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zoom RSS TOP-HAT News 第15号

<<   作成日時 : 2009/07/31 16:13   >>

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        第15号(2009年7月)
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TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人AIDS&Society研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

AIDS&Society研究会議 TOP-HAT News編集部

◆◇◆ 目次 ◇◆◇◆

1 はじめに ケープタウン会議から

2 国内の新規患者感染者報告数1557人(08年確定値) 6年連続で増加 

3 この夏もAIDS文化フォーラムin横浜、8月7〜9日

4 エイズ対策はどこまで進んだか 潘基文(パン・ギムン)事務総長報告

5 今年のキャンペーンテーマは? 世界エイズデー

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1 はじめに ケープタウン会議から

 世界最大のHIV陽性者人口を抱える国である南アフリカ共和国のケープタウンで7月19日から22日まで、第5回国際エイズ学会HIV基礎研究・治療・予防会議(IAS2009)が開催され、6000人を超える医学研究者や臨床医、公衆衛生分野の担当者、コミュニティ指導者らが参加しました。

 エイズ対策の国際会議としては、2年に1回の国際エイズ会議が3万人近い参加者を集める大会議として有名です。IAS会議の方は、その間の年に開かれ、国際エイズ会議とくらべると、医学的な学会色の強い会議ということができます。ただし、そのような会議であっても、開会式で「アクティビストとしてのサイエンティスト」といったタイトルの基調講演があるなど、社会との関わりを強く意識したプログラムが多数組まれています。

 会議の組織委員会は期間中、プレスレリースを毎日、発表していました。その初日のプレスレリースも「医学者たちがエイズ予算の削減に対し警告」というヘッドライン(主見出し)です。会議主催者である国際エイズ学会(IAS)のフリオ・モンタネール会長は開会式で「世界的な景気後退の中にあっても、HIVの予防と治療の普遍的アクセスの達成に向け十分な資金を確保するという約束、およびエイズ研究と保健システム強化に必要な資金の提供などを含む世界のHIV対策を抑え込むようなことがあってはならない」と訴えました。

昨年9月のリーマンブラザースの破綻以降、世界を覆った金融危機は、保健分野にも大きな影響を与えています。しかし、この10年の努力の成果がようやく見えはじめてきたいま、地球規模のエイズ対策が資金不足から停滞するようなことがあれば、その小さな成果すらも台無しになり、たくさんの人の生命が奪われ、何年かあとにはより大きな資金負担を強いられることになる。それはエイズ対策に長く取り組んできた人たちには自明のことといってもいいからです。

 地元組織委員会を主導する南アフリカのNGO「ディラ・センウェ」の代表で、会議の共同議長であるフーセン(ジェリー)コーバディア博士はこの会議が、まさしく開かれるべき時期に、開かれるべき場所で開催されたことを強調し、「治療薬の供給が妨げられ、不足する中で、助かるはずの生命が失われ、予防が可能な無数の人たちが感染する。こうしたことがないよう、われわれはアフリカにおける保健医療の提供システムが、効果的かつ適切な資金のもとで運営できるようにしていかなければならない」と語っています。

 コーバディア博士の「開かれるべき場所と時期」というのは、2000年7月に同じ南アフリカ共和国のダーバンで第13回国際エイズ会議が開催されていることを受けた発言です。9年前のダーバン会議は、HIV治療には先進国と途上国の間で大きな地域格差が存在することを世界に広く伝え、低所得国のHIV陽性者のために治療のアクセスを確保する動きが大きく盛り上がる出発点となった会議として位置づけられています。

2000年7月というのは、ダーバン会議が開かれ、さらにそのすぐ後に開催された九州沖縄サミットで議長国日本が、エイズを中心とする地球規模の感染症対策に新たな追加的資金が必要であることを各国首脳に呼びかけています。こうした動きが先進国、途上国の両方で起きたことが、2年後の世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金)の創設につながり、21世紀の最初の10年に大きな成果をもたらす世界のエイズ対策の骨格をつくることになりました。

