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zoom RSS TOP-HAT News第40号(2011年12月)

<<   作成日時 : 2011/12/27 20:35   >>

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        第40号(2011年12月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 流行30年の曲がり角

2 世界基金がラウンド11(第11次新規案件募集)を中止

3 ラウンド11中止決定を受け、国際エイズ学会 (IAS) が各国に資金要請

4 《通訳とHIV感染症研修会》と《NGO指導者研修会》 1月28、29日に開催

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに 流行30年の曲がり角
 エイズの最初の公式症例報告から30年の節目となった2011年もまもなく幕を閉じようとしています。6月にはニューヨークで国連総会エイズハイレベル会合が開かれ、最終日の10日、全加盟国の賛成で新たな政治宣言が採択されました。「HIV/エイズ克服の努力の強化を」と題されたその宣言には、2015年までに達成すべき目標として以下の10項目があげられています。

・HIVの性感染を50%減らす。
・注射薬物使用者の感染を50%減らす。
・HIVの母子感染をなくし、エイズ関連の母親の死亡を大幅に減らす。
・緊急に治療が必要なHIV陽性者1500万人に抗レトロウイルス治療を提供する。
・HIV陽性者の結核による死亡を50%減らす。
・エイズ対策の資金ギャップを解消し、低中所得国の対策に年間220億〜250億ドルの投資を行う。
・ジェンダーの不平等とジェンダーに基づく虐待や暴力をなくし、女性、少女が自らをHIV感染から守れるように地位向上をはかる。
・人権を守る法律や政策を通じ、HIV陽性者やHIVに影響を受けている人に対する差別と偏見をなくす。
・HIVに関連した入国、滞在、居住規制を撤廃する。
・HIV関連サービスの重複を避け、国際的な保健・開発分野の課題の中でエイズ対策の統合強化をはかる。

政治宣言の採択からほぼ半年が経過した12月1日、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は世界エイズデーに向けたメッセージの中で《エイズの登場から30年以上が過ぎた今、私たちはついにこの疫病を終わらせようとしています》と述べ、ハイレベル会合で採択された「大胆な目標」の実現を各国に呼びかけました。
http://unic.or.jp/unic/press_release/2485/
 (国連広報センターのサイトより)

《強い政治的意志、相応の財源、そして人権に基づいた確固たるアプローチがあれば、この目標をすべて達成することができます》

 あくまで、《あれば》が前提の話ですね。わざわざそのような釘を刺しているのは、《強い政治的意志》も《相応の財源》も《人権に基づいた確固たるアプローチ》も2015年に上記目標を達成するには心許ないということでもあります。とりわけ財源の問題は深刻です。日本の国内ではあまり大きな話題にはなっていませんが、2で紹介する世界基金のニュースにも注目しておきたいですね。

 エイズ対策の30年を10年単位で振り返ってみると、最初の10年は、致死率の高い病気が人類の前に出現し、混乱の中で、何が起きているのかを把握するのに追われていた時期、次の10年は、延命効果の高い治療法を何とか見つけだすという医学分野のブレークスルーがあり、エイズのイメージがコントロール可能な病気へと徐々に変わっていった時期でした。そして、国際社会が本気になってHIV/エイズのパンデミックと闘う体制が整った3番目の10年は、途上国においても、その治療および予防対策の普及をはかることで、HIVの新規感染やエイズ関連の死亡が減少傾向を示すなど、対策の成果が確認できるようになった時期だったということができます。

それでは、4番目の10年はどうなるのか。対策の成果がさらに拡大していくのか、それとも資金不足のために失速し、過去10年の成果も台無しになってしまうのか。世界はいま、そして日本ももちろん、大きな岐路に直面しています。


2 世界基金がラウンド11(第11次新規案件募集)を中止
 九州沖縄サミットにおける日本の提案がきっかけになって生まれたとされる世界エイズ・結核・マラリア基金(世界基金)は、この10年間の途上国における治療の普及など、
世界のエイズ対策を資金面から大きく支えてきました。しかし、11月21〜22日にガーナで開かれた理事会では、2013年末までラウンド11(第11次新規案件募集)は行わないことを決定しています。
 http://www.jcie.or.jp/fgfj/06.html#news20111130
  (世界基金支援日本委員会のサイトより)

世界経済の急激な悪化により、日本を含む先進諸国を中心にしたドナー国が厳しい財政削減を迫られている。したがって、新たなプログラムに対応するだけの資金確保の見通しがつかなくなってしまった。それが中止の理由のようです。

 途上国の感染症対策に必要とされる新たな追加的資金を確保する仕組みとして2002年1月に創設された世界基金は、2011年12月現在の成果(つまり、この10年の成果)を以下のように発表しています。

・HIV母子感染を防ぐ治療を受けている妊婦130万人
 (2010年12月時点の 100万人から30%の増加)
・抗レトロウイルス治療を受けているHIV感染者330万人
・マラリア感染予防のために家庭に配布された殺虫剤処理蚊帳2億3000万張
・新規に発見され治療を受けた結核患者 860万人

