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zoom RSS エイズの世界的流行に関する2006年報告書

<<   作成日時 : 2006/06/03 19:12   >>

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(解説) 国連のエイズ対策レビュー総会(2006年5月31日−6月2日)の開幕に先立ち、国連合同エイズ計画(UNAIDS)は2006年5月30日、ニューヨークの国連本部で、世界のエイズの流行に関する最新の報告書を公表した。2001年の国連エイズ特別総会で採択されたコミットメント宣言の5年間の実施状況を検証するため、126カ国政府と30以上の市民社会組織から寄せられた報告書を集約し、評価、分析したものだという。
報告書には、新しい推計値として世界のHIV陽性者数は3860万人、2005年の年間新規感染数410万人、2005年のエイズによる死者数280万人という数字が示されている。これまでの推計よりやや低くなっているが、各国レポートなどをもとに分析の精度が向上した結果だという。また、対策資金の確保、治療の普及、予防対策の成果などで今後にかなり期待のもてる動きが見られることを強調する一方、いまなお対策はエイズの流行の拡大のペースに追いついていないとも指摘している。2001年のエイズ特別総会以降、世界はよく闘ったが、まだまだ努力が足りないといったところだろうか。
エイズ対策資金は5年前の5倍に増え、2005年には年間83億ドルに達しているという。それでも、今後の流行の拡大を考えると十分な額とはいえず、2008年以降は必要額が毎年200億ドルになるという。誰がどのようにして資金を負担するのか。この点は翌日から始まった国連エイズ対策レビュー総会の大きな焦点のひとつだった。
以下はUNAIDSのプレスレリースの仮訳です。 
 英文は http://data.unaids.org/pub/GlobalReport/2006/20060530-PR_GR04_en.pdf



UNAIDSプレスレリース

 ◎エイズ対策は大きく前進しているが、流行の拡大のペースには追いついていない
     世界エイズの流行に関する包括的報告書の最新版が指摘

  新たな報告書はHIVの予防と治療について、期待が持てる傾向が見られるようになったこ とを指摘し、エイズ対策を一段と強化するよう呼びかけている

 【ニューヨーク 2006年5月30日】 UNAIDSが発表したエイズの世界的流行に関する最新報告書によると、エイズの流行は全体として拡大のペースが落ちてきたように見えるものの 特定の地域や国における新たな感染は依然として増加を続けている。報告書はまた、過去5年の間に対策資金や治療のアクセスの増大、いくつかの国での若者のHIV陽性率の低下など、各国のエイズ対策には重要な進展が認められることを指摘している。

 しかし、エイズはいまなお、類例のない大きな脅威であり続けている。治療に関してはよくやっているがHIV予防対策はお粗末であったり、その逆のケースがあったりと、国によって対策の成果はさまざまである。報告書は克服すべき重要な課題が数多く残っていることも指摘している。たとえば、計画策定方法の改善、持続的なリーダーシップ、長期にわたり信頼のできるエイズ対策資金源の確保などである。


・世界のHIV陽性者数は推定  3860万人 (3340万人−4600万人)
 ・2005年の年間新規感染数    410万人 (340万人−620万人) 
 ・2005年のエイズによる死者数  280万人 (240万人−330万人) 

 世界のHIV陽性者数は推定3860万人である。2005年には1年間で約410万人がHIVに新たに感染している一方、280万人がエイズ関連の病気で死亡している。流行が示す数字は依然として巨大なものだが、専門家が楽観的な見通しを持つことのできる理由とエイズ対策を改善するための方策を報告書は示している。

 「HIVの予防と治療に関しては、エイズ対策への投資に対する配当が増大していることを示す有望な結果が得られている」とUNAIDSのピーター・ピオット事務局長は語る。
 「資金、政治的リーダーシップ、現場での成果などに関して、私たちはいま決定的な場面を迎えている。エイズと闘うための世界の行動はいまこそ、大きく加速させることが可能だし、また加速させなければならない。私たちはHIVがどこに、どのようにして動いていこうとしているかを以前よりもきちんとと把握できるようになったし、どうすれば流行の拡大を抑え、影響を軽減させることができるかも分かるようになっている。したがって、私たちがいま、ここから始める行動はとりわけ重要である」

