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zoom RSS  予防と抗レトロウイルス治療 第2回世界専門家会議

<<   作成日時 : 2009/03/13 16:33   >>

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 HIV陽性者に対する治療や支援を予防に役立てようという議論は以前からあります。HIV感染の予防を呼びかけ、感染したかもしれないと思っている人が積極的に検査を受けられるようになるには、HIV陽性者が安心して医療を受け、社会生活を続けていけることが保証されなければならない。そのような文脈での議論だと考えられていました。

 ところが、最近はそれだけにはとどまらない考え方が主に医療や公衆衛生分野の専門家の間でかなり真剣に、もうちょっと近いニュアンスでいえば、「マジかよ」と言いたくなるようなレベルで検討されているようです。つまり、HIVに感染している人に早く抗レトロウイルス治療(ART)を提供して血液中のウイルス濃度が低い状態を維持していけば、社会全体として性感染症などの機会を減らすことができるではないかという議論です。

 あるいは、HIV感染の高いリスクにさらされるおそれがある行動を繰り返す人に対しては、感染を予防するために事前に抗レトロウイルス薬を服薬してもらおうという「曝露前予防」という考え方もあります。その場合の《HIV感染の高いリスクにさらされるおそれがある行動を繰り返す人》とはどのような人が対象になるのでしょうか。薬物注射使用者、セックスワーカー、男性とセックスをする男性(MSM)などといった人たちの中の感染防止策をとらずに感染リスクの高い行動を繰り返している人ということになるのでしょうか。

 おおむねHIV陽性率の高い国、ないしは地域を対象にした議論であるので、日本ではすくなくとも現時点ではそのようなことまで考える必要はない。そうした認識がわが国の専門家の間では趨勢を占めているせいか、日本国内でそうした議論が話題にされることはこれまで、あまりなかったように思います。日本エイズ学会ではどうだったのでしょうか。

 しかし、国内のHIV陽性者はすでに報告ベースでも1万5000人を超えています。諸外国の多くに比べれば極めてHIV陽性率は低い国であるとはいえ、大都市部のゲイコミュニティで検査を行えば、5%前後の人にHIV感染が確認されることも少なくないといった指摘は疫学の専門家からもすでになされています。海外での議論の動向は極力、把握しておく必要があるでしょう。

 国際エイズ学会(IAS)のウエブサイトから、カナダのバンクーバーで2月に開催された第2回世界専門家会議(サミット)の報告のページを紹介しておきましょう。  http://www.iasociety.org/Default.aspx?pageId=314

 以下はその中の概略説明の日本語仮訳です。
  (会議のサマリーと提言は、近く公表されるようです)

       ◇

 第2回世界専門家会議「Leading by Example in the Public Health Approach to ART(ARTの公衆衛生アプローチへの道)」が2009年2月11日から13日まで、カナダのバンクーバーで開かれた。会議の目標は、公衆衛生上の観点からART(抗レトロウイルス治療)の普及がもたらす個人的な利益と社会的な利益の最大化をはかるために必要な研究に関し、専門家のコンセンサスを得ることだった。

 会議の具体的な目的は以下の通りである。
 
 ・ARTの開始、活用、モニタリング、提供などに焦点をあてた科学的なデータを評価し、コンセンサスを確立する。

 ・ARTの予防対策面での効果を上げるためにどのような研究がさらに必要かをさぐる。

 ・強固な戦略研究課題に向けた能力を強化し、研究を実施していくための人的、資金的投資を充実させていくうえで求められる各パートナーの行動を明確にする


The second Global Experts Summit, entitled “Leading by Example in the
Public Health Approach to ART,” was held in Vancouver, Canada from February
11 – 13, 2009. The goal of this summit was to develop expert consensus on
research needed to optimize the individual and societal benefits of the
public health approach to delivering ART.

The specific objectives of the summit were to:

・Evaluate and build consensus on the most scientific data on ART with a focus
on initiation, optimization, monitoring and delivery

・Identify additional research required to learn how to maximize the
preventative benefit of ART

・Identify key actions by each partner to strengthen human and financial
investment in capacity-building and implementation of a robust operations
research agenda


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