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zoom RSS TOP HAT News 第29号(2011年1月)

<<   作成日時 : 2011/01/28 01:06   >>

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        第29号(2011年1月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人エイズ&ソサエティ研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
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エイズ&ソサエティ研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに 前途多難、でも希望の節目に

2 UNAIDS戦略目標2011~2015

3 国連エイズ特別総会10周年の検証会議

4 第10回アジア・太平洋地域国際エイズ会議(釜山)

◇◆◇◆◇◆

1 はじめに 前途多難、でも希望の節目に

 あけましておめでとうございます。
といっているうちにもう1カ月近く過ぎてしまいました。早いですね。

若いゲイ男性の間に広がる奇妙な肺炎の症例が米疾病対策センター(CDC)の死亡疾病週報(MMWR)に初めて報告されたのは1981年の6月でした。当時はまだ、エイズという名前もつけられていなかったのですが、この時の報告が後に世界で最初のエイズの公式症例報告とされるようになりました。その報告から今年はちょうど30年の節目にあたります。

 2001年6月には、ニューヨークの国連本部で国連エイズ特別総会が開かれ、コミットメント宣言が全加盟国一致で採択されました。世界各国の指導者が、本気になってHIV/エイズ対策に取り組みますと約束(コミットメント)した宣言だったのですが、その歴史的総会からだと、ちょうど10年になります。つまり今年は、エイズ対策史上の大きな節目の年ともいえるのですが、それではその節目の年はいったいどんな1年になるのでしょうか。
 
 ・国連合同エイズ計画(UNAIDS)戦略目標2011~2015
 ・国連エイズ特別総会10周年の検証会議
 ・第10回アジア・太平洋地域国際エイズ会議(釜山)
・エイズ予防指針作業班

 以上4点は、2011年を展望する上でのキーワードです。1番目と2番目は、世界全体のHIV/エイズの流行に対応する動きであり、3番目はアジア、4番目は国内のエイズ対策が対象になっています。世界、アジア、日本という3つのフェイズのエイズ対策は、実は切り離されて存在しているわけではなく、密接に関係しています。できれば、そのあたりのことを説明したいと思うのですが、ちょっと荷が重いかもしれません。でも、やってみましょう。

ただし、4番目のエイズ予防指針作業班は、感染症法に基づくエイズ予防指針の見直し作業を行うために1月26日に第1回会合が行われ、これから検討作業が本格化していくことになるので、次号でまとめて内容を報告したいと思います。あしからず。

ということで、今回は1〜3番目の項目について特集します。


2 UNAIDS戦略目標2011~2015

 HIV/エイズの流行との長い闘いを国際的な観点からとらえると、今年は再出発の年という印象を受けます。世界はこれまで、「HIV予防、治療、ケア、支援のユニバーサルアクセスを2010年末までに実現するぞ」という大目標を掲げてエイズ対策に取り組んできました。その2010年が過ぎちゃったわけですから、当然、次の目標が必要です。

 ユニバーサルは日本語にすると「普遍的」などと訳されています。普遍的かあ。そう大上段に振りかぶられてしまうと、ついつい哲学的というか、むずかしく考えてしまいがちですが、ぶっちゃけた話が「誰でも」ということですね。つまり、HIV治療やHIV感染予防のための情報、サービスなどを必要としている人なら、誰でも、その治療や情報やサービスを受けることができる。こうした状態がユニバーサルアクセスです。

日本は健康保険制度が充実しているので、かなりその状態に肉薄しているということができますが、たとえばHIVに感染している人たち、HIV感染の高いリスクにさらされている人たちへの社会的な偏見や差別が治療や予防サービスの普及を妨げている現実があることを考えると、100%ユニバーサルとはいえません。世界全体でみると、いまなおその目標の実現には程遠い状態です。

21世紀の最初の10年間に世界中が努力した結果、UNAIDS推計で途上国のHIV陽性者520万人に抗レトロウイルス治療を提供できるところまでは、何とかこぎつけました。それでもこの数は、途上国でHIV治療を緊急に必要とする人の3分の1程度にとどまっています。この「ユニバーサル」と「3分の1」の間のギャップをどう埋めていくのか。未完のユニバーサルの次の目標は何か。UNAIDSは昨年末の理事会で2011年から2015年までの戦略目標を採択しています。2015年はミレニアム開発目標(MDGs)の目標達成年になっているので、HIV/エイズ分野でそれまで間になすべきことを示し、それに沿って対策を進めていこうということですね。具体的には次の10項目の目標が掲げられています。

