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zoom RSS メルマガ:TOP-HAT News 第5号(2007年2月)

<<   作成日時 : 2007/02/26 16:27   >>

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        第5号(2007年2月)
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 TOP-HAT Newsは特定非営利活動法人AIDS&Society研究会議が東京都の委託を受けて発行するHIV/エイズ啓発メールマガジンです。企業、教育機関(大学、専門学校の事務局部門)をはじめ、HIV/エイズ対策や保健分野の社会貢献事業に関心をお持ちの方にエイズに関する情報を幅広く提供することを目指しています。
AIDS&Society研究会議 TOP-HAT News編集部

◆◇◆ 目次 ◇◆◇
・はじめに 広がる危機
 
 ・エイズ動向委員会報告から  

・世界にはいま、3950万人のHIV陽性者が生活しています HIV陽性者最新推計

・レッドリボンについて

・日本エイズ学会に1333人が参加

・PWA賞に張由紀夫氏
 
 ・エイズ対策から見ると、2006年はどんな1年だったのでしょうか

◆◇◆◇◆◇

◎はじめに 広がる危機
  厚生労働省のエイズ動向委員会が発表した昨年(2006年)1年間の速報値によると、年間のHIV感染者新規報告数は914件、エイズ患者の新規報告数は390件でした。いずれも過去最高の報告数だそうです。
エイズ患者報告数は、エイズを発症してからようやく検査によってHIVに感染していることが確認されたケースです。逆にHIV感染者報告数はエイズを発症していない感染者が対象になります。両者は重複していないので、昨年は速報値の段階ですでに、エイズ患者を含め1304人が新たに自らのHIV感染を知ったことになります。こちらも1985年にわが国で最初のエイズ患者報告が確認されて以来、22年間で最も多い人数です。
「速報値の段階ですでに」と書いたのは、動向委員会では報告をさらに精査して毎年4月に確定値を発表するからです。少数ですが医療機関などからの報告の遅れもあるせいか、確定値は例年、速報値より数字がやや大きくなります。
年間のHIV感染者・エイズ患者の新規報告数が1000人を超えたのは2004年でした。確定値ベースでその2004年が1165人、翌2005年が1199人、そして2006年は速報値ベースですでに1304人。3年連続して新規報告が1000人を超え、なおかつ年々増加しています。増え方の角度も大きくなっているようです。国内のエイズの流行が拡大を続けていることは報告の数字からもはっきりと読み取れます。
ここでもうひとつ注意しておかなければならないのは、速報値にしても、確定値にしても、あくまで報告の数字であるということです。昨年1年間に日本国内で新たにHIVに感染した人の数とは違います。そのような数は誰も正確に把握することはできないのですが、これまでの統計の分析などから、報告の数字の数倍のレベルで感染の拡大が続いていると考えられています。
エイズの流行の拡大というこの継続的な危機に対し、日本の社会はいま、どう対応しようとしているのか、どう対応すべきなのか。TOP HAT News 第5号はこの点にとくに留意しつつ、内外のHIV/エイズにかかわる動きを紹介していきます。

◎エイズ動向委員会報告から
  もう少しエイズ動向委員会の速報値について続けます。報告はエイズ予防財団のエイズ予防情報ネット http://api-net.jfap.or.jp/ に掲載されているので、詳しくはそちらをご覧ください。速報値ではあっても、いくつかの傾向は読み取れそうです。
確定値に基づく年報の分析が4月か5月に出るので、詳細はそれまで待つことにして、ここではエイズ動向委員会の委員長コメントの一部を紹介します。
  「新規HIV感染者報告数を感染経路別に見ると、男性同性間性的接触は依然半数を超えている。また年齢別では、20〜40代にHIV感染が広がっているものの、前年と比べて30代以上の増加傾向を認めた。このような傾向と、検査・相談件数の増加が、6月に実施したHIV検査普及週間以降も持続し、さらに世界エイズデー期間前後にかけて増加していることをあわせて考えると、利用者の利便性に配慮した検査・相談事業による検査体制の整備について一定の成果が認められる」
  報告で判断すると、日本のHIV/エイズの流行はこれまでのところ、ゲイコミュニティを中心に広がっていること、そして30代、40代のいわゆる中年層での感染拡大傾向が認められていることに着目しているのが今回のコメントの特徴です。
  エイズ動向委員会ではこれまで、若い女性の異性間性感染による感染の拡大に対して警告を発することが多かったのですが、今回のコメントは報告のデータから推定される現実に近い指摘がなされているように思います。エイズ政策もこの点を踏まえて進められるべきでしょう。もちろん、異性間の性感染、若い女性の感染といったものには、HIVが対象となる人口層の中にこれまでのところ大きく浸透していっていないという事情があるにせよ、人口規模の大きさ、感染リスクなどを考慮に入れれば、ゆるやかにではあっても今後の感染の拡大傾向は十分に予測されます。したがって、予防に必要な情報や検査、治療の機会の提供などの対策がこれまで通り、もしくはこれまで以上に必要であることは改めて繰り返すまでもありません。
  その一方で、若者の性感染(この場合、主に異性間の性感染が想定されていることが多いようです)に対する予防の必要性を強調するあまり、高い感染リスクにさらされている層が他にもさまざまなかたちで存在していることに対する想像力を失うことがないよう報告から得られたデータを政策につなげていくことが、わが国の現状では重要です。

