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zoom RSS TOP-HAT News第63号(2013年11月)

<<   作成日時 : 2013/12/01 20:30   >>

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        第63号(2013年11月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 「エイズなき世代」とは

2 アウンサウンスーチーさんがメルボルンで世界エイズデー演説

3 世界エイズデー on Sunday

4 『HIVと高齢化』 UNAIDSが報告書

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに 「エイズなき世代」とは 
 「HIV/AIDSなき世代をめざして」をテーマにした第27回日本エイズ学会学術集会・総会が11月20日から22日まで熊本市で開かれました。同じ時期にタイのバンコクで第11回アジア太平洋地域エイズ国際会議(11月18日〜22日)が開催されていたので、どちらに参加しようかと迷ったエイズ対策関係者も少なくなかったようですね。国内の対策と同時に、アジアの文脈で日本のエイズの流行をとらえる視点も重要です。

 参考までに紹介しておくと、バンコク会議のテーマは、「Asia/Pacific Reaching Triple Zero: Investing in Innovation(アジア太平洋地域での3つのゼロの実現:革新への投資)」でした。「3つのゼロ」というのは国連合同エイズ計画(UNAIDS)が目指すべきビジョンとして掲げている「HIVの新規感染ゼロ、HIV/エイズにまつわる差別ゼロ、エイズ関連の死亡ゼロ」のことです。

 抗レトロウイルス治療の進歩により、最近はHIVに感染している人たちの体内のウイルス量を非常に低い状態に抑えることが可能になっています。その結果、治療を受けているHIV陽性者自身にとって長く生きていく展望が大きく開けたことに加え、感染している人から他の人への感染を防ぐ予防効果も期待できるようになりました。ただし、そのためにはHIVに感染している人が早期に検査を受けて感染を知り、適切な時期に治療を開始する必要があります。

また、その「適切な時期」はこれまで考えられていたよりも早く考えるべきであるというのが、最近のHIV治療の趨勢です。HIVに感染している人たちの体調管理や長期生存にはそれがプラスになるという判断に加え、Treatment as Prevention(予防としての治療)という効果もあるのではないかという期待感が高まっているからです。何でも略すのが好きな人はT as P(ティ・アズ・ピー)などと言ってみたりもします。

これまでのさまざまな予防手段に、そのT as Pが加われば、そして、そのために抗レトロウイルス治療普及のための努力をこれまで以上に加速させることができれば、何時の日か、エイズの流行を終結に導くことも可能になるのではないか。

 これが最近の世界のHIV/エイズ対策の主流をなす考え方です。「HIV/AIDSなき世代」も「3つのゼロ」もその考え方をより強いインパクトで伝えるために選ばれたイメージといえそうですね。もちろん、そうした目標を掲げ、一層の努力を促すことは政策的に重要ではあるのですが、スローガン的に何度も繰り返していると、いまにもそれが実現しそうな錯覚に陥るおそれもあるので注意が必要です。

 第27回日本エイズ学会でも、テーマに掲げた「HIV/AIDSなき世代をめざして」をめぐる議論が盛んに闘わされました。もちろん、重要な目標です。ただし、そう簡単に実現するものでもないという意味で、さまざまな課題の存在も確認されました。

日本ではあまり話題にならなかったのですが、「HIV/AIDSなき世代をめざして」との関連で改めて注目しておきたいのは、2011年11月8日に米国のヒラリー・クリントン国務長官(当時)が米国立衛生研究所で行った演説です。この中でクリントン長官は、米国が「AIDS Free Generation(エイズから自由な世代)」の実現を目指すことを明らかにし、最近ではそれが米国だけでなく世界の共通目標として受け止められるようになった印象もあります。演説に合わせて米国務省が発表したファクトシートはその「AIDS Free Generation」について次のように説明しています。

 ・すべての赤ちゃんがHIVに感染することなく生まれ、
 ・さまざまな予防手段のおかげで10代や成人してからも現在よりはるかに感染のリスクは低く、
 ・そして、HIVに感染したとしても、自らのエイズ発症と他の人への感染を防ぐことができるよう治療へのアクセスが得られる。

「AIDS Free Generation」はHIV陽性者がまったく存在しなくなる世界を想定したものとはやや異なるようです。 少なくともHIV陽性者を排除しようとするようなトーンは周到に避けられています。したがって、「AIDS Free」は「エイズなき」ではなく、「エイズから自由な」と訳しました。

