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zoom RSS TOP-HAT News 第55号(2013年3月)

<<   作成日時 : 2013/04/01 15:59   >>

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        第55号(2013年3月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 第2回野口英世アフリカ賞にピオット、コウティーニョ両博士

2 新生児の「機能的治癒」を報告

3 日本の継続的支援に感謝 マーク・ダイブル世界基金事務局長

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに 第2回野口英世アフリカ賞にピオット、コウティーニョ両博士

 黄熱病の研究などで知られる野口英世博士の功績をたたえ、5年ごとのアフリカ開発会議(TICAD)開催に合わせて表彰される「野口英世アフリカ賞」の第2回受賞者にベルギー国籍のピーター・ピオット博士(ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院学長)とウガンダ国籍のアレックス・コウティーニョ博士(マケレレ大学感染症研究所所長)の二人が選ばれました。第5回アフリカ開発会議開催中の6月1日に横浜で授賞式が行われる予定です。野口英世アフリカ賞、および今回の受賞者については内閣府のサイトに詳しい説明があるので、あわせてご覧ください。
http://www.cao.go.jp/noguchisho/index.html

 お二人はアフリカのエイズ対策に大きな貢献を果たしてこられました。その実績を考えれば文句なしの受賞でしょう。最近は、抗レトロウイルス治療の普及で、HIV/エイズの流行の克服に希望が出てきたといった見通しがしばしば語られています。もちろん、希望を持つことは大切です。まだまだ長い道のりですが、その希望の実現に向けて、治療や予防の研究に一層の努力を傾けることも重要です。ただし、長期的展望としての希望を目先の成果と混同し、エイズの流行はもう克服できるんでしょ、対策もほどほどでいいんじゃないの、といった根拠の薄弱な楽観論が広がっていくようだと、ようやく生まれてきた希望すら失われてしまいます。

 そのあたりの微妙な現実を考えれば、この時期に、エイズ対策分野の代表的研究者二人が、5年に一度の野口英世アフリカ賞受賞者となったことは極めて大きな意味があると考えるべきでしょう。日本政府としても、エイズとの闘いには継続して、しっかりと取り組んでいきたい。そうした意思を内外に示した人選という受け止め方もできるからです。受賞を大いに歓迎し、選ばれたお二人はもちろん、選んだ側の戦略眼についてもこの際、評価しておきたいと思います。

 野口英世アフリカ賞は2008年に創設され、第4回アフリカ開発会議初日の同年5月28日に第1回授賞式が行われています。受賞者はケニア国家エイズ対策委員会の委員長で、女性と子供の保健と福祉の向上に長年、取り組んでこられたミリアム・ウェレ博士、およびマラリアをはじめとする感染症研究に大きな成果を上げてこられたロンドン大学衛生熱帯医学校教授、ブライアン・グリーンウッド博士でした。

 日本政府の主導で5年ごとに開催されるアフリカ開発会議にあわせて授賞式が行われるということは当然、5年に一度しか受賞者が選ばれないということでもあります。オリンピックだって4年に一度ですから、5年は長いですね。北京五輪のマラソンで優勝したのは誰だったか。なかなか思い出せませんね。したがって、まだ今回が2度目となる野口英世アフリカ賞の存在になじみが薄いのは致し方ない面もあるのですが、日本の国際貢献という観点からも極めて意義深い賞です。みんなで盛り上げていきましょう。

 今回の受賞者の一人、ピオット博士は1995年から2008年まで国連合同エイズ計画(UNAIDS)の事務局長として世界のエイズ対策の牽引役をつとめてきました。事務局長就任前には、国際エイズ学会(IAS)の理事長でもありました。

このため、1994年の第10回国際エイズ会議(横浜)や2005年の第7回アジア太平洋地域エイズ国際会議(神戸)の準備などを通じて、わが国のエイズ対策関係者の間にも親しい友人がたくさんできたようです。昨年11月には慶應義塾大学日吉キャンパスで開かれた第26回日エイズ学会学術集会・総会に参加し、全体会議でこの30年余のエイズ対策を総括する貴重な講演を行っています。その内容はTOP-HAT News第51号(2012年11月)でも紹介しましたので、バックナンバーでご覧ください。
 http://asajp.at.webry.info/201211/article_5.html


