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zoom RSS メルマガ TOP-HAT News 第9号

<<   作成日時 : 2008/08/13 16:59   >>

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        第9号(2008年8月)
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 TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人AIDS&Society研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。

AIDS&Society研究会議 TOP-HAT News編集部

◆◇◆ 目次 ◇◆◇

1 アジアはどう闘うのか アジアエイズ委員会が報告書『アジアのエイズ再定義』

2 UNAIDSのピーター・ピオット事務局長が今年いっぱいで退任

3 2007年は1500件 国内のHIV感染者・エイズ患者報告確定値

4 用語解説で学ぶエイズ対策講座1 「3バイ5」計画

     ◇◆◇◆◇◆

1 アジアはどう闘うのか アジアエイズ委員会が報告書『アジアのエイズ再定義』

 拡大を続けるアジアのエイズの流行にどう対応すべきなのか。アジア各国から参加した第一線の経済学者や医学者、市民社会代表、政治家ら9人の委員で構成するアジアエイズ委員会が2008年3月26日、報告書『アジアのエイズ再定義〜効果のある対策を作る』をまとめ、ニューヨークの国連本部で潘基文事務総長に提出した。

委員会は2006年6月、国連合同エイズ計画のアジア地域代表であるプラサダ・ラオ博士の呼びかけで発足。国連機関などとは独立した組織として、ほぼ1年半の間に5000点以上の関係文献を読み直し、各国政府やHIV陽性者グループ、エイズ対策のNPO関係者など600人以上からヒアリングを行った。報告書はこれらの成果を踏まえてアジア地域のエイズの流行の現状と中長期の社会経済的影響を分析し、「リーダーシップ」「環境」「資金」「介入策」「コミュニティ参加」「戦略とプログラムの実施」などに関して41項目の提言を行っている。

報告書は《巨大な人口を抱えるアジアでは、HIV陽性率が低く見えても陽性者の実数は多い》として、国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)による2007年末現在の次のような推計を紹介している。

 HIV陽性者数           490万人(370万〜670万人)
 年間の新規HIV感染者数     44万人( 21万〜100万人)
 年間のエイズによる死者数 30万人( 25万〜 47万人)

 また、累計では《約20年前にアジアで最初のHIV感染が報告されて以来、この地域では推定900万人がHIVに感染している。一方で、これまでに男性約260万人、女性95万人以上、子供約33万人がエイズ関連の疾病で死亡したと推計されている》という。

 将来予測に関しては、《すでに確認されている根拠に基づき、委員会がこの報告書で推奨する集中的な予防パッケージの目標》を以下のように示している。

・セックスワーカーとその客のコンドーム使用率を80%以上にあげる。
・セックスワーカーとその客の性感染症(STI)を半減させる。
・薬物注射使用者(IDU)の注射針共用、および共用による注射の割合を半減させる。
・男性とセックスをする男性のコンドーム使用率を80%以上に上げる。

 さらに、これらの対策が着実に実行された場合には、《2008年から2020年までの間に次のような成果の達成が期待できる》という。

・新たな感染が500万人分減少する 
・2020年までにHIV陽性者数が310万人減少する
・エイズ関連の死亡が40%減少する
・域内におけるHIV陽性率が着実に低下する

 報告書は《アジアなら、こうした対応は可能である》としたうえで、《問題は、世界で初めて域内のパンデミックを反転させるという成功物語を達成するために必要な政治の意思がアジアにあるかどうかである》と政治指導者のリーダーシップの重要性を強調している。

 報告書のエグゼクティブサマリーの日本語仮訳は、AIDS&Society研究会議HATプロジェクトのブログで、4回に分けて掲載してあります。
 http://asajp.at.webry.info/200808/article_1.html
   
http://asajp.at.webry.info/200808/article_2.htm

 http://asajp.at.webry.info/200808/article_3.html

 http://asajp.at.webry.info/200808/article_4.html



2 UNAIDSのピオット事務局長が今年いっぱいで退任

 国連のエイズ対策推進機関である国連合同エイズ計画(UNAIDS)のピーター・ピオット事務局長が今年12月で退任することになった。UNAIDSの発足は1995年1月だったが、ピオット事務局長はその1カ月前の94年12月から就任。「最初の半年間、職員は私ひとりだった」という。

 今年5月、横浜で開かれた第4回アフリカ開発会議(TICADW)で来日した際、ピオット氏はこの14年間を振り返り、最も印象に残ったこととして「エイズが世界の重要課題として認識されるようになったことです。UNAIDS発足当時、エイズの流行と取り組んでいたのは、少数のエイズアクティビストと診療にあたる医師、その他少数の人たちでした」と語っていた。文字通りUNAIDSを立ち上げ、90年代半ば以降の世界のエイズ対策を牽引してきた人物といえるだろう。