 新たな報告書は、世界の指導者が集まり5月31日から6月2日までニューヨークで開かれる2006年国連総会エイズ高級会合に先立って公表された。この会合では、具体的なエイズ対策の達成目標年次を明示した2001年の歴史的なコミットメント宣言の採択以降、世界のエイズとの闘いがどこまで進展したのかを検証することになっている。

 報告書は世界のエイズ対策のいくつかの要素に関しては重要な進展があったことを明らかにしている。資金確保に関していえば、2005年に世界全体でエイズ対策に使用できる資金は83億ドルだった。これは2001年と比べると、5倍以上に増えており、コミットメント宣言が目標としていた額の範囲に入っている。報告書はまた、国内および国際的な開発計画に重要課題としてエイズ対策を組み込むうえで欠かせない要素である政治のリーダーシップについても、関与が大きく増していることを認めている。

 報告書の発表には、UNAIDSのコスポンサーである国連10機関を代表して、ピオット博士とともに、ユニセフのアン・ベネマン事務局長、国連人口基金(UNFPA)のトラヤ・オベイド事務局長が出席した。

 報告書は若者と子供がエイズの流行から受ける影響が大きくなっていること、そして、若者や子供、その他の社会的に立場の弱い集団を守るための努力が流行の影響の拡大ペースに追いついていないことを指摘している。

 「あまりにも長い間、子供たちはエイズの流行の中で失われた顔であることが多かった」とユニセフのアン・ベネマン事務局長は語る。
 「HIV/エイズが子供たちにもたらす打撃の大きさをきちんと認識し、母子感染の予防や小児エイズ患者の治療のためのプログラムを充実させることが大切です」

 HIV予防に関しては、サハラ以南のアフリカのいくつかの国で、若者の性行為の初体験年齢が遅くなっていること、コンドームの使用が増えていることなどの行動の変化が認められ、その結果として若者のHIV陽性率が低下していることが報告されている。

 「予防は私たちにとって依然、最前線のそして最も効果的なディフェンスラインです」とUNFPAのトラヤ・オベイド事務局長は述べた。
 「若者のHIV陽性率が低下している国々では、行動変容と包括的なコンドーム(による予防)のためのプログラムが存在しています。このことは、予防対策が機能し、若者の命を救っていることを証明しています。しかし、女性はいまなお、エイズの流行の中で極端なまでに弱い立場に置かれており、女性が自らコントロールできる予防の方法を提供できるようにするためには、これまで以上に大きな努力が必要です」 

 報告書はまた、さまざまな分野で、そして世界のほとんどの地域で、エイズの流行と闘うためにはいまこそ、これまで以上に積極的な行動が必要であり、将来にわたってそうした活動を続けていかなければならないことを明確に示している。

 報告書の記者会見に臨んだ発表者たちは、HIV治療の普遍的アクセスの実現を目指し、2010年までにエイズの流行の拡大に歯止めをかけて縮小へと転じるという次の目標を達成するには、これまでよりもはるかに大きな対策が必要であることを強調した。


主な判明事項
 世界のエイズの流行に関する2006年報告書に示された主要判明事項には以下のようなものが含まれている。

《資金》
 エイズ対策資金は2001年に16億ドルだったのが、2005年には83億ドルに増えている。こうした大きな資金の増額により、支出面でも必要な人々にとって最も効果的に資金が活用されるよう対策の総合的な調整、およびモニタリングと評価の重要性が注目されるようになった。資金拠出者からの援助に加え、エイズの流行が深刻な国々における国内のエイズ対策予算も2005年には25億ドルに増えている。同時に、報告書は資金面での需要と供給のギャップが拡大していることも指摘している。2008年以降は毎年200億ドルが必要になると推定されている。