 日本から遠く離れたケープタウン会議については、残念ながらあまり日本国内で話題になることはありません。しかし、エイズ対策の歴史という観点からもう一度、見直してみると、どこか遠くの方で開かれている会議といったよそよそしい印象とはまた異なる意義が見えてくるはずです。治療のアクセスはダーバン会議当時に比べれば劇的に拡大されました。それでもまだ、流行の拡大ペースには追いつけないでいます。例えば南アフリカでは推定570万人(成人人口の5人に1人)がHIVに感染していますが、必要な治療を受けられる人は、そのうちの60万人にとどまっています。

 エイズ&ソサエティ研究会議のHATプロジェクトのブログでは、微力ながらもケープタウンのIAS2009のプレスレリースをできるだけ日本語に訳して紹介するよう努めました。抗レトロウイルス治療を予防に応用することはできるのか、HIVに感染したお母さんが母乳保育で赤ちゃんを育て、なおかつお母さんから赤ちゃんへのHIV感染を防ぐためにはどのような母子感染防止策が必要か・・・といった非常にホットな研究の成果がたくさん報告されています。ご関心がお有りの方は、HATプロジェクトの7月分のブログをご覧ください。 http://asajp.at.webry.info/200907/index.html



2 国内の新規患者感染者報告数1557人(08年確定値) 6年連続で増加 

 厚生労働省のエイズ動向委員会に報告された2008年(平成20年)の年間の新規HIV感染者およびエイズ患者報告数の確定値がまとまりました。新規HIV感染者数は1126件、新規エイズ患者数は431件で、いずれも過去最高でした。感染者報告と患者報告の合計数は1557件で、これまで最高だった2007年(1500件)より57件、増加しており、国内の患者感染者報告数は6年連続で増加傾向が続いています。

 感染経路別で見ると、新規HIV感染者では、同性間の性感染が779件で感染者報告全体の69%を占めています。また、新規エイズ患者報告では、同性間の性感染が189件(全体の44%)、異性間の性感染が147件(34%)となっています。動向委員会の委員長コメントは「日本国籍男性を中心に国内でのHIV感染の拡大が続いており、特に同性間性的接触による感染は顕著な増加が続いている」との認識を示し、各自治体に対し「エイズ予防指針を踏まえ、個別施策層(特に男性同性愛者)に加え、中高年層等の特性に応じ、利用者の利便性に配慮した検査・相談事業を推進し、予防に関する普及啓発に努めることが重要であり、HIV感染の早期発見による適切な治療の促進と感染拡大の抑制に努める必要がある」と呼びかけています。

 また、広く国民に対しても「HIV・AIDSについての理解を深め、身近な問題として積極的に予防に努めるべきである。早期発見は、個人においては早期治療、社会においては感染の拡大防止に結びつくので、HIV抗体検査・相談の機会を積極的に利用していただきたい」と理解と協力を求めています。詳しくはエイズ予防情報ネットのウエブサイトの「委員長コメント」、および「平成20年エイズ発生動向−概要」をご覧下さい。 http://api-net.jfap.or.jp/mhw/survey/08nenpo/nenpo_menu.htm



3 この夏もAIDS文化フォーラムin横浜、8月7〜9日

 1994年8月、横浜で第10回国際エイズ会議が開催されたのにあわせ、AIDS文化フォーラムin横浜がスタートしました。以来毎年夏はAIDS文化フォーラムの季節でもあります。今年は8月7〜9日の3日間、かながわ県民センター(横浜駅西口徒歩5分)で開かれます。もう16回になるんですね。さまざまなかたちでエイズ対策に取り組む人たちが全国から参加する夏のフォーラムは冬の世界エイズデー(12月1日)の各種イベントと並ぶ重要な啓発の機会でもあります。プログラムなど詳細は公式サイトをご覧下さい。 http://www.yokohamaymca.org/AIDS/index.htm



