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zoom RSS 『アジアのエイズ再定義〜効果的なエイズ対策を作る』エグゼクティブサマリー4

<<   作成日時 : 2008/08/04 22:59   >>

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 (解説)『アジアのエイズ再定義〜効果的なエイズ対策を作る』のエグゼクティブサマリーの中の「Policy Recommendation」の後半部分です。これでエグゼクティブサマリーはおわりです。英文は
 http://data.unaids.org/pub/Report/2008/20080326_report_commission_aids_en.pdf




戦略とプログラムの実施

A.予防
 28.予防プログラムは、効果があることが分かっていて、HIVの新規感染を最大限に減らせる方法に焦点をあてなければならない。各国政府は以下のことが可能であろう。
  ・薬物注射使用者のHIV感染を減らすためのサービスを提供する包括的なハームリダクション・プログラムの促進と支援。ハームリダクションのパッケージは針交換、代替薬、コンドーム使用、および(HIV検査と抗レトロウイルス治療のための)照会サービスなどが含まれる。
・売春の場でのコンドームを使用の拡大。ピア・エデュケーションに基づくセックスワークへの介入を行い、規模を拡大する必要がある。セックスワーカーとその客がコンドームを使えるよう条件を整える責務は主に政府にある。女性が自らの判断で使える手段として女性用コンドームを奨励し、使い方を指導すべきである。政治的および社会的指導者はコンドーム使用の公衆衛生面における利益の大きさを社会に広く伝えるよう大規模な情報キャンペーンに加わるべきである。
  ・売春の客となる男性のHIV感染を減らす。アジアでは、セックスワーカーの客をHIV予防プログラムの中心に位置づけなければならない。マスメディアの強力なキャンペーンにより、売春の際には常にコンドームを使うことが当たり前になるようセックスワーカーの客に働きかけなければならない。
    売春客に到達するには、売春に対する需要が生まれやすい職場でHIV教育とサービス(性感染症の治療、コンドーム使用の促進など)を提供していく必要がある。
    コマーシャル・セックスの客をターゲットにしたプログラムはモラルを押しつけるようなものではなく、客が自分自身と他の人のHIV感染を予防するために必要な情報とサービスを提供するかたちの現実的ものでなければならない。 
  ・男性同士のセックスによるHIV感染を減らす。男性とセックスをする男性の感染予防のための包括的プログラムは、集中的なHIV教育(とりわけピア・エデュケーション)、コンドームと水溶性潤滑剤の配布、性感染症に対処するためのサービス、地域の人権の擁護や支援団体への援助などが含まれていなければならない。
  ・売春客の男性、薬物使用者、男性とセックスをする男性らの妻を守る。夫からHIVに感染するおそれのあるこれらの女性を対象にした介入策の改善には質の高い実践的な研究が求められている。HIV予防、検査、紹介サービスへのアクセスを拡大するための入口として妊娠出産に関する保健サービスを活用すべきである。HIV(および他の保健)に関するサービスへのアクセスを改良するには、妊婦ケアの質を向上させ、利用しやすくするとともに病院での出産がしやすくなるようにしていく必要がある。
 29.対策が効果をあげるには、前提としてHIV対策のための活動がしやすい雰囲気をつくることが不可欠である。地方レベルでそうした雰囲気をつくるには、セックスワーカーや薬物注射使用者、男性とセックスをする男性らによるネットワークの形成を可能にする一方、この人たちを迫害や暴力から守るためにオピニオンリーダーや法執行機関からの応援が必要である。 
 30.「活動しやすい雰囲気」を作るための資金は、HIV介入のための費用により、とりわけプロジェクト・レベルに対して負担しなければならない。こうした雰囲気は介入に必要な費用として考えるべきである。
 31.エイズに関連した偏見を強調したり、逆効果になったりするようなプログラムを避ける。売春地域への手入れやセックスワーカーの逮捕、「麻薬と戦争」プログラムのもとでの薬物使用の若者の大量逮捕、強制的な(mandatory)HIV検査などが、そのようなプログラムに含まれるかもしれない。
 32.以下のようなプログラムはエイズを強調しうるものだが、長期的に持続できるよう関連分野のプログラムに組み込んでいかなければならない。
  ・若者に危険度の高い行為を避けたり減らしたりするための情報を提供し、自らを守れるようにするため、学校で性教育を行う。
  ・広告、メディア分野の専門家とエイズ専門家による綿密なモニタリング、および専門家間の協力を通し、HIVメディア・キャンペーンを率直かつ正確で、効果的なものにしていく。
  ・曝露後予防策の提供により、HIV感染にさらされた保健医療従事者を防護する。