◎世界にはいま、3950万人のHIV陽性者が生活しています HIV陽性者最新推計
  世界の現状については、国連合同エイズ計画(UNAIDS)と世界保健機関(WHO)が2006年11月に発表した「AIDS Epidemic Update(HIV/AIDS最新情報)」に2006年12月末現在の推計値が掲載されています。それによると世界のHIV陽性者数は3950万人、2006年の年間新規感染者数430万人、2006年の年間のエイズによる死者数は290万人です。治療の普及に世界が力を入れていてもなお、年間で300万人近くもの人々の生命が奪われています。しかも、その死者数を140万人も上回る新規感染があるため、HIVに感染して生きる人の数は増加を続けています。
あまりにも多くの死、そしてそれ以上に多くの新たな感染。この厳しい現実の前で、昨年8月、カナダのトロントで開かれた第16回国際エイズ会議では予防が大きな関心を集めました。治療の提供は間違いなく重要です。それは変わっていません。途上国では治療が受けられれば助かるたくさんの人たちが、治療へのアクセス(機会)を得られないために、若くして死んでいきます。その状態がいまなお、続いているのです。治療の普及には、これまで以上に力を入れていく必要があります。
しかし、治療の普及に努力を傾けても、新たに感染する人がどんどん増えていったのでは、その努力もとても追いつけなくなってしまいます。治療のための努力が実を結ぶためにも、予防をおろそかにはできないというのが、世界が広く共有しつつある現状認識です。「AIDS Epidemic Update(HIV/AIDS最新情報)」の2006年版はエイズ予防財団のエイズ予防情報ネット http://api-net.jfap.or.jp/ で日本語版を見ることができます。

◎レッドリボン
  エイズキャンペーンの代名詞となっているレッドリボンはいつ、どのようにして生まれたのでしょうか。国連合同エイズ計画(UNAIDS)のウエブサイトに昨年暮、以下のような説明が掲載されていました。
《アートコミュニティに及ぼすエイズの影響に立ち向かい、芸術家や美術関係施設、鑑賞者らがエイズと闘うための行動を組織化する目的で、アート分野の専門家が1988年、ビジュアルエイズというグループを設立した。
 3年後の1991年には、ビジュアルエイズの芸術家が何人か集まり、HIV陽性者および陽性者をケアする人たちへの理解を示す視覚的なシンボルのデザインに取り組んだ。湾岸戦争に派兵された米国兵士の栄誉を称えるイエロー・リボンに触発され、アーティストたちはHIV陽性者への支援と連帯、およびエイズ関連の病気で亡くなった人への追悼のシンボルとしてレッドリボンを選んだ。赤が選ばれたのは「血液との関係もあるが、怒りだけでなく、バレンタインのような愛も含めた情熱を表すからだ」とプロジェクトの創設者は語る。このプロジェクトはレッドリボン・プロジェクトとして知られるようになった》
  UNAIDSの解説はさらに続きます。AIDS&Society研究会議のHATプロジェクトに日本語訳が掲載されているので、http://asajp.at.webry.info/200612/article_1.html をご覧ください。
  ところで、この解説の中になつかしい名前を見つけました。
 《「レッドリボンがこれほどに広がったという事実は驚くべきことだ。信じられない」とレッドリボン・シンボルの創作に加わったビジュアルエイズのアーティストの1人、アラン・フレイムは語る》
  このアラン・フレイム氏は1994年8月、横浜で第10回国際エイズ会議が開かれたときに来日しています。会場の近くでエレクトリック・ブランケットというスライド投影のショーを開催したニューヨークのスタッフ2人のうちの1人でした。エレクトリック・ブランケットの日本側スタッフには、このときの経験が大きな刺激となってその後、国内のHIV/エイズ対策に大きな功績を残し、いまも残しつつあるアーティストが少なくありません。昨年のPWA賞受賞者である張由紀夫さんや2000年度の受賞者の桃河モモコさんもそうしたアーティストの1人です。
  日本のエイズ対策と世界各地のエイズとの闘いが切り離されたものでも、無縁なものでもないということは、こうしたことからも実感できます。
  レッドリボンはエイズで亡くなった家族や恋人、友人、知人といった大切な人たちを忘れない、忘れたくないという強い思いの表明として生まれました。それがいまは「周囲のHIV陽性者への連帯と支援の国際的シンボル」「エイズを取り巻くスティグマや偏見と闘う簡潔で力強い方法」(UNAIDS)にもなっています。
レッドリボンは著作権を心配することなく、誰もが使用できるエイズとの闘いのシンボルです。ビジュアルエイズのアーティストたちか、国連のいずれかが著作権の管理をして他の人が使えるようにしているのではないかと思います。どなたかそのあたりの事情に詳しい方がいらっしゃるようでしたらお教えください。知的所有権と国際公共財というエイズ治療の進歩にともなって大きく浮上した地球規模の課題を考える上でも、レッドリボンの存在は示唆的です。