2015年までのUNAIDS戦略目標: 
・若者、男性とセックスをする男性(MSM)、およびセックスワークによるHIVの性感染を半減させる。
・母子感染をなくし、エイズ関連の妊産婦死亡率を半減させる。 
・薬物使用者の新規感染をすべて防ぐ。 
・HIV陽性者に対する抗レトロウイルス治療のユニバーサルアクセスを実現する。 
・HIV陽性者の結核による死亡を半減させる。 
・HIV陽性者およびエイズに影響を受けている家族がすべて、国の社会保障政の対象となり、必要なケアと支援が受けられるようにする。 
・HIV感染、セックスワーク、薬物使用、同性愛を刑罰の対象とするような法律や政策を採用し、効果的対策の実現を妨げている国の数を半分に減らす。 
・入国、滞在、居住についてHIV関連の規制のある国の半数がそうした規制を撤廃する。 
・各国のHIVプログラムの少なくとも半数はHIV関連の女性や少女のニーズに取り組む。 
・ジェンダーに基づく暴力をゼロにする。

HIV/エイズに関しては、MDGsの8つの目標のうち感染症対策に焦点をあてた目標6の中で「2015年までにHIV/エイズの流行の拡大を止め、縮小に転ずる」とされています。この目標もそうやすやすと達成が可能なものではありませんが、少なくとも世界全体の年間の新規感染に関しては、1990年代後半よりも減っているとの推計が示されています。それでも、年間のエイズによる死者を上回る数の人がHIVに新規感染しているので、世界のHIV感染者数はいまなお拡大を続けています。

この拡大を縮小に転じるには、治療の普及を進めてエイズで死亡する人を現在よりもさらに減らし、同時に予防対策で新たにHIVに感染する人をもっと減らす。これから5年の間にこの困難な課題に挑んでいこうというわけです。UNAIDSの公式サイトに掲載されている各戦略目標の説明については、少しずつ日本語に訳し、HATプロジェクトのブログに【UNAIDS戦略目標】のカットを設けて紹介してあります。ご関心がおありでしたらお読みください。
http://asajp.at.webry.info/theme/3487106fb5.html


3 国連エイズ特別総会10周年の検証会議

 ニューヨークの国連本部では今年6月、国連エイズ特別総会10周年の検証会議が開かれることになっています。先ほど少し紹介した2001年6月の国連エイズ特別総会で採択されたコミットメント宣言、およびその5年後の2006年に開かれた検証会議の成果文書である政治宣言の2つの文書に盛り込まれた各国の約束が、どこまで実現されているのか、あるいは、されていないのか。それを検証する重要な会議です。

日本も当然、参加します・・・というよりも、日本は国連エイズ特別総会の1年前の九州沖縄サミットで、エイズを中心とする地球規模の感染症対策に新たな追加的資金が必要であることを強調し、国連エイズ特別総会における議論の大きな方向性を示す重要な役割を果たした国でした。過大評価はもちろん禁物ですが、この10年間、世界が曲がりなりにもHIV/エイズとの闘いで健闘してきた要因のいくばくかは日本にあるということはできます。その意味からも、6月の検証会議には今後、注目していきたいと思います。

英文で恐縮ですが、国連総会のウエブサイトに関連情報が掲載されています。
http://www.un.org/en/ga/president/65/issues/hivaids.shtml



4 第10回アジア・太平洋地域エイズ国際会議(釜山)

 アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP)は、隔年開催の国際エイズ会議(世界規模の会議)の間の年に開催される地域会議です。アジア・太平洋地域は世界人口の6割を占め、サハラ以南のアフリカなどに比べれば、流行の規模も比較的、小さく抑えられてきましたが、それだけにいま、予防対策に力を入れることが極めて重要な意味を持っている地域と考えられています。

 そのアジア太平洋地域の実情に即した議論が行えるという意味では、ICAAPは日本にとって国際エイズ会議に勝るとも劣らない重要な意味を持つ会議ということができます。実際、2005年7月には神戸で第7回ICAAPが開催され、国内でエイズ対策に取り組むNPOやHIV陽性者団体のメンバーらも積極的に組織委員会に参加して会議の運営を担った経験があります。HIV/エイズに対する社会の関心が必ずしも高くはない中でのそうした経験は、苦しくもありましたが、同時に貴重な知識や技術、内外の人的ネットワークなどを獲得する機会でもありました。

 今年は8月26日から30日までの5日間、第10回ICAAPが韓国の釜山で開かれます。神戸以来6年ぶりに東アジアで開かれるICAAPであり、日本と韓国のHIV/エイズの流行の状況が非常によく似た状況にあることも考えると、釜山ICAAPはわが国のHIV/エイズ対策にとっても重要な意味を持つ会議としてとらえる必要があります。

昨年12月にはソウルで日韓HIV/AIDSワークショップが開かれ、韓国側の釜山ICAAP組織委メンバーと神戸ICAAPで組織委に参加した日本NPO関係者らとが意見交換を行う機会があり、日韓双方のHIVコミュニティの間では、一段とそうした認識が深まっています。エイズ&ソサエティ研究会議ではHATプロジェクトのブログに【釜山ICAAP】のカットを設け、準備状況などを紹介しています。
http://asajp.at.webry.info/theme/c526eb9874.html

また、2月17日夜、東京・四谷三丁目の「ねぎし内科診療所」で第104回フォーラム「釜山ICAAPに向けて」を開きますので、ご関心がおありの方はぜひご参加ください。
http://asajp.at.webry.info/201101/article_12.html

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