、有害な慣行や考え方、サービス提供モデルの不足、栄養不良と食糧不足、治療薬の副作用や誤用、そして包括的な社会保障やケア、支援がないことなどがそうした障壁になっている。その結果、適切な時期に治療を開始できず、治療を継続して体内のウイルス量を低く抑えることも困難になり、HIVの薬剤耐性株の出現リスクが高まると、効果的なHIV治療と予防の普及を妨げることになる。

35 途上国の子供の検査率、治療率が受け入れがたいほど低いことを深い憂慮とともに留意する。成人層が直面するのと同じ社会的、構造的障壁の結果であり、同時に子供特有の要因もある。乳幼児に対する診断率の低さ、母子感染予防の枠組み以外での症例把握が不適切なこと、検査結果返しが遅いこと、子供の治療体制が不十分なこと、小児用のHIV検査、治療、ケア担当者の研修不足、長期継続治療の困難さ、子供が摂取しやすく有効な治療薬が適切に用意されていないこと、スティグマと差別、子供と養育者に対する社会保障制度の不備などである。

36 子供のHIV感染をゼロにし、その母親が生存できるようにするための世界計画について、開始以来の成果を認める。推定85カ国で母子感染をなくす目標は到達の可能性が見えてきたが、継続的な努力の重要性に留意する。

37 HIVとエイズの流行のような状況で、安全かつ効果的で手頃な価格の治療薬と医療用品を誰もが差別されずに使えることは、すべての人が身体的、精神的に良好な健康状態で過ごす権利を実現するための基本であることを再確認する。ただし、治療薬へのアクセスが得られない人は多く、貧困や移住、サービスへのアクセス不在、資金確保見通しの不確実さなどの要因により、生涯にわたる安全かつ効果的で手頃な価格のHIV治療の持続的な提供は、とくに社会から取り残された人たちには、困難なことを重大な懸念とともに留意する。また、治療薬へのアクセスが何百万もの人の生命を救うことを強調する。

38 いくつかの国でHIV陽性者の死亡が減少したこと、とりわけ結核関連の死者が2004年当時と比べ32%も減ったことを歓迎する。ただし、結核は依然、HIV陽性者の最大の死亡原因であること、ウイルス性肝炎は健康不良と死亡の大きな理由となっていること、HIVの感染リスクにさらされている妊婦および胎児に対し先天梅毒が大きな影響を与えていることを重大な懸念とともに留意する。

39 成人の新規HIV感染の3分の1以上を15歳から24歳の若者が占め、毎日2000人の若者がHIVに感染していること、10代の若者のエイズによる死亡が増加し、世界の10代の若者の死因の2位を占めていることを深く憂慮する。多くの若者にとって良質の教育や栄養バランスの取れた食事、まともな仕事、娯楽施設へのアクセスが極めて限られていることに留意する。また、性と生殖に関する保健サービス、必要な物品、スキル、知識、能力を提供するプログラムへのアクセスが限られていることにも留意する。こうしたプログラムはHIVの新規感染防止に必要なのだが、HIVについて正確に知っている若者(15-24歳)は男性で36%、女性で28%にとどまっており、自発的かつ匿名のHIV検査とカウンセリングや教育といった性と生殖に関する保健ケア、HIVサービスが法律や政策により、若者には利用できない例もある。一方で、感染リスクが高い行動を減らし、コンドームを常に正確に使用するといった責任ある性行動の重要性も認める。

40 両親や法的な保護者が死亡し、子供が世帯主の家庭、とりわけ少女が世帯主の家庭における子供の権利の尊重、保護、遂行の必要性、および他の経済的、社会的、政治的現実を認識する。疾病と死亡、家族の崩壊、貧困の悪化、失業や不完全雇用、移住、都市集中といったエイズの流行の影響で、子供が世帯主の家族が増えることに重大な懸念を表明する。

