エイズ&ソサエティ研究会議・HATプロジェクト

アクセスカウンタ

zoom RSS 世界のHIV治療へのアクセスは過去2年で3倍に拡大

<<   作成日時 : 2006/04/04 01:21   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

(解説)2005年末までに途上国のHIV陽性者300万人に抗レトロウイルス治療を提供するという「3バイ5」戦略を総括する報告書をWHOとUNAIDSがまとめた。2005年末時点で目標達成には至らなかったが、この3年間で途上国の抗レトロウイルス治療へのアクセスは3倍に増えたと成果を強調し、この成果を普遍的アクセスの実現へとつなげていくよう呼びかけている。



WHO/UNAIDS共同ニュースレリース13
            2006年3月28日

 世界のHIV治療へのアクセスは過去2年で3倍に拡大したが、いまなお大きな課題を残している 
 −低・中所得国では現在130万人が治療を受けている;最も治療が拡大しているのはサハラ以南のアフリカである。
 −2010年までの治療の普遍的アクセスに向けた努力に「3バイ5」計画の経験を生かさなければならない。

   英文はUNAIDS http://www.unaids.org/en/ press release 8 March 2006 より

【2006年3月28日 ジュネーブ】 世界保健機関(WHO)と国連合同エイズ計画(UNAIDS)が発表した新たな報告書は、低・中所得国でHIVの抗レトロウイルス治療(ART)を受けている人の数が2003年12月の40万人から2005年12月には130万人と3倍以上に増えていることを明らかにした。途上国のHIV治療へのアクセスを拡大するための「3バイ5」戦略の最終的な成果をまとめ、報告書は過去2年間の経験から学んだ教訓は2010年までにHIV治療の普遍的アクセスを提供するための世界的な努力の基礎となるだろうとも指摘している。

 治療は大きく拡大したものの、初期の目標には遠く及ばなかった。しかし、報告書は「3バイ5」計画の期間中に世界のすべての地域で治療のアクセスが拡大し、過去1年では1カ月に約5万人のペースでART治療を開始する人が増えてきたと報告している。エイズの流行で最も大きな打撃を受けているサハラ以南のアフリカは、HIV治療を受ける人が過去2年で10万人から81万人へと8倍も増え、最大の増加率を示す地域となっている。2005年末までに、低中所得国でHIV治療を受けている人の半数以上はサハラ以南のアフリカに住んでいる。2年前には4分の1だった。

 「2年前には、HIV治療の規模拡大のための政治の支援と予算は極めて限られたものだった」と世界保健機関(WHO)の李鍾郁事務局長はいう。
 「3バイ5によって、治療へのより大きなアクセスを確保するための政策的、財政的な関与は現在、かなり強まっている。将来に向けたこの根本的な変化は、HIV/エイズだけでなく、他の病気と闘ううえでも大きな希望を与えてくれるものだ」

 2005年7月、主要8カ国(G8)はWHO、UNAIDSと協力して、2010年までに治療の普遍的アクセスの達成に可能な限り近づくことを目指し、HIV予防、治療、ケアの基本的なパッケージを作っていくことを確認した。2010年までに可能な限り普遍的アクセスの達成に近づくという目標は2005年9月の国連総会でも認められた。WHO/UNAIDSの新たな報告書は、この目標の達成に向けて治療の規模拡大を進めるのに必要なステップのアウトラインを示している。

拡大したHIV治療のアクセス
 「3バイ5」計画の期間中に、すべての地域の国々が治療を必要とする人たちと実際に治療を受けられる人たちとの間のギャップを埋めるうえで大きな成果を上げてきた。抗レトロウイルス治療(ART)を提供できる低中所得国の公的な治療施設の数は500以下だったのが、2005年末には5100カ所以上に増えた。最近の調査ではたとえば、マラウイでは2003年初めに3カ所だったのが、2年余りで60カ所になったし、ザンビアでは3カ所が110カ所に増えている。

 世界全体では途上国のうち18カ国が、2005年末までに少なくとも必要な人の半数に治療を提供するという「3バイ5」の目標を達成し、引き続き普遍的アクセスに向けて努力を続けている。他の国々は目標には到達しなかったものの、治療のアクセスの拡大と保健システムの弱体状況の克服を目指すことで得られた経験が、HIVの予防、治療、ケアのサービスのさらなる拡大に向けた新たな計画に必要な情報を提供している。抗レトロウイルス治療(ART)の普及により、途上国では2005年1年間で25万人から35万人が死を免れたと推定されている。

