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zoom RSS TOP-HAT News 第34号(2011年6月)

<<   作成日時 : 2011/06/29 21:24   >>

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        第34号(2011年6月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに エイズ30周年の現実

2 新たな政治宣言を採択 国連エイズ特別総会ハイレベル会合

3 HIV検査相談研修会 参加者募集

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに エイズ30周年の現実

 今年の6月5日はエイズの流行から30年ということで、各国のHIV/エイズ部門や国際機関のトップが6月2、3日あたりに相次いで声明を発表しています。5日は日曜日だったので、木曜か金曜に発表を前倒ししたのでしょうね。HATプロジェクトのブログに日本語仮訳をいくつか掲載したのでご覧ください。

「HIV/エイズ流行30周年にあたって」 トーマス・フリーデン米疾病対策センター(CDC)所長
 http://asajp.at.webry.info/201106/article_1.html

「エイズ流行30年:各国はいま岐路に立っている」国連合同エイズ計画(UNAIDS)
http://asajp.at.webry.info/201106/article_2.html

 「30年を経て:かつてなくHIVの完治療法が求められるのはなぜか」エリ・カタビラ国際エイズ学会(IAS)理事長
 http://asajp.at.webry.info/201106/article_3.html

 エイズの流行の起点をいつにするのか。議論が分かれるところかもしれませんが、国際的には一応、1981年6月5日にしておこうじゃないかということになっています。米疾病対策センター(CDC)の死亡疾病週報(MMWR)という定期刊行物に最初の公式症例報告が掲載された日ですね。もちろん、それ以前にエイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)は世界に広がっているからこそ症例の報告も可能だったわけですが、そもそも当時は感染症かどうかも分からなかったし、その病原体のHIVも見つかっていませんでした。

ただし、少なくとも米国の大都市部では、ゲイコミュニティになんだかよく分からない病気が広がっているぞと医師が気付く程度には流行が広がっていたわけですね。

蛇足気味に付け加えれば、最初の症例報告といってもその時点ではまだ、AIDSという名前がついていたわけではなく、若い男性にはあまり見かけないタイプの肺炎の症例がカリフォルニア州の若いゲイ男性5人に相次いで確認されたという報告です。AIDS(Acquired Immune Deficiency Syndrome)と呼ばれるようになるのは確か、翌1982年の7月からでした。

 30年の節目に発表された上記3つのプレスレリースを見ると、それぞれの組織の考え方も反映されていて興味深いですね。

米CDCのトーマス・フリーデン所長は、この30年の予防、治療両面における米国のエイズ対策の成果を強調しつつ、そのことで逆に「あまりにも多くの米国人が感染のリスクを過小評価し、HIVはすでに深刻な健康の脅威ではないと思い込んでいるが、HIVは依然として不治の感染症であることを理解しなければならない」と警告しています。フリーデン所長によるとCDCは「今後10年、HIV感染の予防対策の効果拡大に積極的に取り組むことにしている」ということです。さまざまな方策を組み合わせたコンビネーションアプローチの重要性を強調してはいるものの、文脈からすると、抗レトロウイルス治療の予防効果に期待する医療介入中心の予防が念頭に置かれている印象です。

UNAIDSは新たに発表した報告書で、2010年末現在の世界のHIV陽性者数3400万人、エイズによる累積の死者数3000万人という最新の推計を明らかにしました。治療の普及が進み、年間の世界のHIV新規感染者数は9年前に比べ25%も減っているなど成果を強調する一方、それでも抗レトロウイルス治療が緊急に必要なのに治療を受けられない途上国のHIV陽性者が900万人もいる現状を憂いています。リーマンショック後の世界経済の停滞で、HIV/エイズ分野に投じられる世界各国の資金も減少傾向を見せており、治療を予防に生かそうといった戦略も、掛け声は勇ましいものの、現状ではそもそも資金面から成り立ちません。新規感染が減少したといっても、いまなお世界では平均すると毎日7000人が新たにHIVに感染している状態です。まだまだ、流行に歯止めがかかったとはいえません。希望が見えてきたといった程度でしょう。その希望を現実に変えるにはお金が必要なんだけどねえ・・・という古くて新しいストーリーがいまなお続いています。

IASのエリ・カタビラ理事長は米国で最初の公式症例報告があった翌年、ウガンダで最初にエイズ患者の治療にあたった医師であり、「過去30年にわたって、私はHIV陽性者のケアと支援の分野で働き、母国および世界でエイズが広がる過程を見てきた。沈黙と偏見がもたらす壊滅的な状況も、科学的エビデンスに基づく行動が生み出す信じられないほどの成果も目撃してきた」と語っています。

