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zoom RSS 『アジアのエイズ再定義〜効果的な対策を作る』エグゼクティブサマリー3

<<   作成日時 : 2008/08/04 12:53   >>

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 (解説)エグゼクティブサマリーの日本語仮訳のうち、「Policy Recommendation」の前半部分です。英文は
    http://data.unaids.org/pub/Report/2008/20080326_report_commission_aids_en.pdf



政策提言

 リーダーシップ
1.政治指導者は流行の力学、および個人、家族に及ぼす影響をもっと深く理解する必要がある。HIV対策を支えるうえで果たす政治家の役割の重要性を考え、各政党および議会内部にHIV委員会を設立することを当委員会は強く提言する。政治的課題を効果的な行動に変える時が来ている。
2.政府だけでなく、ビジネスリーダーもHIV対策の中で、より積極的な役割を担う必要がある。 
3.強い政治のリーダーシップと実体のあるコミュニティ参加のもとで、権限が明確で効率的なガバナンス機構がエイズプログラムの実施にあたるべきである。
4.国家エイズ委員会の職務と委員構成は、政策策定、連絡調整、モニタリングと評価を中心に決めるべきである。国のプログラムは、意思決定の分権化を促せるよう強力な指導者たちが運営し、流行に効果的かつ戦略的に対応できる有能な専門家チームがそれを支えるかたちにすべきである。
 5.世界基金の国別調整メカニズムは政府と市民社会組織が予防と治療のプログラムを実施していくうえで重要な役割を有している。
  ・より民主的で透明性の高い運営を確保し、市民社会パートナーの参加を実体のあるものにするため、国別調整メカニズムの改革が必要だ。
  ・世界基金の資金助成の決定は、各国の流行の現実をしっかりと踏まえたものでなければならない。
  ・国別調整メカニズムと国家エイズ委員会の関係を明確にさだめ、国レベルでより協力的かつ効果的な運営を実現させていくべきである。
 6.各国は自国の流行の特徴を理解し、それに沿って対策を立てるべきである。可能な限り最新の流行の状態を把握するため、それぞれの国が疫学的、および行動学的情報システムを強化しなければならない。そうした理解を得るための方法は、常に改善のための定期的な見直し(専門家同士の検証も含む)を行うべきである。HIV政策とプログラムは、各国が自ら行うHIV感染者、エイズ患者推計と将来予測、そして予防、治療、ケア、影響緩和のプログラムの成果を踏まえて策定されなければならない。
 7.アジアの地域リファレンス・グループは、各国がプログラムと政策を策定するために必要となる適切な基準を設定するとともに、HIV感染に関する各国の推計、予測、資金需要見通しの作成を支援、検証し、その有効性を評価するべきである。
 8.各国はハイレベルの政府機関により、隔年でHIV影響に関する評価と分析を行うべきである。この機関は
  ・最新の疫学上のエビデンスを検証する。
  ・HIV感染の新たな「ホットスポット」を特定する。
  ・HIV感染を増大させ、効果的な対策を妨げる要因(急激な経済、社会変化を含む)を分析する。
  ・現在のHIV対策を(様々な部門にまたがり)を評価する
  ・流行の影響を(家庭レベルから)予測する

 環境
9.法規制が効果的な対策を妨げたり、混乱させたりするものであってはならない。HIV感染のリスクや最も大きく感染のリスクにさらされている人たちは、法規制の対象としてとらえるのではなく、保健サービスを改善し、利用可能にするための対象と考えるべきである。
   政府は、サービスに対するアクセスを強化するため、それを妨げる立法上の方針やその他の障碍を取り除くべきである。また各国政府は警察や矯正機関、司法サービス機関に対し、最も高いリスクにさらされている人たちに対するHIV関連のサービスの提供を促進するよう法律や通達で指示すべきである。同様に資金提供国、資金提供者は、セックスワーカーの組織と協力して活動する組織に対する支援を妨げるような条件や方針を撤廃しなければならない。
 10.各国政府は、HIVに関連した差別を温存している法律および規制を廃止または修正すべきである。とりわけ労働市場、職場、医療保険などの保険へのアクセス、保健医療、教育、社会サービス、相続権(特に女性)などの分野では、この点が重要である。
 11.保健医療機関や職場、教育機関、および広く社会全般においてHIVに関連した差別を監視するための「エイズ監視機関」を設けるべきである。
 12.HIV陽性者に対する偏見を減らすためのひとつの有効な方法としては、HIV陽性者自身がHIVに関連する課題の支援者、教育者、アクティビストとして自らのグループを組織すること、およびそれを支援することがあげられる。また、メディア、保健医療提供者、政府機関および市民社会組織との協力関係を強化していくことも大切だ。
 13.最も感染のリスクにさらされやすい人たちの収監率が高いことを考え、政府は刑務所およびその他の矯正施設において受刑者にHIV情報と必要不可欠な感染予防サービスを提供するよう助言を受けている。
14.エイズ対策および市民社会による支援活動を促進することが重要である。HIV対策の指導者やコミュニティに基盤を置く組織、社会活動、市民社会や有権者の運動はHIVが政治の優先課題から抜け落ちてしまわないようにするうえで不可欠である。

