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<<   作成日時 : 2010/06/13 01:16   >>

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(解説) 世界エイズデーを中心とした国内のエイズキャンペーンの年間テーマを決めるプロセスの一環として、エイズ予防財団とエイズ&ソサエティ研究会議は《Making the AIDS Campaign》を共通タイトルとした2つのフォーラムを5月15日と20日に開催しました。20日はエイズ&ソサエティ研究会議の第101回フォーラムとしての開催です。フォーラムの趣旨、議論の内容等については以下の報告をご覧ください。


Making the AIDS Campaign エイズキャンペーンフォーラム報告

第1回 Making the AIDS Campaign 〜 みんなでテーマを考えよう
      2010/05/15, 16:00~18:00  於)akta  出席約20人

第2回 Making the AIDS Campaign 〜 キャンペーンを作ろう(第101回エイズ&ソサエティ研究会議フォーラム)
      2010/05/20, 18:30~20:30  於)ねぎし内科診療所 出席者15名弱

第1回報告
【フォーラム趣旨説明】(エイズ予防財団理事・エイズ&ソサエティ研究会議事務局長 宮田一雄)
 キャンペーンのテーマを決めるプロセスをコミュニティーに立脚したものにしたい。今年は試行的にフォーラムを2度開催し、テーマ決定の判断材料とする。フォーラムはテーマを決定する場ではなく、決定に至る意見やアイデアを広く出していく枠組みを創設する場と考えている。

【過去のキャンペーンテーマ報告】(エイズ予防財団事務局)
 過去のテーマ一覧(1988年〜2009年)を資料として配付。決定の経緯と背景、UNAIDSや世界エイズ・キャンペーン(WAC)のテーマとの関連性、相違点などを説明。各国が国内の実情にあわせたテーマを採用することも奨励されている。

【ディスカッション冒頭発言】(日本陽性者ネットワーク・ジャンププラス長谷川博史代表)
 ユニバーサルアクセスは日本で達成できているのか。治療やケア、サービス、情報を提供する側は「できている」というが、受ける側からするとできていない。多数の人がHIVで亡くなり、一人寂しく通院する陽性者も少なくない。人権が守られていれば、もっと検査も治療も受けやすいだろう。アフリカだけの課題ではなく、日本の課題でもあることを認識したうえで、「垣根を越えよう」ということを考えたい。キャンペーンのテーマは唱えるだけでなく、すべてのイベント内容に反映させる必要がある。「ユニバーサルアクセスと人権」のテーマのもとにWACが作った3種類のポスターがここにあるので見てほしい。

【ディスカッション】参加者全員が少なくとも1度は発言。要約して以下に示す。

《関心低下にどう対応するか》
・HIVについて、自分とどう関わっているのかを伝えられるメッセージがあるとよい。
・すでに「プロ」の人たちが専門的に取り組んでいるので、「垣根」が高い。
・自分が持っているHIV/AIDSの知識が「正しい知識」なのか、自信が持てない。
・セクシャルマイノリティを「正しく」理解するという発想には何が「正しいのか」という疑問もある。「正しく」がひっかかる。
・エイズというテーマは日本では敷居が高く、笑いが足りない。
・耳障りでない言葉を選ぶのではなく、スキのある言葉を戦略的に用いる手法もある。
・ハッとさせるメッセージがほしい。
・無縁だと思ったものが、あるボタンを押した瞬間から身近な問題となることがある。
・感染しないようにというメッセージと陽性だったらというメッセージがつながらない。

《国際情報の不足》
・HIV/エイズに関する海外の動向を日本語で紹介する情報が少ない。
・国内の課題を国際的な場で示し、逆に国際的課題を国内の議論に持ち込む作業も必要。

《メッセージとセクシャリティ》
・オランダのCMは「異性間」「同性間」を並列に扱っていた。3つのベッドが1画面に現れ、1つのベッドは男性同士。同時に並べて見せる視点が素晴らしいという評価だった。
・40歳以上のゲイの人に関わりを避ける傾向が見られる。人の心に壁がある。
・ゲイの立場やエイズに対する負い目からシャッターをおろしてしまうことがある。
・ゲイのコミュニティーがゲイのことを主張すると、他の人がかえって引くことがある。
・メッセージがあくまで異性間の関係を前提とした「一般」であることが多い。

《検査と人権》
・キャンペーンには最低考量と最高考量がある。高邁な理想より最低考量を伝えるべき。たとえば、セックスをする限り年1回は検査を受けようといったメッセージが必要。
・人権も大事だが、検査をもっと打ち出せ、といった議論には注意が必要。たとえば、会社の定期健診にHIV検査を入れろといった意見がなぜ不適切かを明確に説明すべき。
・検査の普及を強調する際には、人権の問題をきちんと考える必要がある。
・人権の問題もあるが、生きていくために検査を受けるべきだというメッセージも必要だ。
・受けなければならない検査と自主的に受ける検査がある。自分たちを守るために検査を受けようということを伝えるべきだ。
・これまで人権啓発のプログラムはほとんど無かった。その意味でLiving Togetherは有効だったが、キャンペーンテーマとしては有効かどうか、再度振り返る時期にある。