3 年間1500人 2007年のHIV感染者・エイズ患者報告 

 昨年1年間に厚生労働省のエイズ動向委員会に報告されたHIV新規感染者、エイズ患者の報告数は感染者1087件、患者418件だった。いずれも過去最高で、患者、感染者を合計すると1500件となり、前年(1358件)より142件増えている。過去5年間の報告数の推移は別表の通りで、一貫して増加傾向が続いていることが分かる。

過去5年間のHIV感染者エイズ患者報告数(確定値)

          感染者 患者  報告全体に占めるエイズ患者
03年  976 ( 640、336)   34.4%
04年 1165 ( 780、385)   33.0%
05年 1199 ( 832、367)   30.6%
06年 1358 ( 952、406)   29.8%
07年 1500 (1082、418)   27.9%

 動向委員会は毎年1〜2月に前年の報告の速報値を発表し、4〜5月に確定値を明らかにしている。今年の速報値は1448件だったから確定値で52件分増えている。年間1500件の報告数は1日あたりにすると平均4.1人で、初めて4人の大台を超えた。

 表の中で、報告者全体に占めるエイズ患者の割合が03年の34.4%から07年の27.9%まで、わずかずつではあるが、着実に減少していることは注目される。全体として報告件数の増加傾向が続いているということは、HIVの感染も拡大基調にあると考えるべきであり、そうした中でこの傾向は、検査の普及により、エイズを発症するまで自らのHIV感染に気が付かないでいる人の割合が少しずつでも減ってきたことを示していると見られるからだ。

 検査の普及には今後も力を入れていく必要があるが、それと同時にHIV感染が分かった人に治療や支援を提供していくための医療機関やサポートNGOの体制を報告増に見合ったかたちで充実させていく必要があることも年間報告のデータは示している。

 感染経路別で見ると、感染者報告では性感染が950件で全体の87%。さらにその性感染を同性間と異性間に分けると、同性間の性感染が729件で、感染者全体の67%を占めている。異性間の性感染は221件(うち女性50件)と20%にとどまっていた。一方、エイズ患者報告の方は、性感染が311件(エイズ患者報告全体の約74%)で、内訳は同性間の性行為による感染が157件、異性間の感染が154件(うち女性31件)だった。



4 用語解説で学ぶエイズ対策講座1 「3バイ5」計画
2001年6月、国連エイズ特別総会でコミットメント宣言採択されたことがきっかけになり、アフリカを中心にした途上国のHIV陽性者に抗レトロウイルス薬を用いた治療(抗レトロウイルス治療)を提供することが強く求められるようになった。その結果、世界保健機関(WHO)を中心に3バイ5計画が真剣に検討され、2003年12月1日、WHOと国連合同エイズ計画(UNAIDS)により、計画のスタートが公式に宣言された。

この計画は、2005年末までに途上国で緊急に抗レトロウイルス治療(ART)を必要とするHIV陽性者300万人に治療を提供するというもので、その時点で世界にはいますぐ治療を始めなければ2年以内に死亡するHIV陽性者が600万人いると推計されていた。つまり、その600万人の半数に治療を提供するという目標である。

当時は途上国の患者に抗レトロウイルス治療を提供することは現実的ではないという批判も一部にあったが、先進国、途上国双方の政治的な意思、資金拠出と薬の価格を下げるためのさまざまな工夫により、計画の目標自体は達成できなかったものの、治療の普及は大きく進んだ。WHOとUNAIDSの報告によると、03年12月時点で抗レトロウイルス治療を受けられる途上国の患者は40万人で、世界のエイズ対策支出は47億ドルだった。それが計画の締め切り期限である2年後の05年12月には130万人、83億ドルに増えている。目標には届かなかったが、治療の普及が現実的かつ有効な武器になりうることは証明されたとUNAIDSとWHOは総括している。

さらにUNAIDSとWHOは2008年6月、抗レトロウイルス治療を受けている人が2007末時点でほぼ300万人(実は推定290万人)に達したとする新たな報告書を発表した。「3バイ5」は実現できなかったが、2年遅れの「3バイ7」は実現したということだろう。ただし、その時点で緊急に治療を必要とするHIV陽性者はさらに増えて、推定970万人と考えられるようになっていた。治療のカバー率で見ると、31%なので、必要な人の半数に治療を提供するという目標には届いていない。

エイズ治療の普及に関する国際社会の目標は現在、「3バイ5」からさらにハードルを上げ、「普遍的アクセス」に移行している。必要とするすべての人にHIV予防、治療、ケア、支援のためのアクセスを2010年までに確保するという大目標である。普遍的アクセスについては次回、報告したい。

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