4 エイズ対策はどこまで進んだか 潘基文(パン・ギムン)事務総長報告

 世界のエイズ対策がどこまで進んだかを確認するための国連総会の会合が6月16日、ニューヨークの国連本部で開かれました。世界各国が一致してHIV/エイズとの闘いに取り組むことを約束した2001年6月の国連エイズ特別総会コミットメント宣言、およびその5年後の会合で新たにまとめられた06年6月の国連エイズ対策レビュー総会政治宣言の実行状況を検証する会合で、潘基文(パン・ギムン)事務総長がその基礎資料となる報告書を提出しました。

 国連総会や主要8カ国首脳会議(G8サミット)など重要な国際会議の場ではこれまで、2010年にHIVの予防、治療、ケア、支援の普遍的アクセスを実現することが国際社会の目標として繰り返し確認されてきました。

 事務総長報告書は、抗レトロウイルス治療のアクセス拡大や母子感染予防などで大きな進展があったことは指摘しつつも、治療に関してはHIVの新規感染のペースが依然として治療プログラムの拡大を凌駕していること、HIVの予防のための取り組みは不十分なままであることなど普遍的アクセス達成にはまだ大きな課題が数多く残っていることを認めています。

 報告書はさらに、HIV陽性者およびHIV感染の流行の影響を受けやすい人々を守るための約束が数多くなされている一方で、多くの国がそうした約束と矛盾する法律や政策をいまなお保持していることを指摘しています。また、そのために大切なHIV関連のサービスへのアクセスが妨げられている現状を憂慮し、こうした法規制は撤廃されなければならないとしています。

 一方、資金面に関しては、《エイズ対策への地球規模の投資は最も効果のある投資のひとつであり、経済危機の中でもHIV対策への関与を維持、強化することが大切である》と指摘し、低・中所得国がHIV対策に使える資金は07年に113億ドルだったのが、08年には137億ドルへと増えていることも報告しています。ただし、その後の金融危機による世界経済の低迷がどのような影響をもたらすのかはまだはっきりとしていません。この点に関する懸念は非常に大きく、報告書は2010年までに各国が普遍的アクセスを達成するには今後2年間、毎年推定250億ドルが必要であり、HIV関連の資金拠出者すべてが拠出約束額を増やさなければならないと強調しています。



5 今年のキャンペーンテーマは? 世界エイズデー

 国連総会のエイズに関する会合が開かれた6月16日には、2009年の世界エイズデーに向けたキャンペーンのテーマもニューヨークの国連本部で発表されました。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長とミシェル・シデベ国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長らが記者会見を行い、世界エイズキャンペーン(WAC)のマーセル・ヴァン・ソエスト事務局長もWACのオフィスがある南アフリカのケープタウンで談話を発表するなどかなり力が入っています。

 そのテーマは「普遍的アクセスと人権」。すでに報告したように、国際社会はHIV予防、治療、ケア、支援の普遍的アクセスを2010年までに達成することを目標として掲げてきました。必要な人なら誰でも利用できるというのが普遍的アクセスですね。残念ながらその目標の実現は厳しいということがはっきりしてきたので、最近は演説などでも表現をぼかして語られることが多いのですが、そうした目標を掲げたという事実は変わりません。そして、実現はできないものの各国がその目標に限りなく近づくために残された短い期間、最善の努力を尽くすとするならば、HIV陽性者、女性、社会的に弱い立場の集団などを差別する法律や政策を改める必要があります。かなり周到に考えられた、骨のあるキャンペーンテーマという印象を受けます。

 キャンペーンテーマ発表の際のUNAIDSのプレスレリースの日本語訳はエイズ&ソサエティ研究会議のHATプロジェクトのブログにアップされています。 http://asajp.at.webry.info/200906/article_6.html

 一方、日本のエイズ予防財団も世界エイズデーのキャンペーンテーマを発表しています。「Living Together 〜いま、何をすれば良いのか聴かせて」。趣旨についてはエイズ予防情報ネットの《平成21年度「世界エイズデー」キャンペーンテーマについて》をご覧下さい。 http://api-net.jfap.or.jp/event/aidsday/2009/H21aidsday_cam.htm

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