《明確な主張を》
・WACやUNAIDSはその時々に何を訴えたいのかを明確にテーマで示し、その移り変わりが分かる。日本も今年は何を訴えたいのかを打ち出せるメッセージであってほしい。
・それぞれの立場で打ち出すメッセージが複数あってもいい。ひとつに集約する必要はない。どこからもお咎めがないように配慮した守りのメッセージは心に響かない。
・今年の課題を打ち出しそれをもとに各NGOがテーマを考えるような重層的手法が必要。
・治療法があることが、検査の普及にもつながる。戦えるというメッセージが必要。

第2回フォーラム報告

【フォーラム趣旨説明】(宮田)
 フォーラムは検討の枠組創設に向けた試みであると同時に、将来は国連合同エイズ計画(UNAIDS)が各国に求めるThree Ones(三つの統一原則)にもとづき、国内の対策推進組織の受け皿が生まれてくることも期待したい。前回(5月15日)フォーラムの意見はおおむね以下のように分類できると思う。
《関心の低下への対応》
《メッセージとセクシャリティ》
《検査と人権》
《明確な主張を》
フォーラムでは現状認識とメッセージの方向性に議論の重点が置かれており、具体的なテーマの選定は今後の課題になる。HIV感染の予防は、広く社会が共有する課題だが、流行に対応するにはゲイコミュニティを中心とする個別施策層への予防介入策に焦点をあてる必要がある。一方で対策の推進には広範な社会の理解と支持が欠かせない。変化と多様性を認め、個別施策層に焦点を当てた対策の必要性を広く伝えられるメッセージが現状では望ましい。前回に続き長谷川博史さんにフォーラムのファシリテーターをお願いする。

長谷川博史氏
前回は「検査をもっと推奨すべき」という意見と「人権を守るためにも検査はもっと慎重に」という意見があり、両者は対立するように見えるが、人権を尊重するという視点は共通していた。検査の推奨により、自分の健康状態を早く知り、治療を開始することが「健康を守る権利」とされる一方で、本人が同意していないのに検査を強制されるような状態、あるいは個人の利益ではなく社会防衛的な発想からの検査に対する懸念もある。

【ディスカッション】参加者全員が少なくとも1度は発言。要約して以下に示す。
《テーマと表現法》
・包括的なテーマを設定し、それに合わせた複数のメッセージが存在してもよい。
・社会防衛的なメッセージは心に響かない。当事者の視点でメッセージを出すことは、コマーシャルマーケティングの場でも当たり前。
・ポスターは印刷部数を最低限におさえ、PDF画像を提供することで種類を増やせる。
・テーマをめぐる議論を受け止められるコピーライターがいない。
・テーマはエイズデーだけでなく、通年で使える方がよい。

《Living Together》
・サブタイトルに整合性がない。毎年の課題を明確に主張した方がいい。
・「大切な人を守るために」の「守る」の中には陽性者を排除する発想も感じられる。
・Living Togetherは現実を突きつける厳しいメッセージであり、捨ててはいけない。
・どのみち貧弱なキャンペーンにしかならないのなら、しつこく繰り返すのも手である。
・ゲイコミュニティでは、「EASY」、「REAL」、「出来る」として展開している。
・もともとWe are already living togetherの意味でalreadyが強調されていた。

《国際的な動向との連携》
・世界エイズキャンペーン(WAC)のテーマの中に Stop AIDS, Keep the Promiseがある。国際会議や国連の場での果たされていない「約束を守れ」というメッセージだ。
・「約束を守れ」という抗議的なスローガンが日本社会は受け入れられるのか。
・世界のテーマに比べ、日本のテーマは意図が分かりにくい。
・世界のメッセージは日本にどれだけ伝わっているのか。

《Universal Accessと人権》
・少ないとはいえ、経済的な理由でアクセスできない人は日本にも存在する。
・人権の観点からユニバーサルアクセスが実現できていないという認識は重要。
・予防情報やケアサポートにアクセスできていない人も多い。
・どこの検査場が良いかといった情報は一歩コミュニティを抜け出すと得にくい。

《感染症対策の中で》
・新型インフル、口蹄疫、O157など感染症の話題は関心が高いが、怖いという印象が強い。
・「感染症は怖い」と「陽性者が怖い」が同一視されてはいけない。
・「感染症は怖い」というメッセージの“力”を上手く利用するのも方法。

《ターゲット》
・一般向けでなく、関係者に働きかけるべきではないか。
・「行政で立案する人は是非とも現場へ行こう!」など対象を絞ったメッセージもありうる。
・感染した人にも「予防」は必要と感じた。
・同性間の感染予防のメッセージは、同性愛者の中でも受け入れる人と目を背ける人がいる。オランダのCMでは同性愛と異性愛が並列に扱われていた。すべての人に関わる問題であるというメッセージの方がよい。すべてはマジョリティーを指すわけではない。
・ゲイに特化した情報に対し、エイズに向き合いたくないから情報を避けてしまう傾向がある一方で、一般予防メッセージの中にゲイや外国人等の情報が無くなってしまうと、排除された気になる。同じテーマのもとに複数のメッセージが展開されてもよい。

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