いわば世界のエイズ対策の生き字引のようなそのカタビラさんがいま、「予防」「治療」「ケア」と並ぶHIV/エイズ対策の4本目の柱として「Cure(完治)」実現のための研究の重要性を強調しています。抗レトロウイルス治療の開発と普及は、HIV陽性者が長く生きていくことを可能にし、最近は予防効果への期待も高まっています。だが、抗レトロウイルス治療の普及は感染拡大のペースには追いついていません。先ほどのUNAIDSの報告によれば、目いっぱい努力して、2001年レベルの22倍の660万人に治療が提供できるところまでこぎつけても、それはまだ、いま緊急に治療が必要な人の3分の1にとどまっています。しかも、新しく1人が抗レトロウイルス治療を始められるようになる間に2人がHIVに新規感染しているといった状態なので、当面は抗レトロウイルス治療の普及でしのぎつつ、完治療法の開発を待つ・・・というか、待つだけでなく開発を急ぐ。これが次の10年に向けたIASの大きな方針のようです。

ところで、エイズの流行30年は、日本国内ではあまり話題になりませんでした。政治の指導者の皆さんにとって、6月2日、3日あたりはそれどころではなかったのかもしれませんね。どうしてそれどころではなかったのか。後世の歴史家がその理由を知ったら、かなり驚き、あきれてしまうのではないかと思います。ただし、HIV/エイズの流行という危機に同時進行形で直面している私たちは、あきれてばかりもいられませんね。微力ながら情報発信の努力は続けていきましょう。


2 新たな政治宣言を採択 国連エイズ特別総会ハイレベル会合

エイズの流行から30年、2001年の国連エイズ特別総会から10年の節目にニューヨークで開かれた国連エイズ特別総会ハイレベル会合(6月8日〜10日)は最終日の10日、新たな政治宣言を全加盟国の賛成で採択して3日間の会議を終えました。

今回の会合は2001年国連エイズ特別総会のコミットメント宣言と2006年国連エイズレビュー総会の政治宣言の2つの宣言の中で各国が約束したことがどこまで実現できているかを検証し、2015年までの世界のエイズ対策の指針を示す目的で開かれました。新しい政治宣言は、17ページ(104パラグラフ)にわたり、先行する過去の2宣言の約束が残念ながら十分には果たされていないことを認め、期限は過ぎたけれど、約束は依然、生きているということを再確認するとともに、HIV/エイズの流行を終息に導くための「大胆かつ決然とした行動」をとることを各国が新たに約束しています。

会合終了後に国連が発表したプレスレリースによると、《2015年までにHIVの性感染と注射薬物使用者の感染を半減させる》《母子感染をなくす》《エイズ関連の母親の死亡を大幅に減らす》《HIV陽性者の結核による死亡を半減させる》《治療を必要とするHIV陽性者1500万人に抗レトロウイルス治療を提供する》などが約束されています。
http://asajp.at.webry.info/201106/article_6.html

 HIV/エイズ分野の国連の会議では、HIV感染の高いリスクにさらされ、支援が必要な集団を宣言の中で明記するかどうかが大きな論争点になりますが、今回はパラグラフ29に以下のように書かれています。

29 疫学的なエビデンスが感染の高いリスクにさらされていることを示している人口層、とりわけ男性とセックスをする男性、薬物を注射する人、セックスワーカーに対し、多くの国のHIV予防戦略がきちんと焦点をあてていないことに留意する。ただし、それぞれの国の流行および対策の鍵となる人口層については、各国が疫学的状況およびそれぞれの国のコンテクストに基づいて定義すべきであることにもさらに留意する。

 宣言の全文については現在、AIDS & Society研究会議のHATプロジェクトで日本語仮訳の作成作業を進めています。何回かに分け、近日中にHATプロジェクトのブログに掲載する予定なので、よかったらご覧ください。
 http://asajp.at.webry.info/


3 HIV検査相談研修会 参加者募集 エイズ予防財団

 保健所、医療機関などでHIV検査の受検者に対応する立場の人を対象にした公益財団法人エイズ予防財団のHIV検査相談研修会が9月1、2日、東京都新宿区市谷船河原町11、家の光会館・飯田橋レインボービルで開かれます。募集要項はAPI-Netに掲載されているので、ご関心をお持ちの方はご覧ください。
 http://api-net.jfap.or.jp/training/index.html

 申し込みは郵便またはFaxで7月15日必着。定員は約80人。先着順で定員に達し次第締め切りになります。

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