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zoom RSS 医科学分野の世界の指導者が90-90-90目標達成の戦略を検討 

<<   作成日時 : 2015/07/25 20:13   >>

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(解説)カナダのバンクーバーで開かれた第8回国際エイズ学会HIV基礎研究・治療・予防会議の関連イベントです。90-90-90は、HIV予防のいわゆる「カスケード」戦略で国連合同エイズ計画(UNAIDS)が掲げている目標です。

『2020年時点で、世界中のHIV陽性者の90%が検査を受けてHIVに感染していることを知り、そのうちの90%がHIV治療を受け、さらにそのうちの90%が治療の効果で体内のウイルス量が検出限界以下になっている状態を目指すということです。
 それが実現すると、90×90×90で、HIV陽性者の72.9%は体内のウイルス量が検出限界以下となり、性行為などで他の人にウイルスが感染することはほとんどなくなる。つまり、治療の普及が高い予防効果を持つということになります』
(高速対応で2030年に国際保健の脅威としてのエイズ流行を終結 UNAIDSが新報告書)
コミュニティアクション公式サイトから
 http://www.ca-aids.jp/features2014/122_unaids.html

 UNAIDSはさらに2030年には95-95-95を目指し、そうなると年間HIV新規感染者数は世界全体で20万人程度に抑えられると試算しています。2014年の年間新規感染者推計は200万人なので、その10分の1。これをもって公衆衛生上の脅威としてのエイズの流行は終結したとみなす。これがエイズ流行終結のシナリオです。
ただし、それには今後5年で90-90-90を実現することがまず大切。それだって途上国では不可能ではないかという批判に対する反証として、会議では「ほら、こんなにもう、成果があがっていますよ」という実例をかき集めてきたということでしょうね。もちろん、「やった、やった」とばかりは言っていられない。成果を強調すれば、「そんなにうまくいっているのなら、エイズはもういいだろう」といった姑息な発言も出てきかねません。
UNAIDSのコメントの中で、ミシェル・シディベ事務局長は「研究結果は90-90-90目標が単なる夢ではないことを示しています。確実に実現可能です」と言いつつ、その前置きでは「この注目すべき研究結果からも、エイズ対策にはさらに工夫が必要なことが分かります」と牽制球も投げています。渡る世界は鬼ばかりというのも国際社会の現実なのでしょうね。
 以下、UNAIDSの公式サイトに掲載された7月22日付特集記事の日本語仮訳です。

   ◇

医科学分野の世界の指導者が90-90-90目標達成の戦略を検討
     2015年7月22日 UNAIDS Feature story
http://www.unaids.org/en/resources/presscentre/featurestories/2015/july/20150722_90-90-90-target

複数の医学研究結果を検討しているHIV研究の主導的研究者らが19日、サハラ以南アフリカではサービス提供の方法を工夫することでHIV治療の90-90-90目標を達成しつつあるとの成果を報告した。

 研究成果は、カナダのバンクーバーで開かれた第8回国際エイズ学会HIV基礎研究・治療・予防会議の開幕に先立ち、地元ブリティッシュ・コロンビア州にあるHIV/エイズ・エクセレンスセンターとブリティッシュ・コロンビア大学エイズ学科主催のワークショップで報告された。これらの研究はサハラ以南のアフリカでも最もエイズの流行が深刻なボツワナ、ケニア、マラウィ、南アフリカ、スワジランド、ウガンダ、ザンビアなどで進められている。

 「この注目すべき研究結果からも、エイズ対策にはさらに工夫が必要なことが分かります」と国連合同エイズ計画(UNAIDS)のミシェル・シディベ事務局長はいう。「研究結果は90-90-90目標が単なる夢ではないことを示しています。確実に実現可能です」

 カリフォルニア大学サンフランシスコ校のダイアン・ハブリア博士は、ケニア、ウガンダの30カ所以上のコミュニティで進めている持続可能な東アフリカ地域保健研究(SEARCH)の中間報告を行った。33万4000人以上を対象にしたSEARCH研究では、HIV検査を提供し、HIV陽性と分かった人には直ちに抗レトロウイルス治療を開始するために、複数の疾病キャンペーンを組み合わせたコミュニティ本位の複合的プログラムについて評価を行っている。

 集団レベルでみると、SEARCHプログラムの参加者は90%以上が自らのHIV感染の有無について知っていた。さらにHIV陽性の参加者のうちウガンダでは92%、ケニアでは83%が抗レトロウイルス治療を受け、治療を開始した人の92%は治療開始24週時点でウイルス量が低く抑えられていた。

 まだ予備調査の段階だが、同様に期待のできる結果がロンドン大学衛生・熱帯医学大学院のリチャード・ヘイズ博士らのPopART研究からも報告されている。繰り返し検査を行い、HIV陽性と分かった人には全員、直ちに抗レトロウイルス治療を開始するといった複合的HIV予防対策を21カ所のコミュニティで実施し、その結果を評価する研究だ。11万5000人を超える参加者のうち、男性のHIV陽性者の90%、女性のHIV陽性者の92%が自らのHIV感染を知っていた。そのうち抗レトロウイルス治療を受けていたのは男性の62%、女性の65%だった。このことはHIV陽性者のケアにさらに力を入れる必要があることを示している。PopART参加者でウイルス量の抑制を果たしている人の割合は来年、明らかになる。 

 ハーバード大学公衆衛生大学院のマックス・エセックス博士はボツワナにおける複合予防計画のベースライン調査で把握されたデータを報告している。エセックス博士のグループによると、2015年半ば時点でボツワナの全HIV陽性者の79%が自らのHIV感染を知っていた。そして、感染の告知を受けた成人のHIV陽性者の86%が抗レトロウイルス治療を受けており、治療を受けている人の96%はウイルス量の抑制を達成していたという。