◎日本エイズ学会に1333人が参加
  第20回日本エイズ学会は大盛況でした。11月30日から12月2日まで真ん中に世界エイズデーをはさんで開催された第20回日本エイズ学会学術集会・総会には、登録者ベースで全国から1333人もの参加者がありました。「Living Together−ネットワークを広げ真の連帯を創ろう」のテーマにふさわしく、東京・神田の日本教育会館を中心にした会場では、幅広い分野の研究者、医師、看護師、学生、保健行政担当者、企業関係者、そしてちょっとだけど新聞記者などさまざまな立場の人が集まり、学術発表の場以外でも、意見交換をしたり、旧交をあたためたり、新しく知り合ったりと交流の輪が広がっていきました。会場の一画にはそうした交流の機会を促進するためのしゃれたラウンジが設けられ、真の連帯ががんがん創られているようでもありました。
 HIV陽性者団体からも多数のメンバーが参加し、シンポジウムや学術プログラムの発表の場で、陽性者が積極的に発言の機会を求めていったのも今回の学会の大きな特徴でした。
 今回は学会広報の新たな試みとして、期間中の3日間、毎日正午から記者会見を行い、さらにその記者会見の詳報を中心にした日本エイズ学会速報も発行しました。第20回日本エイズ学会学術集会・総会のウエブサイト http://www.ptokyo.com/20gakkai/ に速報のPDF版が掲載されています。池上千寿子会長の閉会の挨拶とあわせ、ご覧ください。

◎PWA賞に張由紀夫氏
 第20回日本エイズ学会と連動したCommunity Action for AIDS 06のキックオフ・イベントが2006年11月16日午後、東京都新宿区新宿2丁目のコミュニティセンターaktaで開かれ、メイン行事として第13回PWA賞受賞者の発表および表彰式が、華やかな中にも厳粛に行なわれました。
 2006年の受賞者は、アーティストであり、aktaディレクターでもある張由紀夫氏です。aktaの活動を中心に、多数のゲイが暮らす新宿2丁目という町で、日本のHIV/エイズのリアリティーを伝えうるイベントや作品を「楽しんで」作り続けていることが高く評価されました。
表彰式およびPWA賞については http://asajp.at.webry.info/200611/article_5.html をご覧ください。

◎エイズ対策から見ると2006年はどんな年だったのでしょうか。
  国連合同エイズ計画(UNAIDS)がウエブサイトで昨年1年間の活動を報告しています。ニューヨークの国連本部では5月31日から6月2日まで、国連エイズ対策レビュー総会が開かれました。8月にはカナダのトロントで第16回国際エイズ会議が開かれ、世界中から2万4000人もの人が参加しました。会議では予防の重要性が強調されました。
先ほど世界のHIV陽性者推計のところでも書きましたが、治療はもちろん大切です。しかし、感染が拡大し、治療を必要とする人たちがこの先も増え続けていったら、治療のアクセス拡大のための努力も追いつかなくなってしまいます。必要な人に必要な治療をきちんと届けられるようにするためにも予防は大切です。また、治療が受けられるという希望があれば、HIVに感染したかもしれないと思っている人が感染の有無を調べる検査を積極的に受けようとする動機付けにもなります。 きちんと現状を把握することが予防対策の第一歩であるということを考えれば、逆に予防のためには治療の提供が重要にもなります。
2006年は、エイズの最初の症例報告があった1981年から25周年、そして2001年の国連エイズ特別総会でコミットメント宣言が採択されてから5周年の節目の年でした。治療も、予防も、そして、HIVに感染して生きる人、感染の高いリスクにさらされて日々を送っている人に対する支援も、互いに切り離されて存在しているわけではありません。そうしたことが国連の総会や国際エイズ会議を通して少しずつ理解されていくようになったという点でも節目であったように思えます。
その2006年を超え、いまなお困難なHIV/エイズとの闘いは続いています。少しずつではありますが、世界は「闘える」という手ごたえを感じ始めてもいます。日本はどうでしょうか。
「2006年のUNAIDSの活動」の日本語訳はAIDS&Society研究会議HATプロジェクトのブログ http://asajp.at.webry.info/200612/article_4.html でご覧ください。


◆◇◆ ◇◆◇
AIDS&Society研究会議
東京HIV/AIDS談話室 TOP-HAT Forum

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