TOP HAT News第39号で先月、紹介した国連合同エイズ計画(UNAIDS)の最新推計では、途上国で抗レトロウイルス治療を受けている人の数は660万人でした。つまり、その半数が世界基金の資金に支えられた各国のプログラムによって、治療を受けていることになります。世界基金のプレスレリース《資金的課題に直面するなかでも支援プログラムの成果は堅調》には次のような記述もあります。
http://www.jcie.or.jp/fgfj/06/2011/20111130.html
 《世界基金はこれまでに承認した226億ドルの資金供与により、貧しい国でHIV治療を受けている患者のほぼ半数と、結核とマラリア対策における国際支援の3分の2を支援していることになる》

この10年の成果が極めて大きなものであることを疑う人はいないでしょう。ただし、国連事務総長が指摘するように「エイズの流行を終わらせようとしている」という状態を本当に実現させるには、まだ十分とはいえません。さらに対策の拡大をはかる必要があるのですが、世界基金に対し各国が行った資金拠出の約束がなかなか果たせず、その対策の拡大が現状では困難になっています。

世界基金理事会にとってラウンド11の中止は、そうした資金事情の中で、いま実施中および開始予定のプログラムを何とか止めずに継続していくための苦渋の決断でもありました。致し方ない決定であるとはいえ、その影響がどう出るのか。世界中に懸念が広がっています。


3 ラウンド11中止決定を受け、国際エイズ学会 (IAS) が各国に資金要請
 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)の理事会によるラウンド11(第11次新規案件募集)中止決定を受け、国際エイズ学会(IAS)は資金不足解消のための手立てを緊急に取るよう各国に求めるプレスレリースを発表しました。IASのエリ・カタビラ理事長はその中で「HIV対策にとって最悪の時期に世界基金が財政的打撃を受けている」と述べています。また、今回の中止決定が世界のHIV/エイズ対策に及ぼす影響について、プレスレリースは次のように説明しています。

 《生命に関わる抗レトロウイルス治療(ART)をすでに受けている人には今後も世界基金の資金で治療が続けられるが、 HIV治療の拡大はできなくなるだろう。つまり、WHOの新しい治療ガイドラインのもとで治療が必要とされている人たちが治療を受けられなくなり、その結果として、抗レトロウイルス治療はHIV感染を劇的に減らし、流行の拡大を防ぐ手段になることが明らかにされているというのに、その手段が最も必要とされているところでは利用できなくなるのだ》

 WHOの新しい治療ガイドラインは、HIVに感染した人のエイズ発症を防ぐために、これまでよりも早めに治療を開始することを推奨しています。そのガイドラインに基づいた推計では、途上国でいますぐに治療を開始する必要がある人は1420万人であり、実際に治療を受けることができる人はそのうちの660万人にとどまっています。

つまり、この10年で治療の普及が大きく進んだとはいえ、いままさに治療を必要としている人の半分以上はまだ、治療が受けられずにいるのです。治療普及のプログラムが拡大できなければ、この人たちはおそらく2年以内に亡くなっていきます。

一方で、抗レトロウイルス治療を受けると、体内のHIVというウイルスの量が大きく減少するため、治療の普及には、感染した人から性行為などでHIVが他の人に感染することを抑止する効果があることも確認されるようになってきました。治療の拡大ができなければ、そうした予防対策上の効果も期待できなくなることにIASは大きな懸念を表明し、資金拠出国および民間ドナーに対し、エイズ対策資金の拠出拡大を緊急課題としてとらえるよう要請しています。また、プログラム実施国、とりわけ中所得国の政府に対してもHIV対策の自国資金を増額することを求めています。

台所事情が苦しいので、いまはちょっと待ってもらおうなどということを考えていると、再び感染が拡大し、結果として大きな負担を強いられることになりますよという警告です。プレスレリースの日本語仮訳はHATプロジェクトのブログでご覧ください。
 http://asajp.at.webry.info/201112/article_1.html


4 《通訳とHIV感染症研修会》と《NGO指導者研修会》 1月28、29日に開催
エイズ予防財団の今年度《通訳とHIV感染症研修会》および《NGO指導者研修会》が2012年1月28日(土)と29日(日)の2日間、セミナーハウス クロス・ウェーブ東中野(東京都中野区東中野4-5-14)で開かれます。

 HIVに感染した在留外国人が安心して医療を受け、地域で生活していくうえで通訳が必要になることがしばしばあります。このため、《通訳とHIV感染症研修会》では、通訳の活動を行う人を対象にHIV感染症の医療や心理的・社会的支援、HIV通訳の特徴や留意点を学ぶ機会が提供されます。

 また、エイズNGOの次世代を担うリーダーを対象にした《NGO指導者研修会》では、「組織運営・人材育成」と「資金調達」について専門家によるレクチャー及びワークショップ形式の研修が行われます。

 API-Net(エイズ予防情報ネット)のサイトに募集要項と申込書がアップされているので、参加を希望する方はそちらをご覧ください。申し込みは郵送またはファクスで1月6日必着です。
 http://api-net.jfap.or.jp/training/index.html 

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