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zoom RSS TOP-HAT News第16号

<<   作成日時 : 2009/09/29 07:45   >>

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TOP-HAT News(トップ・ハット・ニュース)
        第16号(2009年9月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人AIDS&Society研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

AIDS&Society研究会議 TOP-HAT News編集部

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 アジアの女性5000万人に親密なパートナーからのHIV感染リスク

2 《エイズと大統領夫妻と薬物使用》 ICAAP2009報告

3 マニフェストから消えたエイズ対策 衆院選各党に公開質問状

4 厚生労働省主唱、平成21年度「世界エイズデー」実施要項

5 新刊紹介「地球規模感染症と企業の責任 三大感染症−エイズ・結核・マラリアに立ち向かう企業」

     ◇◆◇◆◇◆

1 アジアの女性5000万人に親密なパートナーからのHIV感染リスク
       国連合同エイズ計画(UNAIDS)が推計

 世界人口の6割を占めるアジアは国のあり方も言語も人種、文化的な背景も多様であり、このことはエイズの原因となるHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の新規感染を防ぐための対策を進めるうえでも大きな課題となっています。国によって異性間の売買春、男性の同性間の性行為、薬物注射など主要な感染経路が異なり、いくつかの感染経路が相乗的に感染のリスクを高めている国もあります。また、各国の経済事情や医療基盤にも大きな差があり、アジアとひとまとめにして対策を語ることは困難だという側面もあるからです。

 そうした多様性や困難性を認識したうえで、なおアジアに共通する課題をさぐっていく努力も続けられています。インドネシアのバリで8月9日から13日まで、5日間にわたって開催された第9回アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP2009)では、国連合同エイズ計画(UNAIDS)とその共同スポンサーである国連10機関、市民社会関連団体が協力してまとめた報告書「アジアにおけるHIV感染と親密なパートナー関係」が発表されました。

 この報告書が注目されるのは、HIV感染のリスクの高い行為を続ける男性から、その妻や恋人など長く付き合っている女性へのHIV感染に焦点を当てている点です。アジアではこれまで、女性の多くは性行為の相手が夫や恋人に限られていることからHIV感染のリスクは低いと見なす傾向がありました。

しかし、報告書は《性行為の相手が夫や長く付き合っている男性に限られているため、HIV感染のリスクは低いと考えられていた女性のかなり多くが、実際にはHIV感染のリスクにさらされている》と指摘し、こうした女性はアジア地域だけで約5000万人にのぼると推計しています。

 これは現在、世界全体のHIV陽性者数の推計値を大きく上回る人数です。人口の多いアジアで感染が拡大していくと、いかに大きな影響があるのかをうかがわせる数字といってもいいでしょう。アジアの多くの国で、女性が夫や恋人からの暴力を拒否することができなかったり、性行為を行うかどうかを交渉する力が弱い状態に置かれていたりしていることが、女性の感染リスクを高める結果を招くことも指摘されています。

 もう少し詳しく報告書の推計を紹介すると、アジアのHIV陽性者の中に占める女性の割合は1990年には17%でした。それが2008年には35%を占めるまでに増えています。そして、現在のアジアの女性のHIV陽性者170万人のうち、約90%が夫もしくは長く付き合っていた男性からHIVに感染したと推定されているそうです。

 報告書は当然、HIV感染の高いリスクにさらされている女性たちへの感染の予防をアジアのエイズ対策の大きな課題として位置づけています。ここで注目しておかなければならないのは、女性の地位や発言力を高めることの重要性を指摘するとともに、そのパートナーである男性に対する予防介入策についても規模拡大の必要性を強調していることです。どちらか一方にのみ偏るのではなく、男女両方を支え、HIV感染の予防やHIVに感染した人たちへの支援に取り組んでいくという対策の大きな基本は踏み外していません。この点は日本の今後のエイズ対策を考えていくうえでも大いに参考になるはずです。報告書(英文)はUNAIDSの公式サイトでpdf版をダウンロードできます。
 http://data.unaids.org/pub/Report/2009/intimate_partners_report_en.pdf

 また、報告書の内容を紹介したプレスレリースは日本語訳をエイズ&ソサエティ研究会議のHATプロジェクトに掲載してありますので、参考までにご覧下さい。
 http://asajp.at.webry.info/200908/article_3.html



2 《エイズと大統領夫妻と薬物使用》 ICAAP2009報告

  第9回アジア太平洋地域エイズ国際会議(ICAAP2009)については、会議に参加した慶應義塾大学の樽井正義教授(エイズ&ソサエティ研究会議副代表)の報告《エイズと大統領夫妻と薬物使用》がHATプロジェクトのブログに掲載されています。書き出し部分を引用しておきましょう。
 
 《神戸からスリランカのコロンボを経て、第9回ICAAPは2009年8月9日より13日まで、インドネシアのバリで開催された。2,300を超えるアブストラクトから選ばれた約350により64の口頭発表セッションが組まれ、プレナリー、シンポジウム、スキルズビルディング・ワークショップ、さらにサテライトを加えるとセッション総数は約200。参加者数は、78ヵ国からスカラシップ2,000を含む3,824の登録、それに218のボランティア、運営スタッフなど、計5,500名を超えた。いずれもこれまでで最大規模のICAAPで、とくに気づいたことを3つ挙げたい》