 WHOとUNAIDSが2003年12月1日に始めた「3バイ5」計画は、2005年末までに低中所得国の300万人に治療を提供することを目標にしていた。この野心的な目標は、資金確保、技術的な能力の向上、保健システムの強化、政策的な意思と協力を適切に組み合わせれば、何が達成可能になるのかを検討した2001年の分析に基づき設定された。この計画によって、HIV治療は貧しい国や地方でも、さまざまな保健医療システムのもとで効果的に提供しうること、そして大規模なARTのアクセスは技術的にも財政的にも実現可能であることが確認できた。

 2003年から2005年までの2年で世界のエイズ関係の支出は年間47億ドルから年間推定83億ドルに増えている。この資金のかなりの部分は、米大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)、世界エイズ・結核・マラリア対策基金、世界銀行によって提供されている。同じ期間にARTの治療薬の最初の組み合わせの価格は、組み合わせの内容にもよるが37%から53%安くなっている。

成果:地域別の治療のアクセス
 2003年末から2005年の間に、HIV治療のアクセスは世界のすべての地域で拡大している。エイズの流行に最も深刻な影響を受けている地域であるサハラ以南のアフリカと東アジア・南アジア・東南アジアが最も急速かつ持続的に治療のアクセス拡大を達成した地域でもある。

 ・サハラ以南のアフリカでは、2005年末時点で81万人以上、別の言い方をすればARTを必要とする人の17%が治療のアクセスを得ている。途上国でARTを受けている人の半数以上がサハラ以南のアフリカに住んでいる。サハラ以南のアフリカには、世界の最貧国25カ国のうち20カ国が集中している。100万人単位の保健医療従事者の不足にあえぎ、しかもトレーニングを受けた保健医療スタッフが毎年2万人も海外に流出している地域でもある。こうした極めて厳しい試練を抱えているにもかかわらず、サハラ以南のアフリカは大きなARTの拡大を達成した。
・東アジア・南アジア・東南アジアのARTのアクセスは2003年末の7万人から2005年の18万人へと、相当大きく拡大している。2005年には75%も増加している。とりわけ2004年と2005年前半には、タイにおける拡大が著しい。 
 ・ラテンアメリカ・カリブ諸国では、2003年末に21万人だったのが31万5000人以上に増え、必要な人の約68%に治療が提供されている。途上国地域では最も高いカバー率である。域内の13カ国が必要な人の半数以上に治療を提供するという目標を達成している。
・東ヨーロッパ・中央アジア、中東・北アフリカの低中所得国では、治療を受けられるようになった人の数は増えているとはいえ、他の地域と比べるとARTのアクセスは小さい。東ヨーロッパ・中央アジアでは2万1000人、中東・北アフリカでは4000人である。2003年末にはそれぞれ1万5000人と1000人だった。実質的にこれらの地域のすべての国でHIV感染は低流行期にあり、薬物注射使用者(IDU)やセックスワーカーなど提供が困難な人口層での感染が多い。

女性・子供・弱い立場の人口層への提供
 新たな報告書によると、ARTのアクセスに関して女性に対するシステマチックなバイアスは認められないものの、女性の治療カバー率はさまざまである。国によっては、女性の方が治療を受けている国もあるし、男性の方が多い国もある。HIVの母子感染を防止するための治療のアクセスは依然として受け入れがたいほど低く、この点は注意しておく必要がある。2003年から2005年の間、出産前もしくは出産中に母子感染予防のための抗レトロウイルス治療を受けていたHIV陽性の妊婦は10%にも満たない。その結果、1800人の赤ちゃんが毎日、HIVに感染して生まれている。年間57万人以上の15歳未満の子供がエイズで死んでいる。その多くは母親からのHIV感染である。2005年には15歳未満の子供66万人がただちにARTを受ける必要がある。必要な人全体の10%である。治療が必要な子供10人のうち9人はサハラ以南のアフリカで生活している。

 2005年末までに推定3万6000人の薬物注射使用者(IDU)がARTを受けているが、その80%はブラジルのHIV陽性者である。残る6000人は他の45カ国で治療を受けている。こうした数字は、必要な人にきちんと治療が提供できていない現実があることを示している。東ヨーロッパ・中央アジア地域では、HIV感染報告の70%がIDUなのに、治療を受けている陽性者の中でIDUが占める割合は24%にとどまっており、とりわけその傾向が顕著である。

 「この病気に対する誤った情報やHIV陽性者に対するスティグマがいまなお、いたるところで予防、ケア、治療のための努力を妨げている」とUNAIDSのピーター・ピオット事務局長は指摘する。
 「私たちがエイズの流行を克服しようとするのなら、スティグマと闘い、資金をHIV予防、ケア、治療プログラムに効果的に活用し、さらに多くの資金を確保しなければならない」