41 世界全体でみると、女性と女児はいまなお、流行に最も大きな影響を受けている集団であり、彼女たちのケア提供の負担は極端に大きいことを引き続き深く憂慮する。ジェンダーの平等と女性の自立に向けた歩みは受け入れがたいほど遅く、女性と女児が自らをHIV感染から守る能力も、不平等な男女間の社会的力関係と法的、経済的、社会的立場、性と生殖に関する健康を含む保健ケアやサービスの不備によって妨げられていること、人身売買、性的な暴力、搾取、有害な行為など公私にわたるあらゆるかたちの差別と暴力によって妨げられていることにも留意する。

42 それぞれの国が自国の流行と対策の鍵を握る集団を定義することの必要性を強調しつつ、新規感染を減らす取り組みが遅れていること、コンビネーション予防プログラムの規模が極めて限定されていることを警告とともに留意する。また、HIV感染の流行が深刻な状況下における女性と10代の少女、とりわけサハラ以南のアフリカにおける少女は、同年代の少年と比べ、HIV陽性率が倍以上も高くなる傾向があること、多くの国のHIV予防、検査、治療のプログラムで、女性と10代の少女、移住者、および疫学的なエビデンスからHIV感染のリスクが高いとされるキーポピュレーションへのサービスのアクセスが、HIV予防国家戦略の中で十分に確保されていないことに留意する。注射薬物使用者はHIV感染のリスクが一般の成人層より24倍も高い。セックスワーカーとその客は10倍、男性とセックスをする男性は24倍、トランスジェンダーの人たちは49倍、受刑者は5倍もHIV陽性率が高くなっている。

43 法律に従い、保健関連リスクとハームリダクションのプログラムの拡大を果たした国や地域、抗レトロウイルス治療とその関連対策で薬物使用によるHIV、ウイルス性肝炎、その他の血液感染症に対応した国や地域もあることに留意する。ただし、世界的にみて薬物使用者のHIV感染、とりわけ注射薬物使用者のHIV感染を減らす対策の成果はあがっていないことに留意し、そうしたプログラムやHIV治療薬の服薬継続を助ける代替薬物治療プログラムが必要なのに実施されていない国があること、法律による注射薬物使用者の排除や犯罪視がHIVサービス利用を妨げていることに注意を促す。この点では、治療とアウトリーチのサービス、刑務所その他の収容施設における対策へのアクセス確保を考えること、WHO、UNODC(国連薬物犯罪事務所)、UNAIDSによる注射薬物使用者のHIV予防、治療とケアのユニバーサルアクセスに向けた目標設定のための各国向け技術ガイドを必要に応じ利用することを促す。また、ジェンダーや年齢に基づくスティグマと差別のために女性の注射薬物使用者がHIVサービスの利用をしばしば妨げられていることを懸念とともに留意する。

44結核とHIVの流行が深刻な国における結核との重感染者を含め、HIV陽性者、陽性者と思われている人、HIV感染のリスクがある人、HIVの影響を受けている人に対する差別的な態度や政策は、全体としては減っているものの、依然として残っていることを深く憂慮する。またHIV感染に関連する厳しい法律や政策の枠組みが予防、治療、ケア、支援のサービスの利用から人びとを遠ざけていることを深く憂慮する。

33 国連障害者の権利条約で示されている障害者の人権や基本的な自由を尊重し、擁護し、実践することの必要性は広く認められているのに、世界のエイズ対策の公式文書には障害者に関する記述が不十分である。また、法的および経済的不平等、性的暴力やジェンダーに基づく暴力、差別、人権侵害などにより、とりわけ障害を持つ女性・女児のHIV感染に対する脆弱性が増しているにもかかわらず、世界的なエイズへの対応は依然、障害者に対する配慮が適切ではなく、サービスが利用しやすくもなっていないことは深い憂慮とともに留意する。

46 差別的な法律や政策が依然としてHIV陽性者の活動を制限し、HIVサービスの提供を大きく妨げていることを引き続き懸念する。一方で、HIV感染を理由にした入国、滞在、居住の規制を撤廃する国があること、多くの企業指導者が差別のない業務遂行を進めていることを認識する。