介入の成果

 15.現行のHIVプログラムは以下の4つのカテゴリーに分類できる。低コスト/高成果、高コスト/高成果、高コスト/低成果、低コスト/低成果。高いリスクにさらされた人口層に焦点を当てた予防、抗レトロウイルス治療といった高い成果をもたらす介入がHIV対策の中核をなすべきである。

資金
 16.第3章で提案されているように各国が人口一人あたり0.5〜1ドルの対策資金を確保すれば、アジアのHIVの流行は拡大から縮小へと反転させることができる。エイズ関連の死亡の40%は(抗レトロウイルス治療の提供により)防ぐことができる。また、女性と孤児の80%に対し社会的な保護と生活支援を提供することができる。
 17.HIV感染の流行を拡大させる背景要因に対応するための活動を強化、支援するには追加的資金が必要である。それらの活動はたとえば以下のようなものである。
  ・性感染症の予防と治療(最も高いリスクにさらされた層ではなく、一般層=ジェネラル・ポピュレーションを対象にしたもの)
  ・一般層に向けたコンドームの普及と提供
  ・血液供給の安全確保、ユニバーサル・プリコーション・システムなど保健医療システムの強化策
  ・学校における性教育
  ・社会、保健部門の基盤強化
  ・女性の地位向上プログラム
 18.各国政府は外部からの資金援助への依存度を下げ、自国のHIV対策にもっと投資すべきである。

 介入策
 19.予算の配分には、HIV感染とその影響を減らすうえで、最も迅速かつ、規模が大きく、効果が持続しうるような介入策を優先させなければならない。予防介入に不可欠な要素が規定され、モニタリングや提供体制の基準が明確にされれば、流行が縮小に転じるまで介入策の規模を拡大させることができるだろう。
 20.政府は抗レトロウイルス治療を無料で提供し、必要な人すべてが受けられるようにする責任を引き受けなければならない。必要な人が、包括的パッケージを利用し、効果的治療(抗レトロウイルス薬の最初の組み合わせだけでなく、2番目の組み合わせまで)を継続できるようにしなければならない。抗レトロウイルス治療のプログラムを国の保健医療システムの中に統合すべきである。
 21.アジア各国政府は国のエイズ対策の中に影響緩和を含めるべきである。現在の社会保障システムに治療と影響緩和プログラムを統合することで、HIVは各国に対し、保健や他の分野における絶望的な支出増に対抗して、社会を守るプログラムの強化をはかる機会が得られることになる。
 22.少なくとも、影響緩和プログラムは4つの要素からなっている。HIVに感染した人がいる世帯における女性が利用しやすい所得支援プログラム、エイズで親を失った子供をケアする家庭のための支援、エイズにかかった人へのケアを社会保障制度に組み込むこと、男女両方に相続権を保障するための法整備、である。

コミュニティ参加
23.プログラムのデザインから実行、モニタリングと評価など政策のすべての段階で、コミュニティと市民社会の参加を保障すべきである。より透明性を高め、民主的なガバナンスを充実させ、準備をきちんとすることで、説明責任を増すことができる。
24.コミュニティの組織は、参加がはかれるようにし、自らの活動に対する説明責任を明確にするシステムを設立すべきである。国内の連合組織の形成を通し、コミュニティ組織は開かれた透明な選出手続きによって代表を任命し、国別調整メカニズムや国家エイズ委員会といった全国的組織に送り込むことができる。コミュニティ組織は代表選出や説明責任を果たすための方法についての方針を策定しなければならない。
25.ASEANやSAARCなどの地域的国際機構は、HIV対策の規模拡大に向けてリーダーシップをとり、新たな知見や手法の普及をはかるための域内プラットフォームとしての機能を果たすべきである。これらの機構は、抗レトロウイルス薬の価格交渉やハイレベルの政治会合の場での加盟国のエイズ対策のモニタリングなどに関して、より積極的な役割を担うべきである。
26.この地域の比較優位性を踏まえ、国連は引き続き、各国がより多くの資金確保と政治的な関与を果たすことができるよう働きかけるべきである。
 27.UNAIDSはアジアのエイズの流行と対策にあわせた戦略の策定と支援に尽力し、各国レベルおよび地域レベルでそうした戦略が実現できるようにするための国連機関の一貫した技術的、及び管理上の支援を確保すべきである。

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