《HIV予防》
 非常に勇気付けられる成果としては、アフリカで報告があった11カ国中6カ国で、首都における15−24歳の若者のHIV陽性率が25% 以上減少していることがあげられる。また、サハラ以南のアフリカの14カ国中9カ国では、若者の性体験率が低下している。不定期のパートナーとの性行為の際にコンドームを使用する割合は、同じ地域の11か国中8カ国で増加している。ただし、性行為全般におけるコンドーム使用率は依然、50%を下回っている。治療と予防の両方の対策を促進するための重要な手段であるHIV検査とカウンセリングを受けた人の割合は、2005年には1650万人と4倍に増えている。エイズ教育では、報告のあった58カ国のうち、74%が小学校、81%が中学校でエイズ教育を実施している。
 こうした成果は注目すべきものではあるが、予防対策は多くの分野でまだ不十分である。コミットメント宣言は2005年までに若者の90%がエイズについて十分な知識を得られるようにすることを求めていたが、調査の結果によると、包括的な知識を身につけている若者は50%以下である。母子感染の予防は極めて重要な分野だが、現状ではそのためのプログラムを受けているのは妊娠女性の9%でしかない。

《脆弱性の軽減》
 イラン、マレーシア、キルギスなどいくつかの国の政府は、薬物注射使用者のHIV感染を減らすためにより積極的な手法を採用している一方で、世界全体では、HIV予防サービスを受けている薬物注射使用者は20%未満である。東欧・中央アジア地域(旧ソ連・東欧)では10%に満たない。セックスワーカーに対する予防サービスのカバー率が50%を超えている国は報告のあった24か国中10カ国にとどまっている。男性とセックスをする男性で、2005年に何らかの予防サービスを受けていた人はわずか9%である。
 市民社会報告書は偏見と差別がいまなお広がっていることを報告している。報告のあった国の半数は、HIV予防やケアを受けること妨げたり、効果を阻害したりするような法律や政策があるとしている。1500万人のエイズ遺児、およびエイズの流行によって弱い立場に置かれた数百万の子供たちに対するケアと支援は極めて不十分である。

《治療》
 抗レトロウイルス治療へのアクセスは大きく拡大した。低中所得国で治療を受けられる人は2001年には24万人だったのが、2005年には130万人に増えている。「3バイ5」の目標に到達した国も21カ国ある。ジェネリック薬が使用できるようになってARVの価格は大きく下がり、調達システムも改善された。それでもなお、HIV治療のカバー率は地域によって大きく異なっている。サハラ以南のアフリカでは、治療のカバー率は中央アフリカ共和国の3%からボツワナの85%まで差が広がっている。

《リーダーシップ》 
 エイズに関する政治のリーダーシップは2001年以来、大きく前進している。報告のあった国の90%が国のエイズ戦略を策定している。85%はエイズ対策を総合的にコーディネートするための単一の国の組織を作っている。50%は国によるモニタリングと評価の枠組みがある。ただし、こうした計画を実施するシステムにはむらがあり、市民社会やHIV陽性者の参加も十分に保障されているとはいえない。

 「エイズの流行を縮小に転じ、その影響を軽減するには、その年その年の危機に対処する方法から、長期的な戦略計画を策定し、その計画に沿って進める方法へとエイズ対策を変えていかなければならない。そのための強固な基盤を築く必要がある」とピオット博士は語った。

 UNAIDSとそのコスポンサー機関によって用意されたエイズの世界的流行に関する2006年報告書は、エイズ対策についてこれまでにまとめられた報告書の中でも最も包括的なものである。126カ国政府と30以上の市民社会組織から寄せられたデータを活用し、2001年に国連加盟189カ国が採択したHIV/エイズに関するコミットメント宣言に盛り込まれている6つの世界的目標について、各国の実施状況を評価している。2005年の目標は、エイズの流行の拡大に2015年までに歯止めをかけ、縮小に転じるというゴールをもとに設定されたものである。

 これらの目標に向けた成果はUNAIDSが各国政府および市民社会と協議の上で作成した行動指標によって測定されている。

 「世界のエイズ対策はきわめて重要な段階に差しかかっている。こうした時期には宣言やスピーチよりも行動と結果が大切である」とピオット博士はいう。
 「これらの指標は美辞麗句を費やした対策を切り裂き、結果を並べてみせる。これこそが検証し、評価し、経験に学び、改善を重ねていくために必要なものである」

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