47 HIV陽性者、HIV感染のリスクにさらされている人、HIVに影響を受けている人、とりわけ若者に対し、性と生殖に関する健康を含む保健サービスとHIVサービスを組み合わせたサービスが十分に提供されていないことを深い憂慮とともに留意する。その中には性的暴力、ジェンダーに基づく暴力を経験した人へのサービス、曝露後予防投与(PEP)、法的なサービスと社会保障も含まれる。

48 予防のための新たな医学的ツールを探る研究の重要な成果を歓迎する。予防としての治療(T as P)、曝露前予防投与(PrEP)と抗レトロウイルス薬(ARV)配合のマイクロビサイド、男性の自発的割礼手術などがとくに知られている。長期持続型PrEP、予防および治療用ワクチン、完治療法などの研究開発はさらに進めていく必要がある。

49 持続可能な開発の実現には、国によって直面する課題がそれぞれあることを認識し、最も弱い立場の国々、とりわけアフリカ諸国、後発開発途上国、内陸の途上国、島嶼国が直面する課題への対応を強調する。中所得国の特別の課題にも注目する必要がある。紛争下の国々には特別の配慮が必要なことに留意する。

50 低・中所得国のHIVプログラムのために2014年には世界全体で推計192億ドルの資金を確保する(1)など財政面での目覚ましい成果を歓迎する。また、補足的な資金を獲得するための革新的手法の重要な役割を認める。
(1) 国連事務総長報告『エイズ流行終結への高速対応』(A/70/811) 表1 (17ページ)

51 2014年には各国の国内HIV投資が2006年当時のほぼ3倍に拡大し、国内資金が投資総額の57%に達したことを歓迎する。さらにアフリカのエイズ、結核、マラリア対策に関するアフリカ連合の責任の共有と地球規模の連帯に向けたロードマップが果たした役割に留意する。

52 HIV/エイズ対策の資金ギャップはいまなお存在すること、互いに合意したかたちで技術移転を進め、途上国における治療薬のアクセスを改善し、研究開発能力を強化することの必要性を認める。

53 多くの国が現在より遙かに多く投資を行う能力を有していることに留意する;先進国で国内総生産の世界比率に見合ったエイズ対策の国際資金投資を行っている国は4カ国しかない。先進国、途上国が協力し、国内資金も含めたHIVとエイズ対策への投資を拡大する必要がある。

54今後5年間の投資の拡大と前倒しにより、新規HIV感染とエイズ関連の死亡を減らす高速対応策をとり、予防と治療の両面でHIVサービスの規模を拡大しなければ、流行が再拡大する国もあり、2020年までにUNAIDSの90-90-90目標を実現することを含め、ここで約束した締切り付きの野心的ターゲットも、2030年のエイズ流行終結の約束も実現できなくなることを認識する。


2016-2021:世界のリーダーシップ:HIVとエイズへの高速対応に結束

55 HIVの流行を転換すること、インクルーシブで断固とした責任のあるリーダーシップで2001年のHIV/エイズに関するコミットメント宣言、2006年と2011年のHIV/エイズに関する政治宣言の約束を再確認し、本宣言で行った約束とゴールとターゲットを実現することにより、世界のHIVとエイズへの包括的対応を再活性化し、強化していくことを約束する。

56 2020年に世界の新規HIV感染者数を年間50万人以下、エイズ関連の原因で死亡する人を年間50万人以下に減らし、スティグマと差別をなくすというターゲットを約束する。

57 各国の主体性やリーダーシップ、それぞれの優先課題、流行の拡大要因、脆弱性、悪化要因、影響を受ける集団、戦略情報、エビデンスにより、エイズ対策は異なってくる。それぞれの国の状況に合わせ、疫学的かつ社会的な状況が適切なところでは、野心的な数値目標を設定することを約束する。

58 高速対応目標の達成は、すべてのかたちの貧困と不平等をなくし、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指す世界の努力を支えることを認識する。それは分かちがたく統合されたものであるとの観点から、私たちはエイズ対策の高速対応への投資を前倒しし、資金を広く求め、(SDGsの17目標の中の)5つの戦略的HIV関連分野を進展させなければならない。また広範なSDGターゲットに対応するための投資がエイズ流行終結の助けになることも認識する。

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