 国境なき医師団(MSF)のデヴィッド・ママン博士によると、同じように印象的な結果がマラウィのチラズル県におけるMSFのプログラムでも達成されている。チラズル県では、全HIV陽性者の77%が自らの感染を知っており、HIV感染の告知を受けた人の84%が抗レトロウイルス治療を受け、抗レトロウイルス治療を受けている人の91%はウイルス量が抑制されていた。

 ボルドー大学公衆衛生大学院のフランソワ・ダビス教授は、南アフリカのクワズルナタル州フラビサで行われた2つの検査と治療計画の予備調査について報告した。コミュニティレベルで6カ月ごとに検査を行い、研究の対象となったすべてのコミュニティに抗レトロウイルス治療拠点を作るという計画だ。調査対象となった2万6000人の85%が自らのHIV感染の有無を知っていた。HIV感染の告知を受けた人のうち、抗レトロウイルス治療を受けている人は86%だった。ケアへのつながりは依然、最適とはいえず、さらに工夫が必要だと研究は指摘している。

 こうした研究の成果により、いくつかの重要な課題が把握された。それぞれの場所のニーズと雰囲気を尊重したプログラムを開発するには、地元のコミュニティの参加と協力が重要なことを研究者らは強調している。また、ほとんどの研究は、プログラムの開発とモニタリングと評価には、医師や生物統計学者だけでなく、社会科学者や経済学者、コミュニティの代表も含めた学際的アプローチを採用していた。




Global scientific leaders explore strategies to achieve the 90-90-90 target
22 July 2015

Leading HIV researchers describing results from multiple clinical trials in sub-Saharan Africa report that innovative service delivery models are achieving results across the HIV treatment cascade that approach or exceed the 90–90–90 target.

Study results were presented at an all-day workshop hosted by the British Columbia Centre for Excellence in HIV/AIDS and the Division of AIDS at the University of British Columbia, prior to the opening of the 8th International AIDS Society Conference on HIV Pathogenesis, Treatment and Prevention in Vancouver, Canada. The studies are being undertaken in a number of high-burden countries in sub-Saharan Africa, including Botswana, Kenya, Malawi, South Africa, Swaziland, Uganda and Zambia.

“These exceptional clinical trial results show yet again how innovation is driving progress in the AIDS response,” said UNAIDS Executive Director Michel Sidibé. “The results demonstrate that the 90–90–90 target is more than a dream. It is entirely feasible.”

Diane Havlir, of the University of California, San Francisco, presented interim results from the Sustainable East Africa Research for Community Health (SEARCH) trial in more than 30 rural communities in Kenya and Uganda. Having enrolled more than 334 000 people, the SEARCH trial is evaluating a multicomponent programme, including use of community-centred, multidisease campaigns to provide HIV testing and link HIV-positive individuals to immediate initiation of antiretroviral therapy.

At a population level, the SEARCH programme has achieved 90% knowledge of HIV status. Among participants living with HIV, more than 90% of people in Uganda and 83% in Kenya are receiving antiretroviral therapy. At 24 weeks, 92% of trial participants who have initiated antiretroviral therapy have achieved viral suppression.

Similarly encouraging, although preliminary, results were reported from the PopART trial by Richard Hayes of the London School of Hygiene and Tropical Medicine. Working in 21 communities, the trial is evaluating a combination HIV prevention package that includes repeated rounds of community-level HIV testing and immediate initiation of antiretroviral therapy for all people who are diagnosed HIV-positive. Among more than 115 000 community members enumerated in the trial, 90% of all men living with HIV and 92% of all women living with HIV were aware of their HIV status following the PopART programme. Among people with an HIV diagnosis, 62% of men and 65% of women were receiving antiretroviral therapy, highlighting the need to further strengthen linkage to care for people living with HIV. Data on rates of viral suppression among PopART participations will be available next year.

Max Essex, of the Harvard University School of Public Health, presented baseline findings for the Botswana Combination Prevention Protocol. Mr Essex and his colleagues have found that 79% of all people living with HIV in Botswana knew their HIV status as of mid-2015, 86% of adults who have been diagnosed with HIV were receiving antiretroviral therapy and 96% of people receiving antiretroviral therapy had achieved viral suppression.

Comparably impressive results have been achieved by a Médicins Sans Frontières (MSF) programme in the District of Chiradzulu in Malawi, according to David Maman of MSF. In Chiradzulu, 77% of all people living with HIV know their HIV status, 84% of people with an HIV diagnosis are receiving antiretroviral therapy and 91% of people receiving antiretroviral therapy have achieved viral suppression.

François Dabis, of the Bordeaux School of Public Health, described preliminary results from a separate trial in the Hlabisa district in KwaZulu-Natal, South Africa, of a test-and-treat initiative that includes six-month rounds of community-level testing and establishment of antiretroviral treatment sites in all communities in the study. Among more than 26 000 people in the study communities, 85% know their HIV status. Among HIV-diagnosed people reached by the programme, 86% are receiving antiretroviral therapy. Study results indicate that linkage to care remains suboptimal and an important focus of further work and innovation.

Several important themes emerged from these study findings. Researchers emphasized the importance and value of engaging and collaborating with local communities in developing programme approaches tailored to local needs and circumstances. Most of the studies have also taken multidisciplinary approaches to the development, monitoring and evaluation of programmes, involving social scientists, economists and community representatives as well as clinicians and biostatisticians.

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