2 新生児の「機能的治癒」を報告

HIVに感染した新生児に生後30時間から抗レトロウイルス治療を開始した結果、現在2歳半のその赤ちゃんは「機能的治癒」を実現できているようだという研究報告が3月4日、米・ジョージア州アトランタで開かれているレトロウイルス・日和見感染症学会 (CROI)で発表されました。

抗レトロウイル薬による早期治療を完治につなげる。これは現在の世界のHIV研究の大きなテーマのひとつです。

現在の抗レトロウイルス治療は、ウイルスを検出限界以下にまで減らすことはできるようになりました。ただし、治療を止めてしまえば、体内のHIV量はまた増えてくるので、治療を始めた人は生涯にわたって薬を飲み続けなければならない。それが現在のHIV陽性者の長期生存の前提と考えられています。

それを何とかできないか。ウイルスが完全に身体の中からいなくなったということを証明できなくても、抗レトロウイルス治療を止めて、それでもずっと体内のHIVが検出限界以下のまま増えない。これならHIV感染の状態を脱したのと同じことだというわけで、こうした状態を「機能的治癒」ないしは「機能的完治」と呼んでいます。

世界にはすでに推定3400万人ものHIV陽性者が生きている中で、治療が必要になった人全員に治療を提供し続けることができるのかどうか。現在、差し当たって治療が必要な人は1500万人と推定され、そのうち実際に治療を受けている人の数は800万人程度です。この10年、世界が真剣に治療の普及に努めても、治療を必要とするすべての人に、その必要な治療を提供することはなかなかできないでいます。

治療のユニバーサルアクセスは崇高な目標ではありますが、実現は非常に困難であることも認めざるを得ません。完治療法開発の必要性が強調され、今回のような報告が注目されるのは、抗レトロウイルス治療だけで、「エイズの終わり」に向けた今後の見通しは極めて厳しいということの証左でもあります。少なくとも「機能的治癒」までもっていけるようにならなければ、「終わりの始まり」はやってこないでしょう。

したがって、今回の発表には大いに注目しておく必要がありますが、この一例で一足飛びに完治への道が開かれるというものではありません。発表を受けて、UNAIDSとユニセフが発表したプレスステートメントも一応、歓迎の意を表明しているものの、その歓迎ぶりは慎重です。また、国際エイズ学会(IAS)のフランソワーズ・バレ-シヌシ理事長も英紙タイムズに《HIV完治の実現は遠い先の話である。しかし、注目していかなければならない》とする論評を発表しています。希望を失うことなく、しかし、過度な楽観もせず、引き続き研究を進めていかなければならない・・・というエイズ対策の現状を的確にとらえた論評です。

HATプロジェクトのブログにはUNAIDSとユニセフのステートメントの日本語仮訳が掲載されています。
《HIVに感染して生まれた幼児の「機能的治癒」に関するニュースをUNAIDSとユニセフが歓迎》
 http://asajp.at.webry.info/201303/article_2.html

 また、バレ-シヌシ理事長の論評については、以下のブログで内容が紹介されています。
 http://miyatak.iza.ne.jp/blog/entry/3018534/


3 日本の継続的支援に感謝 マーク・ダイブル世界基金事務局長

 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)のマーク・ダイブル事務局長が3月10日(日)〜12日(火)の3日間、國井修・戦略投資効果局長とともに日本を訪れました。今年1月に就任したダイブル事務局長にとっては初のアジア訪問で、世界基金支援日本委員会の公式サイトにその様子が報告されています。
 http://www.jcie.or.jp/fgfj/02/kyokuchou/2013/20130311.html

 《日本滞在中には、田村憲久厚生労働大臣、松山政司外務副大臣、自民党の石破茂幹事長への表敬のほか、議員タスクフォース(代表幹事:逢沢一郎議員、古川元久議員)の会合で14名の国会議員と懇談、また世界基金支援日本委員会の会合やその他の会合で、省庁、研究者、企業、NGOなど各界のリーダーとの意見交換を行いました》

 また、ダイブル事務局長は来日に先立ち、3月8日付で《世界基金は、今こそ日本を必要としている》というメッセージを発表しました。その日本語仮訳も世界支援基金日本委員会のサイトに掲載されています。
 http://www.jcie.or.jp/fgfj/06/2013/20130308.html

 《疾病対策への投資を今やめてしまえば、この10年間に積み上げてきた成果は水泡に帰すことになるでしょう。ここで立ち止まるわけにはいかないのです》ということで、世界基金の生みの親として国際的な評価も高い日本の支援には、引き続き強い期待感を表明しています。



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