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zoom RSS 言葉はHIVに対しニュートラルではない

<<   作成日時 : 2007/01/21 18:41   >>

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(解説) エイズの流行の中で広く使われていた表現や用語が変わることがよくあります。例えば、「エイズ感染」は正確ではないので、随分まえから、「HIV感染」の方がより頻繁に使われるようになりました。なぜ、そうなのか。どうして、そのような変更が必要なのか。これは私たちがエイズの流行をどうとらえていくのかということにも深く関わる問題でもあります。UNAIDSのウエブサイトに2007年1月、「Words are not neutral against HIV(言葉はHIVに対しニュートラルではない)」というタイトルで、この件について短い報告が掲載されています。用語に関する提言集である「UNAIDS’ Editors’ Notes for Authors」について説明したものです。この提言集のタイトルについては、かなり意訳になりますが「UNAIDS用字用語ノート」と訳しました。できれば近日中にノート自体の翻訳も進めたいと思います。

言葉はHIVに対しニュートラルではない
Words are not neutral against HIV 
 ( 英文はUNAIDSのウエブサイト  http://www.unaids.org/en/MediaCentre/PressMaterials/FeatureStory/HIVprevention.asp ) 


 「HIVポジティブ」「 People living with HIV」といった用語が、これまでHIVに関する記事に多く見られた「AIDS sufferers(エイズで患者)」「victims of the disease(この病気の犠牲者)」などといった言葉にだんだん取って代わるようになっている。なぜこうした言い換えが起きているのだろうか。どのようにしてそうなったのか。そして、最も重要なのは、その言い換えが何を意味しているのかということである。

 HIVはもはや医学だけの課題というわけではない。HIV感染のリスク、およびHIVの流行がもたらす影響は、女性に対する差別、そしてセックスワーカー、薬物注射使用者、男性とセックスをする男性など社会から排除されやすい集団に対する差別の問題を含む社会的な課題でもある。非常に残念なことではあるが、HIV陽性者もまた、偏見や暴力の対象とされることがしばしばあった。過去10年以上、エイズ対策が効果をあげるには人権を重視する必要があることが明らかにされてきた。そして、そのことの重要性はいま、一段と増している。

 HIVの文脈において、言語はニュートラルではないこともはっきりしている。メッセージがどのように理解され、受け入れられるのか、あるいは受け入れられないのかということは、考え方や情報を共有するために私たちが選ぶ言葉や文章に大きく影響を受けるものである。したがって、言葉を慎重に選ぶことはHIV対策を持続、強化させていくうえで重要な役割を担っている。

 ジュネーブのUNAIDS事務局には、HIV分野に継続して登場する課題とその動向を全体の対策の中に位置づける作業を行なう小編成のチームがある。科学的に正確で分かりやすく、普遍的な人権と個人の尊厳を守る動きを広げ、当事者の意向を尊重するようなかたちで、用語について提言することがそのチームの目的である。

 例えば、スティグマや差別の拡大を避ける堅実な方法として、人々の属する集団よりも行動に着目した用語を選択することがあげられる。「HIV感染のより高いリスクにさらされる」「コンドームを使わないセックス」「殺菌していない注射器を使う」の方が、「ハイリスク・グループ」と一般化してしまうより望ましいのである。集団の一員であることが、それ自体で個人をリスクにさらすわけではない。しかし、行動は彼もしくは彼女をリスクにさらす可能性がある。

 個人を尊重し、力づけることは、「AIDS victim(エイズの犠牲者)」とか「AIDS sufferer(エイズ患者)」といった言い方を避けるためのUNAIDSの提言のベースとなるもうひとつの原則である。「こうした用語は個人は無力で、自らの人生をコントロールすることができないといった考え方をほのめかすことになる」とUNAIDS用字用語ノートのまとめ役であるAlistair Craikはいう。「people living with HIV(HIV陽性者)の方が適切である」と彼は付け加えた。

 HIV陽性者をinnocent victims(罪のない犠牲者)と呼ぶことは(HIV陽性の子供たちや医療によってHIVに感染した人に対して使われことが多いが)、他の感染経路で感染した人が何か罰を受けるべき人であるような誤った印象を与えることになる。「people living with HIV(HIV陽性者)」または「children living with HIV( HIV陽性の子供たち)」を常に使う方が適切である。

UNAIDS用字用語ノートは報告書や記事などの執筆者に対し、いくつかのよくある誤りを避けるためのアドバイスも提供している。例えば、「エイズウイルス」は科学的に誤った表現なので避けるべきである。「エイズウイルスというものはありません」とCraikはいう。「AIDS(後天性免疫不全症候群)は、HIVが大もとの原因となって起きる日和見感染症の症候群である。「このことは人間が感染するのはエイズではなく、HIVと呼ばれるウイルスなのだということを示してもいる」とCraikは付け加えた。HIVは、Human Immunodeficiency Virus(ヒト免疫不全ウイルス)の頭文字なので、「HIVウイルスと書くのも正確ではない」という。同様に「コマーシャル・セックスワーク」も同義反復である。「コマーシャル・セックス」または「sale of sex service(セックスサービス販売)の方がより簡潔で明確な表現である。

 これらの例についてはUNAIDS用字用語ノートでより詳しい説明を見ることができる。このノートは、ジェンダーについて配慮し、差別を避け、文化的に適切な言葉の使用を奨励し、普遍的な人権の普及に資するための提言をまとめたものである。「UNAIDS用字用語ノートはあくまで提言であることを理解してほしい。それぞれのライターにはそれぞれの意見がある。また、それぞれの組織はそれぞれの専門領域を持っている。独自の選択基準と文体に基づき、用語の定義を選択することは当然だし、妥当でもある」とCraikはいう。

 UNAIDSは今後も新たな課題や動向の出現に合わせ、継続的にノートの改良を重ねていくことを強調している。


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