もちろん、「エイズなき」が誤りだと主張しているわけではありませんが、「AIDS Free」の前提には排除ではなく、予防と支援の対策が何段構えにも用意されていなければならないという認識は重要です。今回のエイズ学会でも、支援の重要性についてはかなり深く、突っ込んだ議論が行われていました。日本の研究陣およびエイズ対策の現場にいる人たちが真摯に、そしてときには肩の力を抜いて自分の位置を確かめる議論を展開し、共通の基盤を確認しようとしていたことは、大いに心強く感じられるものでした。

 なお、米国務省のファクトシートについては、日本語仮訳がHATプロジェクトのブログに掲載されています。
 http://asajp.at.webry.info/201111/article_1.html


2 アウンサウンスーチーさんがメルボルンで世界エイズデー演説
 第20回国際エイズ会議(AIDS2014)が来年7月20日から25日まで、オーストラリアのメルボルンで開かれます。世界200カ国から1万4000人を超える参加者と2000人以上のジャーナリストが集まるという世界規模のエイズ会議ですね。

テーマは「STEPPING UP THE PACE(ペースをあげよう)」です。いまこそが正念場であり、治療の普及にさらに力を入れていこうというメッセージでしょうか。第27回日本エイズ学会や第11回アジア太平洋地域エイズ国際会議の延長線上にテーマをとらえることもできます。今年の世界エイズデーでは、ノーベル平和賞受賞者で国連合同エイズ計画(UNAIDS)の親善大使でもあるアウンサウンスーチーさんがそのメルボルンを訪れ、地元のビクトリア州庁舎で行われる世界エイズデー記念式典で基調演説を行うことになりました。
http://www.ca-aids.jp/features/88_aung_san_suu_kyi.html

UNAIDSのミシェル・シデベ事務局長も一緒ですね。先ほども紹介したようにUNAIDSは「HIVの新規感染ゼロ、HIV/エイズにまつわる差別ゼロ、エイズ関連の死亡ゼロ」の3つのゼロを将来実現すべきビジョンとして掲げています。「HIVにまつわる差別ゼロ」の部分で、アウンサウンスーチーさんがどんな演説をするか。発信力の高い機会になりそうなだけに注目したいですね。


3 世界エイズデー on Sunday
 世界エイズデーは12月1日ですが、国内の関連イベントはエイズデー当日よりもむしろその直前の土日に集中するのが通例です。そうした方がより多くの人の関心を惹きつけることができるという判断でしょうか。ただし、今年は12月1日が日曜日なので、世界エイズデー当日が最大のイベント集中日になりました。HIV/エイズ関連情報の共有を目指すキャンペーンサイト、コミュニティアクション(CA-AIDS)2013のイベント情報をご覧ください。
 http://www.ca-aids.jp/event/

 あくまでCA-AIDSスタッフの限りある情報収集力の範囲内ではありますが、それでも11月30日と12月1日には全国でたくさんの関連イベントが計画されていることが分かります。CA-AIDSのサイトには今年の世界エイズデー国内啓発キャンペーンのテーマ「恋愛の数だけHIVを語ろう」の趣旨説明なども掲載されているので、合わせてご覧ください。
 http://www.ca-aids.jp/

 公式Facebookにもアクセスできます。


4 『HIVと高齢化』 UNAIDSが報告書
 治療の進歩に伴い、HIV陽性者が長く生きられるようになったということは、HIV/エイズ対策が陽性者の高齢化に伴う様々な課題への対応を迫られているということでもあります。これは日本だけが直面する問題ではなく、世界の共通課題といってもよさそうですね。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)は11月1日、『世界のエイズの流行2013年版』(2013 Report on the Global AIDS epidemic)の補足版として『HIV AND AGING』という報告書を発表しました。《人口動態から見たエイズの流行の変化により、HIV関連サービスが行き届いていない50歳以上のHIV陽性者への対応が浮上》ということです。プレスレリースの日本語仮訳がHATプロジェクトのブログに掲載されているので、ご覧ください。
 http://asajp.at.webry.info/201311/article_3.html

 低中所得国ではHIV陽性者人口の10%、欧米や日本などの先進諸国ではHIV陽性者の30%が50歳以上の中高年層で占められているそうで、以下の3点が高齢化傾向の要因として指摘されています。

 ・抗レトロウイルス治療の効果でHIV陽性者が長く生きていけるようになった。
 ・若者のHIV感染が減ってきた結果、陽性者の年齢構成が相対的に高い層に移行している。
 ・中高年層にも感染防止策をとらない性行為や注射薬物使用など感染リスクを高める行動が見られる。

 3点目は国内でも最近、新たな課題として認識されるようになりました。

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