普遍的アクセスに向けて
 HIV治療のアクセス確保に関しては過去2年の間に重要な成果が上がっている一方で、さまざまなパートナーの努力と拠出資金の増加にもかかわらず、「3バイ5」戦略は野心的な目標の達成には遠く及ばなかったことを報告書は認めている。報告書の中で強調されたHIV治療と予防の規模拡大に対する障害物には以下のようなものが含まれている。パートナーシップ間の調整が不十分なこと、治療薬や診断薬の調達・供給面での制限、人材の不足その他の保健システムの弱さ、平等なアクセス確保の困難さ、プログラムの管理やモニタリングのための標準化されたシステムの不足。

 「過去2年間に得られた豊富な経験と情報を生かしていかなければならない」とWHOのケビン・ド・クックHIV/エイズ局長はいう。
 「この知識を今後に活用するつもりである。HIV予防、治療、ケアのサービスの規模拡大は保健システム全体の強化をはかるうえでも非常に重要である」

 治療の規模拡大に取り組む中で得られた多くの教訓は、新しい報告書の中で示された治療の普遍的アクセス実現のための工程表に生かされている。それはたとえば以下のようなものである:
 ・目標の設定と持続を促し、利害共有者間の説明責任を果たしていく。「3バイ5」戦略で重要だったのは、国レベルで大胆な目標を設定し、各国政府にこれまで可能だと考えられていた以上に能力を拡大するよう促したことだった。さらに前進していくには、予防および流行がもたらす影響の緩和など、包括的なエイズ対策の他の要素も含めた実現可能なターゲットを設定する中で、治療のターゲットの達成をはかっていかなければならない。 
 ・保健医療システムの強化。HIV治療の普遍的アクセスを確立するには、多くの国ですでに厳しい試練に直面し、人材も資金も不足している現行の保健医療システムの再建、強化、拡大のために大きな努力を傾ける必要がある。
・サービスの分権化、コミュニティの活用、教育、チーム単位のアプローチ、看護師や保健医療従事者への業務の委任など、保健医療の提供のための「公衆衛生アプローチ」の奨励。このアプローチはまた、治療薬、診断薬の安定的な供給を確保するためのメカニズムの活用やHIV陽性率の高い地域で感染の有無を知ることを助けるための自発的な検査とカウンセリングの提供も奨励する。

 すべての可能な手法を使い、バルナラブルなグループが必要としているものに特に配慮しつつ、予防対策を充実させること、および予防と治療の規模拡大を結びつけることが現在、必要である。疫学的なモデルは、予防と治療の両方を含む包括的な対策の方が、予防または治療対策のどちらか一方に力を入れるよりも、より多くの人の命を助けることを一貫して示している。

 資金の増額と持続的な確保が必要である。UNAIDSの推計によると、利用できる資金と必要とされる資金との間のギャップは、2005−2007年の間に180億ドルと推定され、2008年には包括的なHIVの予防、治療、ケアのプログラムのために年間で少なくとも220億ドルが必要になる。

 1.しっかりとした資金の見通しなしに多数の人にARTを提供することは、多くの国で不可能である。持続的に治療の規模を拡大していくには、資金拠出者による長期の拠出約束が不可欠である。報告書はエイズ対策のための革新的な資金確保メカニズムの活用を奨励している。こうしたメカニズムの中には、フランスが提唱した国際連帯航空税、ミレニアム開発目標の達成を助ける持続的投資のために国際金融市場から援助資金を前倒しして調達する英国のInternational Finance Facility(国際開発資金調達制度)などがある。

 新たな報告書はWHOとUNAIDSが経験から学んだ教訓と「3バイ5」の戦略、パートナーシップをもとにエイズ対策に今後も力を入れていくことを強調している。UNAIDSは最近、HIV予防、治療、ケア、サポートの普遍的アクセスに向けて、各国が計画と目標を設定するよう促している。普遍的アクセスのゴールを実現するためのWHOの貢献は、疫学的に異なる文脈から流行に影響を及ぼしうるとされる以下の5つの戦略分野での優先的な介入策に基づくものである。
 ・HIV検査とカウンセリングにより、多くの人がHIV感染の有無を知ることができるようにする。
 ・治療とケアの規模拡大を促進する。
 ・HIV予防に対する保健セクターの関与を最大限に活用する。
 ・より効果的な対策を紹介するための戦略的情報に投資する。
 ・保健システムを強化、拡充する。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
世界のHIV治療へのアクセスは過去2年で3倍に拡大 エイズ&ソサエティ研究会議・HATプロジェクト/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる