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zoom RSS TOP-HAT News 第19号

<<   作成日時 : 2010/04/01 00:43   >>

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        第19号(2010年3月)
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 TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人AIDS&Society研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

  なお、TOP-HAT Newsは、東京都が発行するメルマガ「東京都エイズ通信」でお読みいただけます。購読登録手続きは http://www.mag2.com/m/0001002629.html で。


AIDS&Society研究会議 TOP-HAT News編集部


◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1.はじめに 「人権」と「垣根」

2.エイズ&ソサエティ研究会議が4月28日に100回記念フォーラム

3.国連合同エイズ計画(UNAIDS)が女性とHIVに関する行動計画発表

     ◇◆◇◆◇◆


1. はじめに 「人権」と「垣根」

 オーストラリアのウィーンで開かれる第18回国際エイズ会議(7月18日〜23日)のテーマは「Rights Here, Right Now(いまここでこそ、人権を)」です。会議最終日に国際エイズ学会(IAS)の会長に就任するウガンダのエリ・カタビラ博士が2月に来日し、東京・内幸町の日本記者クラブで「人権があってこそ予防や治療の介入も始められる」と、会議のテーマについて次のように説明しました。

 「特に強調すべきなのはジェンダー間の平等であり、女性の平等と権利、女児の権利、そしてHIV/エイズの流行に影響を受ける人たちの権利を重視したい。MSM(男性と性行為をする男性)、薬物使用者、セックスワーカーといった人たちが自らの安全を確保できるようになることが大切であり、同時に科学的な論拠、エビデンスをもとに対策を進めることも重要です」

 エイズ対策を進める中では、「人権を守る」というメッセージが、異なる立場の人たちから相対立するかたちで示される場面もあります。

 たとえば、HIVに感染した人が早期に抗レトロウイルス治療(ART)を開始することができればその効果は高く、完治は実現できないものの、免疫の力を回復し、長く生きていくことは期待できます。単に長く生きるだけでなく、HIV陽性者の生存の内実、いわゆるQOL(生活の質)も最近5年ほどの治療の進歩で大きく改善されてきたということです。

 したがって、できるだけ多くの人に検査を勧め、早期に治療の機会を提供する必要がある。それがHIVに感染した人に対し、健康的な生活を送る権利を保証することになる。こうした考え方はここ数年、医師らを中心に熱っぽく語られています。非常に説得力のある指摘といえるでしょう。

 しかし、医師と患者の関係、あるいはHIV感染に関する社会の理解のしかたによっては、感染した人の基本的な人権を守るはずの検査の普及が、そうした「善意の意図」とは異なる結果を招くこともないわけではありません。感染を早期に発見することが患者の利益になるということで、本人の意思を無視してまで検査を強制するような手法がとられるとしたら、どうでしょうか。

会社の定期健康診断で、血糖値やコレステロール値や肝機能を調べる血液検査があるのなら、HIV検査も一緒にやったらいいのではないか。こうしたアイデアが企業関係者から出されることもあります。

 HIV検査は、受ける人の自発的な意志に基づくVCT(自発的相談検査)が原則とされてきました。そのVCT原則からすれば、定期健診の検査項目にHIV検査を組み込むことは、実質的な強制検査につながるおそれがあります。それは容認されていません。しかし、医療機関などからはOpt-Out方式(積極的に検査を拒否する意思を示さない人には全員、検査を実施する方法)による検査の可能性をさぐる動きも出ています。この場合はどうでしょうか。なかなか難しい問題です。

 医学的な検査は、誰のために、そして、何のために行うのか。さまざまな文脈の中で具体的に考える必要がありそうです。治療が進歩し、HIV感染の早期発見と早期の治療開始がHIV陽性者に大きな利益をもたらす時代を迎えているからこそ、そうした議論がますます重要な意味を持つ。そうした認識に基づく「Rights Here, Right Now(いまここでこそ、人権を)」なのでしょうね。

 今年の11月には第24回日本エイズ学会学術集会・総会が東京都港区のグランドプリンスホテル高輪で開かれます。第20回日本エイズ学会から4年ぶりの東京開催ですね。テーマは「垣根を越えよう」です。公式サイトに掲載された挨拶の中で、岩本愛吉会長(東京大学医科学研究所教授)は日本のエイズ対策の現状をこう述べています。

 《わが国のエイズ発生動向調査は、厚生労働省に報告された数だけをまとめたものですが、HIV感染者/エイズ患者数は確実に増加を続けています。一方、エイズ対策予算は流行の現実に対応するどころか、逆に縮小を続けるという、理解しがたい現象も起きています。これまでの経験や成果を踏まえつつも、対策の大きな枠組みをもう一度、新たな視点でとらえなおすべき時期にきていると言わざるを得ません》

 日本国内の《理解しがたい現象》は、最近では何もエイズ対策に限った話ではありませんが、厚生労働省のエイズ動向委員会の委員長でもある岩本教授のこの指摘は重要ですね。「垣根を越えよう」というテーマには、2つのメッセージが込められているそうです。ひとつは「基礎」「臨床」「社会」といった研究分野の垣根を越えて新たな対策の枠組みを生み出すこと、そしてもうひとつは「国境を越え、アジア、世界の人たちと情報を共有しよう」ということです。

 人間の世界の対立や分断が、結局はHIVというウイルスに感染拡大の大きな機会を与えてきた。30年に及ぶエイズ対策の経験は、この点を苦い教訓として伝えています。2010年の2つの重要な会議のテーマである「人権」と「垣根」は、そうした教訓を踏まえ、エイズ対策がいま、内外ともに大きな転換期を迎えていることを示すキーワードとしてとらえる必要がありそうです。



2.4月28日に100回記念フォーラム

 エイズ&ソサエティ研究会議(JASA)の100回記念フォーラムが4月28日、東京・内幸町の日本記者クラブで開催されます。

 日時:4月28日午後6時半〜8時半
 場所:日本記者クラブ(東京都千代田区内幸町2-2-1、日本プレスセンタービル)
 司会 根岸昌功(エイズ&ソサエティ研究会議代表)
 講演 岩本愛吉(東京大学医科学研究所教授)

 エイズ&ソサエティ研究会議は1990年11月24日、東京・千代田区の上智大学で設立総会と「エイズを考える緊急フォーラム」を開催し、2000年には特定非営利活動法人となりました。発足20周年の今年、フォーラムも100回の節目を迎えることになります。JASAのプレスレリースにはこう書かれています。

 《この間、エイズ対策が大きな社会的関心を集める時期もありましたが、むしろ、無関心の中で必要な情報の提供とメッセージの発信を辛抱強く続けてきたことの方が多かったように思えます》。

 これまでの99回のテーマは、JASA公式サイト http://www.asajp.jp/ の《活動紹介》欄でご覧ください。実に多様な課題が取り上げられています。



3.国連合同エイズ計画(UNAIDS)が女性とHIVに関する行動計画発表

 女性の地位や発言力が弱いことがHIV感染のリスクを拡大させる大きな要因になっていることは、これまでにもしばしば指摘されてきました。ニューヨークの国連本部では、国連女性の地位委員会が開かれていた3月2日、イギリス出身の歌手、アニー・レノックスさんも出席して、女性とHIVに焦点を当てた行動計画が発表されています。「女性、女児のHIV感染のリスク拡大要因であるジェンダーの不平等や人権侵害の問題」に各国がより積極的に取り組むことを促す目的でまとめた五カ年(2010〜2014年)の計画だということです。

 国連合同エイズ計画(UNAIDS)のプレスレリースは、「世界のHIV陽性者数は2008年12月末現在、3340万人で、そのうちのほぼ半数にあたる1570万人が女性で占められている」として、次のように指摘しています。

・ HIV陽性者に占める女性の割合はこの10年間、世界の多くの地域で上昇している。
・ サハラ以南のアフリカではHIV陽性者の60%が女性である。
・ HIVは世界の出産適齢期(15〜49歳)の女性の最も高い死因であり、疾病の原因である。
・ 南部アフリカ地域では、15〜24歳の若い女性のHIV陽性率は、同年代の男性より平均で3倍も高い。
・ 世界中の女性の70%が暴力被害を受けている。暴力の体験は女性が安全な性行為を求めて交渉する力を弱めることになる。
・ HIV感染の流行が世界に広がってから約30年がすぎているが、HIVサービスは女性、女児が直面する現実に対応できていない。

 UNAIDSのプレスレリースによると、行動計画は「国連が政府や市民社会、開発パートナーと協力していくにはどうしたらいいのか」について以下の3点をポイントとして示しています。

・ HIVに関し、女性、女児が必要とする情報をまとめる。
・ HIV対策のプログラムが女性、女児により適切に対応したものになるよう、政治的な約束を行動や資金の拡大につなげていく。
・ 女性、女児の人権を守る安全な環境を整えるために指導者を支援する。

 また、具体的な行動に関しては、以下のようなものが含まれています。

・ 流行が女性、女児にどのような影響を与えているかを理解するためのデータの収集と分析の手法を改善する。
・ エイズ対策を通じ女性に対する暴力をなくすキャンペーンの強化をはかる。
・ 女性への暴力対策をHIV予防、治療、ケア、支援プログラムと結びつける。
・ 女性、女児が自らのHIV感染を防ぐことを妨げるような文化社会的、経済的要因の分析を行う
・ 女性とHIVに関する政府の約束を明確にするため女性グループ、女性陽性者のネットワークを支援する
・ 女性、女児の権利を擁護するための男性組織や少年組織の活動を拡大する。

 アニー・レノックスさんは行動計画について「本質的に私たちはみな同じだということが私にとっては最低限の条件です。どこに生きていようと、すべての人は幸福で健康な生活を送る権利があります。この行動計画は、数多くの女性、女児が直面している最前線の現実を直視し、不公正の存在こそがHIV感染の大きなリスクをもたらしていることを理解する重要な機会を提供してくれると思います」と語っています。

 プレスレリースの日本語訳は
 http://asajp.at.webry.info/201003/article_3.html

 報告書のpdf版(英文)は
http://data.unaids.org/pub/Agenda/2010/20100226_jc1794_agenda_for_accelerated_country_action_en.pdf

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