 樽井教授が挙げた3点は、(1)政治的リーダーシップの発揮 (2)ハームリダクションの導入 (3)エイズの女性化・・・です。詳しくは
 http://asajp.at.webry.info/200908/article_4.html
をご覧下さい。


3 マニフェストから消えたエイズ対策 衆院選各党に公開質問状

 政権交代をもたらした8月30日投開票の衆院選では、各党が事前にマニフェストを発表しています。さまざまな分野の政策がかなり詳細に示されているにもかかわらず、エイズ対策に関してはほとんど(おそらくはまったく)、言及がなかったのは残念です。国連の総会や国際エイズ学会が主催する国際会議では、ことあるごとに「政治のリーダーシップ」の重要性が指摘されているのに、日本では政策課題にすらなっていないのか。そんな印象すら与えかねません。日本HIV陽性者ネットワークJaNP+やエイズ&ソサエティ研究会議など国内のHIV/エイズ対策に関係する民間のネットワーク組織は衆院選公示前に急遽、各党に公開質問状を送りました。各党の回答はJaNP+のウエブサイト http://www.janpplus.jp/project/advocacy/090818answer.pdf に公開されています。



4 厚生労働省主唱、平成21年度「世界エイズデー」実施要項

 毎年12月1日の世界エイズデーの前後には、全国でさまざまな啓発イベントが実施されます。今年はどうなのでしょうか。厚生労働省の平成21年度「世界エイズデー」実施要綱が、エイズ予防財団が運営するサイトAPI−Net(エイズ予防情報ネット)に掲載されています。
http://api-net.jfap.or.jp/event/aidsday/2009/H21aidsday_cam_02.htm

 要綱によると、世界エイズデーは1988年、世界保健機関(WHO)によって定められ、1996年から国連合同エイズ計画(UNAIDS)が活動を継承しているということです。現在は国連だけでなく、民間も加わった世界エイズキャンペーン(WAC)という国際組織による年間を通じたキャンペーンの中に位置づけられているようです。日本国内では厚労省が主唱し、各自治体の啓発イベントが実施されているほか、民間独自のイベントや行政と民間の協力ベースのイベントがさまざまなかたちで行われています。

 要綱には普及啓発の留意点として、(1)個別施策層に焦点をあてた普及啓発 (2)人権の尊重 (3)HIV治療の進歩と検査・早期治療の重要性・・・などが挙げられています。



4 新刊紹介「地球規模感染症と企業の責任 三大感染症−エイズ・結核・マラリアに立ち向かう企業」

 (財)日本国際交流センターと世界基金支援日本委員会が書籍「地球規模感染症と企業の責任 三大感染症−エイズ・結核・マラリアに立ち向かう企業」を発行しました。世界基金支援日本委員会の事例調査プロジェクト「三大感染症に対する企業の取り組み」の成果報告書で、第1部 総論(グローバル・イシューとしての感染症と企業活動)、および第2部 事例(エイズ、結核、マラリア対策に積極的に取り組む国際的な企業の活動事例)から構成されています。

 総論では、豊富な資料やデータをもとにして、地球規模の感染症が人命や経済に与える影響がいかに大きいか、なぜ企業は感染症対策に取り組むのかといったことが分かりやすく説明されています。2000年以降の世界のエイズ対策の流れを把握するうえでも貴重な文献と言えるでしょう。

 また、第2部の事例報告では、企業のエイズ対策分野で有名なリーバイストラウス社やMTV、さらにはコカコーラ・カンパニーなどの世界企業と並んで、住友化学(マラリア予防のための蚊帳製造技術のアフリカへの無償移転)、大成建設(ベトナムにおけるエイズ対策)など日本企業の活動事例も取り上げられています。日本企業はどうもエイズなど地球規模感染症の対策には熱心ではないといったことがしばしば指摘されているだけに、この点は興味深いですね。綿密な調査資料の分析や企業の担当者へのインタビューを踏まえた事例報告は、第1部で感染症分野の貢献に関する認識を新たにした企業関係者にとって大いに参考になるはずです。

 総論編でも詳しく説明されていますが、感染症対策は人の生命に直接かかわる課題であるということに加え、予防対策の成否が途上国の政治や経済にも大きな影響をおよぼすといった観点からも重要な課題となっています。このため、国際的なビジネスを展開している世界各国の企業が地球環境対策と並んで重視している社会貢献分野であることは、企業関係者にとどまらず、日本の政策担当者、市民社会組織の関係者にも大いに理解してほしいところです。

保健分野における政府の役割は、指摘するまでもなく重要です。ただし、政府よりも企業の持つビジネススキルの方が有効に機能する場面も実はたくさんあります。また、中長期的な視野で見れば、感染症対策分野での社会貢献は、市場の確保や企業イメージの向上、労働力の確保など、様々な面で企業に利益をもたらすことにもなります。この本で紹介されている豊富な事例がきっかけになって、地球規模のエイズとの闘いの重要性や可能性を認識する日本企業が増えることを期待したいですね。

 世界基金支援日本委員会は、世界エイズ・結核・マラリア対策基金の活動に対する日本国内の理解を広げる目的で作られた国内組織で、その事務局を日本国際交流センターが担当しています。書籍に関する情報は、日本国際交流センターのサイトに掲載されています。
 http://www.jcie.or.jp/japan/pub/publst/1436.htm

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