B.治療とケア
 33.HIV検査とカウンセリングの実施は個人のプライバシー、個人情報保護、選択の権利を尊重する一方、感染層に関して公衆衛生の観点から必要とされる戦略的情報を把握できるようバランスをとらなければならない。
 34.政府は以下の点を確認しつつ、治療を必要とするすべての人に抗レトロウイルス治療を提供するためのシステムをつくり、維持しなければならない。
購入可能性:一括調達、合同交渉、対象別価格または二重価格制、保険や社会保障などのリスク共同負担メカニズムにより、抗レトロウイルス薬の価格を下げる。2番目の組み合わせの抗レトロウイルス薬に対する強制特許の発動、平行輸入の活用などによって薬の価格を下げる戦略もまた、探っていくべきである。 
   入手可能性:抗レトロウイルス薬の第1の組み合わせ、第2の組み合わせともに、国際的な品質基準を満たし、量的にも国内の需要に十分対応できるようにする。
   利用可能性:貧しい人も平等に治療プログラムを受けられるよう交通費その他の必要な補助を行うこと、地域のアウトリーチ提供者を抗レトロウイルス治療プログラムに結びつけること、社会の周縁に追いやられた集団が利用しやすくなるような雰囲気を生み出していくことなどを通し、抗レトロウイルス治療と検査機関による検査、関連治療サービスを必要とする人が誰でもそれらのサービスを利用できるようにする。
   治療継続性:抗レトロウイルス治療の効果を持続させ、耐性ウイルス出現を制限するため、支援のシステムやグループを通して治療薬の服用をきちんと維持できるようにする。
 35.HIVと結核の重感染の診断、治療を強化するため、両方のプログラムのサービス提供を増強する。

C.影響緩和
36.影響緩和プログラムは各国のエイズ対策の不可欠な構成要素である。とりわけ貧困世帯や女性、子供に焦点をあてなければならない。影響緩和プログラムは、HIVに感染した女性のための所得創出と生活保障、エイズで親を失った子供たちの養育者に対する生活資金や教育費の補助などを通し、深刻な影響を受けている家庭を救うものでなければならない。
 37.各国政府は、HIVに感染した人が他の人と同じように生命保険および健康保険のカバーを受けられるように保険に関する規制を検証し、必要なら修正すべきである。

D.組織に関する課題
 38.利用可能なデータを方針設定と監視、評価に最大限活用するため、政策とプログラムに関する分析班を設置し、国のエイズ対策の中にきちんと位置づけるべきである。分析班は現在あるデータ(疫学、行動学、対策指標、財政など)をもれなく把握し、その質について評価したうえで各国の実情に合わせた疫学モデルを確立して、そのデータやモデルをさまざまな選択肢間の費用対効果比較のために活用すべきである。
 39.官民パートナーシップの組織を作り、コミュニティのプロジェクトへの資金の流れを良くする必要がある。政府とコミュニティの両方の代表からなる独立した理事会や委員会なら、政府、民間ドナーの両方から資金を集め、プログラムを実施するためその資金をコミュニティグループに支給することができる。
 40.HIV感染の高いリスクにさらされている人口層、およびHIV陽性者を代表する組織に対する支援と能力向上策はHIVプログラムの規模拡大と継続をはかるうえで重要である。資金拠出者と政府はコミュニティ組織がプログラムを策定し、実行するための技術的、財政的支援が適切に受けられるようにすべきである。
 41.焦点が明確に定められ、しかも包括的なアプローチを持続させていくには、以下のようなかたちで、適切なサービスを届けるメカニズムを作ることが重要である。
  ・最も高い感染のリスクにさらされている人たちに向けた予防サービスは、コミュニティに基盤を置いた組織などの市民社会組織にゆだね、それらの組織が直接、行わなければならない。政府や他の機関は運営や財政面で強力な支援を提供すべきである。資金はこうした組織の能力向上にあてられるべきである。
・HIVの母子感染予防、HIVカウンセリングと検査、治療とケアのプログラムをもっと保健システムに結びつけるべきである。
  ・予防、治療、影響緩和に関しては、サービスを届ける部門はエイズプログラムが直接、管轄しなければならない。それ以外の部門はすでに存在する様々な分野のプログラムの中に組み込むことも必要だ。
 
 各国政府は、2010年までの予防、治療、ケア、支援の普遍的アクセスに関して出された宣言や、2015年までに流行の拡大を抑え縮小に転じるというミレニアム開発目標(MDGs)6などの国際的な約束を遂行しなければならない。

 アジア各国の政府には、HIVの新規感染を大幅に減らすために必要な情報も体制も手段もある。委員会はそう信じ、楽観もしている。各国が資金と人材を動員し、パートナーシップを効果的に機能させることができれば、こうした楽観的な目標の達成も可能なはずだ。

 最も重要なのは政治の意思である。アジア各国政府が試練に挑み、報告書に示されたステップに決然と踏み出すことを選択すれば、アジアはHIVとの闘いに勝利することができるであろう。

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